宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 なんか鹿紫雲の宿儺の話を読んでたら思いついた話…雷って、自然災害の中ではダントツで危険で強力なタイプのソレなんだよなぁって。


獅子王③

 

 

 リミッターを解除した獅子王の呪力出力は、通常時の二倍の領域へと跳ね上がる。

 

 帯電し、毛の一本一本にまで流し込まれ染み込んだ獅子王の呪力は常にその出力を全開にされた状態で維持され、獅子王の意志とは関係無く体外へと放出されていく…そうしなければ、常に出力最大の状態で維持されている獅子王の肉体が持たないからだ。

 

 獅子王は手加減が苦手だ、それは持ち前の溢れんばかりの膂力とは別に、自身の呪力出力にも適応される。

 

 繊密な呪力操作は当然のものとして、獅子王は通常の術師…並大抵の術師でも行えるであろう呪力操作と言うものを基本的には行えない…それほどまでの手加減知らず。

 

 獅子王自体が手加減という言葉を知らない訳では無い、廻に命じられた際には獅子王とて手加減しようと努力もする…しかし、それがどうしようもなく上手く行かない。

 

 出力30%という提示されたソレに対しての解答は60%、50%を命じられたその瞬間に放たれた出力が80%…何をしても、必ず提示された出力を獅子王は上回ってしまっていた。

 

 

 

 …では、その持ち主である獅子王ですら、常に放出していなければ自身の身体を壊してしまいかねない程に高い呪力出力…その全開出力をそこいらの物体へと流し込んでしまった場合、それは一体どうなってしまうのか。

 

 ただでさえ高い呪力出力、そのリミッター解除…通常時の二倍にまで跳ね上がったそれを物体へと注ぎ込んでしまえばどうなるのか……当然壊れる、獅子王の呪力出力に耐えきれず何をするでもなく自壊し粉々に砕け散って終わる。

 

 しかし、別にそれでも問題は無かったのだ…敵手の元に届きさえすれば、それだけで良かったのだ。

 

 

 獅子王の呪力には鵺の持つ電気の体質とは別に、ある特殊な性質が存在する。

 

 それは…体外に放たれた自身の呪力と非常に呼応し易いと言うもの、自身が垂れ流しにした呪力へと自身の呪力を充てがうことで励起させるというもの。

 

 

 

 

 本来であれば、何の問題も無かった。

 

 リミッター解除による呪力の垂れ流し…しかしそれは200%の呪力をそのまま垂れ流しにしているわけではない、ただ獅子王では耐えきれない呪力の一部を無意識的に少しずつ放出しているだけに過ぎない。

 

 殴り斬り潰す…その過程で幾ら呪力を使用しようともそれはあくまで打撃による僅かな誤差範囲の放出、それと組み合わせてみても獅子王の呪力が辺りを満たすのにはそれ相応に時間が掛かるはずだった。

 

 故にこそ、獅子王の持つその性質は『羅生門』による一撃以外では、決して日の目を見ることは無い…はずだった。

 

 

 

 

 

 しかし、獅子王は出会ってしまった…鹿紫雲一という存在に。

 

 

 

 

 自身同様、電気の体質を持つ存在…鵺とは別で出会う初めての存在、その男の戦闘方法は良くも悪くも獅子王に影響を与えた。

 

 電荷分離による一撃に帰還電撃…理屈こそ理解していないが、それでも鹿紫雲一という人間の存在は、鵺という手本しか持たなかった獅子王からしてみればインスピレーションの塊のような存在だった。

 

 だから、真似をした…鹿紫雲がそうしていたように物へと呪力を込めて投げ付けた。

 

 何ということは無い、獅子王は鹿紫雲の帰還電撃を真似しようとしていただけなのだ、だから普段はそこまで行わない投擲をこうも連続して行った…普段することない、物体に呪力を流すなんてことをしてまで。

 

 …そう、故にそれは偶然だった…ソレは、何処まで行っても偶然の産物に過ぎなかったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バチリと、電気(じゅりょく)が爆ぜる、獅子王の呪力に反応するかのように周囲一体で電気が爆ぜる。

 

 瞬間、甲高いガラスの音を響かせながら電灯の灯りが弾け飛び、それに呼応するかのようにギリギリ形を残していた獅子王の投擲物達が一斉にその内側から爆ぜ散った。

 

 無数に飛び交う残骸、万達を囲い込むように爆ぜ出したその現象に万は何が起きたと思わず周囲を見渡し…咄嗟に口元を押さえた。

 

 

───またか…!?

