宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 最近…というかついさっきずっと見たかったNO.9という漫画をようやく見れた、作者は満足です。


不快が故に

 

 

 黒閃と黒閃の衝突…何時か見た光景の焼き直しとも言うべきその光景、互いにぶつけ合った2.5乗の一撃を前に空間は歪む。

 

 弾かれる、互いに電磁石のようにパァンっと大きな音を鳴らして両者は共に後方へと大きく弾かれる…次いで、何事も無かったかのように両者同時に敵手へとその一歩を踏み込んだ。

 

 黒閃によるゾーン状態…息をするかのように容易く巡る呪力、何もかもが自身を中心として動いているかのような全能感、更にそれに加えて自身の中で未だ燻り続けていた負の感情が薪火に油を注いだかのように増幅し、腸の中に募り積み重なる。

 

 呪いの王と現代最強…そのボルテージが、上がる。

 

 

 突撃…互いが互いに一歩を踏み込み、そこから加速するまでのほんの僅かな時間…その僅かを、五条は悪戯小僧のように掻き回す。

 

 

───『赫』×『赫』

 

 

 術式反転『赫』…無下限の術式に反転術式、正の呪力を流し込むことで成立する無下限呪術に於ける弾く力、圧縮した無限の発散とも言い換えても良いかもしれない。

 

 収束の反対、発散による衝撃波…では、それら発散をぶつけ合せた時、そこには一体何が起きるのか。

 

 蒼と赫、収束と発散という相反する其々の無限を衝突させることで生まれたのが虚式であったとするのなら…互いが互いに弾く力を衝突させた場合、そこには何が発生するのか。

 

 

「───術式()()

 

 

───『(ゆう)

 

 

 夕日のような赤色、赫と赫を衝突させることで生まれた色にしてはあまりにも儚く脆いその色が、五条の手元で生成される…それを視認した宿儺は、踏み込んだ一歩の方向性を回避へと無理矢理切り替える。

 

 瞬間…回避を行った宿儺の左腕が、音も無く吹き飛んだ。

 

 捻れて飛び散る宿儺の腕、原型も残さずボロ雑巾のような物体と化した宿儺の左腕が宙を舞い、失った腕の先から血潮をばら撒く。

 

「───チッ…!!」

 

 舌を打つ、失った左腕を即座に反転術式で再生させながら宿儺は思考を回し、即座と言っても良い程の速度で先の一撃の正体に勘付く。

 

 

───成る程…やっていること自体は『白』と同じか。

 

 

 

 掘り返すのは五条菫の失敗と悪意の記憶。

 

 一度目は千年前、二度目は沖縄で…仮想の質量を押し出す『茈』を衝突させることで生み出す対消滅の一撃…あまりに危険な上に制御も効かず、ましてや放てばその宿主ですら呑み込みかねない程の威力を誇る文字通りの自爆技。

 

 直撃すれば宿儺本人ですら生き残れるかどうか分からない…そんな業の応用がコレなのだろうと、宿儺は推測した。

 

 同威力の赫をぶつけ合わせ、更にそれをこねくり回すように混ぜ合わせた後に…撃つ。

 

 暴れ、荒れ狂う発散の赫…それと同出力同系統の『赫』をぶつけ合せた先で引き起こされるのは、同磁極による反発と同様の現象。

 

 互いが互いを弾き、互いに反発し合う…虚式とは異なり、合わさることも無ければ仮想の質量を生み出すこともない…それ故に、その性質は何処までも単純で分かりやすい。

 

 

 そう、難しいことでも何でもない…要するに『夕』は、多少取り扱いの難しくなったというだけの単純な『赫』の強化技なのである。

 

 威力も速度も赫の上位互換、『白』や『茈』程の威力や範囲は持たないが、それでもその威力や速度は言わずもがな…例え初見であろうとも、あの宿儺の片腕を吹き飛ばすしたのだ…疑いようが無い。

 

 そして、その事実を前に五条は───

 

 

「───ドンピシャ…!!」

 

 

 一言、新技の成功への感想を簡潔に述べながら、悪戯に成功した子供のような笑顔を浮かべながら、五条は宿儺の顔面へと拳を叩き込んだ。

 

