宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 書き上げたぜ、やったぜ…エースコンバットの兄者さんの実況を見に行くぜ。



番外編 IF編 始動

 

 

「昔…そう、ずっと昔のことだ…お前と同じ術式を持った人間と戦ったことがある」

 

 降り注がれる雨…ザーザーと降り注ぎアスファルトを打つ水の音、揺れる視界の中でも消えることの音を耳に響かせながら、その声は単調に届いてくる。

 

 

「凄まじい男だった…あぁ、諸手を上げて褒め称えてやりたいくらい強い男だった…今でも、あの時あの日あの瞬間の…あの短くも長いあの甘美を、俺は良く夢に見る」

 

 喜びと楽しさ、まるで大人になった男が子供の頃の色褪せぬ思い出を語るように、まるで決して忘れられぬ青春の一時を語るかのように、呪いの王と呼ばれた男はその口を穏やかに微笑ませながら言葉を紡いでいた。

 

「変幻自在、千変万化…大袈裟であると、そう奴は言うのかもしれないが、少なくとも俺には奴のやり口がそう見えたし、そう思えた」

 

「無数の姿に無数の影、どれだけ引き出しがあるのかと我ながら冷や冷やとしたものだ…一体一体が、確実に俺の命に届くだけの力を持ち合わせていたのだ、当然とも言える」

 

 パチャリパチャリと足音が響く、真っ直ぐゆったりと此方へと歩を進めてくるその音に身体を立ち上がらせようとするが…それが容易に出来ぬ程に身体が思い、身体が言うことを聞いてくれない。

 

 動け、動け、動いてくれ…そう幾ら命じても身体はその命に反して膝を落とす…まるで、これ以上は無理だと告げるように。

 

 

「術式は術師本人の力量や使い方によって幾らでもその姿を変える、例え同じ術式であろうとも使い手自身の解釈の違いによっては全く別の姿を見せる…なんて話も、大して珍しい話ではない………だが───」

 

 

 パチャリと、足音が目の前で止まった。

 

 見上げたその先に居たのは紅い瞳で冷たく、まるで道端の石ころのような無機物を見るような温度で自身を見つめる呪いの王の姿、心底理解出来ないという感情と何故という失望に近い感情を滲ませながら、王は淡々と口を開く。

 

「だが、それでも分からん…お前、その術式を使って何故そうも弱い? 何故そうも弱く在れる? ……なぁ───」

 

 

───伏黒恵

 

 

 名を呼ばれた…ただそれだけ、たったそれだけのことだ…たったそれだけのことなのに、その瞬間…伏黒恵は自身の首が跳ね飛ばされる光景を幻視した…そして、それはきっと目の前に呪いの王の心境を如実に表している。

 

 即ち…気に入らないのだ、伏黒恵という存在が…自身の中にあるナニかを穢しかねない、その存在が。

 

 

 考え得る限りの最悪な状況、雨天が太陽をひた隠しにするその中で、伏黒恵の思考は忙しなく回っていた。

 

 どうする、どうすれば良い、どうすればこの状況を打開にまで持っていける…忙しなく回る伏黒の思考は、しかし既に結論を得ていた…不可能であると。

 

 何故に現在の状況に陥ってしまっているのか…それは、暫く前へと遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…特級……ですか?」

 

 困惑を浮かべながら戸惑いがちにそう言う薫に、五条は能天気な様子でそうそう…と口にした。

 

 あの後のことだ…釘崎野薔薇との会合の後のこと、釘崎野薔薇への試しが終わった後のこと…薫は虎杖等と共に回転寿司での食事を楽しんだ。

 

 最初は美味い方の寿司が良い…等と文句を言っていた釘崎ではあるが、そこにある程度都会に慣れていた虎杖による説得によって回転寿司へと切り替わったという経由と共に、一行はりっぱ寿司と呼ばれた回転寿司店へと方向を変更した。

 

 そんな楽しい時間の後のことだった、薫がその言葉を告げられたのは。

 

 虎杖や釘崎、伏黒等のメンバーから離れた後の事…薫だけを残した五条はその顔に悪戯小僧のような笑みを浮かべながら、楽しそうに言葉を紡ぎ出していく。

 

「恵の報告と僕自身の目で見てみた感想として…薫、君は指二本の状態とは言え、あの宿儺を圧倒してみせた…ハッキリ言って、僕は君の実力を測りかねているというのが現状だ」

 

 何処かも分からない寂れた場所にある何処かの店…寂れた場所に設置してあるその店は内装は言うほど寂れてはいない、寧ろ整っていると言っても良い。

 

 小洒落た家具も雰囲気も何も無い、あるのは材質の整った机と椅子とオレンジ色に輝く灯りだけ…それだけなのに、何処となく妙に居心地の良い雰囲気を感じさせるような…そんな店だった。

 

 そんな店の…誰もいない店内の椅子に座り込んで、トントンっと机を指で叩いた五条は何と言うこともないようにその言葉を告げる。

 

「だ・か・ら…僕は君のことも試すことにした、野薔薇と同じようにね…そしてこうも思った、生半可な相手じゃ君の試しにならないだろうと」

 

 お前の実力が分からない、だから試す…そう言った五条の表情には何の変化も見られない、ただ変わらず笑っているだけ。

 

 別におかしなことではない、何ら可笑しいことではないのだ……ある一点……そう、あるほんの一つ点を除けば…の話ではあるが。

 

 