 

 

 電気による酸素分解、周囲一体の投擲物が弾けたことによりその行き場を失った電気の性質を持った呪力が一帯の酸素を手当たり次第に分解し始めていた。

 

 先程とは量も質も違う、辺り一帯に投擲されていた物体が弾けたことによる範囲の拡大と純粋な呪力出力の上昇によって引き起こされたソレは、先のソレとは比べ物にならない程の速さでその生存領域を侵していく。

 

 

「───おえっ…!!?」

 

 万の内側から、激しい嘔吐感が湧き上がってくる。

 

 抑えた口元から溢れる臭い匂い、必死に抑え込もうとする万のことなぞ知らぬと言わんばかりに濁流のようにやってきたソレを、万は堪えきれずに吐き出した。

 

 おぇぇっと吐き出される吐瀉物、若干の血液も混じったソレから発せられる嫌悪感を抱いてしまいかねない匂い…それを意識する暇も無く、万は再び吐瀉物を吐き出した。

 

 止まらない、血液の混じるソレに対して万はガクリと膝をつく、グラグラと揺れる頭と揺れ動く視界に頭を抑え、必死に思考を動かした。

 

 このままでは死ぬ、何も出来ず醜態を晒したまま死んでしまう、彼に想いを届けられぬままに朽ち果ててしまう…それは、万にとって最も唾棄すべき結末だった。

 

 故に万は…一か八かに懸けることにした。

 

 虫の鎧を解除する、ハァハァっと荒く息を吐き出し瞳も充血した状態、身体は脱力し目元も何処か寝苦しそうに半目開き、頭がガンガンと打ち付けられるように痛くて痛くて仕方がない…それでも、万は術式を使用した。

 

 全ては愛故に、愛知らぬ修羅へと自身の愛を届けんが為に。

 

 術式を駆動する、虫の鎧と周囲を漂う液体金属、それらを転用して作り出すのは漆黒に染まった球体のようなナニカ。

 

 丸い、丸い、丸い…あまりにも理想的な球体、球体の手本とでも呼べるような美しい球体が万の傍で浮かび上がり…同時に、ソレに触れた電柱が綺麗に抉り取られた。

 

 

 完全な球体…『真球』とも呼ばれる実現不可と言われる物体そのもの、一切の接地面積が存在しないが故に無限の圧力を生み出すことが出来る万の必殺。

 

 殺す、自身が死ぬ前に目の前の式神を殺し、その上でこの場から離脱する…最早、生き残る為の方法はそれしか無いと、万はそう考えた。

 

 『真球』には何者も触れることは叶わない、触れようと思ったその次の瞬間にはその部位ごと『真球』にその命を抉り取られている。

 

 領域は展開しない、そもそもその隙を見逃す相手でもなければする余裕も無い、真球を作るので精一杯だ…それほどまでに、万は追い詰められていた。

 

 視界が揺れる、嘔吐感が止まらない、意識が朦朧としていて仕方がない…そんな状況下でも、万は決して獅子王から目を逸らさず、その姿を確かに捉えていた。

 

 

 

───当てる(殺す)

 

 

 激烈で静かな殺意、脱力した身体のままでその殺意の瞳を獅子王へと向けた万は、作り出した真球を獅子王へと向けて前進させた。

 

 ゾンッという奇妙な音、抉り取ったと言う割にはあまりに静かな音を響かせながら真球は進行上の地面を抉り取りながら獅子王へと突起し…それに対して獅子王は、一切動くことなくそれを迎え撃とうとしていた。

 

 

 

 勝った…万はそう確信した。

 

 真球は受け止められない、そういう構図をしていない、避けられれば生きてる限り何度でもと考えていた万からしてみれば、獅子王の行動は渡りに船であった。

 

 獅子王が紫電を鳴らす、全身から溢れ出した呪力を更により一層強く醸し出し、バチバチと爆ぜる紫電が獅子王を覆う。

 

 最大呪力出力による放出、白叡のような放出こそ行えないものの、それでも拳に纏わせることくらいは可能としていた獅子王なりの工夫の一撃…それを、獅子王は大きく振り被った。

 

 それを視認した万の瞳から血が流れ出す、ゴホッと吐き出した口元は大量の血で濡れていた…それでも、万は確信する。

 

 

 

───私の勝ちだ…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間…周囲一帯に残留していた獅子王の呪力が、バチリと爆ぜる。

 

 耳元へと届いた不穏な音、その正体を探るまでもなく、ソレは容易く万の眼下にその姿を現した。

 

 ソレは、獅子王が投げた投擲物達の中で荒れ狂っていた獅子王の呪力、先の呪力の励起によって爆ぜて放流されていた呪力が獅子王の呪力放出に反応してその姿を色濃く映し出す。

 

 紫色に染まる空間と視界、バチリバチリと何も無い所で爆ぜる紫電が万の目の前では爆ぜては散り、爆ぜて散りをひたすらに繰り返す。

 

