今回はちょっとした小話…小話なので遠慮なく作者の好きなゲームやらアニメやら漫画のネタを叩き込む…不快だと思った方は遠慮なくコメントをどうぞ…だが私は謝らない(確固たる意思)
【言うこと聞かない魔虚羅】
魔虚羅が影に戻らない、全く戻らない。
初めて呼び出して、禪院家から高専に戻ってきてから魔虚羅が延々と影の中に入ってくれない。
一度影に入ってくれと言ってみても、プイッとそっぽを向いて言うことを聞こうとしないのだ…これが縛りの影響かぁ。
「…どうしよう」
ついつい口から言葉が漏れ出る…いや本当にどうしよう。
いや、ずっと出てるのは良いんだけどさ、流石にその巨体のまま動かれるのは流石に面倒というかなんというか。
でも無理矢理戻すのもなんか嫌だ…というかそれを一回やってみたら露骨に尻尾がシュンと垂れてズーンって感じで明らかに落ち込み始めたから出来なかった。
そんなこんなで結局俺はこいつを連れ回す…のは無理だったから部屋で何時も留守番させている、俺と魔虚羅の影は繋がっているから呼べば来るのは確認済みだからな。
因みに、そのままで良いよと言ったら尻尾がブンブンと犬みたいに振られてた…可愛いなこいつ。
【祝勝会①】
これは、俺が実家から高専に戻ってすぐのことだ、俺は先輩達の祝勝会に参加させられていた。
いや、させられていたというかちゃんと聞かれた上で参加したんだが、まさかここまでの規模でやるとは思ってなかった。
眼の前で騒ぐ先輩達と先生とついでに校長、勝てたのがそんなに嬉しいのか酒まで開けてる…えぇ、酒は駄目でしょ酒は。
「よぉ廻、楽しんでるか?」
ふと声を投げかけられる、声の方向に顔を向ければそこには酒瓶…ではなく炭酸ジュースの入ったコップを二つ持った先輩がそこには居た。
階級は準一級で、術式は『共振呪法』…音や振動を使って悪さをする術式、その応用能力は凄まじいもので交流会が始まる前も一級相当の任務で明らかにこいつ特級だろう相手の体内に振動蓄積させて内側からドカンとやって倒したりしてた…なんでこの人準一級なんだろ?
「えぇ、楽しんでますよ…先輩も楽しそうですね、珍しく」
そう言って先輩の顔を見る…楽しそうだ、本当に。
普段はやる気が無いし何だったら働きたくないとか働いたら負けだとか言ってるくせに今回の交流戦の時には妙にやる気出してた。
本人曰くあんなこと言われて何もしませんでしたじゃ格好がつかない…らしい、なんのこっちゃ。
「…ん〜…あぁ、楽しいよ、本当に」
そう言って、先輩は笑った。
因みにこの人、高専を先に卒業した先輩と付き合っているのだが、ついこの前見た先輩の実のお姉さんに妙な目で見られてたりしていたのが気掛かりだ…なんだろうトラウマスイッチかな?
【祝勝会②】
「どうも先輩、楽しんでますか?」
そう言って、眼の前の先輩にコップを差し出す。
「あぁ、廻か」
そう一言静かに言ってコップを受け取ったのは三年の
術式は無いが呪力が電力的な性質を持っているらしく、それを利用して刀をさながらレールガンみたいな速度で抜刀する居合を得意とする一級術師、ついこの間も特級相当バッサリ殺ってた。
因みに、サマーオイルを個人戦でブチのめしたのはこの人だ。
寡黙でクールでとても真面目で俺的に凄く格好いい人…なのだが…割りと結構な頻度で真面目な態度でボケかましたり、戦闘中も真面目に天然発言繰り出して周りに突っ込ませたりと、割りとユーモア的な部分もあるとても良い先輩なのである。
「…先輩一人ですか?」
辺りを見渡してみても先輩の周りには人がいない…珍しいと思った、普段ならこの人の所には誰かしら居るのはずなのだが。
そんな俺の疑問に、先輩はちょいちょいと手招きして、次いで自分の膝をツンツンと指差した。
先輩の指示通りに先輩に近付き膝を覗き込んでみると、そこにはすぅすぅと寝息を立てて眠る女の先輩の姿があった。
正義の味方的なソレを目指しているらしく、任務があれば即座に出撃しては呪霊をぶち殺してくることに定評のある人だ、それと美少女なせいでよく注目を集める。あと背丈ちっこい。
というか、道理で人が集まってこない訳だと納得する、誰も馬には蹴られたくないしそもそも顕景さんが正音先輩を起こしたくなくてそれとなく人払いをしたのが容易に想像出来る。
「…フフッ、お楽しみに」
そう一言言ってその場を立ち去る…ちょっと笑いが漏れてなんか悪の黒幕的なソレになっちゃったけど、まぁいいか。
…あっ、そういえば先輩って自分の妹さんに彼女出来た事教えてるんだろうか?
