宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 もう…ゴールしても良いよね?(ネタがガチで無くなったことでネタ集めに奔走中の作者、どうやって全キャラを活躍させようか盛大に悩み中)



仲良きことは良きかな

 

 

 開戦の狼煙は、あまりにも唐突だった。

 

 夏油の術式が解放される、夏油の内にて留まっていた魔窟の住人達が水を得た魚のように一斉に現世へと飛び出してくる…それに呼応するように、待っていましたとでも言うように、無数の人影が一斉に何処からともなく飛び出し三途へと襲い掛かる。

 

 乙骨憂太、七海健人、猪野琢真、日下部篤哉、加茂憲紀、メカ丸こと与幸吉、烏鷺亨子、禪院直哉、鹿紫雲一…その他約数名を含めた人員達が、一斉に三途へとその牙を向ける。

 

 錚々たる面々、並み居る有象無象どころかそんじゃそこらの強者と呼ばれる者達が束になっても勝てるどうかと言った面々、勝つか負けるかで言えば間違いなく勝ちの方向に傾くであろうその戦力の投下に、三途はその頬を孤を描いた。

 

 

「良いね、凄く良い…前哨戦には持ってこいだ」

 

 

 瞬間、三途の影から一斉に呪霊が吐き出される。

 

 影の内から我先にと飛び出す呪霊の大群、無尽蔵にも思える程の物量が三途の影を中心として一息の間に現世へとその姿を晒す…その量、数にして大凡三万から五万体。

 

 圧倒的なまでの物量、呪霊操術の十八番とも呼ぶべき手数によるゴリ押しが飛び出してきた十数名の呪術師達へとその牙を向ける───

 

 

「よぉ、若いの───」

 

 

───アニメーションが一秒、何フレームあるか知っているか?

 

 

 それら全てを突っ切って、音速の弾丸が三途へと蹴りを叩き込んだ。

 

 ほんの僅かに耳へと届いたのは意気揚々とした老人の声とあまりにも場違いな質問、その約一秒後に自身へと届かせられた音速を超えた蹴りがその意識と認識の垣根を飛び越えて、三途の肉体を蹴り飛ばした。

 

 浮き上がる肉体に叩きつけられる衝撃、あまりにも唐突にやってきた蹴りと意味不明な質問に対して三途はめり込んだ壁から這い出して頭を振るう。

 

 

「…知らないよ、そんなにアニメ見ないんだから」

 

「そうか? 存外見てみれば面白いぞ」

 

 

 開口は一瞬、独り言として呟いたその言葉にさも当然のように男は返答する。

 

 何時からそこに居たのか、何時から吹き飛ばされた己に追いついていたのか…それら疑問全てを無視して、三途は振り向き様にやってきていた拳を反射的に掴み取り、勢い任せに男の身体を放り投げる…よりも早く、男の掌が…禪院直毘人の掌が三途へと触れる。

 

 

 瞬間、禪院直毘人の術式『投射呪法』の効力が三途へと猛威を振るう。

 

 停止する、三途という人間の全ての動きと意識が完全にフリーズする…そこへと、直毘人は躊躇無く拳を突き入れた。

 

 ガラスの割れる音、画角に収まり四角い板に張り付けられたような姿と化した三途の頬へと直毘人は笑いながら拳を突き立て殴り飛ばす。

 

 またもや吹き飛ぶ肉体、柱へと激突し背部からの衝撃に息を吐き出す…そこへと更に直毘人は拳を叩き込む。

 

 腹部へと突き刺さる拳、衝撃と共に柱へと亀裂が走りその衝撃を余さず三途の肉体へと伝える、口から漏れ出た赤色が口元を伝い、確かなダメージを三途へと与える。

 

 

───…なるほど、速い。

 

 

 更に突き入れられる拳、顔面を狙ったソレを大きく身体を転がらせることで躱した三途は即座に呪霊を呼び出し直毘人へと突撃させながら、焦った様子も無く淡々と思考を開始する。

 

 

