宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 今回は中々に難産だった…函がちょっと難し過ぎた、考えついたのが2年くらい前だったからかちょっと内容忘れてたのも大きかったと思ったりする。

 お陰で長くなってしまった…あとどのくらいで終わるかなこれ…まだメロンパンと三途戦残ってるのに。


人外魔境 スープ

 

 

 

 『(ボックス)』は、現代に受肉した宿儺が対禪院廻用に作り出した『伏魔御厨子』を転用した拡張術式。

 

 領域展延をベースとして自身の肉体を領域として構築、本来の時空に於いて羂索が九十九のブラックホールを回避する際に使用した術とほぼ同系統の技術によって編み出された両面宿儺のオリジナル。

 

 作り出した領域の中に術式を敢えて流し込まず、その空きへと敵手の術式を流し込ませて中和する領域展延…その空きに、宿儺が自身の術式を注ぎ込むことで『函』は完成する。

 

 結果として引き起こされるのはあまりに歪な領域展開、自身の肉体に纏わせたソレそのものを領域として機能させるという展延という技に真っ向から喧嘩を売るが如き術。

 

 領域を結界で閉じず、それが故に他者の領域を無慈悲に粉砕する領域殺しの領域『伏魔御厨子』…そのメリットとも言える範囲とそれによって引き起こされる領域の破壊を…己の理を、宿敵同様に宿儺はいとも容易く捨て去った。

 

 結果として引き起こされるのは術式の大幅な拡張、二種類しか無かった斬撃の種類の増強に加え、『(かみの)』の実質的な制限解除、更にそれに加えて実質的に領域を展開しているという事実に変わりが無いが為に引き起こされる術式の強化と呪力出力の上昇…それら全てが、一斉に呪いの王へと注がれる。

 

 宿儺の確信…『伏魔御厨子』では禪院廻の『廻輪奇劇』を破壊出来ないだろうという確信から生まれた技。

 

 例え破壊が可能であったとしても、それに掛かる時間の間に伏魔御厨子を崩されるという未来を確信していたが故の選択、過去に領域を崩した直後に黒閃を叩き込まれた経験から生み出された対宿敵用の対応策。

 

 

 それが生み出された切っ掛けは…自身が小馬鹿にして遊んでいた矮小な人間が叩き出した、たった一つの一撃であったことに…宿儺は知らずの内に、呟くように嗤った。

 

 

 

───貴様は中々に面白かったぞ、虎杖。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───『(はぎ)』」

 

 

 呟いた言葉が、空を漂った。

 

 僅かに呟かれた言葉、雷鳴に掻き消されてしまいそうな程に小さく矮小な声量…たったそれだけのことのはずなのに、その言葉は領域に存在する全ての存在へとその声を届かせる。

 

 完全なる初見、見たことも無ければ聞いたことも無いその名を唱えた宿儺に禪院廻は瞬時に反応し…その全てがとうに手遅れであることを悟った。

 

 

 

 

 瞬間…領域が崩れ落ちる。

 

 何の前触れも無く、何の衝撃も無く、ただただ唐突に。

 

 神楽殿が、雲が、雷が、空が…視界に映る何もかもが、まるでガラスか何かのように崩れて割れて、自分達の元へと降り注いでくる。

 

 バラバラと降り注ぎ、メッキの表面を剥がすかのように破れて消えていく『廻輪奇劇』…崩れた先から射し込む光と高層ビルの光景が領域の崩壊をこれでもかと告げてくる。

 

 鵺の速度が落ちていく、領域が崩壊を始めたことで領域によって付与されていた200%の能力上昇が消え去ったが故の現象だった。

 

 空が堕ちてくる、悲鳴のような雷鳴を上げながら、溢れた涙のようにバラバラと消えていく雲と一緒になって、その後ろを追いかけてくる光と共に。

 

 両者共に照らされる…領域の外からやってきているが故か、それとも単なる偶然なのか、あまりにも眩しく強いその光に宿儺は何処か鬱陶しげにその瞳を細め、対して廻は然程気にもせずその光を背中から浴び───

 

 

「───『白叡』」

 

 

 徐ろに、その名を呼んだ。

 

 

 瞬間、背後から光を受けたことで生成された影、強い光を浴びたが故により深く、より広く伸びた廻の影から瞬時に顔を出した白叡が、その口から高出力の呪力砲を宿儺へと向けて発射する。

 

 懐かしき紫色の極光、領域を破られた直後にも関わらず眉一つ動かさず次の手を何の躊躇いもなく打ってくる…自身の奥義に欠片も頓着しないその姿に、宿儺は狂気を剥き出しにしたかのような笑みを浮かべた。

 

 そうだ、それでこそ、それでこそ貴様なのだと…そう言わんばかりのあまりに凶悪な笑みを浮かべながら、宿儺はその手を弓に矢を番えるように構えた。

 

