宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 指がつかれた、仕事がつかれた…もうそろそろ終わらせようかな呪術廻戦。

 今回の話は、もしかしたらどっかで書き直すかもしれない。


取り合い

 

 

 爆音が鳴り響く。

 

 建物の残骸が辺りに降り注ぐ、爆音に次ぐ爆音が周囲から鳴り響き、聞くものによってミサイルが降ってきたのではないかと、そう勘違いしてしまいかねないほどに連続して鳴り響く大きな音。

 

 そして…そんな爆音の中に僅かに混じる、打撃音。

 

 肉を打ち、骨を軋ませ、その身に遍く全ての力をただ眼前の獲物を屠る為だけに使い切る…そんな音が、爆音に紛れて聞こえてくる。

 

 音、音、音…爆音の中で微かに響き渡る肉を打ち骨を軋ませる音、何処から伴なく響き渡るそれらの音が爆音に紛れて響き渡り…唐突に、その音が止んだ。

 

 

 

───術式反転『赫』

 

 

 瞬間、建物の一画が唐突に吹き飛ぶ。

 

 爆発…土煙を上げながら爆ぜ散るような音を撒き散らしながら吹き飛んだ建物の一画、赤色の輝きと共に崩れ落ちたその壁の中から、弾かれるように二つの影が飛び出してくる。

 

 両者は共に白い髪を靡かせ、その顔に狂気的な笑みを浮かび上がらせた二つの人影…現代最強と史上最強の術師は、その瞳に確殺の意思を込めながら、敵手の姿を視認していた。

 

 

───『解』

 

 解き放たれる無数の斬撃、数にして数十は下らない程の不可視の斬撃がたった一人の人間目掛けて射出される。

 

 斬、斬、斬…豆腐のように斬り飛ばされる建物、ポンポンポンポンとまるで重力を失った風船のように浮かび上がっていく建物群…そしてそれら斬撃全てを掻い潜りながら、五条は宿儺の間合いへと踏み込んだ。

 

 ほんの僅かな隙間、下手をすれば隙間とすら言えないような僅かな空間を泳ぐように突き進み、突破してみせた五条へと宿儺は満面の殺意を込めた笑みを浮かべてみせ、そんな宿儺に対して五条は無言の蹴りを応答とした。

 

 崩れ落ちてゆく建物、重力を思い出したかのように落下を開始する建物の残骸…その残骸の上で、五条と宿儺の打撃の応酬が繰り返される。

 

 一つまみと言わんばかりに徐ろに放たれる宿儺の拳、確かな殺傷力を持ったそれは、横合いから放たれた五条の手刀によって弾き落とされた…しかしそれが何だとでも言わんばかりに宿儺は更に五条の元へと踏み込み拳を放つ。

 

 深く重みを感じさせる踏み込みから大きく力を込めて突き出される拳、受ければソレごと抉り取ってしまいそうなその一撃に五条はニタリと悪ガキのような笑みを浮かべ…唐突に、その突き出された拳目掛けて飛び掛かった。

 

 さながら猫、無邪気に遊べ遊べと言わんばかりに身体に飛びついてくる猫のように、鋭く突き出された拳目掛けて飛び掛かった五条はその勢いのまま、突き出された宿儺の腕に組み付き───

 

 

「───よっこいしょ…!!」

 

 大きく身体を揺らして僅かなりとも態勢を崩し、そこから身体に捻りと回転を加えながら一気に体重を掛けて、宿儺を地面へと引きずり倒した。

 

 背中からやってくる衝撃、ぐるんと一回転した視界に宿儺は即座に身体を起き上がらせようと肉体を動かし…そこへ、瞬時に馬乗りになった五条が宿儺の顔面へと拳を叩きつけた。

 

 肉を叩く音、振り抜かれた拳が宿儺の頬を打ち、そこから更に流れるようにもう一撃を叩き込む。

 

 一度二度、三度と続いて四度殴り付ける、馬乗りになった状態で放たれた拳に逃げ場は無く、故に宿儺はそれらの拳を首を動かし躱し、放たれた拳を腕で受け止め、防ぐ。

 

 止まらない、飽きもせず拳を振り下ろす、端からみれば最早チンピラの喧嘩殺法とでも言うべき攻撃を繰り返す五条、術式を使用することなくただひたすらに拳という拳を宿儺へと叩きつける五条の顔は、何処までも笑みに染まっていた。

 

 

「───くどい」

 

 呟く、飽きもせず同じことを繰り返されたことに対しての言葉か、それとも何一つとして変わらない現在の状況に対しての言葉か…恐らく何方でもないのだろうその言葉と同時に、宿儺は徐ろに掌を地面へと押し当てた。

 

 

───『(はち)』『蜘蛛の巣』

 

 

 瞬間、足場としていた建物全体に斬撃が奔る。

 

 一瞬の間も無く広がる斬撃、その名の通り蜘蛛の巣が如く拡散した斬撃は、いとも容易くその足場を崩落させる。

 

 崩れていく足場、少しばかりの大揺れと捌の発動によって五条の意識が僅かにそちらへと割かれる…そして、宿儺はソレを見逃さない。

 

 五条の中に生まれた僅かながらの意識の隙間、その一瞬を突いて宿儺は五条の腹部へと拳を突き入れる…が、当然ながら当たらない、防がれる。

 

 幾ら意識の隙間を突いたと言ってもたかが一瞬、そしてその一瞬に反応出来るだけのポテンシャルが五条悟にはあった…故に、防がれる。

 

 突き入れられた拳を掌で受け止める、バシンッという甲高い音を響かせながらその手を掴み取った五条はそこから更にもう一発叩き込んでやろうと言わんばかりに拳を振り上げ───

 

 

───龍鱗 反発 番いの流星

 

