宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 モンハンワイルズやってたら時間が掛かった。


手段じゃない

 

 

「───アハハハハハハッ!!!」

 

 

 楽しそうな笑い声が響き渡ると共に、放たれた呪霊が爆散する。

 

 弾け飛ぶバッタ型の呪霊、大きさで言うなら大凡1m程度であろうか、大量に射出されていくそれに夏油は同じようにイカのような呪霊を射出し、それら全てを迎撃していく。

 

 苛立ちが前面に出たような表情、相殺しまるで爆竹か何かのような音を金切り立てて吹き飛ぶ肉片の塊が地面へと転がり、次の瞬間には消滅していく。

 

 そんな光景を横目で追いながら、夏油は片刃の剣を片手に疾走を開始する。

 

 踏み出し駆け出していく夏油の足、激突し弾け飛ぶ呪霊の大群のその隙間を夏油は猛スピードで縫うように駆け抜ける。

 

 時間にして大凡三秒とそこら、並大抵の術師であれば踏み出すことすら出来ず圧殺されるだろう物量の中を夏油傑は容易に踏み越え、その手に持つ剣を三途へと振り抜いた。

 

 顔面目掛けて振り抜かれた銀色の刃、急速に突っ込まれ振り抜かれたその一撃を三途を顔を僅かに動かすことで躱した。

 

 僅かに薄く彩る、掠めるように頬へと奔った一筋の傷の痛み…赤く染みを作るその傷に三途は堪えきれぬと言わんばかりに笑みを溢れさせた。

 

 返す刀で三途へと剣を振り下ろそうとする夏油、その脇腹へと蹴りを叩き込んで強制的に距離を開かせる、後方へと飛び退きながらの蹴りにはそこまでの威力は無いが、それでも互いに距離を取らせるだけの威力はあった。

 

 足を地面へと叩きつけるように踏み締め勢いを殺す夏油、剣を構えて再び駆け出そうとした夏油の元へとすかさず三途は百足型の呪霊を振り下ろす。

 

 さながら鞭、百足の尻尾に当たる部分をガシリッと掴み上げ遠慮も容赦も無く夏油目掛けて振り下ろす、急速に迫る振り抜かれた赤い百足の姿に夏油は横合いへと飛び出すように回避する。

 

 回避した先で響く生々しい音と気色の悪い悲痛な悲鳴、紫色の血液をばら撒きながら叩きつけられた衝撃で文字通り爆散した百足の呪霊の肉片が夏油へと付着する…それを嫌そうな表情で拭い去る夏油の元へと三途は狂気を携えながら突貫する。

 

 ギチギチと音を鳴らして現れるクワガタのような呪霊、三途の腕ヘとその身を乗せたそれはまるで籠手か何かのように三途の腕へとへばり付いた。

 

 クワガタの顎が開口を繰り返す、鋭く硬質そうな音はその脅威を知らしめているかのように感じられ、その予感を現実のものとしてやろうと言わんばかりに三途はへばり付いたクワガタの顎を夏油目掛けて突き出す…その瞬間、予め用意されていた呪力の塊が三途の右腕を撃ち抜いた。

 

 

───『うずまき』かっ…!

 

 

 苦悶の表情、迸る痛みの中で反射的に自らの右腕を撃ち抜いた物の正体に三途は勘付いた。

 

 極小の『うずまき』…原典に於いて羂索が九十九由基の不意を突く為に使用した極ノ番の応用、それが今ここに本来の持ち主の手によってその牙を晒した。

 

 撃ち抜かれた右腕、完全な不意打ちであったが為なのか、防御をする暇も無く撃ち抜かれた右腕はへばり付いていたクワガタごと真っ二つに割れていた。

 

 中指と薬指の間、その中心部から内側までをドリルとチェンソーで無理矢理抉じ開けたかのような様相、砕けた骨が肉のあちこちに突き刺さっているその光景は耐性の無い者が見れば吐き気を見ることすら叶わぬ程の凄惨さを持っていた。

 

 しかし、だから何だと言うのか、こんなことは呪術師からしてみれば日常茶飯事である…そう言わんばかりに、眼前で剣を大上段から振り下ろそうとしている夏油に対して、三途は呼び出した呪霊の内側から引き抜いた十手のような小太刀で応戦した。

 

