宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 羂索早く殺したいなと素で思ったら既に書き終わっていた…雑すぎたかなと反省したかもしれない。


飽きた/譲ってやる

 

 

───『穿血』

 

 

 放たれたのは音速を音速を超える血の弾丸、真っ直ぐと怨敵の頭蓋目掛けて放たれたその一撃は羂索が瞬時に回避行動を取ったこともあって、頭を掠める程度で終わった。

 

 ひりつく肌、あとほんの少しでも遅れていればどうなっていたかと考えてしまう思考回路、予想外の苦戦に羂索は思わずと言ったように舌を打つ。

 

 苛立ちがこびり付く、150年放置してきた残骸が今になって自分に牙を剥いてくる、150年放置してきた失敗作達が、何の変化も予想も超えない普通過ぎた凡作共が今日という日になって自分の命に手を掛けようとしている。

 

 自分の予想を超えた訳では無い、ただ基礎スペックが多少上がった以外の変化なんて…目を輝かせるような光景なんて何処にも無い、運用も応用も全て自分の予想の範囲内に留まっている…嗚呼、なんて普通なのだろうか、なんて…なんて───

 

 

「───つまらない」

 

 

 苛立ちが湧き上がってくる、煮え立つお湯のようにふつふつと内から湧き上がってくる猛烈なまでの苛立ち、楽しみにしていた遊園地が付いた頃には閉館間近であった時のような苛立ちが、羂索の中には存在していた。

 

 虎杖であればまだ良かったのに、多少なりとも自分を楽しませてくれた虎杖だけであればまだ楽しめたのに、その中に見慣れたスクラップが混じったことで羂索の気持ちは一気に冷めていた。

 

 三途が面白そうなことをしようとしている、最悪自分の計画が失敗しようと此方を見れるのならばそれはそれで良しとしようと、そんな風にワクワクとしていたあの時の気持ちが一気に冷水を掛けられたような心地になる。

 

 目線の先に映るかつての己が作り出した存在…脹相と壊相、見えはしないが恐らく何処かに居るのだろう血塗の存在…そして、その向こう側から全力で走ってきているのだろう虎杖の姿。

 

 全てが空虚に映る…自分が作り出してきた者達、多少は楽しめると思った虎杖にさえ、羂索は最早感心を持てないでいた…故にこそ───

 

 

 

 

───あぁ…飽きたな。

 

 

 

 それは紛れもない、羂索という人間の本音だったのだ。

 

 

 

 

 

───領域展開『胎蔵遍野』

 

 

 

 

 

 

 

 顕現するムンクの叫びが如き幹の根、近場に存在した禪院親子に夏油、リアのことすら巻き込んで羂索は眼前の飽きた玩具を粉砕せんと自身の最奥をいとも容易く披露する。

 

 脹相と壊相が領域内に取り込まれる、宿儺と同様に羂索の領域は結界の外殻を介さない為、取り込まれると言うのは少し違う気もするが、意味合い自体は大して変わらないように思う。

 

 何せ、入れば終わりであるというのに変わりは無いのだから。

 

 

 

───シン・陰流『簡易領域』

 

 

 兄弟同時、簡易領域の展開、相手の領域から瞬時に身を守る為の術…しかしそれも簡単に容易く呆気なく、まるで紙袋か何かのように簡単に崩される。

 

 

「凌げると思ったのかい? その程度で? …寝言は寝て言いなよ」

 

 

 腕を振り下ろす、術式発動の合図が振り下ろされる、重力を操る術式の領域展開、度を越した超負荷の重力の荒波が一斉に脹相達へと牙を剥く…それよりも速く───

 

 

 

「───領域展開」

 

 

───『写想影起』

 

 

 

 

 禪院直毘人の領域が、展開される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイツは、何時もそうだった。

 

 赤い炎、刀に宿したその炎で呪いを討ち、呪いを祓う…まるで御伽噺に出てくるような立ち姿をしていたアイツは、何時もさも当然のように言うのだ…自分は兄よりも弱いと。

 

 兄のようなオーソドックスな強さが無い、結界術が苦手だから領域どころか簡易的なものさえ使えない、精々使えて帷程度しか使えない…それに比べて兄は大抵のことを熟せるのだ…と。

 

 …確かに領域は使える、それは間違っていない。

 

 簡易領域も使える、領域を使えるのならば当然使える、当たり前のような事実だ。

 

 …だが、しかし…果たして俺は、そんな弟よりも明確に強いと、そう胸を張って言えるのだろうか?

