宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 超疲れた、頭痛い。


人外魔境 メインディッシュ④

 

 

 『函』が解かれたことで、宿儺の『御厨子』が焼き切れる…その事実を、魔虚羅は敏感に感じ取っていた。

 

 気配が変わる、『函』を解いたことで凪いだ呪力と気配に禪院廻は警戒と疑問を露わにし、それと同時に魔虚羅はその足を踏み出していた。

 

 全力の疾走、廻の指示ではなくその自立し独立した思考回路から弾き出された即殺の一言、『函』が解かれた今こそが絶好の好機と言わんばかりに魔虚羅は自身の爪をギラつかせた。

 

 それを宿儺は満面の笑みを浮かべながら出迎えるように両手を広げた、その内心で感じているであろう緊張をおくびにも出さず、余裕綽々であるかのように宿儺は魔虚羅を迎え撃つ。

 

 

───シャラン

 

 

 爪が煌めき、鈴の音が鳴る、絶対切断の合図が宿儺の耳へと届きその脅威を宿儺へと知らせる…瞬間、宿儺の姿が掻き消える。

 

 術式を利用した空間と座標の圧縮、それに伴う瞬間移動…五条悟や菫の行ったものと同様のそれを使用したことを察知した魔虚羅は虚空を斬った己の斬撃に糸目も掛けず、瞬時にUターンを開始した。

 

 その僅か数瞬前、魔虚羅の眼前から掻き消えた宿儺…その姿は、禪院廻の眼前に在った。

 

 虚空から唐突に現れた、それも目と鼻の先とも言える程に近い距離に現れた呪いの王の姿に、廻は何をするでもなくソレを見つめた。

 

 ギラギラと眩しく炎のように燃え滾る宿儺の瞳と、暗く海底の更に底と言わんばかりの光の無い廻の瞳…真紅と黄金が交差する。

 

 時間にしてほんの一秒足らず…両者、弾けるように動き出す。

 

 廻の突き、眼球を狙って突き出されたそれを宿儺は瞬時に掴み取る…瞬間、宿儺と廻の姿が掻き消えた。

 

 再び行われた空間と座標の圧縮、宿儺の肉体が廻に触れていたが為にその対象には禪院廻も含まれ、であるが故に両者の肉体は更に遠くへと運ばれる。

 

 空中にその姿を現した両名、Uターンを開始しその直後に主を連れ去られたことを察した魔虚羅の咆哮が新宿全域に響き渡るのを尻目に、呪いの王と輪廻を廻った例外者(イレギュラー)は打撃の応酬を繰り返す。

 

 空中という容易に身動きが取れない環境の中でまぁ別にとでも言うかのようにさも当然のように両者は地上と同様にキレのある動きを繰り出し続けた。

 

 二本の指による突きが廻の心臓付近へと突き刺さる、ドクドクと指を伝う命の象徴、急所付近に突き刺さった異物…だからどうした、お返しと言わんばかりに廻は宿儺の目ん玉に自身の指を突き入れた。

 

 直撃、ぐちゃりという音と感触と共に潰れる宿儺の右目、脳に達しているのでないかと言わんばかりに深く突き刺さったソレに、しかし呪いの王は止まらない。

 

 抉るように突き刺した二本指を引き抜く、派手に大量の血液をバラ撒き口元から血を垂らした廻に対して、宿儺は更に追い打ちと言わんばかりに右腕を大きく振り被った。

 

 手元に球体状の蒼色が現れる、大きさにして大凡バスケットボール程度、手元を覆うようにして現れたソレを宿儺は思い切り振り被り、まるで投擲するかのようにその腕を振り被った。

 

 瞬間、空間を捩じ切るような音と共に放たれたそれが禪院廻の左腕を噛み千切り、ついでと言わんばかりにその真下にあった建物の一角を抉り取った。

 

 

 

───無下限の『蒼』か…!!