 

 

「───『(かみの)』」

 

 

 溢れ出す滅炎、万象一切を灰燼に帰すが如き気配と圧力を携えた炎が宿儺の掌から轟々とその姿を現す。

 

 向かい来る紫の極光、影の中から泳ぐようにその全貌を現した存在から放たれたソレは、触れるもの全てを飲み込み消し去ってしまうようなナニカを感じさせ…それに向けて宿儺は、引き絞るようにして焔を構えた。

 

 番えた矢を引き絞るように、その先の獲物へとこの一矢を届かせるように、その殺意と狂気と歓喜を纏めて織り交ぜたかのような笑みと共に宿儺はその一撃を極光へと放つ。

 

 解き放たれる滅炎、宿儺の奥義の一端…それは、何時かの渋谷の街の再現。

 

 挨拶代わりと放たれた互いの一撃、必殺と呼んで差し支えのない両者のソレは渋谷の事変に於いて激突し、禪院廻の勝利にて終わったあの日の再現…そして、二度も同じ結末等許さぬと言わんばかりに焔は猛る。

 

 

 衝突する両者の一撃、空間そのものを揺らしたのではないかと錯覚してしまいかねない程に深く重い衝撃が廻と宿儺の元へとやってくる。

 

 焔と極光の激突、空間を揺らし烈風を巻き起こす両者の色の激突、互いによる衝突と互いによる一撃の押し込み、それによって引き起こされる…淡くも激しく弾ける呪力の花火。

 

 空間が彩られる、見る者が見れば美しいと口を揃えて言うだろう光景が両者の視界一杯に広がる。

 

 混じり合う赤と紫、互いが互いを喰らい尽くしてやると言わんばかりに攻めぎ合い押し合い飲み合い、それによって引き起こされる無数の色の乱反射と反発が無数の色を周囲へとばら撒く。

 

 見る方向によってはその色を著しく変える、まるでガラスの表面や万華鏡のような彩りを演出し、互いの反発によって弾けた呪力と焔が火花を飛び散らせながら吹き飛び爆散し弾け飛ぶ。

 

 

 互角、まるっきり互角…渋谷に於いてほんの僅かな拮抗と共に瞬時に撃ち抜かれていたはずの宿儺の焔は、まるであの時のようにはいかないと言わんばかりに白叡の呪力砲に喰らいついていた。

 

 意思など無い、あるのは放った当の本人による殺意のみであるはずのソレはしかし、まるでそれそのものが意思を持っているかのように互いに互いを求めて喰らい合う。

 

 

 時間にして大凡五秒と少し…拮抗に拮抗を重ね果てた両者の一撃は次第にバチリバチリッと放電にも似た反応を見せ始め、喰らい合い混じり合いを繰り返したその果てに一処に纏まり、そして───

 

 

 

 

 

 

───ズガンッという爆裂音を立てて後、膨らんだ風船のように一気に弾け飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シンッと、静まり返っていた。

 

 唖然に絶句…信じられないものを見るかのような瞳で画面を見つめる複数の人間、一部の強者を除いた全ての人間が眼前にて引き起こされたその一連の事態に言葉を失っていた。

 

 禪院廻と両面宿儺による領域展開…事前に五条や雪姫、天使と言った情報を持つ人物達によって共有されていた宿儺の領域の特性、それに乗る形で領域を展開した廻に対して何を考えているんだと内心で考えた人間も少なくは無い。

 

 領域が展開されてからの約8分と37秒…その間に領域内の状態を確認する術を彼等は持たず、であるが故に互いの意見を出し合って内部の様子を考察すると言ったことしか出来なかった彼等は…遂に動いたその事態に目を剥いていた。

 

 廻の閉じた領域、結界によって空間を分断する通常の領域…それに罅が入り、そこから更に裂傷のように横へ上へ真下へとその傷を無限に広げていく。

 

 時間にして三秒にも満たない僅かな時間、その僅かな時間の間に奔った傷跡は次から次へと広がっていき、遂には禪院廻の領域をガラガラと崩壊させるにまで至る…そしてその次の瞬間、その領域の内側から極光が迸り、瞬きの間も与えず爆ぜ飛んだ。

 

 

「───何だ!?」

 

 

 誰かが叫ぶ、何が起きたと。

 

 内側から爆ぜた領域、爆ぜ飛んだ影響で一緒になって吹き飛んだ外郭、爆発と共に舞い上がった大量の煙によってその内側に居たはずの両者の安否を確認出来ない。

 

 緊張が走る…どうなった、どっちが優勢だ、どっちが不利だ…今、禪院廻はどうなっている?

