想定していたより伸びそうだったのでちょっと五条&五条戦は雑に終わらせる…だって何しても死ななそうなんだもの。
…早く宿儺書きたい(ボソッ
それはそれとして…ギョロアエは擬人化に入るんですかね?(唐突な疑問)
「オォオァァァァァァァァァッッ!!」
咆哮と共に、目の前のクソ女の顔面を打ち抜く。
血が飛び散る、グチャリとした感覚が拳が伝わってくるのを無視して、俺は更にもう片方の拳で女を殴る。
グチャリと拳が女の顔を抉る、血が飛び出て肉の裂けるような感触がする、それも無視してまた一発と女の顔面に叩き込む───
「術式反転───」
叩き込むのと同時に、腹にひたりと冷たい感触がした。
マズイと思考と本能が同時に判断する…しかし間に合わない。
「『赫』ァァァッッ!!!」
放たれる凝縮した無限、無下限の赫が俺の腹部に零距離で直撃し、そのまま俺の身体を吹き飛ばす。
ゴハッと血反吐を吐き出す、身体中に激痛が駆け巡り腹部に風穴が空いたかのような感覚になる…当然ただの錯覚だ、風穴なんて空いていない、よしんば空いていても反転で即座に治せる、何も問題は無いのだ。
余裕だ余裕…そんなわけで───
「しねぶっっ…!!」
こちらに飛び込んてきていた女の顔面に蹴りを叩き込む。
蹴りで歪んだ顔に変な悲鳴、それら二つに思わず笑ってしまいそうになる、なんだよしねぶって狙ってんのかよ、ププっ。
前よりに向かってきていた為か、カウンターの形となった俺の蹴りが女の身体を僅かに浮かす、そこに俺は指を伸ばし───
「お返しだ」
───術式反転『赫』
ついさっき女が俺にそうしたように、女の腹部へと赫をぶつけてやる。
俺の蹴りを食らって間もない女は、それを避けることも防ぐことも出来ず、これまたさっきまでの俺と同じような形で吹き飛んでいく。
吹き飛んでいく女を尻目に、反転術式で身体を治し、直ぐ様もう一つオマケと言わんばかりに赫を女の方向へと放つ。
爆音、砂浜が無惨に吹き飛びクレーターを作り出す、近場の海が吹き飛び雨のように降り注ぐ。
普通ならこれで死ぬ、死ななくても動けなくなるし重症は免れない、少なくとも相手が普通であったならそうなる。
しかし───
「こんのぉぉ泥棒猫がァァァァっ!!」
絶叫も共に現れたこの女もまた、生憎普通じゃない。
何処から現れたのか、気づけば背後に女の姿があった。
気づけたのは実質奇跡と言ってもいいだろう、それほどまでに偶然の産物だったのだから。
口角が上がる、廻と戦った時程でこそないがそれでも興奮せずにはいられない、戦いの愉悦とでも呼ぶべきものが自分の中から溢れ出してくる。
身体中から血を撒き散らし、血走った菫色の瞳が俺を射抜く、血で僅かに染まった白髪も相まって鬼か何かかと勘違いしてしまいそうになる。
怨嗟の叫びと共に現れたその女は、その掌に蒼色の球体を携えて俺の目の前にいる。
見れば分かる…順転の蒼、それの最大出力を球体にして固定しているのだろう。
ブラックホールみたく全てを無理矢理収縮する蒼、それを限界まで圧縮して範囲を犠牲にする代わりに触れたもの全てを抉り取ることに特化させた技…喰らえば当然ただで済むはずもない、俺の不可侵なんて無いようなものだろう、同じ術式なわけだし。
ならばどうするか…こっちも同じことすれば良い。
「──位相 黄昏 智慧の瞳」
唱える、唱えて眼の前の手本を元に、限りなくそれと近しいモノを作り出す。
気分はさながら某忍者漫画の螺旋の玉、無限に収縮するその蒼を球体状へと纏めていく。
疲れる、しんどい、何をどうしたらこんな面倒なことをやろうと思えるのか分からないくらいには面倒臭い。
それでも、あぁそれでも───
「──術式順転」
──『蒼』
気が狂いそうなくらい…楽しくて仕方がない。
掌に収束した蒼を突き出す女に、同じように収束した俺の蒼をぶつける。
蒼と蒼、収束と収束…恐らく互いに詠唱込みのものであろう術式順転、それらがぶつかり合い、互いが互いを喰らわんとせめぎ合っている。
「ッッギギっ…!」
うめき声が漏れる、冷や汗が身体を伝い腕が今にもモゲルんじゃないかと感じるレベルで痛い。
当然と言えば当然だろう、何せ疑似的なブラックホールをぶつけ合っているようなものだ、痛くて当然だろう。
気を抜けばこっちの腕ごと抉り取られかねないような圧力とそれに付随する呪力の圧力、それが今にも俺を抉り殺してやると言わんばかりに牙を剥いてくる。
時間にしてたかが数秒、ほんの僅かな数秒、たったそれだけなのに軽く一時間くらいつづけてたんじゃないかってくらい疲れる。
自然と笑みが溢れる…あぁ、本当に…楽しい。
「──位相 波羅蜜 光の柱」
───術式反転『赫』
空いていた片方の手で赫を形成し、未だに衝突し続けている二つの蒼の中へと赫を無理矢理捩り込む。
「はぁ!? お前まさか──」
女の驚いたような声が耳元に響くが、言葉を返す理由も無いから無視した、まぁ最初から答える気なんて無いけど。
蒼の中に捻り込まれた赫が、急速に蒼の色を変色させていく。
蒼から赫へ、赫から茈へとまるで信号のように色を変色させ、そこからバリバリとその危険度を表すように放電を始める。
…何時もならこの時点で完成してるし放電なんてしないんだけどなぁ…やっぱり他人の呪力が混ざると色々と落ち込むのか…良い勉強になったよ。
礼だ、くれてやる。
「──九網 偏光 烏と声明 表裏の間」
詠唱を唱える…さっきは白のせいで無いことになっちまったからなぁ、ちょっと不完全燃焼だったんだよ。
だからこれで帳消しだ、これでストレス解消だ…さぁ──
───死に晒せ。
「──虚式」
───『茈』
───ガコンッ…!
