宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 ちょっとダラダラしすぎた気がするから一気に飛ばしていきうと思います。


舞台に上がりたかった

 

 

「『星漿体』の護衛…ですか?」

 

 ところ変わってスラマッパギー……スラマッパギーって何処の国の言葉なんだろ? …まぁなんでもいいや。

 

 何はともあれ、あの交流戦から暫く時間が経って俺も高専二年になった、一部の先輩方は卒業して呪術師として活動…他の一部はこの京都校で教師になるべく勉強中……なのかな?

 

 今更だけど、高専の教師ってどうやってなるんだろ?

 

 まぁ、そんなこんなで今や京都校二年になった俺に、ある日唐突に叩きつけられた話題がよりにもよって星漿体関連の話題であったのは不幸以外の何者でもないと思う。

 

 俺の疑問に担任の教師は一言そうだと答え、徐ろに教卓の上でノートパソコンを開いた。

 

 開かれたノートパソコンに映し出されたのは真ん中に大きくQと書かれた文字の前に立つ変な服を着た人間と、何が書いてあるのか全く分からん紫と白の…ナニカが描かれた画像が映し出される。

 

「『天元様』との同化は三日後の満月…その日その時までの星漿体の護衛…それが今回の任務だ」

 

 星漿体の護衛、その言葉を理解すると同時に自分の顔が歪んだのを感じた。

 

 星漿体…天元様の進化を帳消しにするための言ってしまえば生贄、それ以上でもそれ以下でもない。

 

 俺が天元様について知ってることは少ない、会ったことがないからどういう存在なのかもあまり分かっていない、知っているのはこいつが居ないとただでさえ割りと崖っぷちな呪術界が更に崖っぷちになるということだけ。

 

 昔の中での生活のせいなんだろうか、俺の知ってる未来の情報は、一部が欠けて微妙に思い出せなくなっている、天元に関する情報もその一つだ。

 

 昔の時の俺は星漿体に関わらなかった、正確に言うと関わらなかったっていうより丁度俺が生きてる時期に同化が起こらなかっただけなんだろうけど、それのせいもあるのかもしれない。

 

 同化しないと天元が天元じゃなくなること、そして天元が天元でなくなれば今の呪術界が危ういこと、分かっているのは大凡その二つだけだ。

 

「星漿体を狙っているのは呪詛師集団『Q』及び『盤星教 時の器の会』…これ等から三日後の満月まで星漿体を守り抜け」

 

 お前の他にも二名、東京校からも護衛が出されると…そうぶっきらぼうに言って、担任は教室を後にした。

 

 

 俺の他にも二人…東京校から……悟とサマーオイルのことなんだろうなぁ。

 

 大きくため息を吐いて、天井を仰ぐ…星漿体の護衛に悟とサマーオイル…遂に始まっちゃうんだなぁ、過去編。

 

 天元のことは忘れた、それ以外にも忘れていることはきっと多いけれど、それでもこれだけは決して忘れなかった。

 

 『懐玉・玉折編』…最強と呼ばれた五条悟と最悪と呼ばれた夏油傑、この二人の青い青春と覚醒及び挫折を描く呪術廻戦と呼ばれる物語の全ての始まりとも言える一種の節目。

 

 それが始まった、さっきの担任の言葉を合図にして。

 

「……フフッ」

 

 笑みが溢れる、顔が歪んで仕方がない、気持ち悪くニヤける。

 

 ようやく…ようやく手に入れた気がした、『舞台』に上がる『権利』ってやつを。

 

 この際、何であの二人だけじゃなくて俺もなんだろうとか、なんで京都高の生徒の俺が呼ばれたんだろうとか…もうそんなのはどうでも良い。

 

 今度は上がろう、今の今まで上がれなかった舞台に、立入禁止と言わんばかりに摘み出されていたあの舞台(物語)の上に。

 

 一先ず目標は二つ、兄ちゃんの死の回避とサマーオイルの呪詛師堕ちの回避…一つは殆ど達成したようなものだから、実質目的は一つだけと言える、つまりはサマーオイルの呪詛師堕ちの回避。

 

 これは正直難しいところだと思う、何せ天内理子を死なせなくても切っ掛けさえあれば普通に墜ちそうだから。

 

 『星漿体』天内理子の死は確かにサマーオイルの心を揺さぶったが、恐らくそれだけでは呪詛師にはならなかったはず…だとすると重要なのは最近出来たらしい後輩の死亡回避ってところだろうか? それとも双子の救出?

 

 分からない、どうすればアイツがそうなれるかなんて欠片も想像出来ない、兄ちゃんに関しては何時の間にかって感じだったからどうすりゃいいのかなんてまるで経験がない。

 

 …どうすりゃいいんだろ?

