宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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なんか別のモノを書きたくなってくる…でも書いたら絶対に呪術が止まってしまう、そのせいで真面目に書けないギャグが入ってしまう……どうすれば良いんだ


さよなら呪い

 

 

 ズルリッと、肉体がズレる。

 

 直撃した虎杖の『断』と脹相の黒閃、絶断の能力を持った虎杖の一撃は的確に羂索の肉体を斜めに真っ二つとし、そうして空いた隙間に突き刺さった脹相の一撃はそんな羂索の内臓六分を粉微塵に弾け飛ばした。

 

 激痛…どころの話ではない、最早痛みすら感じぬ程の度を越した大ダメージ、恐らく反転術式の治癒すら意味を成さぬ程の損傷を前に、羂索の肉体はドチャリっと前へと崩れ落ちた。

 

 

「…ハハッ…よりにもよって最後は君達か」

 

 

 乾いた声が響き渡る、下半身を失った羂索から漏れ出たその言葉に脹相はその身をゆったりと羂索の下と動かす。

 

 

「道半ば、志半ば…残念だ、実に残念だよ…だが、まだ終わらない」

 

 

 血と臓物の欠片を垂れ流す、即死していても可笑しくないような状況下でしかし、羂索は大して苦しんだ様子もなく嬉々とした様子で言葉を紡ぐ、まだ終わっていないとその目を見開く。

 

 

「きっと彼は私の意思を受け継いではくれないだろう…それでも、その行き着く先は私の望んだ結末であるに違いない」

 

 コツリコツリと足音が響く…徐々に近づいてくる殺意の源泉、自身へと向かい来る死を告げる存在…それでも羂索は心底面白いといいたげな様子で言葉を紡ぐ。

 

 

「まぁ、頑張ると良い…私は、その劇を特等席で味わわせてもらう…精々───」

 

 

───踊り狂うが良いさ。

 

 

 

 

 満面の笑みの下に放たれたその言葉、呪いを周囲に刻みつけるかのように強く響き渡ったその言葉と同時に、脹相の足が羂索の頭蓋を踏み潰した。

 

 グチャリっと飛び散る羂索であったはずの何か、血肉と脳髄が足へと付着しその靴の色を変色させていく、飛び散った赤色はその頰にまで付着し、飛び出した目玉がコロコロと虎杖の足元へと転がった。

 

 

「───終わった」

 

 

 脹相が呟く、何処か他人事のように。

 

 目の前で潰れた怨敵、母を辱め弄んだ唾棄すべき男、殺したくて殺したくて仕方の無かった今生最大の仇…それが今、目の前で死んだ、自分自身の手で。

 

 嬉しいはずだ、望みが叶ったのだ、心底から嬉しいはずなのだ…しかし何故だろう、脹相の心中にあるのは終わったという何処までも無機質で無感動な一言だった。

 

 どうしてだろう…待ち望んだはずなのに、心底からそうすることを望んでいたはずなのに、そうなることを望んでいたはずなのに…どうして───

 

 

「───兄貴」

 

 

 ふと、声が聞こえた、愛おしい弟の声が。

 

 振り向いて弟の姿を直視する、自分と同じように血に塗れた地面の内側に立っている弟の姿を脹相は驚いたように見つめていた…そんな兄の姿に虎杖は可笑しそうに笑い───

 

 

「───お疲れ様」 

 

 

 そう告げた。

 

 瞬間、脹相は悟った、至極当たり前の事実にようやく気が付いた…自分は、これが見たかったのだと。

 

 望まず絡みついた据、生み出され作り出された己達に課せられた呪いの罪過…その全てから解き放たれた弟達の姿、ただそれだけが見たかったのだと。

 

 弟達はそんなこと考えていないだろうし、自分が単にそういう風に大袈裟に捉えているだけかもしれない…それでも───

 

 

 

───俺は、この瞬間を待ち望んでいたんだ。

 

 

 

 漏れ出た涙が頬を伝う、単なる労いの言葉が心の臓に突き刺さったように深く脹相へと突き刺さる…そんな脹相の身を案じて虎杖が、血塗が、壊相が…弟達が心配そうに駆け寄ってくる。

 

 その姿に、その様子に…脹相は万感の想いを心中にて吐き出した。

 

 

 

───あぁ……ようやく始まった(終わった)

 

 

 

 

 

───『羂索』 死亡

 

 

───死因 脹相による頭蓋骨の粉砕。

 

 

 

 呪いの罪過は、此処にて幕を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───困ってるかぁ傑?」

 

 

 何処か、舐め腐ったような声が聞こえた。

 

 仰向けに倒れ込んだその真正面に写ったサングラスを掛けた白髪の親友の姿、その蒼い瞳と口元をニタニタニヤニヤと歪めながら煽るように言葉を投げかけるその姿に夏油はその顔面に拳を叩き込みかけた。

 

 

「…困っていないように見えるのかい?」

 

「いや? 思い切り困ってるように見える、大変そうだなぁ?」

 

 

 軽いやり取り、起き上がりながら返したその言葉に五条は笑みを浮かべながら応え、次いで飛んできた呪力の砲弾を片手で弾き飛ばした。

 

 咆哮が轟く、白い白亜の獣が雄叫びを上げながら突っ込んでくる、道中に配置しておいた等級の高い呪霊を千切っては投げ千切っては投げを繰り返し、鏖殺に次ぐ鏖殺を繰り返しながら此方へと向かって来る。

 