ふと、歯車が回ったような音が、耳に届いた。
…どうしよう…これ。
「菫ノヤツハ毎回毎回勝手ガ過ギル、アイツノヤラカシニ助ケラレタコトハトテモ多イガ、ソレデモ幾ラナンデモヤッテイイコトト悪イコトハアル…!!」
「あぁ〜…まぁ分かりますよ、俺にも思い当たる節は山程ある」
どうしよう、話してて凄く楽しいというか、話題とそれに対する答えが基本的に一致してるせいで話が終わらない。
あれからのことだ、俺はミゲルさんから菫の愚痴を山程聞かされていた、それはもうどれだけ溜め込んでたんだってくらい大量に愚痴を零された。
やれ金使いと人使いが荒い、やれ周囲の被害を考えずに術式をポンポン撃ちまくるせいで大きな組織に狙われる、やれそこらの女の子引っ掛けて遊んでは引っ掛けるせいで厄介なストーカー共に追いかけ回される等々、大半が俺が昔に経験したのと同じような経験をミゲルさんも味わっていたらしい。
死にかけていた所を助けてもらったとか恩人と呼ぶ理由も教えてもらいこそしたが、それ以上に菫に対する愚痴が凄まじかった。
なんだろう、多分最初は時間稼ぎが目的だったんだろうけど…何か話していくにつれてどんどん純粋な愚痴話になっていってたよね何時の間にか。
どれだけ経った? 十分くらいは経ったんじゃないかな? 一応念の為ってことでミゲルさんと戦う前くらいに別ルートから魔虚羅を帳の所に行かせたけど…大丈夫かなぁ魔虚羅のやつ、虚式ぶち込まれたりしてなきゃいいけど。
「今回ノコトニシテモソウダ、殺ス必要ガ無イナラ普通ニ会イニ行ッテ交渉スレバ良イト言ッタノニ『アイツダケハ殺ス』ト言ッテ聞カナカッタ、別ニ戦ウコトニ文句ハ無イガソレハソレトシテチャントホウレンソウハ守ッテ貰ワネバ困ル」
ドウ考エテモオ前ト交渉シタ方ガ後ガ楽ダッタと、そう言って何処か遠くを虚ろそうな瞳で見つめるミゲルさんの姿に、俺は同情せざるを得なかった、だって昔の俺とダブるんだもの。
「分かりますよ、アイツ昔からあぁでしたからね…何度アイツの尻拭いをしに行ったことか…」
昔のアイツもアイツで酷かった、何が酷いって少なくとも今のミゲルさんの知ってる菫が割とマシに思えるくらいには酷かった。
村人が避難してるからって村の田んぼとか池とかそういう帰った後に必要になるであろうモノごと…というか村ごと呪霊を吹き飛ばしたり、お偉いさんの娘やらお偉いさんの人妻を引っ掛けては同性だから大丈夫だと肉体関係を持ったり、何処かのお偉いさんの家を虚式で吹き飛ばしたりとかとにかく普通ならしないようなことしかしてなかった。
後は気に入らないやつの腕をそいつが偉かろうが偉くなかろうが気にもせずに唐突に圧し折ったり、俺に突然に赫を撃ち込んできたりととにかく酷いことしかしてなかったと思う、ぶっちゃけ未来の悟の方がマトモと言えばマトモなんじゃないだろうか?
そんなことを考えながら、帳の方向を見る……魔虚羅のやつ、変なことになってなけりゃいいけど…心配だなぁ。
ガコンッ…!(キレ気味)