宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 あともう少し…あともう少しで区切り……じゅじゅさんぽぉ…番外編の宿儺ぁ…。


気楽に我儘するのが呪術師(持論)

 

 

 あの後のことを話そうと思う。

 

 

 あの後、菫がうちの魔虚羅にぶん殴られてあわや大惨事に成りかけた後、結局俺は寝た。

 

 それはもうぐっすりと寝た、だって眠かったんだもの。

 

 逆に聞くがあの状況で眠くならないとかあるのだろうか? 俺的にはない。

 

 朝昼は大はしゃぎする天内ちゃんとあっちへこっちへと観光したり飯食ったりして、いざ寝ようって寝た後に地震が起きて叩き起こされて、しかもその後にはあのミゲルさんと戦ったのだ、眠くならんわけがない。

 

 まぁ、というわけで俺は寝た、なんとか菫と魔虚羅を宥めた後に寝た、だって眠いんだもの(二回目)

 

 なんか寝る時にミゲルさんが最大の仲間に裏切られたみたいな顔してたのが気になったけど、まぁ良いかと放って俺は寝た、護衛自体はまだ続いてるわけだしやっぱり寝とかんとまずいのである。

 

 そんなこんなでおやすみ〜と寝て、今に至るわけなのだが───

 

 

「ハッハッ」

 

 

 目を覚ました俺の目の前に、何故だかとても見覚えのある顔が映り込んだ。

 

 白い体毛に金色の瞳、すんすんと鼻を鳴らしてアホっぽい面をしながら舌をハッハっと声を鳴らしながらぷらぷら揺らしている。

 

 

「…………何やってんのお前?」

 

 

 『玉犬・白』…恐らく俺の術師生活の中で一番関わり合いというか一番長く一緒に戦っていたであろう式神が、俺の顔を覗き込むようにして凝視していた。

 

 …………えっ? なんでいるのお前?

 

 頭が混乱する、思わず何やってんだと素で言ってしまう程度には混乱している。

 

 えっ? マジでなんで? お前確か破壊されたはずだよな宿儺に、白叡が破壊されたんだからお前も破壊されてるはずだよな?

 

 …えっ? 本当になんでいるのお前?

 

 意味が分からなくなる、死んだはずの存在が目の前にいるという事実に思考が追いついていかない、魔虚羅の時とは別ベクトルの意味の分からなさがここにある。

 

 そんな俺のことを知ってか知らずか、玉犬はワンワンと嬉しそうに一つ鳴き、尻尾をぶんぶんと振り回しながら俺の顔を無茶苦茶に舐め回し始めた。

 

「ちょっ…!?」

 

 突然の行動に驚く俺のことなぞ意にも介さず、玉犬はそれはもう嬉しそうに俺の顔を舌で舐め回し、鼻を頭ごとグリグリと俺へと押し付けてくる。

 

 その姿はさながら飼い主に甘える犬、式神としてならまず間違いなくおかしな行動で…しかしなんとなくでこそあるが理由にも察しがついてしまっているわけで…。

 

 

 とりあえず、こんだけ甘えられてるのに何もしないというのは俺的に色々と駄目なので、魔虚羅と同じように優しく頭やら身体やらを撫でていく。

 

 ふわふわサラサラモコモコとした感触が掌一杯に広がり、何処となく草原で昼寝してた時のような匂いが鼻を擽る。

 

 俺に頭やら身体やらを撫でられた玉犬は嬉しいのか更に尻尾をぶんぶんと大きく振り回し、更に更にと俺に強く甘えてくる。

 

 最早身体ごと乗っかかってきてるのと殆ど変わらないような様子で俺へと甘えてくる玉犬に、俺はふと思った…あれ? そういや黒は何処行った? …と。

 

 辺りをキョロリと見渡す、ベッドの上ですやすやと寝ている悟や天内ちゃんに黒井さん、ついでサマーオイルと椅子に座ったまま寝ているミゲルさんに何故か床に這いつくばった状態で寝てる…いや気絶している菫の姿。

 

 部屋は暗く、窓の外へと視線を向けてみれば朝日が登ってきているのが見える、徐々に徐々に夜闇を照らし鶏が鳴きそうな空模様が酷く美しい。

 

 そんな中で、そいつはぽつんっとそこにいた。

 

 黒い体毛に金色の瞳、俺と一緒に戦い続けてくれた玉犬の片割れ…『玉犬・黒』がそこにはいた。

 

 部屋の隅っこで闇に紛れるようにしてそこにいた『玉犬・黒』は、俺に対して何処かシラーっとした視線を向け、徐ろにプイッと視線を明後日の方向に向けた。

 

 未だにワフワフと身体ごと甘えてくる玉…ええい面倒だ、白のことを片手間で撫で回しながら、ちょいちょいっと手招きする。

 

「黒、おいで」

 

 出来る限り優しく、笑顔を乗せて黒を呼ぶ。

 

 俺の呼びかけに耳をピクピクと反応させながら、黒はゆったりと俺の所までやってきて、再びプイッとそっぽを向いた…何処か拗ねているような気配を感じる。

 

 何に拗ねているのかは一欠片も分からないけど、一先ず白にちょっと待っても一言据えて、両手で黒の頭やら身体を撫でる。

 

 白と同じような体毛の感触を感じながら、魔虚羅にするみたいに黒のことを撫で回す…やっぱかわええなぁ〜。

 

 そんなことを考えながらひたすら黒のことを撫でていると、唐突に黒がベッドの上にピョンッと飛び乗り、そして俺の膝の辺りでぐでーんと身体を伸ばしてそのまま気持ち良さそうに目を細めた。

 

 そんな黒に嫉妬したのかそれとも単にいい加減に構って欲しかったのか、白の方も撫でて撫でて〜とでも言うようにグリグリと頭を押し付けてくる…なんか甘え方魔虚羅に似てるな?

