宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 休みに入ってイェーイとなるじゃん? それで喜ぶじゃん? その日の夜に鹿紫雲に寝てんじゃねぇと叩き起こされる夢を見た…泣きたい。


ほんの少しの停戦時間

 

 

 羂索は、走っていた。

 

 全力全開とも言える速度で、素晴らしくも美しいまでの走行スタイルで、均一に素早く大きく体幹もズラさず、見る者が見れば感動してしまいそうな…そんな風に、走っていた。

 

 息を切らしながら吐息を吐き出す、垂れ流される汗水が陽光に照らされ反射する、身体中に熱が充満するような感覚がした。

 

 逃げる、逃げる…爆心地から飛び出すように逃げ出した最悪の術師と呼ばれた存在は、現在も爆心を続けている後方の人外魔境から全力で逃げ続けていた。

 

 死ぬ、死んでしまう…ただでさえトラウマを想起させられるような経験と人間に出会ってしまったというのに、それに加えて煽り煽られの宿儺と五条の激突なぞ、近くに居たら命が幾つあろうともまるで足りない。

 

 逃げるが勝ち、そう判断するのも無理は無い…歴戦であればあるほどに、修羅場を潜れば潜る程にその力の差は明確になってくる、五条悟と両面宿儺という怪物達との違いを否が応にも理解させられる。

 

 羂索は理解していた、両者と自身との力の差を、その比べるのも馬鹿らしくなる程の絶対的な格差を…そして、そんな両者が激突した時、その場にいる己がどうなるのかも。

 

 だから逃げた…トラウマのこともあったのかもしれないが、それよりも何よりも死ぬことだけはどんなことよりも避けたいことだったから。

 

 背後で爆ぜるような音がした、後ろ目で見てみれば無数の呪力が蠢き爆ぜ散り、果ては空に浮かぶ雲すら両断する始末…正しく人外魔境と呼ぶべきその光景に、羂索は無言で目を逸らした。

 

 逃げるのだ、一秒でも速く、一歩でも遠くへ。

 

 怪物と怪物がぶつかった時にどうなるのかを羂索は知っている、他ならぬ禪院廻と宿儺が激突したあの日の光景が未だに脳裏に焼き付いているが故に、羂索ほんの少しでも速く足を動かそうとしていた…そう、していた。

 

 羂索の思考は概ね正しい、触らぬ神に祟り無しと言うように、怪物同士の激突なぞに関わると碌なことにならない、逃げを優先するのが当たり前。

 

 しかし、羂索はある一点を理解していなかった…そもそも、怪物同士が激突したその時点で、その近場に足を置いてしまっていたその時点で、自身に逃げ場など無いという事実を。

 

 

 足を速める羂索、一秒でも速くという思考が透けて見えるその行動、生物としてみれば至極まともなその行動……そんな羂索の左足が徐ろに、酷く唐突に消し飛んだ。

 

 

「───ッ!?」

 

 驚愕に表情を歪め、目を見開く…あまりに唐突に捻れて消し飛んだ己の左足、僅かな血を撒き散らして消し飛んだと錯覚してしまいそうになる程に粉微塵に吹き飛ばされた自身の左足の感覚に羂索は足を縺れさせた。

 

 踏み出し地を踏むはずであった自身の左足、その消失に羂索は転びかけ、その際に咄嗟に地面へと手を付き右足を折って地面へと降ろして体勢を安定させる。

 

 血が流れ出す、綺麗にくり抜かれたように消失した左足の先から流しっぱなしにした水道のように血が溢れ出してくる。

 

 反転術式による治癒を開始、塞がっていく傷の感覚を感じながらも何があったと羂索は思考し…その瞬間、羂索の背後に隕石が降ってくる。

 

 …否、隕石ではない…正確に言うのであれば、隕石と見紛う程の速度で落下してきた、二人の人間。

 

 即ち…五条悟と、両面宿儺。

 

 目に収めずとも気配だけで分かってしまう程に濃厚なソレ、他ならぬ自身が最も恐れたその事態に羂索は冷や汗を流し───

 

 

 

───あ、駄目だこれは。

 

 

 そんな風に、内心で自身の諦めを吐露した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 血を、吐き出す。

 

 ぺっと口から地面へと吐き出す、僅かに生じる痛みも何れは反転で消えていくソレ、土煙を巻き上げながら行ったその一連の動作、その向こう側からコツリコツリと靴音が響く。

 

 手をぶらりぶらりと揺れ動かし、ただ傷跡を付けた獲物を追う狩人のような嗜虐心に溢れたような笑みを携えながら、呪いの王が煙の奥から現れる。

 

 

「───必死そうだなぁ、五条悟?」

 

 

 煽り…であることは理解出来ていた。

 

 嗜虐心と嘲りを大いに含んだ笑み、必死と言いながらもその実そうではないことを理解しながらも放たれたその言の葉に、五条は同じく馬鹿にするような笑みを浮かべながら靴音を鳴らした。

 

 

「───それはこっちの台詞だろうが、世界ごと斬る斬撃なんておたくも随分必死じゃないの」

 

 

 靴音を鳴らす、互いに相手を煽るような表情を浮かべながら互いに接近し、その口から変わらず馬鹿にするかのような言葉を幾らでも吐き出そうとする。

 

 

 

 …領域の勝負が無意味であることを両者は理解していた。

 

 五条には宿儺の知識があった…大凡千年前に残された宿儺の情報、斬撃を扱う術式とその領域、外郭を介さない閉じない領域とその特性を五条は知識として知っていた。

 

 外郭を介さない、結界によって閉じない神業と呼ぶべき領域、相手に逃げ道を与える縛りによって広げられた効果範囲、そこから引っ切り無しに発動する雨霰の斬撃の大群…そして、その広範囲によって引き起こされる領域の外郭破壊。

