なんか書いてたプロット通りに書いてたら打ち切りの気配が見えたから全部投げ捨てた、こっから先がどうなるのかはもう作者も分からん。
「───クッソッ…!!」
悪態をつき、命からがらに刀を振るう。
爪が迫る、身体を丸ごと真っ二つにしそうな程に鋭利な爪が自身の側へと迫り、そうして迫り来た爪を死に物狂いで捌く。
ガギィンッと音が鳴る、鉄と鋼が勢い付けてぶつかったような音が耳鳴りのように耳元へと響いて来る。
何故防げているのか分からない、何故今も生きていられるのかが分からない、もしかしたら遊ばれているのかもしれない…そんなことを考えながら、それでも羂索は死に物狂いで刀を振るった。
無数に、乱雑に、緩やかに、鋭く、素早く、其々ランダムの方角から繰り出される爪による一撃…頬を掠め、容易く命へと届くその一撃が毎秒毎秒自身の元へとやってくる。
刀を振るい、足をきめ細かく動かし、身体全体に無数の傷や掠り傷を作りながらも何とか無造作にやってくる死を払い除ける。
この身体でなければ疾うの昔に死んでいる、首を跳ね飛ばされている…それを確信しながらも、それを理解していながらもどうにも出来ない袋小路、ただ反応するだけでそれこそ精一杯。
必死の形相、死に物狂いの精神状態、眼前の化物から放たれる海の底の底に縛り付けられているかのような圧力が羂索の精神を絞り上げる。
「キッツいって…きっついって…!!!」
絞り出すような声色、自身の中にある膿を吐き出したくて吐き出したくて仕方が無いとでも言いたげな声色で、今にも五臓六腑をゲロと共に吐き出しかねないような顔色をしながら、羂索は何処か悲鳴を上げるかのような言葉を吐き出して───
「───ウボォアァァォァっ!!?」
次の瞬間、背後から唐突にやってきた紫色の何かによって羂索の身体は撥ね飛ばされた、さながら史実の超人にそうされた時のように派手に、らしくもない悲鳴を上げながら撥ね飛ばされた。
べチャリと身体が地面に落ちる、あまりにも不細工で風情の欠片も無いような悲鳴を上げながら撥ね飛ばされた羂索の姿に、魔虚羅は何処かポカンとしたようにその動きを止めていた。
静寂が辺りに満ちる…ピクピクと身体を痙攣させる羂索、それへとドシンドシンと足音を立てて魔虚羅が近づき、その鋭利な爪でツンツンっと突いた。
それはさながら子供が虫の生存を確認する時の動作、生きてるかな? という単純な好奇心によって起こる純粋な行動、ツンツンツンツンと突かれた羂索はぷるぷると産まれたての子鹿のように身体を震わせながら何とか起き上がろうとする…そして、魔虚羅はそれを邪魔しようとは───
「───グボッ…!?」
した、思い切りした、何の思考も躊躇も無しに邪魔をした。
無造作、あまりに無造作…ツンツンと羂索の身体を突いていた際の純粋さは何処へやら、羂索がプルプルと子鹿のように起き上がろうとしたその瞬間には魔虚羅は既に足を振り被り、羂索の肉体を蹴り飛ばしていた。
身体が浮き上がる…無造作に無感動に無感情に、ただ道端の小石を蹴飛ばすような手軽さで蹴り飛ばされた羂索の身体は大きく吹き飛び、その先にあった河の水面を二度三度水切りのように跳ねた後にその先に存在した一軒家に思い切り突っ込んだ。
パラパラと土煙が上がる、ゲホゴホッと二度咳を吐き出す、腹部に奔る激痛と背中から奔る激痛、何方も自身にとっては大きなダメージとなるそれらを羂索は反転術式で癒やし…ふと、何かに気がついたかのように上を向き…乾いた笑みを浮かべながら、この世の現実を嘆くような口調で、羂索は呟いた。
「───嘘でしょ?」
瞬間、羂索の遥か頭上で、雷の音が鳴り響いた。
…随分久し振りな気がする、ウチの子達と戦うのは。
拳が迫る、紫電を纏った拳、何処か見たことのあるような纏い方をした…それこそ、恐らくその元となった俺のイメージそのものを再現したかのような、そんな姿をした獅子王の拳が俺へと迫る。
手加減無し、躊躇も無し…何処となく楽しそうな様子で、嬉しそうな表情を浮かべたような顔で、その感情の赴くままに振るわれたその拳を、俺は横側から打撃を加えることで逸らした。
ブオンッと獅子王の拳が俺の真横を通り抜ける、直撃すれば大怪我間違い無しの一撃が大きな風音を立てながら通りすがっていくのを横目で捉えながら、俺はふとしたように視線を明後日の方向へとズラした。
馴染みのある二つの気配、その呪力が大きく爆ぜたような感覚、随分離れているはずなのにそれでも伝わってくる激突の気配に、俺は思わずと呆れたような表情を浮かべる。
「…相変わらずの化物具合だことで」
届いてくる殺気と気配、その居所から放たれた斬撃が空雲を割るのを見て俺はやはりと言うべきなのか、俺は呆れたようにそう呟き…その直後にやってきた獅子王の拳をその腕に転がり込むようにして躱す。
前転、獅子王の大きな腕をマット代わりにしながら前へと転がる、バチリというちょっと強い静電気が奔ったような感覚を覚えながら前へと転がり込んだ俺はその勢いのままに獅子王の背中へと回り込み───