 衝突する鋼と鋼、火花を散らして激突した両者の獲物はギリギリと鍔迫り合いを繰り広げる、片腕の逆手持ちの三途に対して夏油は両手持ちの順手、上から押し潰すように剣へと圧力を掛けていく夏油は堪えきれぬと言わんばかりに言葉を溢した。

 

 

「お前は…何がしたいんだっ…!?」

 

 

 それは、既に解を得たはずの問い掛けだった。

 

 

「さっき言わなかったかなっ!? 世界に呪霊の存在を認知させる…それが僕の───」

 

「───そういうことじゃないっ!!」

 

 

 一喝…分かり切った答えを律儀にも再び口に出そうとした三途へと吐き出される否定の言葉、それと共に三途の肉体に蹴りが叩き込まれる。

 

 

「私が知りたいのは、その先にあるお前の望みだ! お前は一体何を望んでいる!? 世界中に呪霊をばら撒き認知させたその先で、お前は一体何をするつもりだ!?」

 

 

 言いながら剣を振り抜く夏油、蹴りで距離を取ってからの更なる踏み込み、距離を取ったと思考している人間の不意を突くように前へと踏み込んだ夏油の斬撃を三途は小太刀の十手部分に引っ掛けるようにして止めた。

 

 火花が散る…ギャリギャリと鉄と鉄の擦れる耳障りな音が両者の耳へと届く、三途が押さえ込み夏油がそこから抜け出そうとする…先程までとは逆の関係性の中で夏油は絶えず口を開いた。

 

 

「答えろっ!! 呪霊を世界にばら撒き認知させる…その手段の先でお前は何をする気だ!?」

 

 

 疑問に重ねる疑問、何処までも行ってもお前の行動理念を理解出来ないのだと暗に言ってのける夏油に三途は何処か困ったような表情を浮かべた…それこそ、当たり前だろう。

 

 

 何故なら───

 

 

「…手段じゃないんだけどなぁ」

 

 

 

 何故なら三途にとって、それこそが明確な目的であって、手段などではないのだから。

 

 呆れたように、困ったように、仕方のないモノを見るかのような口調でそう言葉を溢す三途に夏油は目を見開いた…そして、それはあまりにも杜撰な隙丸出しの行動でしかなかった。

 

 反転による治癒、失った右腕が瞬時に再生され、再生されるが否や三途は生えた右腕を夏油の首筋へと打ち付けた。

 

 首元に奔る激痛、息が詰まり呼吸がままならない、一時の呼吸の停止に視界が狭まり酸欠を引き起こしかける…そこへと、三途は滑らせるように小太刀を振るった。

 

 視界が狭く呼吸も危うい、あとほんの一秒でもあれば元の状態に戻るのだろうがそれでは足りない、呼吸が戻る前に三途の小太刀は夏油の首へと届く…ならばどうするか。

 

 歯を食いしばって呪力を捻り出す、自身の影から溢れるモノへと意識を集中させ、その召喚を最速のモノへと押し上げる。

 

 飛び出てくるのは亀の甲羅、夏油の影から迫り上がるように出現したそれは三途の斬撃の目の前に飛び出し、迫る斬撃をその身で受け止めた。

 

 亀の呪霊…五条と廻とで川遊びに行った際に夏油が偶然釣り上げ取り込んだ呪霊、等級で言えば二級そこらのこの呪霊はしかし、こと防御方面だけで言えば特級にすら匹敵する程の頑強さを持ち合わせていた…そして、そこに更に夏油自身の呪力強化が上乗せされる。

 

 結果、放たれた三途の斬撃は甲羅に斬撃痕を付けるだけに留まった、深く斬り込まれた斬撃の跡からはそれが如何に強力な一撃であったのかが伺える。

 

 舌を打つ、あともう少しで決めきれたと言う所での突然の妨害にさしもの三途も不愉快の感情を顕とし、亀の呪霊へと刻んだ傷跡目掛けて自らの拳を突き入れる。

 

 全力の呪力強化状態から放たれた打撃、深く刻み込んだ傷跡目掛けて放たれたその一撃は亀の甲羅を貫通する、自身の身体を突き抜けられた亀の呪霊は小さく悲鳴をあげながら消滅していく。

 

 黒ずみ消滅していく呪霊の身体、炭が散らばって吹き荒んでいくような光景…その向こう側から、唐突に槍の切っ先が飛んでくる。

 

 先程も使っていた夏油の槍、消滅していく亀の呪霊を目隠しに抉るような突きが放たれる。

 