 

 逃げ道を与えるという縛りによって成立した並大抵の領域の範囲を容易く上回る宿儺の領域、それによって引き起こされる外殻への攻撃…領域は外側からの攻撃に弱いという弱点を突いた正に神業。

 

 『領域殺しの領域』…宿儺の領域の情報を知る者は、口を揃えて宿儺の領域をそう呼んだ。

 

 故に五条は宿儺に対する領域勝負は無意味と判断した…ましてや宿儺が器にしたのはあの菫だ、あの空間ごと圧縮する『黎』を作り出したあの菫だ…そして、それを器としている宿儺が黎を使用出来ない訳が無い。

 

 宿儺の領域に対する対策を五条は確立している、獄門疆に封じられたことでそれはより一層の盤石を誇ってこそいるが…それでも、領域を空間ごと圧縮してしまう黎相手にはどうしようもなかった。

 

 クソだの何だの馬鹿にしているし嘲りもするが、それでもその一点に於いては五条は菫のことを認めていた…極ノ番『黎』とは、無下限呪術としてはそれほどまでに洗練された技だったのだ。

 

 故にこそ、五条は判断した…宿儺に対しての領域勝負は無意味であると、やったところで黎によって破壊されるのが目に見えていると、領域を展開することは無かった。

 

 

 

 

 そして…それは、宿儺もまた同様であった。

 

 

 宿儺には菫の記憶があった、五条菫を器としたことで宿儺は五条菫の記憶を覗き見ることに成功していた。

 

 故に宿儺は知っている、自身の領域の特性が既に暴かれている事実を、それが現在御三家と呼ばれる家柄の人間に拡散されていることを…そして、それを命じたのがあの禪院廻であるという事実を。

 

 笑みが溢れた、相変わらずと言ったように宿儺の口から笑みが溢れた。

 

 あの男は死んでも勝とうとしていた、文字通り死んでも…死んででも己に勝とうとしていた。

 

 後続の成長に力を注ぎ、後続に呪いの王の能力とその技術、そしてその神業と言う他無いソレを何時かの誰かに託そうとしていた、繋げようとしていた…その事実に、宿儺は笑みを抑えきれなかった。

 

 まるで分かっていたかのような行動だ…何れ呪いの王が再びこの世に姿を現すことを理解していたかのような行動、再び己がこの世に暴虐を振りまくことを最初から分かっていたかのような…そんな行動だった。

 

 

───託すんだよ…何時かの誰か、何時かの最強に。

 

 

 五条菫の記憶の中に存在する千年前の記憶、そこに存在する己に挑む前の禪院廻の言葉…己の情報を必ず後世に残すと、そう告げた禪院廻が告げた意味不明な言葉…それが今、結実したことを宿儺は知った。

 

「───そうか…貴様か、貴様がそうか」

 

 そう言葉を呟き、クツクツと宿儺は笑みを溢し…拳に有らん限りの力を込めた。

 

 

 実のところを言うと、今の宿儺と五条悟とでは勝率は五条悟の方が高い。

 

 指が全て集まっていないこと、自身に対する知識と対策が既に用意されてしまっていること、何よりそれを間近で見たが故にその特性をこれでもかと理解している禪院廻がこの男の親友であること…これらの要素が宿儺の勝率をこれでもかと落ち込ませていた。

 

 菫が既に五条悟を相手に黎を披露していたというのも大きい…同じく無下限使いで六眼持ちの人間相手に一種の手本を見せてしまっているのだ…五条悟が黎を使えないわけが無いと、宿儺は考えた。

 

 そして何よりも…あの禪院廻が己を差し置いてこの男を最強と呼んだ…その事実だけで、宿儺は五条悟を否が応でも警戒せざるを得なかった。

 

 五条悟は自身の領域への対策を用意しているはず…それに加えて恐らく菫の黎を使用出来るだろうと予測し、宿儺は領域を使用しなかった。

 

 五条菫の記憶が確かであるとするのであれば、黎相手では外殻があろうがなかろうが関係無く、寧ろ呑み込んだ領域が洗練されていればいる程に後の灰の一撃がより強力なものとなる…領域を使用するという選択肢を、宿儺は除外せざるを得なかった。

 

 両者共に領域の選択肢は無し、互いに領域に対する対策とそれを一撃で破壊し得る一撃を持つが故に、最早領域は武器たり得ない……ならばどうするか。

 

 

 コツリコツリと歩を進める、互いに登った土煙を掻き分けるようにズンズンと互いが互いに歩を進める。

 

 無言、先程まで軽薄で馬鹿にしているのが丸わかりであったその表情もまた、氷のような無へと転じていた。

 

 コツリ、コツリ…接近する、目と鼻の先、ほんの少しでも手を伸ばせばそれだけで触れられてしまいそうな程に接近した両者、互いに睨みを利かせ殺意を前面へと押し出した両者は徐ろに一歩を踏み出し……同時に、敵手へと向けて拳を振り抜いた。

 

 

 

───黒閃!!!

 

 

 

 最強と最凶…それらが織り成す黒い火花が、今ここに咲いた。

 

 

 





メロンパン

 五条が蒼を放った先に偶然居ただけ、運が悪かっただけ。

 黒閃がぶつかりあった影響で飛んできた瓦礫で頭を強打した。

宿儺

 指14本のままじゃ五条に勝つのは難しいかなぁとか思ってる人、菫の記憶の影響で廻が五条悟を最強だと思っていることになんとなく気が付いてる男。

 ……キレそう。

五条

 廻に最強とちょくちょく呼ばれているので、アイツの最強は俺だという自負が根底にある、宿儺を倒して正真正銘禪院廻の最強に成る気満々。

 黎は普通に使える。









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