宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 ちょっと簡素…いやだってあれ書いてこれ書いては作者の力量的に無理ですやん。

 …これの技名何にしようかなぁ(遠い目)


やめたげてよぉ!!? by,沖縄

 

 

 『茈』が、混じり合っていくのが見えた。

 

 膨張し、圧縮し、膨れ上がり、縮んでいき、ボコボコと沸騰したお湯みたいになっている光景が見えた…時間にして、大凡数秒。

 

 破裂間際、虚式と虚式のぶつかり合い、その果ての混じり合いの末の破裂…当然、そのまま出てしまえば俺もアイツもただでは済まない。

 

 そしてなにより、今もなお何も知らずスヤスヤと寝ているであろう廻達が危なかった…それは、眼の前のクソ女も分かっていたのだろう…だから───

 

 

 

「「領域──」」

 

 

───展開

 

 

 

 

 次いで俺と女の取った行動もまた、全く同じものであった。

 

 

 領域を使用した、虚式の威力の減退…それが、俺とクソ女の選んだ選択だった。

 

 

 同時に行われた領域の展開、そこには本来なら発生するはずの領域の押し合いは存在しない。

 

 不可侵、今に限っては決して踏み入るまいと無意識的に決まった暗黙の協定、期限は目の前の絶対の破壊を抑え込むまで…ただその為だけに必中必殺の庭が俺達を中心として広がっていく。

 

 そして完全に領域が展開し終わった瞬間、混じり合った虚式が音も無く弾け飛んだ。

 

 その刹那、視界に飛び込んで来る白色、視界全域に広がる白が俺とクソ女を飲み込んでいく。

 

 

 

 全身に、激痛が奔った。

 

 

 

 

 

「………ッッ!!!!!」

 

 

 奥歯を噛み締め、身体に力を込めて痛みに耐えながら領域を全力で維持する、反転術式を掛けるのも忘れない。

 

 痛い、痛い痛い痛い…白が身体に触れた瞬間、全身のありとあらゆる部位が溶け出したような痛みが奔った、全身がゆっくりジリジリと消し飛んでいくような感覚が身体中を巡る。

 

 声を出すことも、息を吐き出すことすら許されない、それ程までの絶対的な痛みが、俺の身体を駆け巡っていた。

 

 

「………ッッッ!!!!!!」

 

 気は抜けなかった、ほんの一瞬でも気を抜けば領域を突き破って溢れ出してしまいそうな絶対の破壊、人など塵芥のように消してしまえる程の災害が目の前にある。

 

 どうして廻が俺の虚式を二度と喰らいたくないと言ったのかがほんの少しだけ分かった気がした、確かにこれは喰らいたくない。

 

 バキリバキリと身体からナニカの砕ける音と、周囲一帯からガラスの砕けるような音が聞こえる…領域が、砕け始めた。

 

 想定以上と言うしかない、虚式と虚式をぶつけるとこうなるのかと素直に驚くしかない。

 

 舐めていた、虚式の可能性を、ただ仮想の質量を押し出して相手を殺す威力激高の必殺技程度にしか考えてなかった。

 

 ジリジリと肉体を削られていく、反転が間に合わない…消えていく、俺という存在が、ゆっくりと。

 

 どれだけ経った? 辺りはどうなった? 領域は破れたのか? 廻は無事なのか?

 

 分からない、見えない、感じない…白以外の何も存在しない…これが、虚空というやつなのか…初めて知った。

 

 そんな半ば思考放棄とも取れるような考えを頭で巡らせていても、痛みは決して消えはしない、眼の前の白は消えはしない。

 

 まだ終わっていないと、目の前の白が現実を突き付けてくる。

 

 歯を食いしばれ、踏み止まれ、集中を切らすな、反転も領域も未だ壊れずそこにあると信じろ。

 

 そうじゃなきゃ、アイツに顔向け出来ないだろう。

 

 

 殆ど気合だった、気合と意地だけでそこに立っていた。

 

 耐えろ、耐えろ、耐えろ耐えろと身体に無茶を聞かせる、最早身体の感覚はなかった。

 

 痛みも視覚も聴覚も味覚も、何も機能していない。

 

 ただそこに在る…それだけが、俺をここに留まらせていた。

 

 何秒か、何分か、何時間か…待てと待てども来やしない終わりに、何時まで待てば良いのかと思考が急かす。

 

 終わらない、終わらない、終わらない、終わらない、終わらない、終わらない。

 

 無限にも等しく感じる時間の中で、俺はただ只管に、眼前の白を抑え込み続けた。

 

 次からはもう少し考えてから虚式を使おうと、そんなあるともしれない次に向けて、そんなことを考えながら。

 

 

 

 

 …そして、その時は、唐突に訪れた。

 

 

 