 蒼の併用、引き寄せられると同時に殴り飛ばされる顔面に脳を揺らされるような感覚を感じながらも、宿儺は殴られたと同時に五条の腕を掴み取り、そのまま力に任せて地面へと五条の身体を叩きつける。

 

 砕けた地面に飛び散る破片、互いの視界の仲を泳ぐように行き交う建物であったはずの残骸…それら全て知ったことかと言わんばかりに宿儺は掴み取ったままの五条の身体を力任せに乱雑に引き摺り回す。

 

 地面を抉り、地面を砕き、アスファルトと道路を流れる地震のように次から次へと破壊しながらも前進し、一定の境目で思い切り五条の身体を投げ飛ばした。

 

 貫通…有らん限りの力で以って投げ飛ばされた五条の身体は容易にその先に存在した建物を貫通し、更にその先に存在した商業ビルのド真ん中へとその肉体を叩きつける。

 

 痛みは無い、そもそも不可侵が相殺されるのは宿儺に触れている間だけなのだから当然投げ飛ばされたところでダメージなど入る訳が無い…そんなことは分かっていたと言わんばかりに、五条の頭上から押し潰すかのような呪力の奔流が流れ出す。

 

 

───出力最大

 

 

 覚えのある呪力反応、六眼によって視認した呪力の起こり、何もかもが既知であるはずのソレ…唯一違うところがあるとすれば、それはきっと───

 

 

───術式順転『蒼』

 

 

 そこへと注ぎ込まれた、あまりに莫大な呪力の量であろう。

 

 宿儺による術式順転、その最大出力…あまりに巨大且つ莫大なまでのソレが、球体の形を取って五条へと襲い掛かる。

 

 空からやってくる隕石宛らの大きさを持った蒼、ビルの上に位置するソレは、進路上に存在する物体に触れては収束してを繰り返しながら五条の命へと手を伸ばす。

 

 時間にして大凡三秒…ビルの真ん中に位置した五条へと蒼が迫るまでに掛かった時間、五条の眼前に迫るまでに掛かったその時間、実際に接触するその時まで二秒と掛からないその間際にまで迫った蒼に対して、五条は印を組んだ。

 

 

 瞬間、五条の姿が掻き消える。

 

 無下限呪術を使用した空間と座標の圧縮、羂索にダンプと評された超高速移動で以って五条は宿儺の蒼の射程圏内から一瞬にして離脱し…それを見た。

 

 

「───ケヒッ、来ると思ったよ」

 

 

 凄まじい速度、まるで瞬間移動でもしたのではないかと錯覚してしまいそうな程の速度で以っての蒼の範囲からの離脱…しかしそれは、無下限を得た宿儺からしてみればあまりに既知のものだった。

 

 知らない訳がない、知らぬ訳がないのだ…他ならぬ五条菫の記憶からその手本を得ていた宿儺が、その菫が多用していた無下限を応用した移動法を知らぬ訳が無い。

 

 前提を知っているのであれば簡単だ、後は此方も同じことをして追いつけば良い、幸いにも宿儺にはモドキとは言え粒子レベルの呪力を視認することが可能な目を持っていた…追跡なぞ、容易と言う他に無い。

 

 それ故に───

 

 

「───知ってたさバーカ!!」

 

 

 五条悟もまた、それを承知していない訳が無い。

 

 同じ無下限に実質的に同じ瞳、他ならぬ無下限使いの五条がソレを想定していないわけもなく、ましてやソレによる追撃もまた想定していないわけがない。

 

 互いに相手の手の内は読んでいた、何をするのかを的確に読み切っていた、不意打ちは当然として騙し討ちも通じそうに無い…ならばどうするか。

 

 

 空を蹴る…文字通り、宿儺は空そのものを蹴りつけ加速し、五条へ目掛けてその身を突っ込ませた。

 

 距離にしてほんの僅か、ただ一度の踏み込みだけで一気に距離が縮まってしまう程度にしか離れていない間合い…そこへと踏み込み細切れにしてやろうと言わんばかりに宿儺はその身を踊らせ、それを五条は笑みを浮かべながら迎え撃つ。

