宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 最近ゼンゼロも始めた、大変。

 しんちゃんの映画を見てると童心を思い出してしまう、昔が遠いと思う今日この頃。


三途④

 

 

 青空が、澄んでいる。

 

 さんさんっとした日の光が自身へと降り注ぐ、白い雲が悠々と青空の元を澄み歩き、太陽は相も変わらず頑なとしてそこに在る…気持ちの良い天気とは、きっとこの事を言うのだろうと三途は何気無く思った。

 

 視線を動かす…此方を見つめる最強二人に最優一人、其々の一人たりとて自身を殺し得る最悪の戦力の一人だと言うのだから光栄と言うべきなのか不幸と言うべきなのか…恐らく後者なのだろうと三途は思うが、しかしながら闘争を楽しむという性質を持つ三途からしてみればそれはもう褒美と言う他無い代物だった。

 

 クスリッと笑いながら、両腕に意識を集中させる。

 

 呪霊となった己の肉体を対象として術式を使用する感覚、『混呪』の時とは違う、自身の肉体を呪霊のソレへと置き換えるのではなく呪霊の己の肉体をより鋭利に、鋭く醜悪に、人を殺す形へと変貌させる。

 

 ドクンドクンと脈打つ両腕、肥大化し剥き出しの筋肉のように赤く紅く変色し脈打っていく己の腕、血管があちこちに浮かび上がりそれら紫色の血液を運び込む様が嫌でも目に映る。

 

 骨がバキリッと音を鳴らす…折れたわけではない、肉の肥大化に合わせて強制的に成長を始めた己の骨格がその形を肉同様に殺す為の形へと変わろうと蠢いている音だ。

 

 肉の外側へと骨が突き出る…太く厚く重く、傍から見てもその頑丈性が分かってしまう程のソレが腕の先端から突き出し、その形をグググッと徐々に徐々に折れ曲がらせていく。

 

 グチャリッベキリッと音を鳴らす骨と肉、あまりに異様なその光景に夏油は思わずと口に手を当てた、例え呪霊であろうと眼前のような光景に至ることは無い、呪霊操術という最も呪霊に関わるだろう術式を持つ夏油であっても三途のような変化を見せる呪霊を夏油傑という人間は見たことが無かった。

 

 折れ曲がる、折れ曲がる、折れ曲がる…まるで鎌のような形となった巨大な骨は見るものを恐怖させるような歪な気配を放っている、斬られれば死ぬという本能的な直感を人間に与える。

 

 

 スゥッと三途が息を吸い上げる、その命を実感するように息を吸い上げながら澄み渡った青空を見上げる。

 

 

───あぁ、良い天気だ…本当に、良い天気だ。

 

 

 心中の膿を吐き出すように、純粋に感じるがままにそう内心で言葉を吐き出した三途は───

 

 

 

───死ぬには良い日だ。

 

 

 

 自身の命が無くなるかもしれないその戦いに、容易く足を踏み出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 踏み出された足、ゆったりとした動きで電灯の上から降りるかのように踏み出されたその足は、しかし何かを踏みつけるようにトンッと空を叩く。

 

 加速する、叩いた空をそのままにゴウっと地面を踏み締め弾いたような音を鳴らしながら三途はその身体を加速させ、自らの射程距離へと一息の間に踏み込んでいく。

 

 反応したのは甚爾だった、同じく空を蹴る歩法を身に着けている甚爾はその僅かな予備動作から三途の動きを予測、三途が加速すると同時にその動きに合わせて斬撃を放った。

 

 狙いは首筋、突っ込んできた三途が自らの斬撃に飛び込んで来るような位置に甚爾は斬撃を置いた、そのまま行けば間違いなくその刃は三途の首筋へと食い込みその命を刈り取るだろう…そんな斬撃だった。

 

 刃が迫る、釈魂刀…魂を観測した者が振るえば相手の硬度を無視して斬り裂くことの出来るルール無用の絶対切断、急所に当たれば流石の三途も即死は免れないのだろうその刃を前に、しかし三途は怯えない。