 

 アイツの炎を見る度に思う、アイツの蒼い炎を見る度にそう思う、自身の領域を見る度にふとしたようにそう思ってしまう。

 

 俺とアイツは本気で戦ったことが無い、味方なのだから当然だとか戦う理由が無いだとかそういう類いの話ではない、どんな理由であれ俺とアイツは本気で戦ったことが無くて、それ故に何方が強いのかなんて実際の所は分からないのだ。

 

 だから俺は何時も思っていた…お前の方が強かろうと。

 

 お前は知らないかもしれないが、俺はお前の『迦具土神』を見た時に心の底からソレを恐れたのだ、その蒼い炎が魂を焼き尽くし、空間ごと相手を断ち切るその姿を確かに恐れたのだ。

 

 お前の一撃は五条悟にも届く、お前の炎は確かな証として後世に残る…お前は、俺に無いモノをたらふく持ち合わせていた。

 

 あぁそうだ、俺はお前が羨ましかった、俺には無いその才能を待つお前が酷く羨ましかった、俺では届かせられないその一撃すらも届かせるお前が心の底から羨ましかった。

 

 廻に対しても他の誰に対しても基本決して抱くことの無かった感情、実の弟に…しかも自分の方が弱いと明言すらしている人間に対して向ける感情としてはあまりにも情けないだろうこの感情…嫉妬と呼ばれたソレは、しかし俺としてどうあっても必要なものだった。

 

 アイツは気がついていなかったのだろう、俺が領域を会得したのはお前より弱い自分を認められなかったからなのだと。

 

 俺が結界術を学び習得したのは、お前が極ノ番を習得したからなのだと、弟に負けまいと意地を張り奮起した結果なのだということ。

 

 お前があの刀に憧れたあの日から、お前があの炎に憧れたあの日から、俺はずっとずっとずっとお前の炎を羨んできていたのだ。

 

 だから、だから───

 

 

 

「───…気に入らんな」

 

 

 お前の炎が呪詛師風情に使われていると知った時、俺はそいつを殺してやるのだと心に決めていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空中から無数の写真のような物が舞い落ちてくる。

 

 子供の写った写真、大人の写った写真、花嫁衣装の女の隣を緊張した様子で歩いている男の姿、子供の世話をしている百面相の男の姿、自身に纏わりついている子供の姿…それら無数の思い出と呼べるだろう写真のような何かが、ゆらりゆらりと直毘人の周辺を漂い落ちていく。

 

 

「…渋谷以来か? 貴様とこうして出会したのは」

 

「…そうなるね」

 

 

 静かだった、互いに領域を展開したというのに誰も動かない、お前を殺してやるという殺意に満ち溢れていたであろう九相図達が丸切り動かない…そんなことを横目で考えながら、しかし直毘人はソレを気にも止めない。

 

 

「───譲ってやる」

 

 突如として吐き出されたその言葉に羂索は思わずはっ? と声を吐き出す、あまりにも唐突に口から飛び出してきたその意味不明な言葉にその場に居た全ての人間が疑問を浮かべた。

 

 

 譲る? 何を? 誰に? 何の為に?

 

 其々の頭の中で浮かび上がっては消える疑問の波、当の羂索ですらその意味を測りかねているその瞬間、結界の外殻の一角が崩れる。

 

 侵入者…何時かの光景とまるで同じ光景、真人の領域へと単身乗り込んできた時と同じ情景を繰り返すように男は、虎杖悠仁は必中必殺の魔窟の中へと飛び込んでくる。

 

 突然の乱入者、予測を超えるあまりにも愚かしいその行動、愚の骨頂とも呼ぶべきその行いにしかし直毘人はまたしても気にも止めずに言葉を続けた。

 

 

「権利を持っているのはお前だ、証を持っているのもお前だ…ならば、今回ばかりは譲ってやる…精々───」

 

 

───八つ裂きにしてやれ。

 

 

 何処か重苦しい断腸の想いを吐き出すかの如きその言葉、譲ってやるのは癪だがそれでもお前に譲ってやると、そう直毘人が言ってのけたその直後…羂索の胸から刃物が生えた。

 

 ドスリと響く生々しい音、眼前に現れた黒く焼け焦げたかのような炭色の刀身、今にもボロボロと崩れ落ちてしまいそうなその刀が自身の胸から生えてきた…その事実にさしもの羂索もその瞳を見開いた。

 

 

「…使ってんじゃねぇよ」

 

 

 背後から声が響いてくる。

 

 

「そんな気軽に、当然のように使ってんじゃねぇよっ…!!」

 

 

 恨み骨髄、お前の全てを認めない…そう言うように、全身に恨みの感情を乗せたのであろう少女の声が背後から響いてくる。

 

 口元から血が溢れる、的確に心臓部を狙い突いたその一撃は確かな致命を羂索へと与えていた。

 

 何故、どうやって自身の背後へとやってきた…そんな思考を重ねる羂索へと更に叩きつけるような激情と共に少女は刃を捻る。

 

 

「それは、それは───」

 

 

───親父の炎だッッ!!!