 

 上段から振り下ろされる鋭利な手刀、縦に揃えられた五本の指が一つの刃物と化したかのような錯覚を受ける程の鋭利さを感じさせるその手刀を、五条は両手で挟み込むようにして止める。

 

 パシンっと受け止められる宿儺の手刀、所謂白刃取りと呼ばれる防御法で以って受け止められた手刀を、五条を刃物を取り上げる警官のような動きでズラし、更にそこから流れるような動きで腹部へと回し蹴りを叩き込んだ。

 

 蹴りの衝撃によって離れるはずの身体、それを五条は宿儺の腕を掴むことで無理矢理引き寄せ、そこから更に膝蹴りを宿儺の腹部へと叩き込む。

 

 鋭く手早く叩き込まれる五条の膝蹴り、一切の抵抗無くその肉体へと蹴りを叩き込まれた宿儺は脱力したかのようにその身体をくの字の形へと折り曲げられた。

 

 折り曲げられた身体、一切の力が込められていないのではないかと思わせられる程に緩く折れ曲がった宿儺の身体…そんな宿儺に対して、五条は思わずと言ったように舌打ちを溢した。

 

 

───浅い…! 手応えも無い…!!

 

 

 あまりに薄い手応え、まるで羽でも打ったかのような感覚に五条は不発を確信する…その直後、その思考に割く僅かな時間を待っていたと言わんばかりに急速に宿儺は動き出す。

 

 折れ曲がった体勢のまま、自身の身体を打った膝へと手を添え、それを土台として全身を思い切り縦へと回転させ、その勢いのままに五条の脳天へと踵落としを叩き込んだ。

 

 上から下へ、空から陸へ…宿儺の踵落としを直撃させられた五条の肉体、その視界が急速に地面へと近づいていく。

 

 このまま行けば地面に叩きつけられて地面のシミと化す…なんてことには当然ならない、ならないが…それで終わることを、ただ転んで終わるということを、悪ガキとしての五条悟は許さなかった。

 

 印を組み、移動する…無下限を使用した上での超高速移動、叩き落された状態から五条の肉体は一気に宿儺の頭上へと移動した。

 

 

「───返すよ」

 

 その言葉と共に、五条はその場から一気に加速した上で宿儺の顔面へと踵落としを叩き込んだ。

 

 とんだ意趣返し、僅か数秒の内に全く同じことをやり返された…その事実に、そのやり方に、宿儺はその内心に僅かな苛立ちを感じ取った。

 

 

───クソガキが

 

 

 体勢を整え着地する、着地の衝撃によって沈み込む地面にも目をくれず、宿儺は頭上の敵手へとその視線を移し───

 

 

「───バーカッ!!」

 

 舌を出しながら、悪ガキのような笑みを浮かべながら、文字通りクソガキのような態度と言葉を顕にする敵手の姿を、宿儺は目にした。

 

 べろべろと振り回される舌、文字通り餓鬼のような仕草で以って宿儺を見下す敵手の存在に…自身の宿敵に最強と称されたはずの存在が見せたあまりにらしさの無いその姿に、ましてやそんな存在にご馳走を邪魔されているというその事実に…宿儺の中に存在する不快へのメーターが、一気に振り切れた。

 

 

「───……ククッ」

 

 笑う、笑う、吹き出すように笑みを溢す…心中ではそのような感情なぞ一欠片も抱いていない癖に、宿儺は吹き出したように笑みを溢し……ふとしたように、唱えた。

 

 

 

「───『(ボックス)』」

 

 

 

───『(フーガ)

 

 

 

 

 伏魔の棚が、開かれる。

 

 

 

 

 





術式乱転『夕』

 赫と赫をぶつけ合わせて威力を高めた赫の強化業のようなもの、反発し合う二つの赫を半ば無理矢理一つの球体に纏めて炸裂させる。

 球体の中で同磁極を無理矢理合せたみたいな感じで常に反発を繰り返している状態である為、放って置くと五秒そこらで勝手に弾けるというデメリットが存在する、その代わり威力が通常の赫に比べて非常に高い。

 

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