 

 

 千切れ飛ぶ…というより左腕を丸ごと食い千切られた挙句に丸呑みされたような感覚、振り被られた直後に見えた蒼色から廻はそれが順転の『蒼』であると推測し…それと同時に、現在の宿儺が『御厨子』を使えない状況下にあることを何となく察した…が、知っていたから何だという話ではある。

 

 無下限呪術の術式的な性能はそもそもからして御厨子よりも上で、しかも現在の宿儺はその無下限を十全に扱う為の眼も保有している…単独で戦うのであれば何方が厄介であるのかは言うまでもない。

 

 まぁもっとも、それは禪院廻という人間が無下限に慣れていない場合は…という前置きが付くが。

 

 千切られた左腕、血潮が舞い散る中で心臓付近に出来た傷も癒えていない現状の中で呪いの王は禪院廻という人間が傷を治癒しないだろうことを見抜いていた。

 

 今までの戦闘、重傷を与えても気にせず突撃して致命打を与えて相手の意表を突き、その間に傷を反転術式で再生させる…この一連を何度も行われ、その都度致命打を与えられてきた宿儺は廻の自爆特攻紛いのソレに既に慣れきっていた。

 

 故に待ち構える、さぁ来いと言わんばかりに攻撃の手を振るいながらその隙間に射し込むようにやってくるであろう逆襲の一手に対する返し手を粛々と狙い続け…ソレを見た。

 

 

「───くはっ」

 

 

 狂気を感じさせるように裂けた口元、普段は絶対に浮かべず、緊急の際であっても命に危機にあっても決して浮かべることの無い己のような狂気の滲んだ瞳が、宿儺を射抜いていた。

 

 瞬間、廻はその皮膚ごと宿儺の肉体を掴み取り、全力且つ何重にも回転を重ねた後に宿儺を真下のビルへと放り投げていた。

 

 ぐわんぐわんと揺れ動く視界、急速に落下しているということだけが分かる視界の中、上から下へと急速に落下していく宿儺の肉体はしかし、ビルに触れるか触れないかのところで唐突に止まった。

 

 言わずもがなの無下限の不可侵、御厨子の使用を止めて無下限の使用に踏み切ったが故にこの展開はあまりにも予想されたものだった。

 

 大凡12秒、先の打撃の応酬から蒼による左腕の食い千切り、そこからこうしてビルへと放り投げられるまでの一連の時間、12秒といえ短い時間の中とは思えない程に深く濃厚なソレに見物人達は胸焼けを覚え始め…そこに追い打ちを掛けるように、閃光は迸る。

 

 光の速さとはいかない、しかしそれに限りなく高い速度での突撃、翼を大きく広げた魔虚羅がその身に紫電を纏い、宿儺への体当たりを敢行し、それに対して宿儺は三つ腕を使用し突撃してきた魔虚羅を押し込む…のと同時に、残った腕を使用してかち上げるようなカウンターを魔虚羅の顎下へと叩き込んだ。

 

 鉄鋼を殴ったような感触、硬く重くそれでいて柔軟などう考えても生物に相当していてはいけないような肉体の感触…それを顎下から打ち上げ、僅かに浮かび上がった肉体を全力で後方へと勢い任せに投げ飛ばした。

 

 投げ飛ばされる魔虚羅、縦にぐるりぐるりと回転しながら飛んでいきながら空中で態勢を整えた上で接地、地に足付いた先から火花を散らしながら勢いを殺して停止する…この間約五秒。

 

 

「───『九綱』『偏光』『烏と声明』『表裏の間』」

 

 

 その隙間に差し込まれる必殺の詠唱、空中から地上へと降り立った禪院廻の耳へとタイミング良くダイレクトに届けられたソレは、禪院廻の本能をどうしようもない程に掻き鳴らした。

 

 虚空へ向けて拳を放つ、特に意味も無い行動と取られるはずのソレは、しかしワンテンポ遅れる形で宿儺へと衝撃波を伝達させる。

 

 拳圧による呪力の遠距離攻撃、呪力強化で拳圧を飛ばしているのか、それとも拳圧によって呪力を飛ばしているのか、何方なのか良く分からないとあの頭東堂な東堂でさえも不思議がる技…虚式の構築に意識を割いていたからなのか、宿儺はそれを避けることもせずに直撃する…しかし───

 

 

 

───虚式『茈』

 

 

 それでも尚、技は中断されず形を成した。

 

 宿儺の手元にて生成された紫色の球体、仮想の質量を押し出す五条家秘中の秘が、呪いの王の手元で生成される。

 

 野球のボール程度の大きさ、何処か呪霊操術の球に似たような形をしたソレは何故か発射されず宿儺の手元へと残されていた…そんな宿儺へと、廻は脇目も振らずに駆け出した。

 

 

───撃たせるか…!!