 

 躱した、上へと…刃が当たるその直前、刃が肉体に触れるその直前に三途は自らの額を刀の腹に擦り付けるように当て、そこを軸として回転するような形で置かれた斬撃を躱した。

 

 頭のおかしい動きだ、人体としては有り得ない訳では無いが常人は愚か達人ですら出来る訳がないという断言するような動き、さも曲芸の延長ですと言わんばかりの当たり前のような顔でソレを成した三途は甚爾は心底からの驚愕の表情を向ける…そこへと、三途は自らの鎌を振り抜いた。

 

 紅く気色の悪い肉に塗れた骨の鎌、音を込めて振り抜かれたそれが甚爾の首筋にお返しと言わんばかりに振るわれる。

 

 迫る刃、先程とは真逆の関係、音を超えて振るわれたその鎌の一撃を甚爾は僅か一歩引くだけの最小限の動きで鎌を躱そうとする…が、直後として僅かに三途の腕が蠢いたのを甚爾は見逃さなかった。

 

 伸びる、腕が伸びる、一歩引くだけの動きで斬撃を躱そうとした甚爾の動きごとその首を刈り取ろうと三途の腕が蠢きながら伸びた。

 

 咄嗟に頭を下げる、横薙ぎに振り抜かれたその一撃を咄嗟に判断で躱した甚爾はそこから踏み込んで三途の肉体を斬りつけようと足を踏み出し…そこへと、三途の膝小僧から飛び出るように骨の刃が突き出してくる。

 

 

 

───腕だけじゃねぇのかよっ…!?

 

 

 悪態を吐きながら後ろへと方向を転換する、下がらなければ直撃していたことだろうその骨の刃、かするかかすらないかの瀬戸際でもあったソレが目の前を通過していく…その事実に冷や汗を流しながら甚爾を息を吐き出した。

 

 次が来る、先と同じように腕を伸ばしての斬撃、違うのは先のような不意打ち染みたものではなく堂々とリーチを伸ばしての斬りかかりであるということ。

 

 骨の鎌がやってくる、今度は首ではなく当てやすい胴体を狙って甚爾の命を刈り取りに来る…そんな二つの異形の腕に対して甚爾は飼っている格納呪霊へと手を伸ばした。

 

 

 

───術式順転『蒼』

 

 

 

 そんな甚爾の真横から放たれる収縮の蒼、迫る二つの大鎌を一緒くたに捻じり取り、そのまま成す術も無く大鎌二つはぐちゃぐちゃに捻じられ潰されていく。

 

 腕の肉ごと抉られた消失した三途の骨鎌、ぽっかりと無くなった自身の獲物にしかし三途は頓着しない。

 

 何せ呪霊なのだ、骨も肉も直ぐに再生する…事実、抉られたその僅か数秒までの間に三途の腕も鎌もその全てが再生していたのだから。

 

 再生までの時間が短い、下手に斬り落としても直ぐに再生して襲い掛かってくる…下手な怪物よりも厄介なソレを前に甚爾は格納呪霊からソレを取り出した。

 

 

───特級呪具『游雲』

 

 

 斬って駄目なら殴って殺す、手数と威力の両方が揃ったその武器を甚爾は手にした…そんな甚爾の横に五条が並ぶ。

 

 

 

「───遅れんなよ」

 

「───誰が」

 

 

 互いに吐き出すのは悪態に近い言葉、端から互いの援護なぞ期待もしていないその言葉の応酬と共に両名は一斉に駆け出した。

 

 放たれる二つの大鎌、音を超えて迫るソレを甚爾を游雲を巧みに操りながら弾き叩き落としていく、迫る無数の斬撃の一つ一つを一切の例外無く魚を落とすが如く捻じ伏せる。

 

 ズガガガガッと連続して鳴り響く打撃の音、久しく見ることの無かったその連撃に次ぐ連撃に相変わらず速えぇ…と、頰に冷や汗を貼り付けながら五条が側面から三途へと打撃を叩きこまんとする。

 