 これまた舌打ちを一つ、放たれた抉り突きを小太刀で軌道を逸らして防ぎ、十手の部分に引っ掛けながら小太刀を地面へと深く突き刺し、槍の動きを封じる。

 

 

「───『混呪(キメラ)』」

 

 起き上がり越しに唱える未開の詠唱、三途の右腕が緑色に変色し更にそこからミチミチッと音を立てながらその形状を変化させる。

 

 多少折れ曲がった緑色の腕、腕部の先に付いた若干ギザギザとした鎌のような形状をしたその腕からは変わらずミチミチッと生々しい生物としての音が鳴り響く、発せられる匂いも既に人間のモノではなく、何方かと言うと虫の匂いに近いように感じられる。

 

 分かる人間ならば即座に分かる形状、緑色の体色に鎌を携えた虫の腕部…人はそれを、カマキリと呼ぶ。

 

 

 振り抜かれるカマキリの鎌、突如として異形の存在へと変化した三途の右腕に夏油の思考が集中するが、それでも放たれた一撃に過敏に反応した夏油は身体を屈めることで放たれた一撃を躱し、そこから一気に肉薄しようと足先へと力を込める。

 

 

「───ふざけるな」

 

 

 瞬間、夏油の足先から火花が飛び散る。

 

 僅かに溢した言葉から漏れ出る苛立ち、それを前面に押し出すように踏み出した夏油の肉体は急速に加速し、三途の意識の隙間すら飛び越えて三途の顔面へと拳を叩きつける。

 

 瞬間、再び黒い火花は飛び散った。

 

 

「バラ撒くのが手段ではない、ならばそれそのものが目的とでも言うつもりか? …ふざけるなッッ!!」

 

 発露する怒りの中で夏油の意識が加速する、黒閃の発現によって加速した意識と過敏になった感覚の中で夏油は再び拳を振り被り、三途の鳩尾へと怒りのままに拳を叩きつける。

 

 

「それに…その行いに一体何の意味があるッ!! ただただ外側の人間が死ねば満足だとでも言う気かお前はっ!!!」

 

 

 怒る、怒る、怒る、怒る…あまりにも理不尽なその行いに夏油傑は怒りのままに黒い火花を発現させる。

 

 海外には術師が少ない…それは、呪いの本場であるこの国の共通認識であり、同時に海外の現状を現している言葉でもあった。

 

 海外の術師が少ないのはそもそも呪霊が少ないからだ、海外の上層部にすらその存在を認知されていないのはそれだけ呪霊の存在が薄いからだ、対抗策を持たないのはそれだけ呪霊による被害が少ないからだ。

 

 良い事だと夏油は思う、呪霊による被害が少ないというのは手放しで喜んで良いことだと夏油は思う、何れ日本もそのようにしたいと夏油自身も考えている…だからこそ認められない、怒りを抑えられない。

 

 何故なら目の前の敵手がやろうとしていることは世界中の国をこの国と同じ状況に落とし込むことだからだ、世界に存在する全ての国々を日本という魔境へと変えてしまうことだからだ。

 

 呪いを知らしめるとはそういうことなのだ、呪いを認知させるとはそういうことなのだ、世界の全てにこの国の苦労と痛みを知らせるとは正しくそういうことなのだ。

 

 故に認められない、それ故に断じて認めてはならない、それだけは絶対に引き起こしてはならない事例なのだ。

 

 

 だからこそ───

 

 

「───やはりお前は、ここで祓う(殺す)

 

 

 最早夏油傑は眼前の存在を人とは認識しない、夏油傑は三途という存在を世界に呪いをバラ撒く厄災と認識する。

 

 無力を救い、理不尽を砕く…弱者救済こそが夏油傑の望む願いであればこそ、夏油傑は三途の存在を認められないのだから。

 

 

 故に、刮目しろ。

 

 

 

「───領域展開」

 

 

 

 

 夏油傑の信念は、此処にある。

 

 

 

 

 





混呪

 三途のオリジナル、取り込んだ呪霊の一部を自身の肉体へと反映、転写させる技。

 反映、転写させた呪霊は転写と同時に消滅する、所謂呪霊を使い捨てにする類の技。


サマーオイル

 ギャラルホルンの正義はここだ…皆、バエルの元に集えっ!!
 
 …イメージとしてはこれだよねって。




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