 

 

 菫よりも莫大な呪力量と高い呪力出力を持つ両面宿儺の虚式、五条菫や未完成だった五条悟の虚式『茈』を耐えられたからと言って、じゃあ本気の宿儺が放つソレに耐えられるかと言われればそんなことはないと廻は即答する。

 

 死ぬ、絶対に死ぬ、当たれば必ず即死する…万全の状態であろうがそうでなかろうが関係無い、撃たれて直撃すれば致命傷を通り越して死ぬという確信が廻にはあった。

 

 宿儺の顔面へと飛び膝蹴りを叩き込む、必死の形相で顔面を打ち付ける膝の感触、それを思考が認識するのと同時に更に顔面へと蹴りを叩き込んだ。

 

 

───『黒閃』

 

 

 黒い火花がまた散る、靴底からやってくる確かな感触と共に宿儺の身体が後方へと吹き飛ばされるが、踏ん張った足が地面ヘと地面へと突き刺さったことで身体の勢いが止まる。

 

 好都合、吹き飛ぶこともなくそこにいてくれるのならば寧ろ有り難いと、廻は更なる一撃を宿儺へと叩き込んでやろうと拳を握り締めて───

 

 

「───『九綱』『偏光』『烏と声明』『表裏の間』」

 

 

 

 その唄が、聞こえてきた。

 

 宿儺の腹から言紡がれる仮想の質量を顕現させる呪詞、既に右手に現れているソレに対しての追加の詠唱に廻の思考から何故という言葉が溢れ出し…邪悪に嗤う呪いの王の姿を廻は捉えた。

 

 まるでこの距離が欲しかった、この瞬間が欲しかったのだと…そう言うかのように、宿儺は嗤っていた。

 

 瞬間…宿儺の左手に、紫色の球体が出現した。

 

 同じ大きさの球体だ、紫色の…呪霊操術の球のような、そんな大きさと形をした仮想の質量の具現…それが、宿儺の左手に現れた。

 

 

 

 瞬間…禪院廻の脳裏を駆け巡る、存在した過去の記憶。

 

 

『なぁ廻、赫と蒼で生成されるのが虚式ならさ…逆に虚式と虚式をぶつけ合わせたら、何が出来るのかな?』

 

 

 白い髪を揺らしながら楽しげにそう話す親友の姿、自分自身でも気になって近場の無人の孤島で試した千年前の思い出、誰にも迷惑を掛けないようにとあの傍若無人な親友が珍しく他者に配慮したあの瞬間の記憶が、廻の脳内を駆け巡った。

 

 『茈』と『茈』…仮想の質量同士の衝突による現象、空間を揺らし大惨事一歩手前だったあの瞬間、孤島の半分が塵も残さず消し飛び、廻自身が頼み込んで使用を禁じて貰った五条菫絶対の禁じ手。

 

 『白』…その単語が頭に浮かんだその時、廻は脇目も振らずに叫んでいた。

 

 

「───魔虚羅ァァッッ!!!!」

 

 

 裂帛の声、自身の最強を呼ぶその声に魔虚羅は返事の声も寄越さずその羽根を大きく広げ、そうして叫んだ禪院廻は叫ぶと同時に既に宿儺へと駆け出していた。

 

 まだだ、まだ生成されていない、二つの『茈』そのものは未だ離された両手の中にある、今ならまだぶつけ合わせた段階で止められる…そんな思考の元に駆け出した廻のソレを嘲笑うかのように、宿儺は二つの仮想の質量をぶつけ合わせた。

 

 ぶつかる、混じり合う、美しい水晶のような美しさを持った二つの『茈』が混じり合い溶け合っていく…そんなあからさまに危険な代物を生成している最中の宿儺へと向けて、廻は拳を突き出した。

 

 

 瞬間……空間が、軋む。

 