この前会った時はひたすら顕景は何処だ顕景は何処だと詰め寄られたし、なんだったら他の女と関係を持っていないかと濁った瞳で聞かれたし…まさかね?
【魔虚羅が】
「………………………」
祝勝会が終わって部屋に帰ってきたら、魔虚羅が俺から目を離さなくなった。
俺が横へ移動すればそちらを向き、更に横に進めば更にそちらを向く、俺を絶対に視界に収めようとするのだ。
いや、別に怖いとは思わないんだが…何がしたいのかが分からない…どうすりゃいいんだろ?
とりあえず、寝るまでまだ時間があったのもあって魔虚羅に構うことにした…具体的に撫でたり褒めたり話しかけてまた撫でたりを只管繰り返した。
魔虚羅はそれに対して何か反応するというわけでもなくただじっと動かずにただ俺のことを見つめていた、動いていたのはゆらゆらと揺れていた尻尾くらいだろうか?
そうこう構い続けて、時間になったからいざ寝ようと思ったら、ぐいっと後ろから服を引っ張られた、振り返ってみれば魔虚羅が俺の服の裾を指で掴んでいた。
「どうした?」
問いかけてみても答えない、そんなの分かってはいるが自我を確立したからには何かしらしてくれると思ったが、どうにも反応は無さそうだった。
離してくれと言っても離さない、仕方なく魔虚羅の手をどうにかこうにかして剥がそうとするが、やはりというべきか魔虚羅の手は俺の服から離れない、ガッチリと掴まれていた。
何がそこまでさせるのかと半ば呆れの境地に達しながら眼の前の式神に目を向ける、相も変わらず俺を見つめている…目があるのか分からんけどとりあえず見つめられているのだ。
「……はぁ、分かったよ」
ため息を一つついて、服を持ったままでいいからちょっとだけ動いてと言うと、つい先程までの頑固さが見る影も無いほどに魔虚羅はあっさりと俺の行動に追従した…何が琴線に触れたのやら。
そうしてベッドの前に辿り着いた俺は上にあった毛布だけをベッドの上から取り、そのまま何時の間にかその場に座り込んでいた魔虚羅に身体を預けるように深く入り込み、そして毛布を被った。
「これならいいだろ?」
どうせ離してくれないんだ、だったらいっそのことこいつの身体をベッド…じゃなくて枕の代わりにして寝てしまえばいい。
幸いなことに、固く大きい魔虚羅の身体は意外なことにとても寝やすく、俺の意識は想像するよりも余程早く沈んていく。
うつらうつらと眠けを誘い、沈んでゆく意識の中で最後に俺の視界に映ったのは、目の前でゆっくりと閉じるように近づいてくる二つの白い羽だった。
「おやすみぃ、魔虚羅」
「…………………」
目が覚めたら、魔虚羅に身体をガッチリとホールドされた、絶対に逃さないという意思を感じた…流石に無理矢理脱出した、けど頭は撫でてやった。
雨降 銀
モチーフ:天墜せよ、我が守護星
二戸炉 顕景
モチーフ:悪鬼スマイル