───触られた時に一瞬だけ意識が飛んだような気がした…ってことは触れられるのが条件…いや、それなら拳の時点でもそうなっているはず…触れるのが条件としてもおそらく掌。

 

 

 

 無数に迫る呪霊、カマキリに百足に蜘蛛、ギチギチと昆虫特有の生物音を響かせながらワラワラと迫る呪霊の集団に直毘人は面倒臭そうにゲップを吐き出した。

 

 

 

───速さの方にも何かしらの種と仕掛けがありそうだけど…そっちはもう()()()から良いや。

 

 

 

 鏖殺される…術式を発動した状態からノンストップで百足型の呪霊を拳にて粉砕した直毘人は、そこから一切速度を緩めることなく続け様にカマキリ型の呪霊の頭を蹴りつけ捻り飛ばす。

 

 宙を舞うカマキリの頭、紫色の血肉と血液をバラ撒きながら無残に転がるカマキリの頭部…その向こう側から糸を射出した蜘蛛の呪霊、半ば不意打ち気味に放たれたソレを直毘人は道端を歩くようにゆらりと躱し…次の瞬間には、直毘人は既に呪霊の肉体に触れている。

 

 停止する蜘蛛の肉体、一秒間の停止というあまりにも大き過ぎる隙を晒した蜘蛛の呪霊に対して直毘人は発勁を叩き込む。

 

 体内へと流れ込む衝撃、一部足りとも逃さず肉体全体に完璧に衝撃を伝えられた蜘蛛の呪霊は内側から爆散し、内部に存在したであろう内臓に妥当するだろう部位を飛び散らせながら絶命した。

 

 その一連の流れを何をするでも無く黙って静かに観察していた三途は何処か得心が言ったようにポンッと手を叩きながら、口を開いた。

 

 

「さっきのアニメーション云々は術式の開示か」

 

「いや、単に俺の趣味だが?」

 

 

 自分の辿り着いた答えにまるで喉に引っ掛かった魚の骨が取れたかのような表情をする三途、そしてそんな三途の言葉をザックリと断ち切るように直毘人はその言葉を否定した。

 

 嘘ではない、事実アニメーション云々の下りは完全に直毘人の趣味から来た話であり、術式の開示とはまるで関係が無い…というわけではないが、少なくとも直毘人にそのような意図は無い。

 

 そんな三途の喜びをバッサリ切り捨てるが如き直毘人の発言に三途の動きが停止する、別に術式を使用した訳でも何でも無いのに三途の動きはまるで凍ったように停止した。

 

 あまりにも大き過ぎる隙、間抜けかどうかで言えば間抜け過ぎて目も当てられないような論外とも言うべき隙を晒したその姿に直毘人は容赦無く追撃を加えようと足に力を込め───

 

 

「───先行くなやクソジジィッ!!」

 

「───お前がトロいのが悪い」

 

 

 そこに、二人目の音速が乱入する。

 

 金色の髪を揺らし、実の父へ悪態を吐き出しながらその隣へと降り立った男は…禪院直哉は、さも当然のように返されたトロいの一言に目を吊り上げた。

 

 

「何がトロイやドブカスぅ!! 言うとくけど俺はもうアンタよりも速く動けるんやからなぁぁっ!?」

 

「速度だけだろうが、それ以外の部分が駄目だから未だに鬼ごっこで俺に振り切られるんだろうが」

 

「───言うたなクソジジィがぁッ!! 表出んかいぶち殺したるわぁぁッッ!!!」

 

 

 

 目を吊り上げて今にも殴りかかりそうな直哉とそんな直哉に何処か面白可笑しそうにニヤニヤと顔を歪めて煽る直毘人…最早三途そっちのけで健全な親子喧嘩を繰り広げている二人の姿に、三途は居心地が悪そうにポリポリと頬を掻いた。

 

 先程放った約三万から五万体もの呪霊の大群、その七割方が消滅がしたことを感じ取りながら、三途は未だにヤイヤイと言い合いを続ける二名に対してどうしたものかと頭を悩ませ───

 

 

 