 一級程度では最早歯が立たず、よしんば特級を出しても何故か術式が効かず場合によっては一撃で粉砕される…正しく獣と呼ぶに相応しい暴虐の化身のような暴れっぷりに夏油はやれやれと頭を掻き、五条はそんな『リア』を視界に捉えるや否やうげっと声を上げた。

 

 

「どうした?」

 

 投げかけられる疑問の言葉に五条はいやっと言葉を濁す、何処か面倒くさそうなモノを見つけたと言わんばかりの苦い表情で『リア』の暴れっぷりを眺める五条の姿に、夏油は得心が言ったと言わんばかりの表情で立ち上がった。

 

 

()()()()()()か? アレの術式は」

 

 

 確信を得て言ったのだろう夏油の言葉に五条が顔を背ける、何故だが下手くそな口笛すら聞こえてきそうな様子で明後日の方向を向く五条に対して夏油はその首をむんずと掴んで視線を元の位置へと戻した。

 

 

「なんか俺の会う強い奴等、どいつもこいつも俺に対してガンメタ積んでくるような奴等ばっかりなんだけど」

 

「君が強いのが悪いんだろう、良いから手伝えよ」

 

 

 何処かグズるような口調でそんなことを宣う五条の言葉を夏油は良いから手伝えと一刀両断に切り捨てる。

 

 術式の無効化という言葉に良い思い出がないのだろう、ふとしたように夏油が思い出したのは学生時代に廻の敬愛する兄に対して煽り言葉を言ったと共に喧嘩を売った結果、ボコボコに伸された五条の姿である。

 

 『天逆鉾』と『黒縄』の術式妨害コンボによって乱され停止させられた術式、その一瞬の隙間に差し込まれた顔面ストレートからの膝カックン、そこから更に流れるように繰り出されたプロレス技に地面をバンバンと叩く五条の姿は、今でも夏油の爆笑記録として色濃く残っている、何だったら今でも思い出す度に笑い出しそうになる。

 

 

「…ププッ」

 

「おい、なんで今笑った? おいなんで笑った傑? 場合によっちゃ出るとこ出るぞヘンテコヘアー」

 

「良し分かった良いだろう、表に出ろ悟」

 

 

 五条はさりげなく夏油の逆鱗に触れた、例え誰であろうと自分の髪型を馬鹿にする人間を夏油は許すことが出来なかった、本当に相手が誰であろうと髪型を馬鹿にした奴等は地面の染みにすると決めているのだ。

 

 突如の豹変、先程までの真面目な雰囲気は何処へやら、今にも喧嘩を引き起こしそうなピリピリとした雰囲気を辺りにバラ撒く二人にその光景を見ていた同級生と先輩と教師は頭に手をやった。

 

 そして…あまりに何の脈絡も無く始まろうとしている仲間割れに当の敵であるはずの『リア』は何処かポカンっとした様子で二人の様子を見つめていた。

 

 思考が追いついていない、今間違いなく共闘して自分と戦う流れだったよね? 絶対にそうだったよね? なのになんで険悪な様子で今にも殴り合いを始めそうな状況になっているのだろう、訳が分からない…『リア』の思考を纏めてしまうとこうなる。

 

 『リア』自身は呪霊ではこそあるが、その実態は原典に於ける呪霊直哉と同様に人間であった頃の人格を色濃く残している特異なタイプの呪霊に近い…それ故に『リア』の思考回路は未だ人間的な部分が多く、眼前の光景に混乱するのも必然であったと言えた。

 

 何処かアワアワとした様子で夏油と五条を行ったり来たりとする『リア』の瞳、『リカ』と比べてみても非常に人間的に思えるその動作に観戦者の先輩代表が呆れの表情を二名へと向けた…敵、しかも呪霊相手に何をさせているんだと。

 

 ギャイヤギャイヤッ! ギャイヤギャイヤッ! …未だにキャンキャンと言い合いをしている馬鹿二人、揃えば絶対にガキに戻ってしまう何時もの二人の姿に夜蛾は決心する…終わったら五条と廻を交換してもらおうと。

 

 そんなシリアス何それ美味しいの? とでも言いたくなるようなあまりにも緊張感の欠片も無い戦場の下へと、隕石のように何かが落下してくる。

 

 轟音と共に突っ込んできた物体、勢い良く空中から地上へと叩きつけるようにやってきたその存在に五条と夏油の言い合いは停止し、その表情もまた戦場のソレへと戻る。

 

 大きな土煙を巻き上げながら落下してきた物体…『リカ』に抱えられた乙骨はその肉体に反転術式を掛けながら睨みつけるように空中へと視線を移し…次いで、直ぐ様その視線を『リア』の方向へと向けた。

 

 

「ただいま『リア』…楽しめたかな?」

 

『あっ、お兄ちゃん』

 

 

 トンッと軽く靴を叩くような軽やかな着地で『リア』の肩へと舞い戻る三途、先と変わらず余裕そうな態度を崩さないその姿に乙骨は冷や汗を流し…次いで、互いに掴みかかっている五条と夏油の姿を見た…乙骨は、全てを察した。

 

 

 

「二人とも真面目にやってください!! 良いお年でしょう二人とも!?」

 

「「あっはい」」

 

 

 

 乙骨はキレた。

 

 

 

 

 





『リア』

 術式効果:自分に触れた全ての術式の無効化、停止ではないせいなのか呪霊操縦は無効化出来ない。

馬鹿二人

 作者の見たかった光景。
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