宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 書いてて思ったけど、呪霊操術じゃなくなるだけでこんなにシンプルになるんやなって。


殺伐親子喧嘩

 

 

 先手は、脹相からだった。

 

 

───『穿血』

 

 射出される血の弾丸、音速を超える速度で発射された赤血操術お得意のソレは憎きクソ親父の頭蓋を貫いてやろうと羂索へと迫り…容易く躱された。

 

 首を動かしただけの最低限の回避、軌道さえ分かっていれば躱すのなんて楽勝とでも言うように薄く笑みを浮かべながらその初撃を回避した羂索は徐ろにゆらりと刀を揺らした。

 

 

 瞬間、地面が弾け飛ぶ。

 

 

 肉体の膂力に任せた力任せの踏み込み、虎杖に匹敵しかねない程の速力で以て一足を踏み出した羂索はその標的は定める。

 

 狙いは、虎杖だった。

 

 

 瞬時に迎撃の構えを取る虎杖、それに対して羂索は踏み出した速度を落とさず虎杖へと斬りかかる。

 

 頭部狙いの横薙ぎ、焔関係無しに直撃すれば絶死は確定のその一撃を虎杖は頭部を下げることで躱した。

 

 チリっと髪が焦げたような感覚がした、紙一重ではなく幾文か余裕を以ての回避行動であったのにも関わらず、肌どころか髪の毛でさえ感じられてしまう程の熱気に虎杖の頬を汗が伝った。

 

 次撃、躱されたことを確認してからの返し刀、刃を瞬時に返して上斜めからの斬撃が虎杖へとやってくる…その前に───

 

 

───『赤鱗躍動』

 

 

 血の操作によるドーピング、身体能力を著しく向上させた脹相がその横側から勢いを付けたドロップキックを羂索へと叩き込んだ。

 

 くの字に折れ曲がる羂索の肉体、振るわれようとしていた斬撃ははあらぬ方向へと突き進み、打撃による衝撃と勢いによって羂索の肉体は吹き飛ばされる…はずだった。

 

 違和感を抱くまでもなく脹相は気が付く、手応えを感じない事実に。

 

 

「───やはり良いね、この身体は」

 

 

 呟かれたその言葉と共に羂索の肉体が急速に回転する。

 

 打撃によって吹き飛ぶはずであったその身体、吹き飛ぶことは無くても打撃による衝撃を受け取ったはずの肉体はその動きを止めることなくシュパッと脹相の一撃の真横へと躍り出る。

 

 まるで滑ったような感覚…そう、それこそ摩擦によって抜け出されたような感覚を脹相は受け取った。

 

  更に刀が振るわれる…回転による回避、その勢いを殺すことなく瞬時に自身へ攻撃を仕掛けた脹相へと羂索はお返しと言わんばかりに斬撃を仕掛ける。

 

 

───『超新星』

 

 

 瞬間、血の散弾が爆ぜる。

 

 そのまま喰らえばマズイと判断した脹相によるオリジナル、自分諸共とでも言うように互いに超至近距離で爆発させた『超新星』の散弾はその役割をこれでもかと果たす。

 

 咳き込み転がり込むように後方へと逃げる脹相、幾ら自分自身の術であり、自分の血液である以上は体質的な毒の効果が無いとは言え、その威力を真正面から…しかも超至近距離から喰らった以上はただでは済まない。

 

 流れ出る血液、無数に穴の空いた自身の肉体を軽く息を吐き出しながら確認した脹相はそれを問題無しと判断、手慣れた様子で『百斂』の量産を開始した。

 

 対して羂索は無傷だった…瞬間的に焔の出力を高めることで血の散弾を蒸発させ、超新星による爆破を防ぎ切っていたのだ。

 

 刀を地面へと突き刺しパンパンッと服に付いた埃を払う、迷惑なことをしてくれたとでも言うような表情で面倒臭そうに刀を引き抜き脹相へと視線を向けた羂索は、その表情のまま徐ろに刀を頭上へと振るった。

 

 ゴウッと放たれる蒼い焔、まるで波のように溢れ出したその焔が頭上から降り注ぐようにやってきていた壊相の『翅王』を消し飛ばし…その焔の向こう側から、虎杖悠仁は飛び込んでくる。

 

 

───何っ!?

 

 

 羂索の瞳が見開かれる、まさかこの焔の向こう側から突っ込んでくるとは流石に思っていなかったのか、羂索の思考が動揺で満たされる…そして、その隙間へと虎杖は力任せに拳を捩じ込む。

 

 顔面一発、頬へと拳が突き刺さりその容姿を面白可笑しく歪める、今度こそ響いてきた打撃の衝撃に羂索の肉体は大きく後ろへとよろめく。

 

 

───『領域展延』か。

 

 

 突っ込み殴られるまで、時間にしてみれば僅か数秒…しかし、それだけあれば充分とでも言うように、羂索は虎杖が焔の中を突っ込んて来れたカラクリを容易く見破った。

 

 考えてみれば単純な話だ、そのまま食らうのが怖いなら弱めてしまえば良い、思考的には熱いお湯がぬるま湯に成るのを待つのとそう大差無い。

 

 『焦眉之赳』の焔は術式によって発生した物理的な焔ではなく術式効果によって生み出された焔だ、当然展延の対象内である。

 

 気付いてみれば驚くような話でもない…そう結論付けた羂索は追撃の打撃を振り被っている虎杖へと向けて徐ろに刀を投げ付けた。

 

 投擲ではない、何方かと言うとパスの部類に入るその投げ付けに虎杖は思わずと言ったようにその刀を受け取る…そこへ、羂索の打撃が入り込む。

 

