宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 今回は少し読みづらいかもしれないので少し説明をば。

 『』は夢の中の話…もとい回想でそれ以外は現実。

 それと今回は他作品ネタをぶち込んだので嫌いな人は嫌いかもしれないし、作者的な十種への解釈を含みます、ご容赦ください。


寝坊助、夢うつつ、寝坊助

 

 

『兄様、兄様』

 

 …声が聞こえる、懐かしくて暖かい声だ。

 

『兄様、起きてください兄様』

 

 ゆさゆさと身体を揺すられ、起きろ起きろと耳に届く声に起きたくないと布団を深く被る。

 

 嫌だ嫌だ、この前の呪霊退治で疲れたから今日は目一杯寝るのだと、そう寝惚け声を出しながら。

 

『知りません、起きてください兄様…また、呪霊が出ました』

 

 

 しかし、どうにもそうはいかないらしかった。

 

 その言葉を聞いた瞬間、俺の中でひたすら眠気を誘っていた居心地の良さは消えてなくなり、代わりに冷たい水に浸されたような感覚が脳内に澄み渡る。

 

 気づけば俺は、布団を畳んで着替えに勤しんでいた。

 

 

『…等級は?』

 

『恐らく特級相当』

 

『被害は?』

 

『今の所は軽微です…しかし放っておけば悪化の一途を辿ることは間違いないかと』

 

『他の奴等は?』

 

『皆々様、其々の任にて留守の状態です』

 

『そうか、分かった…すぐ行く』

 

 

 質疑応答、現状の確認をしながら装束へと着替え、剣を腰に携え部屋を出てから廊下を歩く…その途中にも事務的とも思えるような質疑応答を繰り返し、状況を確認していく。

 

 出現場所は近くの神社付近、最初の犠牲者はそこの巫女で掃除をしていたところを襲われた…幸い近くに一級の術師が居た為、なんとか死なずに済んだがその代わりにその一級術師が重傷を負った。

 

 此方も幸いと言うべきか命に別状もなければ術師生命にも影響はない、今は反転術式による治療の真っ最中らしい。

 

 今は他の一級相当の術師が当たっているがそれでも中々祓いきれていない、つまりそれだけの存在であるということ。

 

 術式は重傷を負った術師曰く分からないらしいのでそこら辺は現場の術師の情報待ちだが、以下のことから対象を特級と認定、唯一任に空きがあった俺にお株が回ってきた…ってことらしい。

 

 因みにさっきまでの話、時間的に言えばほんの一時間前の話らしい…重傷を負った術師が一時間程度稼いで、そこから他の術師がまた時間を稼いでいる間に俺のところに話が飛んできたってところなのかな?

 

 ため息を一つ吐き出し、また休みが潰れたと一言文句を呟きながら、俺と弟は家の出口にまでやってきた…無駄にデカいから家から出るのも大変だ。

 

 

『……兄様』

 

 それじゃあ行きますかと印を結ぼうとした直後、背後から弟の声が聞こえてくる、振り返ってみればそこには俺のことを何処か心配そうな表情で見つめてくる弟が居た。

 

『御武運を』

 

 一言告げられた言葉は俺の運を祈るもの、生還を祈る者の言葉、そこには悪意なんて欠片も存在しない。

 

 あるのはただ純粋なまでの善意と祈り、どうか無事に帰ってきてほしいという切実な想い…少なくともその時の俺はそう感じた。

 

『…あぁ、行ってくる』

 

 だから応えてやるのだ、思い切り笑顔で心配なんてこれっぽっちもしなくて良いんだと、そう思えるようなとびきりの笑顔を向けてやるのだ。

 

 お前の兄ちゃんは強いんだから心配なんてせず、笑って帰りを待っていればいいと、そういう風に笑いかけてやるのだ。

 

 

───『鵺』

 

 印を結んで一言唱える、影から溢れ出るようにして俺のよく見知った怪鳥とも呼ぶべき式神が翼を広げて顕現する。

 

 髑髏のような仮面を身に纏い、その橙色の羽毛は何処か静電気でも纏ったかのように逆立っている…まぁだから何だって話なんだろうけど…やっぱり良いなぁ、鵺。

 

