最近、ヒロアカ書いてほしいと言われたので何処かで書いてみようと思う…まぁ、何書くか決めてませんけども。
追伸
今回から割と時系列が前後する可能性があります、ご容赦ください。
夢を見ている…その事には、直ぐに気が付いた。
砕けた大地、崩れた家屋、バラバラに斬り刻まれた何かしらの残骸に跡形も無く吹き飛ばされたのであろう物体の痕跡らしきモノ…無数の破壊の跡がそこかしこに存在していた。
風が吹いて巻き上がった土煙が視界の中を掠める、身体からボタボタと滴り流れる血の一滴一滴が地面へと少しずつ落ちていく…夢であるにしては嫌にリアルに感じるその感覚は、その思い出が自身の中でどれほどの位置に在るかをこれでもかと示していた。
瞬間、影が盛り上がる。
無数に脈動する黒い影、墨を大地にぶちまけたように広がる黒墨色が実態を持って無象を以て蠢き、一人の人間の元に集おうとしていた。
莫大な圧力と殺意、その内から感じ取れる呪力量が霞んで見えるほどの絶大な気配、その残り少ない量で一体どうやってそのような芸当を成し得ているのか…甚だ疑問でしかなかった。
嘲っているのではない、これは本心からの賞賛だ…少ない呪力量でよくぞそこまでの大技を繰り出せるものだと、よくぞそこまでの呪力操作を行えるものだと…己であっても、そこまでは出来ないと、そう知っているが故の心境だった。
あぁ、本当に本当に…よくぞそこまで練り上げた、よくぞそこまで研ぎ上げた…純粋に、称賛に値する。
黒が弾ける…明確な輪郭と形を持ったその姿は最早蠢いていただけの無象の影ではない。
それは獣だった…種類が何であるかは分からない…ただ、それは獰猛で凶暴な自らの命へとその牙を突き立てかねない、危険な危険な猛獣だった。
『…あぁ、認めよう』
気がつけば、口が勝手に動いていた。
夢なのだ、当たり前のことなのだろう、かつて見て体験したことをそのままなぞっているのだから自身の口が独りでに動き出すことくらい普通の範疇であろう。
『認めよう、認めてやろう…いいや違う、認めさせろ』
吊り上がる口角、垂れ出す涎、目の前で生まれ落ちた黒い獣を前にしてその全てを一部たりとも逃さぬとその瞳を見開き、漏れ出てくるその音を止めることすらせずに、ただ感情のままにその言葉をぶちまける。
『俺の今まで…俺の人生の中で、俺が戦ってきた全ての存在の中で、お前の右に出る者はただ一人としておらんッ…!!』
この男と戦えたという歓喜の中で、この男を喰らえるのだと言う狂喜の中で、目の前に出されたあまりに喰い甲斐のあるソレを前にして、呪いの王はその瞳を爛々と輝かせながら叫ぶ。
例え他の誰もがそう呼ばすども、俺だけはお前をそう呼ぶのだと…例え誰もがお前を敗北者として卑下しようとも、俺だけはお前を何時までも賞賛し続けるのだと…まるでそう言うように、呪いの王は眼前の敵を前にしてこう叫ぶ。
『この俺が、お前を『最強』と呼んでやろうッ!!!』
聞こえているのか聞こえていないのか、そんなことも分からぬままに叫ばれたその言葉を切っ掛けとして、大地は爆ぜた。
ふと、目を開いた。
開いた先に見えるのは何時もの光景、自身の心象領域の中…つい最近、生意気な自身の器の首を捩じ切り現実世界に戻してやってから、特に何か変化することもなくそのままの光景。
ふぅ…と、息を吐いた…空なんて見えないような暗い暗い底も底も…そんな暗闇の中で上を見上げる、見上げた先にあるのは心象領域の中でズシンっと鎮座している大きな大きな骨の部位。
良い夢だった、本当に良い夢だった…心底からそう思った、それが現実であればどれほど良いだろうと、どれほど良かったであろうかと…そう、心底口から吐き出してしまいたくなる程度には。
あれから幾許経ったであろうか、宿儺的にはひたすらにぼ〜っとしていた為なのか、何があったのか殆ど覚えていない…というのが現状だった。
唯一覚えていることがあるとすれば、それは謎に頭が富士山な呪霊と五条悟の領域対決があったことくらいであろうか…それ以外は特に覚えていない、覚える気が無かったとも言えてしまうが。
欠伸が漏れ出る…退屈であることもさることながら、やはり一番最初の歓喜からの落差が凄まじかったのだろう…最早何をするにも無関心な呪いの王は、今日も今日とて何をするでもなくぼ〜っと過ごす───
「…?」
そのはずだった、そうなるはずだったのだ。
違和感を感じた…虎杖の肉体を介して感じ取った違和感が宿儺の認識をくすぐる。無視するにはあまりに鋭利な感覚が宿儺の興味を疼かせた。
故に覗き見た、虎杖が見ている景色を…虎杖は宿儺の器であるが故に肉体を共有している、故に虎杖が見ている光景は宿儺にも見ることが出来る。