 不意に、白が途切れて、別の色が視界に映し出される。

 

 黒、黄色に青に緑に茶色…夜空に輝く星と月の光が、俺のことを照らしていた。

 

 海のさざなみが聞こえる、鳥の鳴き声が聞こえる、風の吹く感触が身体を巡る、何処か焦げたような匂いが鼻を擽った。

 

 硝子が割れたような音がする、眼の前で視界一杯にガラスの砕け散ったような光景が広がる、世界が崩れていくようなそんな錯覚すら抱いてしまいそうな光景だった。

 

 そこに再び、白が視界に映り込む。

 

 ゆらりゆらりと揺れ動き、パタパタと音を経てて俺の方向へと向かってくる。

 

 そしてその白はそのままふわりと浮き上がり、超高速で俺の視界一杯に───

 

 

 

「──ッ!?」

 

 思考が一気に覚醒し、眼の前の現状を確認しようとする…それと同時に俺の身体は半ば本能的に次の行動を取っていた。

 

 飛び込んできた白…クソ女の蹴りを受け止めそのまま足を掴み取って勢いよく地面へと叩きつける。

 

 カハッと息を吐き出す音が耳に届く、すかさず叩きつけた女に向けて拳を放つ…が、女は倒れた状態から蹴りを繰り出して俺の顎へと直撃させる。

 

 脳が僅かに揺れる、意識が飛びかける…それでもさっきのよりはマシだと歯を食いしばって耐え、そのまま拳を女へと向けて振り下ろす。

 

 その拳を、女はバク宙でもするように軽々しく避け、そこから更に二転三転と身体を回転させて俺から距離を取った。

 

 距離を取られたことを確認し、深く息をついて拳を構え、何時でもクソ女に相対出来るように準備した。

 

 

 戦況が、膠着する。

 

 

 ……………。

 

 ………………………。

 

 ………………………………………。

 

 

 

 …………あっぶねぇぇぇぇぇッ!? 完全に意識があらぬ方向に飛んで行ってた…! あともうちょいで帰ってこれなくなるところだった!! 危ねえぇぇぇぇぇっ!!!

 

 拳を握りしめて感触を実感する、舌を軽く噛んで痛みを実感する、鼻をスンスンと鳴らして嗅覚を実感する。

 

 

 深く息を吐いて、眼の前の存在を認識する。

 

 

 …酷いものだ、白いワンピースは所々でボロボロでその白と菫色の長髪は要所要所が黒ずんでいる。

 

 唇からは血が垂れ落ち、その両手は今なお小刻みに震えている、足は無傷に見えるがよくよく見てみると少なくない量の出血が確認出来た…まぁ、全部反転で治したんだろうけど。

 

 そんなボロボロにしか見えない女が、俺のことを親の敵かナニカのように睨んでくる、お前だけは殺すと言わんばかりに拳を握りしめ、腰を深く落として構えている。

 

 

「……ハッ」

 

 鼻で笑ってやる…上等だぶっ殺してやんよ。

 

 お互い領域を使用した後だ、当然両者共に術式は焼き切れている、結論だけ言えば今から始まるのは術式もクソも無いただただ純粋な殴り合いだ。

 

 あぁ望むところだよ、そんなの廻との組手で慣れてんだよ親友舐めんな何回アイツに転がされたと思ってんだバーカ。

 

 拳を強く、強く握りしめる、息を深く吐き出す。

 

 さてさて、どうやって殺そうか。

 

 緊張が走る、汗が頬を流れてそのまま身体ヘと滴り落ちる。

 

 踏みしめた足がジリジリと、今か今かと疼き出す、早く眼の前の泥棒猫を殺せと叫んでいる。

 

 手が殺意で震える、瞳が渇き喉がヒリヒリと痛い、舌が焼けるように痛い。

 

 早く、早く、早く、早く…。

 

 そんな急かすような俺の耳の内に、一つの音が響いた。

 

 ザリっと、何かを踏みしめるような音。

 

 

 その音が響いた瞬間、俺は勢い良く飛び出した。

 

 半ば跳躍するようにして駆け出す、地面を一歩一歩踏みしめながら俺はクソ女へと一気に肉薄する。

 

 それに対してクソ女は、その瞳により一層の殺意を乗せて、俺と同じように駆け出した。

 

 互いに互いの間合いに入った、拳も蹴りも全て届くような距離…拳に呪力を大量に流し込み、拳を矢を放つ弓のように引き絞り、拳を女に向けて放った。

 

 

 瞬間、呪力が黒く染まった。

 

 

 

 勝負は、ここからだ。

 

 





仮称『白』の今のところの被害

 領域のお陰でなんとか白が沖縄に広がるのは防いだ…それはそれとしてその余波で最低でも震度7レベルの地震が沖縄中に約十秒間発生していたものとする。
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