 腹部へと一撃、素早く急所を狙ったその一撃に虎杖の動きが僅かに止まり、そこから積み重ねるように羂索は打撃を重ねていく。

 

 刀を受け取った手を引き寄せながらの顎への横拳、脳を揺らされたことで揺れる虎杖の視界、更に羂索は引っ掛けるように虎杖の足元を崩し、流れるような動きで虎杖の手元から刀を奪い取るのと同時に背負い投げを行う。

 

 投げ飛ばされる肉体、揺れる視界の中で直感的に地面へと着地しダメージを最小限に抑えた虎杖…そこへ、刀を逆手に構えた羂索が猛スピードで突っ込んでくる。

 

 

 

───赤血操術『苅祓』

 

 

 道中で襲い来る血のチャクラム、五つを超えた数のチャクラムが不規則な軌道を描きながらやってくるのを目にしながらも、しかし羂索はその余裕そうな表情を変えることなく速度もまた落とさない。

 

 至近距離にまで迫ったチャクラムを羂索が打ち落とす、逆手で構えた刀を縦横無尽に振るい無数にやって来る血の刃を楽々と作業でもするかのように処理していく。

 

 前から、上から、右から、左から…ランダムにやってくる常人ならば足を止めるようなその場面で羂索は止めるどころか速度すら落とさず全てのチャクラムを叩き落としていた。

 

 突破…余裕綽々と言った様子でチャクラムの領域を脱した羂索はその勢いのまま速度を落とすことなく…否、寧ろ更に加速させながら虎杖の元へと突っ込んでいく…そんな羂索に対して、虎杖は徐ろに呟いた。

 

 

「───『解』」

 

 

 瞬間、やってくるのは不可視の斬撃。

 

 加速に加速を加えた羂索、避けることなぞ考えていなさそうなその肉体に袈裟懸けの傷が奔る、血が噴き出し斬撃の跡が奔る。

 

 唐突にやってきた不可視の斬撃、奔る痛みにその動きを止めた羂索は今思い出したかのように噴き出しながら笑った。

 

 

「───そういえば使えたね、君」

 

 

 反転術式によって傷を治癒しながら呟かれたその言葉、まるでそれに反応したかのように虎杖が飛び出す、瞳から光を無くした虎がその牙を親元へと突き立てんとする。

 

 飛び出してからの飛び蹴り、勢い付けてのソレは確かな速さと重さを持ったソレを羂索を同じく蹴りによって弾き、それに合わせて刀を虎杖の首へと振り抜く。

 

 それに対して虎杖は引くことは無く、逆に前へと進み距離を潰すことで刀の有効射程から逃れ、その勢いのまま羂索へと組み付き地面へと押し倒そうとする。

 

 当然そんなことを羂索が許すはずもなく、押し倒そうとした虎杖の顔面へと膝蹴りを叩き込んで無理矢理距離を開かせようとする。

 

 顔面へと突き刺さる羂索の膝蹴り、痛みと共に鼻血を噴き出し、歯茎からほんの少し白色の欠片のような物が飛び出してくる…それでも虎杖はその手の力を緩めない、ガッチリと組み付いたままだ。

 

 面倒だ…そう言いたげに蹴りを繰り返しながら刀の柄で上からも打撃を加えようとした羂索の視界の隅に、パシンっと掌を合わせた脹相の姿が映り込む。

 

 

───『穿血』ッッ!!

 

 

 発射された音速を超える血の弾丸、射出されたその狙いの先は頭部ではなく羂索の心臓。

 

 頭であれば首を動かすことで躱される、しかし胴体の心臓であれば現在虎杖によってその動きを止められている羂索には避けようが無い…そう判断したが故だった。

 

 更に、そこへと畳み掛けるように捻じれた血の槍が…壊相の『翅王』が羂索の背後から射出される。

 

 真正面からの一撃と背後からの同時攻撃、虎杖に組み付かれた影響で身体を満足に動かせず回避を行えない状況、真正面からの一撃は刀で防げても背後からの一撃には対応の仕様が無い、逆もまた然り。

 

 そしてよしんば二つの同時攻撃を防ぎ切ったとしても、その際には必ず虎杖への注意が緩む、そして虎杖はその緩んだ隙間を逃さない、今度は必ず押し倒されて馬乗りになる…そうなればどうなってしまうのかは考えるまでもない。

 

 詰みとまではいかない、いかないが…これを防がねばそれに近い状態に持っていかれる可能性があると、羂索は判断した。

 

 

 故に───

 

 

 

「───チッ」

 

 

 舌打ちと共に、やってきた血の弾丸と血の槍が一斉に地面へと沈んだ。

 

 驚愕…とはならない、何故なら脹相は渋谷に於いて羂索のソレを既に見ている、弟が食らう所をその目で見ている。

 

 同時に沈んだ血の弾丸と槍、防ぐ必要が無くなったソレに視線を向けることすらなく羂索は組み付いたままの虎杖に逆手に持った刀を突き立てんと振り上げる…そして、そう来ると分かっていたと言わんばかりに虎杖は咄嗟にその場から飛び退き刀を躱した。

 

 

 虎杖、脹相、壊相…三人が散らばるように陣取り羂索を囲む、その様子に羂索は深い深いため息を吐き出しながら刀を構え、面倒臭そうに口を開く。

 

 

「こっちにも、まだまだ予定はあるんだけどね」

 

「知るか、死ね」

 

 

 殺伐とした親子喧嘩は、未だに終わりそうになかった。

 

 

 

 

 





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