「───じゃあ競争や!! 先にアイツブチ殺した方が勝ちや!! 負けた方は土下座や土下座ァ!!!」

 

「ふん…負けたらビール百年分は買え」

 

 

 次の瞬間、突如として二つの音速が三途へと牙を剥いた。

 

 術式発動による速度の著しい上昇、左右から挟み込むようにして拳と蹴りが飛んでくる…それに対して三途は何処からともなく取り出した赤いトンファーを手にそれら攻撃を防ぐ。

 

 重く伸し掛かる一撃の重み、ミシリと手に持ったトンファーから聞こえてくる材質の悲鳴に三途は思わずと言ったように笑みを浮かべる。

 

 

「仲、良いんだね」

 

「誰がじゃボケェッッ!!!」

 

 

 呟かれたその言葉を律儀にも拾い上げた直哉が怒声を上げる、断じてそのようなことは無いと否定の意味を合わせて苛立ちの表情を見せ、ソレを発露するが如くそこから瞬時に三途の背後へと高速で移動、三途の肉体へと手を伸ばす。

 

 

「でも、喧嘩するほど仲が良いって言うよ? さっきも息ぴったりだったし」

 

「偶然に決まっとろうがドブカス!!」

 

 

 触れようとした手をトンファーによって弾きながら口を開く、仲の良い親子のじゃれ合いを見守るような微笑みを浮かべる三途に対して直哉はキレながらも攻撃に転じようとする…が、そこにカウンター気味にもう片方のトンファーが叩きつけられる。

 

 顔面に一発、頬へと叩きつけられたトンファーの一撃が直哉の身体にたたらを踏ませ、そこへと更に速度と回転を乗せた回し蹴りが打ち込まれる、当然顔面。

 

 たたらを踏んだ所に置かれる回し蹴り、それにモロに直撃した直哉は受け身を取ることも許されずに吹き飛ばされる…その直後、空中から現れた影が三途の身体を覆った。

 

 

「───来たかい、女王」

 

 

 呟いた言葉の数瞬の後、三途の頭上から巨大な拳がやってくる。

 

 腕を交差させて一撃を防ぐ、ミシミシと悲鳴を上げるトンファーを無視しながら、やってきた呪いの女王の登場を三途は歓迎する…そんな三途の状況なぞ知ったことではない男が…禪院直毘人が前線へと躍り出る。

 

 パシンっと三途の腹部を一叩き、一秒間の停止に見舞われた三途の肉体へと更に蹴りを叩き込み、それに合わせるように呪いの女王は…『リカ』は、更に三途へと拳を見舞う。

 

 蹴りつけられた後にやってくる拳の衝撃、大きく吹き飛んだその先で乙骨憂太は…呪いの女王の伴侶は刀を構える。

 

 突っ込んでくる敵手の姿、あの天使をして必ず殺さねば宿儺に次ぐ厄災と成りかねないとまで言わしめた存在…それに対して乙骨は、無防備に背中を晒して突っ込んでくる三途の姿に乙骨は、何の躊躇もなくその刀を振り抜いた───

 

 

 

───ナニを、しているの?

 

 

 

 ゾクリと、乙骨の背筋が凍った。

 

 刀は振り抜かれた、このまま行けば三途と呼ばれた呪詛師の肉体はこの刃によって斬り裂かれる…そして、まるでその確定事項に物申すように、ソレは突如として現れる。

 

 虚空から空間をこじ開けるようにして現れる同時に振り抜かれる巨大な拳、振り抜かれた刀と激突したソレはいとも容易く乙骨の刀を圧し折り、同時にその先に居た乙骨の肉体も一緒に吹き飛ばす。

 

 それと並行して現れたもう片方の腕が吹き飛んできた三途の身体を優しく抱き留めるように受け止め、優しく地面へと下ろした。

 

 吹き飛ばされた末に着地し、瞬時に三途ヘと視線を投げる乙骨…その瞳に映っていたのは見慣れていたたようで見慣れない異質な光景。

 