そうして覗き見た生意気な人間の視界の先で、呪いの王は見た。
うんうんと地図を見上げている小柄な身体、身長にして表すならば大凡154cmから156cm…よしんば14程度の年齢であるとすれば、平均に比べて少し低い。
黒い髪に金色の瞳、整っているかどうか言えば整っていると言える、幼い顔立ちからら少年特有の明るさが見受けられた…そんな少年が、ボロボロに薄汚れた服装のまま何やら思い悩むようにうんうんと地図を見上げて唸っていた。
放っておけなかったのかもしれない…視線の主こと虎杖が少年へと声をかけながら小走りに近寄っていく…しかし、呪いの王はそれどころではなかった。
間近で感じた気配、相手を索敵する為に嗅いだその匂い、爪先から足先までに残る重心の癖という確かな要素…そして何より、そのあまりに特徴的な呪力が…常に黒閃を発動しているかのような呪力の気配がその全てを物語っている。
似ている? 否、それどころの話ではない、そんな低レベルの話ではない、そんな低次元の話ではない。
瓜二つ、唯一無二、両面宿儺という怪物が人生全てを通してみてもその一度以外に見たことが無い程の稀物がそこに在る。
「…く…くひひっ………くひひひひっっひひっひひっ…」
口の先から漏れ出る奇妙な笑い声、顔を手で覆っては何を相手に隠すのかとツッコミを入れたくなるのもガン無視して、呪いの王は押し殺したような笑い声のままにソレを漏らし続ける。
視界の先では虎杖が少年と何やら話し込んでいる…スマホを片手に地図を指し示し、笑みを浮かべながら少年へと言葉を投げかける…そんな虎杖へ、少年はその金色の瞳を輝かせながらお礼を述べた…その内側で、呪いの王はずっと嗤い続けていた。
徐々に大きくなっていく笑い声、次第に抑えが効かなくなっていくように上がり続ける口角がその歓喜の程を如実に示していた。
「───ケヒャヒャヒャヒャッ…! ヒヒヒっ、クククヒクヒケヒャヒャヒャヒャケケケヒャッッ…!!!」
笑っている、嗤っている、わらっている…嬉しくて嬉しくて堪らないと言うように、心底に溜まった膿を思い切り吐き出すように、呪いの王はケタケタと人とは思えぬように思い切り笑った。
視界の中で少年が笑っている、自分を助けてくれた青年に屈託の無い笑顔を浮かべて礼を述べている…そんな彼のことすら忘れたように両面宿儺はグツグツと煮え滾る激情のままに、その喉を鳴らし続けた。
「ケヒヒヒヒヒヒッ…………アァ───」
───見 つ け た
ふと、呟いた。
笑みは絶えない、声は絶えない…ただ、それを絶やさずただ一言魔王は呟いた。
見つけた、ようやく見つけた、やっと見つけた、遂に見つけた。
いないと思ってたのに、きっといないと思っていたのに、弟がいるなら兄もいるだろう…なんて、そんな都合の良いことなんて無いと思っていたのに…見つかってしまった、見つけられてしまった。
最初の歓喜からの失望、そこから更に連なる形で重なり続けた失望に次ぐ失望、あまりの落差からの逆流に等しいこの展開は、両面宿儺という存在にとってはあまりに劇物であった。
何故背丈が小さいのだろうとか、何故妙に隙が多いのだろうとか、何故呪力操作のキレが若干落ちているのだろうとか…そんな疑問は最早どうでもいい、生まれ変わりの障害であろうと適当に投げ捨てる。
『俺な、廻っ! 葛城廻っ! 』
そう言って手を差し出してくる少年改め葛城廻、ニコニコとした笑顔のままに差し出されたその手を虎杖は掴み返し、それに便乗するように呪いの王はその口を開く。
「そうか…今はそういう名なのか」
突如として現れた闖入者、廻からしてみれば口元から突然現れた口で、虎杖からすれば油断ならない人ならざる怪物…それら全てを無視して、宿儺はその口に喜悦を乗せて言葉を放った。
「───久しいなぁ、我が主菜よ」
歓喜、懐かしみ…その出会いに感じたありとあらゆる感情を混ぜ込んだような声色で、魔王はその言葉を廻へと送った。
最早、歯止めは効かない…魔王が満足する、その時まで。
廻くん
町から脱出したらなんか全く違う場所だった子、スマホが修復不可能レベルでぶっ壊れてたからなけなしの小遣いで地図を買ったら迷った、現在虎杖によって案内中。
なお、町の中では其々のラスボス担当みたいなヤツにひたすら追っかけ回されてた(具体的に言うと刺青の女、山神(初代)、デッカイ虫(外国版)の三体)
呪いの王
スーパーハイテンション、もう今までが何だったんだって言わんばかりのテンションで廻に構いまくる…なお、廻の実力が下がっていることに気がついたら師匠役をやろうとする模様、とりあえず反転術式教えます。
虎杖くん
時系列で言うなら幼魚と逆罰辺り、多分これから宿儺に滅茶苦茶コキ使われる、頑張れ。