 

 

 …………………。

 

 ……………………………。

 

 ……………………………………………まぁ…その時その時でなんとかすればいいか、俺そういうの苦手だし。

 

 

 ひとまず……東京に行きますかね。

 

 

 ………魔虚羅、説得しなきゃなぁ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…てなわけで、俺が来た」

 

「うん、大分さらっと言ったね」

 

 というわけでやってまいりました東京、ビルが立ち並ぶ光景は圧巻の一言と言うか知ってはいるけどやっぱり凄いよな。

 

 因みに俺は今、何故か壁が吹き飛んでいるビルの一室にいる、というかそこにサマーオイルが居たからそこ目指して走ってきた。

 

 いやぁ、ビックリしたよね…だって新幹線降りていざ目的地に向かうぞってところでいきなりビルが爆破されてるんだから、しかも場所的に合流場所だったし、お陰で走る羽目になったし。

 

 まぁ、そんなこんなあって俺は目の前で優雅に紅茶飲んでるサマーオイルと合流、今に至るというわけだ。

 

 因みに、途中で訳分からんこと喋ってる変なのが居たからついでに殴ってぐるぐる巻きにして捨ててきた、服装的に多分『Q』じゃなかったろうから、まぁ良いだろうと思う。

 

 

「…それで? その子が星漿体ってことでいいの?」

 

 視線をソファですやすやと眠っている少女に向ける……なんかここだけ聞くとロリコンの犯罪者っぽくて嫌な感じがする。

 

 …幼い少女だ、見た目的に…中学生程度だと思われる少女がデッカイ枕みたいなのに身体を預けて寝ている、その反対側にはメイドらしき人も………あれ…誰だっけかなこの人?

 

 …あ〜……やっぱり駄目だな、見てすぐに分からないくらいには詳細な情報が頭からすっぽ抜けてる、これはちゃんと気をつけないと危なそうだ。

 

「あぁ、天内理子ちゃんとそのメイドの黒井美里さんだ」

 

「…そっか…そっかぁ…」

 

 サマーオイルの言葉に何となしに返事を返す。

 

 天内理子と黒井美里…どちらも未来で兄ちゃんに殺されてしまった人達、サマーオイルが堕ちる切っ掛けになった人達……多分兄ちゃんは来ないだろう、今も奥さんと一緒に仲良くやってるし、なんだったらこの前恵に会わせてもらったばっかだし、きっと兄ちゃんは裏の仕事なんて引き受けないだろう。

 

 それでも…きっと辻褄合わせは来る、兄ちゃんの代わりになる誰かがきっと星漿体を…天内理子を殺しにくる。

 

 守らなきゃならない、防がなきゃならない…だって俺は、未来を変えたんだから、その責任はちゃんと取らなくちゃならない。

 

 馬鹿みたいな理由かもしれないけど、一応はそれが今のところの俺の指針な訳だからな。

 

 

 まぁ、そういうわけだから───

 

 

「頑張っていこうな、相棒」

 

 そう、影の中に居るであろうソイツに、俺は笑みを浮かべて静かに語りかけた。

 

 …影が僅かに、揺らいだ気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…終わったな」

 

 視線の先に、爆破されたビルが見える、そこに居るであろう星漿体の姿も、その護衛も。

 

「盤星教には力がない、術師に対抗する術がない…それでも金の弾みは良いぞ、三億出すそうだ…どうだ? この仕事、受けてみないか?」

 

 男が語りかけてくる、内容は今回の仕事内容の許諾か否か…報酬は恐らく言葉通りの物で尚且つ前金も用意されているだろう。

 

 視線を男へと向ければ、男は笑みを浮かべている…軽薄な笑みだ、しかしこの男の仕事は信頼できるし信用も出来る…受けない理由は、無かった。

 

 

「…分かった…引き受けよう」

 

 その言葉に、男は追って情報を伝えるとだけ告げて、足早にこの場から離れていく…良い判断だ、留まろうものなら殺そうと思っていた。

 

 視線をビルへと戻す…星漿体の護衛は情報通りならば二人…一人は呪霊操術の使い手、そしてもう一人は五条悟…恐らくどちらも強敵だろう。

 

 しかし…正直どうでもよかった、そいつらのことなんて眼中にも無かった、そんな奴等よりも余程強い存在が、その場にいたからだ。

 

 視界に映る、黒い髪の男…その暗く輝くような琥珀色の瞳が、何をしても私を離さない、身体を疼かせる。

 

「嗚呼…そこにいるんだな、廻」

 

 あぁそうとも、間違えるはずがないのだ、忘れるはずがないのだ、お前のことだけは決して忘れないとそう決めていた。

 

 その溢れ出る強者の気配が教えてくれる、お前がお前のままであることを、どうしようもなく教えてくれる。

 

 報酬なぞどうでもいい、星漿体も盤星教もどうでもいい。

 

 ようやく、お前と再び出会うことが出来る…それだけが、今の私を潤す全てだ、私を満たす全てだ。

 

 幾年振りだ? 数えてなどいない、意識すら無かった…何方にせよどうでもいい。

 

 

 今は待とう、機でも無ければ時期でも無い…どうせやるならば、キッチリとした場で始めたい。

 

 嗚呼…待ちきれない…お前は、私を覚えていてくれているのだろうか?

 

 なぁ…禪院廻…私の───

 

 

 





 因みに、ビルは走って登った。
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