『行くよ、鵺』

 

 

───仕事だ

 

 

 そう鵺を一撫でして、俺は目的地まで走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゆさりゆさりと身体が揺らされる、窓から差し込む日の光が嫌に眩しく感じる。

 

 眠い…なんか変な感じがして凄く眠い、何かついさっきまで大物の呪霊狩ってたんじゃないかってくらい眠い。

 

 もう少し、あともう少しだけ寝ていたい…ってところなんだけど、そうはいかないというか、そうすることが出来ないというか。

 

 

「…おはよ、魔虚羅」

 

 瞳を開き、欠伸を噛み殺しながら身体を起こす。

 

 まず真っ先に目に入ったのはつい最近帰ってきたと思ったら一向に影に入ろうとしない魔虚羅、俺の掛け布団に手を置きゆさりゆさりと今でも俺の身体を揺すっている…いやもう起きたって。

 

 未だに身体を揺すってくる魔虚羅の手を退けて、俺はベッドから降りる…のと同時に、魔虚羅がグイグイっと頭を押し付けてくる。

 

 目から生えてる鹿の角が地味に刺さって痛い、正直もうちょい勢いを落としてくれると嬉しいが、そんなの知らんと言わんばかりに魔虚羅は頭をグリグリと押し付けてくる。

 

 そんな魔虚羅の頭を、俺はゆっくりと撫でていく、それに対しては魔虚羅は特段反応らしい反応を見せるでもなくグリグリと頭を押し付けてくる。

 

 

 あの日…もとい魔虚羅を枕にして寝たあの日から、魔虚羅は朝になるとこうして頭を押し付けてくるようになった。

 

 理由は不明、別に何かしらあったわけでもないししたわけでもない、強いて言うなら本当に一緒に寝ただけなのだが…逆を言えばそれ以外に心当たりが全く無いとも言う。

 

 視界の端でバッサバッサと翼が動いている、白い白い純白の翼、まるで天使か何かかと勘繰ってしまいそうになるくらいには白いその翼が、俺が魔虚羅の頭を撫でる度にバッサバッサと羽を撒き散らしている………あったわ、反応らしい反応。

 

 嬉しがっているのか、それとも嫌がっているのか…まぁ正直どっちかなんて分からんけど、未だに頭グリグリと押し付けてきてるんだから嫌がっているというわけではないだろう。

 

 というか…なんだろう、何か甘え方が鳥っぽいような気がする、前は何処となく犬みたいだなとか思ってたけど、なんか今度は鳥みたいな感じがしてくる…なんでやろ?

 

 考えてみても何も分からないし浮かんでこない…まぁそもそも考える為の取っ掛かりが無い時点でどうしようもないんだけど。

 

 

 ………何か今日は妙に長いな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…ったく、酷い有り様だなぁ、これは』

 

 周囲を見渡して、ふと呟いた。

 

 木々は倒れ、近場の池は吹き飛び、鳥居なんて見る影も無いくらいにはボロボロ。

 

 そして、当の神社の方からは未だに爆音が鳴り響き、そこにあったのであろう神聖な神社は屋根が剥がれ、賽銭箱やら何やらは黒焦げになっていて鳥居と同じく見る影も無い…バチ当たりだなぁ。

 

 

『…うん、デカいな』

 

 神社の剥がれた屋根、その中でも唯一無事であった箇所に跳び乗り、俺は件の呪霊を見てそう呟いた。

 

 デカイ、全長は大凡…大型トラックくらいはあるのだろうか?