 速く、心臓の鼓動のように激しく帯電する空間、呆然とそれを見つめることしか出来ないでいた万の視界に、ふとしたように腕を振り被った獅子王の姿が映り込む。

 

 強く拳を握り込んだ難敵の姿、勝つか負けるかで言うなら圧倒的に負けの確率が高いその敵が、拳を握り込んで大きく振り被った姿、真球が向かい来る中でそれを迎え撃とうとする強敵の姿が、万の視界に映り込み…次いで、気がついた。

 

 こいつは、この式神は───

 

 

 

───初めから、真球になぞ目を向けていない。

 

 

 

 その思考に辿り着いた刹那、獅子王は振り被った腕を大きく()()へと叩きつけた。

 

 瞬間、周囲の放電がより一層激しさを増す、まるで音から音へと反射する共振の反応のように弾けて爆ぜてが辺り一帯で同時に巻き起こり、次から次へと空間を紫電で染め上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 万の周囲…正確に言えば獅子王が投擲物を投げ込んだ空間は、その全てが獅子王の呪力に満たされていた。

 

 獅子王の目的は鹿紫雲の帰還電撃、或いは電荷分離を行うこと…その為に獅子王は鹿紫雲がそうしたように物体に呪力を溜め込み、万の周辺へと投擲をしていた。

 

 しかしそれは叶わぬ目的だった…獅子王の最大呪力出力による圧倒的なまでの質を込められていたソレは、その荒れ狂う力に堪えきれずその大半が万の元へ到達したその時点で自壊を開始していた。

 

 奇跡的に耐えきれた物はあってもそれは中身がグチャグチャ、僅かにでも触れられればそれこそ塵と化してしまう程度には脆くなっていた。

 

 当然、そんなそこいらの物が獅子王の呼応に耐えきれる訳が無い…その結果として、ほんの僅かな獅子王の呪力放出によってそれら器は一斉に弾け飛んだ…溜め込まれていた獅子王の呪力を放出して。

 

 弾けて、壊れて、そうした果てに放流された呪力は空間を漂い、風に揺れることも無ければ他者の手によって晴らされることもなく獅子王と万の周囲を残留している。

 

 …では、そんな状態で周囲へと衝撃を与えた場合、獅子王の最大呪力出力による呪力放出打撃を行った場合、一体どうなるのか…答えは至極簡単だった。

 

 

 呪力が励起する、打撃と共に放たれた呪力放出に反応して周囲を残留していた全ての獅子王の呪力が一斉にその出力を跳ね上げる。

 

 空気が圧縮される、酸素を奪われ分解され、ただでさえ苦しくて苦しくて仕方がない万からまだまだ奪ってやると言わんばかりに弾ける雷が周囲の空気を圧縮し、それと同時にその色をより深く色鮮やかに彩っていく。

 

 加熱される、高温による空気の加熱による気体の膨張と密度の変化、それらが一斉に巻き起こり周囲の全てへと波を伝達していく。

 

 膨張波と圧縮波、それによって引き起こされる高圧縮による衝撃波と、それと同時にやってくる獅子王の呪力に呼応した果てに引き起こされた高出力の電気の性質を持った呪力の波…即ち、衝撃を待った実質的な電磁波が広範囲に拡がって行く。

 

 更に、それとは別にやってくる励起した電気の性質を持つ呪力、その暴走による雷撃が、それら衝撃波と同時になって襲い掛かってくる。

 

 

 とどのつまり、これから起きることは実質的な───

 

 

 

 

 

───宿儺の最終奥義の、擬似的な再現である。

 

 

 

 

 

 

 

 





獅子王

 実は周囲の自分の呪力を呼応、励起させるとかいう能力を持っていた子、なんか某無双の狩人とか見てたら思いついた設定。

やったこと

 周囲に残留していた自身の呪力へ呼応、励起させて出力を上げることで高出力の紫電を発生させ、それによって高温による加熱による気体の膨張と密度の低下を作り出す。

 それによって引き起こされる衝撃波に獅子王の呪力が乗り、高出力の電気を内包した実質的な全方位へと放たれる電磁波を作り出す。

 それとは別に作り出された電気の性質を持った呪力が励起に酔って暴走しているようなものなので、それによる無差別な放電という名の雷撃が衝撃波と一緒になってやってくる。


結果:これ実質的に宿儺の『竈』の再現なのでは?(作者は訝しんだ)

  

 因みに、獅子王は鹿紫雲の電撃をどうやってやろうかとしか考えておらず、これはほぼほぼ本能でやっていたものとする。


PS:書いた後に思った…これやってることキリンだこれ。



宿儺

 大笑い。






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