 

 ドクンドクンと高鳴る心臓の音、実際にそれらの音が間近に聞こえてくるのではないかと錯覚してしまいそうになる程に高まった緊張、ピンッと貼った弦のようにピリついた空気が辺りに充満していき……クスリッと、誰かの声が聞こえた。

 

 小さな二つの笑い声、声のした方法に視線が集まり、次第にそれを発したのが誰であったのかが明らかとなる。

 

 視線の先には居たのは当の本人が自認する親友こと五条と、禪院廻が心の底から慕った挙げ句に話に出せば必ず自慢してくる自慢の兄こと伏黒甚爾の姿。

 

 片方は腕を組み、片方は食い入るように画面を見つめる中でふとしたように漏れ出した確かな笑み、不意に漏れ出したソレに対してその意味を問い質そうとするよりも遥かに早く、五条は口を開いていた。

 

 

「───流石」

 

「───あぁ、俺の弟だからな」

 

 

 呟いた五条に返答するように呟かれる甚爾の言の葉、その意味を理解するよりも早く画面の向こう側から轟きにも似た咆哮が奔る。

 

 龍と狼を混ぜ合わせたような咆哮、新宿の隅々にまで響き渡ったのではないかと言わんばかりのソレが鳴り響くと同時に煙の中を影が飛び出してくる。

 

 人影、煙の中をとてつもない速度で飛び出してきたその影は、最早堪えきれぬと言わんばかりにその声を跳ね上げた。

 

 新宿に響き渡る狂気が入り混じった笑い声、何もかもが楽しくて仕方が無いと言わんばかりに影は…呪いの王は両手を振り上げて全身でその喜びを表現しようとしていた。

 

 傷だらけであった…全身に火傷跡のような傷跡が奔り、着ていた服は最早その原型も留めぬ程にボロボロと化し、その両手は黒焦げ一歩手前の状態にまで追い込まれていた…それでも尚も、止まらぬ宿儺の歓喜の感情。

 

 

『───やはりそうだ…!! やはりお前だっ…!!!』

 

 

 

───俺を殺すのは(満たすのは)…!!!!

 

 

 

 

 

 万感の想いを自覚したと言わんばかりに呪いの王は言葉を吐き出す、最早映像としては映しておけない程に凄惨で満たされたような笑みを浮かべる宿儺の姿に天使はヒッ…と思わずと言ったように引き攣った声を上げる…それほどまでの迫力を、宿儺は発していた。

 

 煙が晴れる…咆哮が響く。

 

 白い龍…否、龍の形を取った狼が侍るように男の周囲をぐるりと周る。

 

 ボロボロに破けた服を…上着とワイシャツを同時に脱ぎ捨て肩掛けのシャツ一枚の状態となった廻、露出した肩や腕の部分に奔る大きな火傷の跡が先の一撃の被害を予想させた。

 

 静かに、ただ静かに狂乱する宿儺の姿を見据える…宙に浮いた状態で堪えきれない感情を丸ごと吐き出すように言葉を吐き出した宿儺の姿に、廻は一つ息を吐き出し…その拳を握り込んだ。 

 

 

『───良いから来いよ…まだスープだぞ?』

 

 

 挑発するかのような言葉、眉一つ動かすことなく無表情のままに吐き出したその言葉に宿儺は───

 

 

 

『───ケヒャッ!!!』

 

 

 まるで待っていたと言わんばかりの狂気を顔に貼り付けて、廻目掛けてその身体を突起させた。

 

 その手には、何時の間にやら持ち出していたのか、黒い戟が握り込まれていた。

 

 

 人外魔境は未だ佳境に至らず…激突する両者の姿を、観客席の人間はただ固唾を飲んで見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 





『函』

 宿儺が作り出した対禪院廻用の拡張術式。

 領域展延の状態に術式を流し込むことで自身の肉体を領域化、結界を閉じないことにより生まれた範囲と必中効果を捨てる縛りを化したことにより術式を大幅に拡張しているのが特徴。

 斬撃の種類の増加、『竈』の実質的な制限解除(多対一と解と捌の使用後という縛りの解除)に加えて、実は調理場方面で術式が拡張されていたりする。

 自身の肉体を領域としている為に本人の呪力出力と術式効果も上昇している…因みに、作者はメロンパンのブラックホール回避の方法を見てコレを思いついた。

 尚、宿儺がこの方法を思いついた切っ掛けは虎杖の『断』である。

追伸

 『函』を使用し、解除した後は虎杖同様術式が焼き切れる。



PS

 能力の幅が広くなり過ぎたせいで説明しきれないので、何回かに分けます by 作者




『剥』

 『函』によって追加された宿儺の斬撃の一つ。

 能力は結界や建物、建造物や人工物と言った無機物に対しての絶対切断能力、縛りとして生物や有機物(樹木や花と言ったものを含む)と言ったものに対して一切の傷を付けられない。

 因みに領域を破壊する場合はその練度によって破壊に対して時間が掛かる、五条の領域だと五秒掛かる。

 








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