宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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『魔虚羅の特徴その1』

 脱兎の能力を使っても無限に増えることは出来ない、その代わりにある程度の能力を持った自分とは異なる存在に分かれることは出来る。

 数は魔虚羅自身を除いて全九体、其々が其々の自我を持つ。

 前回の菫はこの内の一体と魔虚羅にボコボコにされましたとさ。

 因みに、ガコンッの数に応じて、呼び出す存在の種類が変わる…ヒントは呼び出しの順番。


 ……特に意味は無いですよ?




あげませんっ!!!

 

 

 

 あの後のことを話そう。

 

 まず、ミゲルさんと菫に関する愚痴を言い合っていたら、魔虚羅がズンズンと音を鳴らしながら歩いて帰ってきた、菫のこと米俵抱きしながら。

 

 菫は腕をぷらーんとぶら下げながらまるでギャグ漫画の登場人物が気絶した時みたいな顔して気絶していて、大した傷とか特に無かったから多分魔虚羅に反転してもらったんだと思う。

 

 なお、悟はその後ろからついてきていた、なんか妙にニコニコとした顔で俺のこと見てくるのが気掛かりだったけど、まぁ何時ものことだからと無視しておいた。

 

 因みにミゲルさんには付いてきてもらった。いや、だってこの人別に天内ちゃん狙ってたわけじゃないし、まぁ別にいいやって感じで付いてきてもらった…だってこの人放っといたら一生苦労しそうなんだもの。

 

 悟はなんか面白いものを見つけたみたいな顔でミゲルさんのこと見てるし、魔虚羅は一向に影の中に入ろうとしないしでため息吐きたくなることばっかりだった…そんな俺をミゲルさんが無茶苦茶同情的な目で見てきたことが一番堪えたけどな。

 

 それでまぁ…後は簡単だ。

 

 悟にはミゲルさんと菫と一緒に先に帰ってもらって、俺は諸々あってゴチャゴチャにしてしまった居酒屋に弁償しに行った。

 

 店主さんが弁償は良いから今度飯食いに来いって言ってくれたのは嬉しかったなぁ、初対面でしかも店を無茶苦茶にした人間にあんなこと言ってくれるとかなんて良い人なんや…それはそれとして弁償は受け取ってもらうけどなぁ!!

 

 …まぁ、そんなこんなで、一悶着ありながらも俺達はホテルへと戻ってきたというわけだ。

 

 ………んでまぁ、そんな俺達が今何してるかって───

 

 

「そらドロー4じゃぁ!!」

 

「ほいドロー4」

 

「悪いね黒井さん、私もだ」

 

「すみません理子様、私もです」

 

「なんでじゃぁぁぁぁぁっっ!!?」

 

 

 ドロー4を盥回しにされた天内ちゃんが藤原竜也みたいに泣いてる姿を見ながらお茶飲んでる…いや加減してやれよ。

 

 『白』に叩き起こされたのが余っ程怖かったらしい、寝たくないと涙目かつ震えながら言ってきたからいっそ起きていようってことになって、じゃあ何かしようぜって話になって、偶然UNO持ってきてたからそれをやってもらうことになった。

 

 因みに、今のところ理子ちゃん全敗である…いやだから加減をしてやれよ加減を。

 

 

「…何時モコウナノカ?」

 

「まぁ、大概は」

 

 呆れたような…いや、多分呆れてるんだろう、護衛中なのに何の気も張らずにワイワイと楽しそうに遊んでいる四人を見て、ミゲルさんは溜息を吐きながら俺にそう声を掛けた。

 

 いやまぁ、そうなるよな、ついさっきまで狙いこそ違ったけどそれでも敵だった奴等が、こんな刺客に対する警戒無しな状態でワイワイやってるんだから、そうも言いたくなる。

 

 何が酷いって、ミゲルさんと菫が敵じゃなくなった時点で、基本的に俺等を殺せる人間が兄ちゃんくらいしか居なくなったってことである。

 

 その兄ちゃんも、今頃家族水入らずで何処かに旅行に出かけている、護衛が始まる前に誘われたけど護衛のせいで行けなかった…お土産買って帰ってあげなきゃな、恵くんギャン泣きしてたし。

 

 ……あぁいや、菫はまだ分からないのか、魔虚羅が気絶してるの運んできただけだし。

 

 そんなことを考えながら、ふとベッドに寝かされている菫へと視線を向ける。

 

 

 

 ……変わっていない。

 

 

 

 白い髪に菫色のメッシュ…メッシュというより毛先が薄く菫なだけなんだけど…一応はメッシュなのかな?