 揺れ動く空間、ゴゴゴゴッと大きな音を立てて、まるで大きな地震のように揺れ動く空間…それによって発生した空間の波が、宿儺へと拳を突き立てようとしていた廻の身体を弾き飛ばした。

 

 

「───ッッ!?」

 

 

 驚愕に顔が歪む、千年前と星漿体護衛の際の『白』には起こらなかった現象を前にさしもの廻も驚愕の感情を隠しきれなかった。

 

 着地する、弾き飛ばされた肉体を回転させることで整えて問題無く地面へと着地し…瞬間、廻の眼前にて宿儺周辺の建物が一斉に異変が現れ始めた。

 

 パァンっと音を立てて吹き飛ぶビルの一角、無数の亀裂が走り折れ曲がるように半ばから圧し折られる大きな建物、まるで最初からそうであったかのようにぐにゃりと捻じ曲げられ、折れた骨のような形と化して最後には割れて砕けた建物…それら全てが、一斉となって廻の視界に現れ始める。

 

 意味不明な情報の暴力、何もかもが分からないだらけの現象の中で、主の声に応えた魔虚羅がその翼を羽ばたかせながら呪いの王へと迫る。

 

 

───シャラン

 

 

 鈴の音が鳴る、絶対の斬撃、空間を断つ一撃が宿儺へと放たれる、大粒の汗をダラダラと流しながら震える両手で『白』を生成している最中の宿儺へと無慈悲に振り抜かれた必殺の斬撃は…宿儺に当たるその直前、ぐにゃりと捻じれ曲がって彼方へと消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『白』には、宿儺や菫でさえも把握していないある特性が存在する。

 

 それは…生成を開始された完全な『白』には、妨害という行為が基本的に無意味であるという点だ。

 

 『白』は二つの『茈』…つまりは仮想の質量をぶつけ合わせた際に発生する対消滅の一撃を相手にぶつける技である…少なくとも廻と菫、そして五条悟と宿儺はそう認識していた…そして、それは間違っていない。

 

 事実として、『白』は仮想の質量の激突によって引き起こされる対消滅を相手へとぶつけて消し去る業であり、それ自体には補足も注釈も必要としない、至ってシンプルな業であると言える……しかし、そこに至るまでの過程に於いて、『白』と呼ばれたこの業はあまりに異様な現象を引き起こすに至る。

 

 空間を揺らし、ガラスが割れる…空間の揺れによって動いた花瓶が地面へと落ち、店の看板が故障し同じく地面へと落ちていく…これら沖縄で引き起こされた奇妙な現象の全ては、仮想の質量同士をぶつけ合わせたことによって発生した。

 

 マイナスの虚数の空間を作り出すことで引力を発生させる『蒼』…虚数の空間を増幅させることで指向性を持った衝撃波を発生させる『赫』…小難しいことを言ってはいるが、とどのつまり何方もが空間に作用するという共通点を持ったソレであるということ…そして、それは『茈』もまた変わらない。

 

 ではそんなものをぶつけ合わせればどうなるか…当然空間は悲鳴を上げる。

 

 仮想の質量と呼ばれた代物同士がぶつけ合わされることによって発生する一連の工程、それをモロに受け止めることとなる周囲の空間は、ぶつけ合わされたソレが対消滅の段階へと至るまでに発生する全ての力の本流を周辺一体にバラ撒くようにして拡散する、そうしなければ空間は割れ落ち、一つの世界を崩壊に招いてしまうが故に。

 

 それによって引き起こされるのが空間の揺れ、即ち『白』が発生するまでの前段階であり、どれだけ正確にコントロールしようとも必ず漏れ出す、仮想の質量による共振反応。

 

 空間を断つ斬撃同士の激突…それによって空間に作用するもの同士が激突した場合に何が起きてしまうのか、それは既に宿儺と魔虚羅によって証明されてしまっている。

 

 ならば…それより遥かに術式性能の高い無下限の奥義の激突によって引き起こされるソレは…宿儺と魔虚羅によって引き起こされたソレとは桁違いの現象を引き起こすことになるのは、最早必然と言えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───ガゴンッ…!!