 

 そんなどうでもいいことを考えながら、笑みを浮かべながら黒と白の頭を同時に撫でる。

 

 尻尾ぶんぶん、尻尾ゆさゆさ…視界の中で揺れる白色と黒色の尻尾を見ながら、そういや魔虚羅のやつは何処行ったんだろと唐突に思いつき…ふと視線を感じた。

 

 視線を感じた方向に顔を向けてみれば、そこには……影からぬっと俺のことを見つめている魔虚羅の姿があった。

 

 

 

 なお、割りと素でびっくりして大声をあげたせいで、悟と菫が馬鹿みたいな速さで起き上がってきていた…いや、本当にごめん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな、お疲れ様」

 

 サマーオイルの声が、耳に届く。

 

 現在午後五時、都立 呪術高専『筵山麓』…そこに今、俺達はいる。

 

 サマーオイルの高専の結界内に入ったという言葉に、天内ちゃんのこれでもう安心じゃなという安堵の声が聞こえてくる。

 

 安堵の笑顔で汗を拭うその姿からは、未だ先日の恐怖を忘れられていないような感覚がした。

 

 因みに、その恐怖の元凶とも言うべき菫も何故かこの場にいる。

 

 菫だけじゃない、ミゲルさんもいるしその横では悟が欠伸を噛み殺している、黒井さんは菫に警戒したような視線を向けている…いやまぁ、分かるけど。

 

 けど、俺としては安心出来たわけじゃない。

 

 兄ちゃんって例外もいるからな、やるなら最後まで気を張っていかなきゃ駄目だろう。

 

 

 さぁ行こうっというサマーオイルの言葉を合図にして、俺達は再び足を進めた。

 

 森林、山の中…日差しが木々の隙間から差し込んでくる…その光景に何処かデジャブを感じつつ、俺は先行するサマーオイルに続いて足を進めた。

 

 コツコツと靴の音が静かな空間に響く…森林を抜け、100ある内の一つの扉を選び、そこから天元の居所へと進んでいく。

 

 薨星宮と呼ばれる天元の膝下、専用のエレベーターを使って俺達はそこへと降りていく。

 

 ……実を言うと、薨星宮を生で見るのは初めてだった。

 

 俺は昔に天元と関わり合いにならなかったし、星漿体の護衛もその時は無かった…だから実のところ薨星宮をこの目で見るという機会には恵まれなかったのだ。

 

 だから正直に言おう…圧倒された。

 

 地下にそびえる御神木、その巨大さ、その風貌から感じる圧倒的存在感。

 

 宿儺とか悟みたいな感じじゃない、強さとかそんなのじゃなくて何方かと言うと長く永く生き続けた命の気のようなものが感じられた気がした。

 

 ここが薨星宮、ここが日本全ての結界の中心地、天元の膝下…なるほど、盤星教の奴等が崇めるのもなんとなく分かる気がする。

 

 サマーオイルが天内ちゃんに何か言っているのが聞こえるが、それを無視して脳内から過去の記憶を引っ張り出す。

 

 天元とはまるで関係無い話だが、そういえばとふと思い出したことがある。

 

 そういや、俺の持ってた呪具は何処にいったのかな…と。

 

 その内の一つや二つは宿儺の時にも使った…その内の片方は壊されちゃったけど、それでももう片方は無事だった。

 

 けど、影の中を探してみてもそのもう片方の呪具が何処にも無かったのだ、格闘戦の為にあえて影の中に仕舞い込んでいた俺の呪具は影の中の何処にも無かった。

 

 やっぱり一度死んだからそれの影響で外に出ちゃったのかなぁ…とか考えながら諦めもしたが、やっぱり取り戻したいものは取り戻しておきたい。

 

 置いていった呪具は別に良い、あれは望んで置いていった物だったから別に良い…何故か禪院家の呪具庫には一つも無かったけど。

 

 まぁ、そんなこんなで禪院家に無いなら忌庫辺りにあるかなと何時かは来ようと思っていたが、思いの外早く来れて嬉しいと言えば嬉しい、同化案件でなければもっと嬉しかった。

 

 …あっ、そういえば呪具で思い出したけど、あの時宿儺の腕ごとふっ飛ばした呪具って───

 

 

「…廻」

 

「…んん?」

 

 ふとサマーオイルからの呼びかけに応えて視線を向けると、全員が俺のことを見ていた。

 

 天内ちゃんは何故か大粒の涙を瞳に貯めて、悟とサマーオイルはこれでもかと信頼したような笑顔で俺を見ている。

 

「君はどうする?」

 

 そう問いかけてくるサマーオイルに、俺はなんのこっちゃと言葉を返しかけるが…ふと思い出す、そういえば天内ちゃんは同化を拒むんだったなと。

 

 それに加えてこの俺を信頼してますとでも言わんばかりの表情…これを向けられたら流石に裏切れませんわ…というか菫さんや、貴女はもうちょっとくらい興味を持ちましょうよ、お前のせいで大惨事になりかけたんだから。

 

 ミゲルさんも小声でヤッパリコイツラ相手二交渉シタ方ガ良カッタジャナイカって小声でボソっと言っているのが聞こえる…ミゲルさんェ…。

 

 あぁ、それでどうするか…だっけかな。

 

 ……うん、そうだな───

 

「好きにすればいいんじゃないか? 俺は聞かなかったことにする」

 

 

 とりあえず、たまには我儘になっても良いんじゃないかなとは思うかな?

 

 

 





サマーオイル

「私達は、最強なんだ」

天内ちゃん

「うん!」


懐玉・玉折編…完



???

「……」(ニチャァ)
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