 

 

 激情を叫びながら少女は、禪院真希は…この世の理から逸脱した怪物はその手に持った刃を更にぐりっと捻る、その先に存在する心臓を潰してやると更に刃を抉らせる。

 

 血が吐き出される、ゴバッと口から溢れ出した血液が羂索の服を濡らし地面へと音を立てて落下する…その直後、羂索の肉体から炎が溢れ出す。

 

 

「───アァァァッッ!!!」

 

 

 あの羂索とは思えない必死の咆哮、蒼い炎が全身から噴き出るように溢れ出し背後に居た真希を容赦無く焼く。

 

 ジュゥッと焼き焦げるような音が響き渡る、自身の背後目掛けて解き放たれた羂索の持ち得る最大火力が天与の怪物と化した真希へと襲い掛かり、その長い髪を焼き焦がす。

 

 痛いだろう、熱いだろう、皮膚が焼かれ息を吸えば内まで焼かれる、離れる以外の選択肢なぞ毛頭無いはずなのに、それでも真希は刀を手放すこと無く離れない。

 

 お前だけは絶対に殺す、そんな鉄の意志が垣間見える…その事実に羂索は思わずと言ったように舌を打った。

 

 

 

「───加茂憲紀ぃぃぃっっ!!!!」

 

 

 そしてそこへと脹相が征く、怨敵への憎悪を撒き散らしながら全力で駆け出してくる。

 

 赤鱗躍動を使用、身体能力の底上げを行いながら地面を全力で踏み締め、その刃を自身を生み出した呪いの原罪へと叩きつけんとする。

 

 それと同時に虎杖もまた駆け出していた、脹相の咆哮に反応するかのように弾かれるように地面を踏みつけ羂索の下へと飛び出していく。

 

 前と後ろからの同時挟撃、それに対して溜まったものではないと羂索は重力の術式を発動、『焦眉之赳』との同時併用により脳にダメージが行くがそんなこと知ったことかと羂索は使用に踏み切る───

 

 

 

「───兄者ぁぁぁぁッッ!!!」

 

 

 

 瞬間、何処からともなくやってきていた血塗が羂索の腕へと噛み付いた。

 

 唐突な激痛、あまりの驚きの連続に完全に呪力探知が疎かになっていた羂索からしてみればそれはあまりにも痛い不意打ちだった。

 

 激痛が走る、ガジガジっと肉を直接喰らわれる感覚が腕から伝わってくる、よりにもよって一番の失敗作とも言える存在に邪魔されたという事実が余計に羂索の思考を誘導する。

 

 であればこそ、それは必然だったのだろう…既に虎杖達は、目の前に居た。

 

 

 

「───加茂憲紀ィィィィィィィッッッ!!!!」

 

 

 咆哮と共に振り被られる脹相の拳と虎杖の手刀、脹相の拳は赤く染まっており、虎杖の手刀からはこれでもかと言わんばかりの嫌な予感のようなものが感じ取れる。

 

 それを認識した瞬間、それをその瞳に収めたその瞬間…羂索は、全てを悟った。

 

 

 

───あぁ…これは無理だ。

 

 

 

 

───『断』

 

 

───『黒閃』

 

 

 

 呪いの源泉が、終わろうとしていた。

 

 

 





直毘人の領域について

 一言で言うなら相手を写真、或いは金曜映画でよく見る縦に流れるアレみたいな状況にして一生動けなくする技、直哉と違って動いたら死ぬとかじゃなくてDVDの停止みたいな状況に落とし込む。

 理屈は考えていてもどう考えても作者の力量では表現出来ないのでこんな感じの使い方になってしまった領域、何だったら投射呪法でこれやってもセーフなのかどうか分からなくてこんな感じになってしまった領域、非常に残念…これも全部作者の力量が無いのがいけないんや。


羂索

 お前何やっても生き残りそうだからもう嫌だという作者の本音が出たせいでこれから死ぬことになった男、南無三。
 
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