 一つの腕を五条へと差し向けるのは簡単だ、しかしソレをすれば三途は伏黒甚爾という怪物の接近を許すことになる。

 

 三途にとって伏黒甚爾は度を越した怪物だ、見ただけでそれが解るのだ、伏黒甚爾の純粋な戦闘能力はともすればあの禪院廻すらも凌駕している。

 

 冗談じゃない、ただでさえ純粋な体術勝負ですら廻に勝ったことが無いのにそんな廻よりも上の怪物を接近させるなぞ愚の骨頂である、ましてや術式を使用してようやく張り上げるレベルの相手となれば尚更と言える。

 

 近づけるのであれば五条悟の方がマシ…それが三途の脳内で導き出された結論だった。

 

 

 

 …だがしかし…残念かな、五条悟は最強である。

 

 

 

 

 

───『黒閃』

 

 

 

───このタイミングでかっ…!?

 

 

 

 弾ける黒い火花、順転の蒼も盛り込んだ打撃が三途を打つのと同時に迸る覚醒の狼煙、あまりにもタイミングの悪いその黒の発露に三途は思わず悪態をつく。

 

 跳ね上がるボルテージ、五条悟の120%の上限が解放される、幾ら頑丈になっても黒閃は何処まで行っても痛いことに変わりはないのだと言わんばかりに三途の体勢が崩れる。

 

 そして、天与の暴君はそれを見逃さない。

 

 ほんの一瞬、ただの一瞬…与えられた本当の本当に僅かな時間の間に甚爾は乱れた斬撃の全てを弾き飛ばしながら三途の懐へと侵入した。

 

 

───マズっ…

 

 

 叩き込まれる無数の連打、マズイと認識したその時点で無数に打ち込まれ続ける怪物の乱打乱打乱打、下手をすれば禪院廻のソレよりも遥かに重く響いてくるその連打にさしもの三途も堪らないと言わんばかりに呪力を放出する。

 

 内側から爆発を起こしたのではないかと言わんばかりの至近距離の呪力放出、爆音を響かせながら強制的に二人の怪物を押し戻した三途は荒く息を吐き出しながら傷を再生させ───

 

 

「───誰か一人忘れてないかいっ!?」

 

 

───極ノ番『うずまき』

 

 

 そこへと、上空に位置していた夏油傑の奥義が叩き込まれる。

 

 更なる爆音、地面を抉り取りながら放たれたその一撃に三途の身体が押し潰される、特級相当の呪霊を種火として作り出されたうずまきの威力たるやは凄まじく、更に更に三途の身体を地中深くへと押し込んでいく。

 

 普通ならばここで終わる、ただの呪霊ならば…ただの特級程度の存在ならばここで終わる、何も出来ずにくたばり屍を晒す。

 

 

 

「───…化物が」

 

 

 夏油が呟くと同時に、放たれたうずまきが細切りに斬り刻まれる。

 

 ガヒュッと鳴り響く言葉に尽くし難い奇妙な音、『うずまき』という呪力の塊に奔った無数の線が衝撃波と共に弾け飛ぶ、吹き荒ぶ風が夏油の髪と衣服を揺らし、その瞳は眼前の化物の存在を認識する。

 

 大きく空いた穴の底、暗闇に包まれた空洞のようにも見える底から這い出して来るのはその腕を異形へと根底から塗り替えた人間であったモノ…その背部からは、先程まで存在していなかったはずのナニかが生えていた。

 

 肋骨…とでも言えば良いのだろうか、背部から左右四本ずつ生えてきた太く鋭い骨、まるで蜘蛛の足か何かのように分かれキチキチッと揺れ動くその様子は宛ら尾か何かのようにも思えた。

 

 金色の瞳が夏油を映す、光を映さないその瞳がただ真っ直ぐと夏油を見据える…ただ真っ直ぐと見据えて───

 

 

 

「───あはっ」

 

 

 先の死の手前を忘れたかのように…嗤った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 肉体変質はある意味ではロマンってじっちゃんが言ってた。
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