「───よっこいぃしょぉぉっっ!!!」
その毛を掴み取り、下方へと思い切り投げ飛ばした。
グルングルンと二転三転する視界、勢いを付けたことで加速した勢いのままに獅子王の身体を下へと放り投げる。
バチリバチリと放電したまま、紫色の光を放ちながら落下して行く獅子王、グルングルンと回転しながら空から陸へと落ちていった獅子王はその勢いのままに地面へと激突し、更にその勢いをそのままに引き摺られるように町中を突っ込んでいく。
視界に映り込む大きな土煙、町中を突っ切った先で何か人っぽいモノに接触した後に壁へと激突し、そこから土煙をモクモクと立ち昇らせる……人っぽいものに接触したとは言うが…なんか嫌な気配がしたし、何だったらなんとなく死んでも良さげな気配がしたからとりあえず大丈夫だと思いたい、思っておきたい。
そんな、何処か苦しい言い訳を脳内で繰り広げるのとほぼ同時に二つの影が土煙を飛び出してくる。
一つは先程の町の中へと…そしてもう一つは、真っ直ぐと俺の下へと突っ込んでくる、大きく紫色の光を瞬かせながら。
その時点でもう、分かってしまう。
「…はぁ……まだ、遊び足りないか?」
ため息を一つ吐き出し、これまた呆れたように言葉を吐き出した。
向かってくる紫電の色、バチリバチリと音を鳴らしながら突っ込んできたそれは数秒と待たずに俺の下まで辿り着き、まるでそうだよと言わんばかりに腕を振り下ろしてくる。
上段から振り下ろされる鉄槌か何かのような素手の振り下ろし、ただ一度の跳躍のみで俺の下へと辿り着き、そこから最初から決めていたかのように叩き込まれる振り下ろし…俺に言葉に対しての返答のように繰り出されたソレを俺は片腕を掲げることで受け止め…ふとしたように、笑みを溢した。
「分かった…じゃあ、もう少しだけ遊ぼうか?」
穏やかな笑みだと言う自覚があった…まるで、親が甘える子供に笑いかけるような、兄ちゃんが恵くんにそうしていたような暖かい笑み…それが、俺の口元に現れているという自覚が、俺にはあった。
何だろう、愛おしいって言うのだろうか…よりにもよって、唐突に飛び出した挙げ句に壊さなくても良い所を辺り一面爆散させられたっていうのにそんなの一欠片も気にしてない俺がいる、人が死んでないなら良いやってなってる俺がいる。
結構急いでるのに、宿儺と悟が戦ってるってのが分かってるのに、大丈夫だって思ってても不安で不安で仕方がないのに…それでも、遊びたいなら遊んでやろうかって、そう思ってる俺がいる。
元は俺が蒔いた種、蹴り飛ばして影に入れようとした俺のミス、ぶっちゃけ普通に褒めて頭とか撫でて影に戻って貰った方が楽だったかなとか思っていたりはする…けど、それもまぁ良いやって思ってしまってる俺もいて、だから───
「───染まっちゃったかなぁ、俺も」
俺も大概イカれちゃってたんだなぁって、そう思った。
拳が、打ち込まれる。
獅子王の肉体、その腹部に廻の拳が突き刺さり、その勢いのままにその肉体を吹き飛ばす。
陸から空へと舞い戻った獅子王、その肉体が再び空から陸へと叩き落され…その落下の最中に、獅子王が落下しきるより前に、吹き飛び地面に接地するよりも速く廻が獅子王の下まで辿り着き、その人差し指を優しく獅子王の頭へと突きつけ、口を開く。
「───一分だ」
優しく、穏やかに告げられる言葉、子供に言い聞かせるようにゆるりと組み上げられた言葉が、廻の口から告げられる。
「あと一分間だけ、何があっても遊んでやる…最後の最後まできっちり遊んでやる…良いな?」
親が子供に言い聞かせるように、弟の我儘に条件付きで付き合う兄のように言葉を紡ぐ廻、獅子王へと突きつけられていた指は何時の間にやら獅子王の鼻をちょんちょんと突いていた。
そんな廻の姿に、そんな主の言葉に、獅子王は何処か不満そうに目元をグニグニと動かした後…小さく、唸り声を上げた。
さながら不貞不満を呑み込み我慢を覚え、吐き出したい気持ちを抑え堪えた子供のような、そんな唸り声…それが、肯定の意味を持つことは誰の目にも明らかであった。
そんな獅子王の姿に廻は微笑みを浮かべ…徐ろに両手を広げながら、口を開いた。
「うん、ならば良し…じゃあ───」
───おいで?
明確な慈愛、自身へと向けられたソレと言葉を認識した獅子王は…自身の呪力出力を、最大にまで引き上げた。
雷鳴が、空へと鳴り響いた。
メロンパン
撥ねられた、怪我した、蹴り飛ばされた。
因みに、メロンパンを轢いたのは廻が投げた獅子王。
PS
漏瑚が作者の予想よりも早くに死んでしまった為、代わりにその役を引き受けてもらっている人、この役をやるからには最後の最後にきっちり戦ってから死んでもらおうとか作者は考えてる。
廻
悟大丈夫かなぁとか思いつつも獅子王と遊んでいる男、実はこの時の精神状態が一番危ない男…なお、それはそれとして倫理観的にも常識観点的にもアウトなことは基本的にしないので本人が思う程にイカれていない。
化物共
速い者勝ちで宿敵の下までダッシュ、到着まで10秒。
カシモン
獅子王をガン見。