 乙骨を吹き飛ばした巨大な腕…鋭い爪を生やしたそこに生えていたのは長く白い美しい毛並み、獣のように何処かモフモフサラサラとした毛並みが靡く風に揺れていた。

 

 白い毛並みとは裏腹に黒い装束のような…まるで人間が纏う衣服のような物をその身に纏っており、それが逆にその存在の異質さを感じさせた。

 

 狼のような顔付き、白叡を思わせる枝分かれした黒色の角に大きく生えた獣の耳、そしてその耳に飾られた金色の飾りがシャリシャリと美しい音を立てながら風に揺れる。

 

 頭部を黒いヴェールのような布が覆っている、花嫁衣装とは真逆の色をしたソレに奥で薄らボンヤリとと輝く白い光が自身を睨みつけているかのように乙骨は感じた。

 

 

 端的に言うのならば言うのならば二足歩行の人狼…しかし、その言葉だけで説明するには迷われるだけの違和感が眼前の存在にはあるのだと乙骨は直感した

 

 

 そんな乙骨の脳内なぞ知らぬと、そう言わんばかりに三途は突如として現れたその存在へと視線を向け、微笑みながらその毛並みを撫でた。

 

 

「まだ出てこなくても大丈夫だったんだよ、『リア』?」

 

「ワタシは…良くない」

 

 

 優しげな声で話しかけた三途に対して、呪霊は…リアと呼ばれた存在は明確な意思と自我の元にプイッと顔を背けた、まるで拗ねるように。

 

 呪霊とは思えないあまりに明瞭な自我、ましてや呪霊操術によって呼び出されたであろうその存在の動きに、乙骨は喉に小骨が刺さったような感覚を覚えた。

 

 そう、まるで自分自身がその光景を何処かで見たことがあるような感覚、初見ではなく既に何処かで明確に見て感じ、笑っていたような感覚を、乙骨は覚えた。

 

 

「───不思議かい?」

 

 

 そんな乙骨の疑問に、違和感に応えるように三途は口を開く。

 

 何てことないように、毛並みをするりと撫でながらゆらりと手を離し、その手に持ったトンファーを構えながら三途はクスリっと声を漏らしながら口を開く。

 

 

 

「別に難しいことじゃないよ? ただ単に───」

 

 

───『折本里香』みたいな存在が、他にも居たってだけの話だよ。

 

 

 

 その言葉に、乙骨の瞳は見開かれた。

 

 『リカ』が乙骨の側に舞い戻る、プカプカと浮かびながら憂太ぁと乙骨を呼びながらスリスリと甘えるように側に寄るリカの頭を、乙骨は変わらず撫でた。

 

 

「…さ、話はお終い…じゃあ───」

 

 

 

───続けようか?

 

 

 

 

 

 三途の言葉を合図に獣が…『リア』が吠える、白亜の毛並みを揺らしながら暴風が如き呪力の圧力を周囲にバラ撒く。

 

 白く輝く眼光が乙骨を捉える、先の薄らボンヤリとした輝きではなく明確にギラギラと爛々に輝く瞳が乙骨の姿を捉えていた。

 

 しかし呪いの女王はそれを許さない、己の想い人へと害意を向けるその存在へと『リカ』はありったけの殺意を叩きつける。

 

 女と女、互いに想い人を持ち恋に恋する呪いの乙女…最早人とは呼べない両者は、こうして今日邂逅した。

 

 呪いの女王と獣憑きの魔女…歪んだビッグマッチが此処に開催された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、そんな光景を視界の端で目撃していた羂索はそそくさと自然な動きで戦場の場を移そうと画策し、そこを虎杖にぶん殴られるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





『リア』

 呪霊、里香並の化物、何処かの海外の田舎で獣憑きの魔女と呼びれながら虐待と陵辱と迫害と苦しみの果てに死亡した女の子、呪霊と化した後に家族と村人を皆殺しにした。

 現代で受肉した後に海外で呪霊を集める旅をしていた三途と遭遇、取り込もうとしたら何故か懐かれ勝手に取り憑かれた、現在は明確に契約中。


 モチーフはエミーリアとくちゃら花嫁。

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