 

 長い尾…というよりも身体か、それがうねうねと動き回り、時に地中に潜って術師を撹乱し、時に毒々しい緑色の液体を術師に吐き出す。

 

 吐き出された液体は触れた箇所を容赦なく溶かし、溶解させてドロドロにしてしまう…幸い誰にも当たらなかったから良かったものの、当たれば死は免れないだろう。

 

 液体…というか酸液だな、それを吐き出すだけじゃない、呪霊自身の攻撃力も大したものだと思う、木々がスッパンスッパンと口の牙に斬り飛ばされ、次から次へと更地が出来上がっていく。

 

 喰らえば当然ただでは済まない、上半身と下半身が泣き別れしてお陀仏コースだ、絶対食らいたくない。

 

 ……というかここまで説明しちゃったから言うけど、ぶっちゃけ外見はバカみたいにデカいムカデである、漢字にしたら百足の名の通りに百はありそうな足がうねうねうじゃうじゃと気持ちの悪いあのムカデである。

 

 ……えぇ…どうしよう…ハッキリ言って触りたくないしウチの式神にも触らせたくないと思う自分がいる…だけど祓わないと被害が馬鹿にならんしそもそも任されたんだから最後までやり通したいと思う俺がいる。

 

 …………うん、決めた…遠距離から行こう。

 

 正直な話、コイツは縛りもそれなりに重いからあまり使いたくはないけど…まぁいいや、楽に済むならそれに越したことはないわけだし、こういうのには『獅子王』とかよりも余程向いている。

 

 …というか『獅子王』だと冗談抜きで今戦ってくれている術師達を巻き込みかねない、アイツは加減が下手だから。

 

 

『玉犬』

 

 

 コイツは…正確に言うとコイツと『獅子王』は、偶然の産物で産まれた式神だった。

 

 伏黒恵の行った拡張術式による召喚と宿儺の拡張術式による召喚…俺はアレを見てふと思った…三体以上の複合はいけないのかなと、何気なくそう思った。

 

 そうこうして試してる内に偶然産まれたのがこいつ等だった。

 

 

『大蛇』

 

 

 俺にとって拡張術式は弱くなる代わりに何かしらの特性を得るモノだった、宿儺のソレは例外として見ていて俺がやっても伏黒と同じような感じになるんだろうなって、そう思ってた。

 

 けど違った、俺が何気無しに産み落としたそいつ等は、通常の式神よりも遥かに強力な力を持って産まれ落ちた。

 

 びっくりしたし、驚きもしたけど…何よりもソレを嬉しく思う自分が居た、格好いいとはしゃいでいた俺が居た。

 

 強くあってほしかった、何時か魔虚羅や宿儺相手に通ずる手札として、何より俺が初めて生み出したオリジナル達として、強くしてやりたいと心の底から思った。

 

 だから縛りを結んだ、割かし重たくて面倒なのを。

 

 

 

『円鹿』

 

 召喚条件は三つだ、一つ目は俺の知る拡張術式のソレとは違い、こいつ等は通常同様破壊されたら二度と呼び出せない…つまり俺は一気に三体分の式神を失うということ。

 

 二つ目、俺がこいつ等を破壊以外の方法で引っ込めた場合、こいつ等に関連する式神三体を一定時間呼び出せなくなる…まぁ簡単な話がクールタイムが掛かる、大凡五分ってところだろう。

 

 そして最後の三つ目…俺がコイツらを召喚する場合に、俺は自身の呪力総量及び呪力出力の上限値を二割から三割程削ることになる。

 

 消費じゃない、上限値を削るだ、つまりは器の値を削ることで俺はコイツらの召喚が可能となる…因みに、コイツ等が破壊された場合、俺の削れた二つの上限値は二度と戻らないものとする。

 

 

 

 以上三つの縛りを持って俺、禪院廻の『切り札』の召喚条件とする。

 

 

 

 

 

『謳え───』

 

 

 

 

 

 名付けは適当だった…ただその姿が、余りにも俺の知るソレと似通っていたから、余りにも威風堂々とした姿に見覚えがあったから…だから俺はそいつに、こう名付けた。

 

 

 

───『白叡(びゃくえい)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝起きたら魔虚羅が俺のことを上から覗き込んでいた…なんか可愛かったから撫でた、尻尾ブンブンふられてる…可愛い(寝ぼけてる)

 

 

 

 

 





 回想の場合

 この後、呪霊ごと神社を吹き飛ばしてしまった為、神主に土下座して謝り倒した挙げ句に修繕費を全て私財から出した…結果として神主から無茶苦茶尊敬された。

 現実の場合

 魔虚羅にずっと覗き込まれた、なんか可愛かったから撫でたり抱きしめたりした。
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