 

 

 

 弾かれた魔虚羅の斬撃、ぐにゃりと曲がって何処かへと行ってしまったソレに、魔虚羅の法陣が回る。

 

 

───シャラン

 

 

 鈴の音と共に放たれたソレが再び宿儺へと迫る…が、曲がる、当たらず何処かへとその姿を消してしまう。

 

 法陣が、廻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───『白』の生成によって発生した波は、揺れという形で世界に現れる。

 

 

───震度7の揺れに近い空間の揺れが引き起こされ、それによる二次被害が辺り一帯に引き起こされる、ガラスが割れるのも花瓶が落ちるのもこの一連のソレが原因だった。

 

 

───しかしそれは、あくまで未完成の『白』を撃つ際の事象であり、完全なる『白』を撃つのとでは文字通り桁が違う。

 

 

───五条菫の引き起こした『白』は、どれも途中でその制御を手放したものだった、手元から離れたソレが暴走し暴発するのを外側から見ているだけの代物であった…が、今は違う。

 

 

───捻じれ狂い折れ曲がる…空間へと作用された完全な『白』は未完成のソレとは違い明確に、耐えきれず溜めきれなかった力の本流を現実空間へと流出させていく…その結果として、ビルの崩落と波による弾き飛ばしは引き起こされた…魔虚羅の斬撃が効果を発揮しなかったのも、同じような理屈だ。

 

 

───その結果として、全ての妨害が無意味と化す…何せ、無下限同様にそもそも届かないのだから。

 

 

 

 

 

 空間が割れる、世界が歪む、仮想の質量をぶつけ合わせた結果が引き起こされようとしている。

 

 弾け混ざり狂い溶け合い、固まり折れ曲がり割れて砕けてまた混ざる…呪力が弾けて消える、消えては現れまた消えて、それらの動作を繰り返す。

 

 時間にして述べ大凡十五秒…強者からしてみればあまりにも長いその時間はしかし、あの空間の荒波を越えるにはあまりに短く、あまりに遠い。

 

 法陣の適応が足りない、圧倒的なまでの時間不足、同じく空間に作用する術式があったのだとしてもコレを越える為の時間としてあまりにも少ない。

 

 静かになっていく…宿儺の四つ腕、その手元で無限に暴れ回っていた球体がその暴走を止めて、静かに静謐に一つの球体の形へとその姿を変えていく。

 

 悪寒、危機…その二つの単語が魔虚羅の思考内を過るのと同時に、魔虚羅は主の元へと全力で飛び込み、抵抗の一つも許さずその身体を自身の身体で包み込んだ。

 

 それとほぼ同時に…魔王の口は開かれる。

 

 

 

 

「───滅式」

 

 

 

───『白』

 

 

 

 

 

 

 

 白色が、世界を包んだ。

 

 

 

 





滅式『白』

 五条菫が偶然作り出した最終手段であり、宿儺が完成させた最終奥義。

 虚式と虚式をぶつけ合わせることで発生する対消滅の一撃を相手にぶつける技、空間に作用する技同士をぶつけ合わせる為、空間が揺れるという事象を引き起こす。

 最初から最後まで全て手動で行わなければ必ず暴走して破裂するという非常に使いづらい技で、本来の時空で五条がやった自爆虚式みたいなことをすると技として成立する前に即座に爆発するという特性を持つ。

 実は手動で発動された時点で術の発動者がボカをやらかさない限りは空間が歪みに歪んで攻撃が届かないという状態が自動的に作り出される為、手動で発動した方がまだ安全とか言う意味の分からないと性質を持つ(ただし魔虚羅を除く)

 因みに空間が歪む、空間が揺れる等の一連の事象はあくまで仮想の質量をぶつけ合わせたことによる副産物的な代物なので天逆鉾や神楽は全く役に立たない(ただし魔虚羅は除く)


 尚、完成の為の難易度は陰蜂、或いは東方原作全EXボスを纏めて相手(ボム抜き)するものと同等のものであるものとする。

 
 宿儺はこの『白』の完成で以って『無下限呪術』を完全に放棄、肉体から消滅させるという縛りを結んでいる。

 
追伸

 実は作者も一度のみの登場を想定している為、あまり分かっていない。



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