 

 ふとしたように、そんな声が五条の耳に届いた。

 

 拳を放った方の腕とは逆の腕、真っ直ぐと突き立てるように向けられた二本の指、そしてその先で深く狂気的な笑みを表に現出させた宿儺…そして、そこから捻出される呪力の起こり。

 

 

「───げっ」

 

 思わずと言ったような言葉が漏れる、真っ直ぐと向けられた宿儺の術式の気配と煮詰めたような殺意に、五条は咄嗟に宿儺の側から飛び退いた。

 

 

 

 

───『解』

 

 

 

 直後…世界が、ズレる。

 

 つい先程まで五条が存在した箇所、大きく宿儺の指の先から外れるようにして飛び退いた五条の視界の先で、空の彼方に存在していた雲が真っ二つに割れる。

 

 大きな雲だ、白くふわふわと浮いていた巨大な雲、目測で測るだけでそこいらのビルなんて容易く飲み込んでしまうのではないかと、そう思わせるような巨大な雲…それが、真っ二つに割れた。

 

 埓外とも言うべき効果範囲、直線上に立ってしまえばまず逃げようがない程の攻撃範囲、並大抵の術師どころか一級相当でも対処することは難しいとも言える程の一撃。

 

 それに加えて、六眼を持つ五条は捉えていた、その斬撃の真骨頂とも呼ぶべき特性を。

 

 

 

───空間ごと…世界ごと斬りやがった…!!

 

 

 内心そんな言葉を吐き捨てながら、五条はありのままの現実を受け止める、受け取るしかない。

 

 六眼によって解析された事実…術式対象を敵手自身ではなく空間から存在、果ては世界そのものにまで拡張した上で対象を切断するという離れ業。

 

 呪力による防御も無下限による不可侵も一切合切関係無し…その空間、世界に存在する限りそこにある全てごと敵手の存在を分断する…正に、神が如き業。

 

 喰らえば反転による治癒も許さず即死する、まともに喰らえば反転を行うという意識すら持てずにその身体を断絶される…現代最強と呼ばれた男がそう確信してしまう程に鋭い、正に必殺の一撃。

 

 それを今、目の前で、何でもないように放たれた…ただ、上に乗られて面倒だなと、そんな何処かの一般人がこれまた何処かで感じていそうな…そんなありきたりな感情と共に。

 

 冷や汗が流れる…飛び退いていなければ死んでいたと、そう確信してしまったが故に流れ出る大量の脂汗…死を間近に感じたが故に、今までに無い速度で鼓動する心臓の音を聞きながら、五条は何処か皮肉げ(愉しげ)に笑みを浮かべた。

 

 世界を断つ斬撃…正しくそう呼ぶに相応しいその一撃、喰らえば死ぬこと間違い無しのその一撃前にして、五条は恐怖するでもなければ恐れる訳でもなく、ただただ何処までも興奮していた。

 

 何時ぶりに感じたのか分からなくなる程に希薄な感覚、交流戦での廻戦以来まるで感じることの無かった敗色の気配…その事実に、五条の心根は愉悦で満たされた。

 

 

───あぁ…身体を温めるのには、丁度良いかもしれない。

 

 

 口元が狂気に歪み…死の気配を目前として尚も、五条悟という人間は獣が如き笑みをその口元に浮かべてみせた。

 

 その瞳が捉えるのは何時なりともただ一人…その背を見つめ、その背へと手を伸ばし、何れ越えて目の前で自慢してやると決めた一番最初の親友の姿、何時か全力で遊ぼうと約束した最強の宿敵の姿。

 

 故にこそ…負けられない、目の前の呪いの王にだけは。

 

 

 

 眼前でゆらりと呪いの王が起き上がる…汗一つとして流さず、如何にも余裕そうな表情で斬撃を放った自身の手を見つめ、ふとしたようにその小首を傾げた。

 

 まるで思っていたものと違うとでも言いたげな表情、想定していたものとは違うとでも言いたげに自身の手を見つめていた宿儺は…徐ろに、その口を開いた。

 

 

「───五条悟…一つ、問おう」

 

 唐突に開かれた口、呪いの王による問い掛けに五条はあぁ? と何処かチンピラのような声色で疑問の声を上げる…それを無視して、宿儺はさも当たり前のことかのように言葉を紡いだ。

 

 

「───五条悟…貴様は、禪院廻の領域を見たことがあるか?」

 

「───誰が教えるかボケ」

 

 

 即答である、取り付く島がまるで無い程の即答、返答に大凡一秒も掛かっていないだろう程の即答が宿儺へと返される。

 

 何処か拗ねたような口調で放たれた言葉、領域を見たことがあるかという言葉の時点で不機嫌そうに顔を歪めた五条は拗ねた子供のように唇を尖らせ、いじけたような声色で言葉を放つ…そして、それらの要素が暗に証明していた…五条悟は禪院廻の領域を見たことがないのだと。

 

 その事実に、宿儺は───

 

 

「───フッ」

 

 笑った、鼻で笑った、何処からどう見ても鼻で笑った。

 

 まるで哀れなものを見るかのような目で、何処か勝ち誇ったかのような表情を浮かべながら、宿儺は五条の返答に対してまるでそんなことも知らないのかと言わんばかりに、馬鹿にするような笑みを浮かべた。

 

 その態度に、その表情に、何より先の質問の返答を鼻で笑われたその事実に、五条悟は───

 

 

「───殺す」

 

 

 これでもないかと言う程に、キレた。

 

 

 

 





宿儺

 意訳:へぇ〜そんなことも知らないんだ〜? ふ〜ん?

 まっ、知らなくても仕方がないよね…俺は知ってるけどな!!

五条

 煽られた、キレた、殺す。
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