「それで特級…ですか?」

 

「そういうこと♪」

 

 

 薫の言葉におちゃらけた様子でそう言葉を返す五条に、薫は内心で呟いた…この人、頭可笑しいのか…と。

 

 五条の言っている試しの内容…それは、宮城薫という術師に特級相当の呪霊をぶつけるというもの…指二本とは言え、両面宿儺を相手に生き残るどころか圧倒してみせた目の前の金の卵の価値を測る為に、クラスター弾での絨毯爆撃でトントンとまで称される怪物をぶつけようとしているのだ、頭可笑しいと思われても不思議ではない。

 

 伊地知と呼ばれた男が居た…窓と呼ばれる呪霊を視認出来る高専関係者という薫からしてみれば馴染みの無い類の人物…それに対して何となしに質問を繰り返したという経験をこの時点で積んでいた薫は、特級という言葉が何を意味するのかを明確に把握していたのである。

 

 故に内心で薫は言葉を溢す…この人、頭可笑しいんじゃないのか…と、普通はそんなことさせないだろう普通は…と。

 

 

「その試しで僕が死ぬとは考えないんですか?」

 

「死なないよ、僕も付いていくからね」

 

 薫の言葉に五条は即答した…自分がついていくから君は死なない、だっては僕は最強だから…と…それがこの世の摂理と言わんばかりの断定した口調に薫は顔を歪める…その言い方が、その口調や雰囲気が、かつて共に戦場を歩んだ無下限使いのモノと重なったが故のことだった。

 

 

「それに…正直な話、試すまでもなく君は強いだろうからね…実は、心配らしい心配もしてないんだ」

 

 そう口にした五条は、ゆっくりと自身の目元へと取り付けていた目隠しを外した。

 

 六眼…呪力を粒子単位で視認し、相手の術式すらも丸裸にする所謂ぶっ壊れ、無下限呪術を使用する上で必須とも言えるその蒼いその瞳を…薫自身も見慣れたその瞳を、五条は宮城薫へと向けた。

 

 

「…どうして…そう思うんですか?」

 

 不思議と、そんな言葉を口にしていた。

 

 その瞳を見たからだろうか、久しぶりに目にするその蒼い瞳を見てしまったからなのだろうか、まるでかつての戦友を…義姉と呼び慕った人間の姿を想起しながら、薫はその言葉を口にしていた。

 

 そんな薫の言葉に五条は笑みを浮かべて、手元にあったコーヒー一口飲みながら返答を口にする。

 

 

「蒼かったからだよ、君の炎が」

 

「炎が…ですか?」

 

 

 一瞬、薫は困惑した…青かったから何だというのかと、それが何なんだと、それが一体何を意味すると言うのかと…そんな言葉を吐き出しかけた。

 

 しかし直ぐに思い直す…かつての過去を思い出し、その道筋を想起した薫は直ぐ様その言葉を取り消した……それも、当たり前の話だろう。

 

 だって、自分の使っている蒼い炎は───

 

 

「僕の知り合いの爺さんにさ、君と同じように炎を扱う術式を使う人が居る…その人の炎は普段は普通の色なんだけど…ある状態に入るとその色は大きく変わる」

 

 

 あの時はひやひやさせられたなぁと呟く五条の表情は、何か面白いことを思い出した少年のように思えた…まるで、楽しい楽しい青春を思い出す少年の様に。

 

 

「それは奥義を使った時…あの人が全力を出した時限定でその色はその姿を変えるんだ…透き通るような、綺麗な蒼色にね…つまりは───」

 

 

 

───君と同じってことだよ、薫。

 

 

 

 突き付けるように、言い逃れの道を叩き落とすようにそう告げた五条に薫は何かを言うことは無い、ただ黙って五条の言葉を聞いているだけだ…ただ、その瞳は何処となく空虚を映しているように思えた。

 

 

「知ってるかい? 君の使っている術式『焦眉之赳』は炎を扱う術式なんだけど…それが発見されてから今の今まで、その焔の色を変えられたって術師は極端に少ないんだよ…だから、その域に達したその爺さんは、僕からして見ても尊敬に値する術師なわけ……ここまで言えば、分かるでしょ?」

 

 

 五条の言葉に薫はえぇ、流石に…と言葉を返すと共に、その顔に乾いた笑みを浮かび上げた。

 

 疲れたわけじゃない、呆れたわけじゃないし、失望の感情を浮かび上げたという訳でもない…ただ、察しの悪い自分の思考回路に心底から馬鹿野郎と言いたくなっただけで。

 

 

「居なかったんですね…()()を普通に扱えた人間が、僕以外には誰も」

 

「うん、居なかったよ…一番最初に色を変えた、()()以外はね」

 

 それは確信だった、決定的な証拠を持ち合わせたという確信を持った人間の言葉だった、自身の呼び方を変えた眼前の男を前に薫は変わらず乾いた笑みを浮かべ…そんな薫へと、五条悟は笑みを携えて口を開く。

 

 

「───始めまして、()()()…千年後にようこそ」

 

 

 

 そう言った五条の瞳は、何処までも蒼く輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 





五条先生

 早々に宮城薫が禪院薫の生まれ変わりであることに気が付いた男…因みにバレた理由は宿儺に恨み骨髄だったこととその宿儺が薫に対してブチ切れていたことを伏黒が五条に報告しちゃってたからなのと、単純に焦眉之赳という術式がどういうものなのかを有識者に教えられてたから。

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