 

 整った顔立ちに白い肌に小柄な体型、白いワンピースが良く映えている…相も変わらず美人なことで。

 

 変わったこと言えば、精々髪の長さが変わったことくらいだろう、昔の時の菫の髪は短かったからな…お陰で、男にも女にも良くモテてた、一人称が()だったのも拍車を掛けていたと思う。

 

 何が酷いって男は虫で女は花って堂々言ってたことだ、他の人には流石に聞かれないようにしてたけど、そのスタンスを崩すことは一度として無かった。

 

 だから、そもそもコイツは関係を持った女性方を単なるおもちゃか自慰の道具程度にしか思ってなかったんじゃなかろうか。

 

 そう考えると……うん、やっぱり大分マイルドになったよ今は……まぁ、擁護はしないけど。

 

 そんなことを考えながら、視線を悟達に戻し、ダラケながらポテトチップスを一つ摘んで食べる、パリッと音を鳴らしながら口の中に雑な塩味が染み込んでくる…美味いなぁ、昔の頃は無かったもんなぁ。

 

 パリパリ、ムシャムシャとポテチを食べる、ダラダラしながら時折ジュースを口に含みながらまたパリパリムシャムシャとポテチを食べる…なんかミゲルさんが俺のことを見てたから開けていない方のポテチとジュースを手渡す。

 

 それを若干困惑しながら受け取ったミゲルさんは、バリッと音を立てて袋を開き、そのままパリパリとポテチを食べ始めた。

 

 

 

 パリパリ、ムシャムシャ、グビリグビリ。

 

 パリパリ、ムシャムシャ、グビリグビリ。

 

 

 

 

 ……………………。

 

 ………………………………。

 

 …………………………………………。

 

 

 

 

「…何時モコウナノカ?」

 

「まぁ、大概は」

 

 同じことを言われた、さっきと寸分違わず同じことを言われた。

 

 今度は呆れたというより困惑したような樣子でミゲルさんは口を開く…ごめん、疑いたくなるのも分かるけど本当に大体こうなの、主に悟とサマーオイルが強すぎるせいで大体こうなるの…いや俺は京都校の生徒だから知らんけど。

 

 

 

 パリパリ、ムシャムシャ、グビリグビリ。

 

 パリパリ、ムシャムシャ、グビリグビリ。

 

 

 食べる、飲む、また食べる…視界の端で天内ちゃんがまた負けて喚いているところを傍目に、食べて飲んでまた食べる。

 

 また一つと取ろうとして、中身が無くなっていたからとまたもう一袋バリッと開けて、また食べる。

 

 そうして天内ちゃん達の声をBGMにしながら自堕落にポテチを食うだけの時間…そんな折に、ふと布の擦れる音が聞こえた。

 

 音の方向に視線を向けてみれば、そこでは菫がムクリと起き上がっていた、視線は何処か虚空を見つめている。

 

 ぼーっとしたような目で悟達を見やり、次いでミゲルさんへと視線を向けて、最後に俺へと視線を移し───

 

「………廻」

 

 そう一言呟いて、ベットから降りてゆらりゆらり俺の方へと歩いてきて、唐突に両手を広げて俺へと抱き着───

 

 

「へぶっ…!?」

 

 こうとした瞬間、影から上半身だけを出した魔虚羅が唐突に現れ、抱き着こうとしてきた菫を何の容赦もなくぶん殴った。

 

 殴り飛ばされた菫は運が悪いと言うべきか、何時の間にか開いていた窓から外へと飛ばされ、手すりにガンっと音を立ててぶつかった後、一回転しながらそのまま手すりの向こう側へと落ちていった。

 

 ホテルの外から悲鳴が聞こえる、救急車を呼べと焦る声と泣き叫ぶ声が聞こえる…いやちゃっと待って!?

 

「ちょ…!? 何やってんの魔虚羅!?」

 

 何時もはこんなことしなかった、悟にだってこんなことしなかったのになんで菫にだけ…いやそんなことよりさっさと菫の回収を…どうせ死んでないだろうけど絶対悲鳴からして誰かに見られ───

 

 

「ありがとう…眠気覚ましには丁度良かったよ」

 

 

 急いで扉から出ようとした俺の背後から、声がした。

 

 振り返ってみれば、手すりの所に菫が立っていた…裸足でかつワンピース、月の光に照らされているその姿はさながら天女ってやつだろうか、ぶっちゃけ知らない人が見ればそのまんまなんだが。

 

 そして、そんな菫が手すりの上で、とても綺麗な笑顔を浮かべている、それはもう綺麗な笑顔で魔虚羅に対してお礼を言っている。

 

 綺麗な笑顔、悪意なんて無さそうな純粋そうな笑顔…しかし俺は知っている、ああいう顔をしている時の菫は…大概めちゃくちゃ怒ってる。

 

 

「お礼だ…粉すら残さず消し飛ばしてやる」

 

 一言そう宣言した菫は、人差し指から赤黒い小さな玉を作り出し、それに反応したのか魔虚羅はジャキッという擬音が聞こえてきそうになる鋭い爪を、これ見よがしに煌めかせた。

 

 ガコンッと魔虚羅の法陣が周る、完全な臨戦態勢に入った一人と一体は、今にも激突しそうな雰囲気を漂わせ始めて……いや待て待て待て待て待て!!?

 

 

 こんな所で暴れんなお前等ァァァァァァァッッッ!!!?

 

 

 





 多分最後の部分で刃渡り2億センチ流れてる。
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