宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 作者の天与呪縛:時たまパパ黒が幸せそうな光景を書かないと即死する。


じゅじゅさんぽ的な小話③

 

 

『伏黒家来訪①』

 

 

 

 

 

「やっほー兄ちゃん、遊びに来たよ」

 

「おう、らっしゃい」

 

 そんなこんなでやってまいりました伏黒家、解説は兄ちゃんの弟こと禪院廻がお送りいたします…なーんて言ってみたりして。

 

 まぁ、ふざけるのはこの辺りにして、俺は兄ちゃんの家に遊びに来ていた、だって会いたかったんだもの。

 

 当然事前に連絡はしたし許可も取った、唐突にやってきて人の寝顔覗いてくる悟とは違うのだよ悟とは。

 

 そんな感じで家に来た俺に、兄ちゃんは笑顔で応じてくれた。

 

 その笑顔から溢れ出る以前とは比べ物にならない程に深みを増した圧倒的お父さんオーラに、俺は思わず兄ちゃんのことを父ちゃんと呼びかけた…やっぱり兄ちゃんズルいよ。

 

 そんなことを考えながら玄関で靴を脱いで家に上がらせてもらう、玄関で靴を脱ぐ前に沖縄に行った時に買った土産を渡すことも忘れない。

 

 短い廊下を通って居間に通される…のと同時にててててーっと小さな影が駆け寄ってくる。

 

 

「めぐるにいちゃん!」

 

 

 幼く、舌っ足らずな言葉で俺を呼ぶ声に反応して、俺は腰を落として目の前の小さな子供に視線を合わせた。

 

 兄ちゃん譲りの成長したら絶対に整ってそうな顔に妙にツンツンしてる黒い髪、未だ穢れを知らないその瞳はキラキラと無垢に輝いている。

 

「やっほー恵くん、久しぶり」

 

 伏黒恵、兄ちゃんの息子で十種影法術持ち…そして、何時かの未来で宿儺に身体を乗っ取られたり姉の身体を意味分からん変態に取られたりと散々な目に遭うことになっている不幸の子である……まぁ、させないけどな(迫真)

 

 元気にしてたかと頭を優しく撫でる、くしゃりと表情が笑顔に染まり嬉しいって感じの雰囲気を隠そうともしないその姿に、こっちまで顔が緩んでしまう。

 

 頭から手を離すと、ぴょんぴょんと飛んで遊ぼ遊ぼと手を引いてくる…それとなく兄ちゃんに視線を向けると行って来いと視線で促された。

 

 それに親指立てて返事を返し、手を引かれるがままに恵くんの後を付いていく。

 

 少し歩くとめぐみとひらがなで書かれた部屋の前に辿り着き、その中に入って恵くんに座って座ってと促される。

 

 言われた通りに座ると、恵くんはちょっとまっててと舌っ足らずな声で一言告げて、とててて〜っと部屋を出ていく。

 

 バタンと閉められた扉を少し見て、少し笑みが漏れる。

 

 かわいいなぁと思う、なんというか…天真爛漫って感じがする、あぁいう純粋さはもう俺達みたいなのには無いからな。

 

 それに恵くんのことを見ていると、昔の弟のことを思い出す。

 

 恵くんとは違ってこっちこっちって感じで引っ張る感じじゃなくてちょこちょこ後ろから付いてくるタイプだったけど、それでも何処か似たような気配が感じられた。

 

 何時も笑顔で兄様兄様と俺を呼ぶあの姿が、どうしても恵くんと重なっちゃうんだよなぁ、失礼なことだとは思うけどさ。

 

 

「おまたせにいちゃん!!」

 

 ふと、恵くんがとててーと帰ってきた。

 

 扉を大きく開いて現れた恵くんの姿に小さく微笑んで待ってないよと返事をして、その後ろにいる人物の姿に一瞬思考が止まった。

 

 目をしょぼしょぼとさせて、未だに眠たげな目を擦りながら恵くんに手を引かれて現れた少女。

 

 三つ編みだった髪を溶いて降ろし、トレードマーク的な意味合いを含んでいたカチューシャを外した状態の姿は、あの時の旅行で羽目を外していた時の姿を思い出す。

 

 関わった時間は字面にして精々が三日と少し…それでも、その少女の生きている姿は、俺にとってどうしようもないほどの意味があった。

 

 

「久しぶり()()()()()、元気にしてた?」

 

 何気無しに名前を呼ぶ、つい二週間くらい前まで俺が護衛していた少女の名前を。

 

 天内理子…本来ならこの時点で死んでいた存在、それが今俺の目の前で当たり前に生きている。

 

 まぁ、流石に兄ちゃんの家に居るのは知らなかったけど、それでも嬉しいものは嬉しいのだ。

 

 あの時の続きがここにある、それが嬉しくて嬉しくて溜まらないのだ。

 

 

「……廻?」

 

 俺が名前を呼んだからなのか、天内ちゃんはハッとした様子で俺の姿を視界に収め、呆然としたように俺の名前を呟き───

 

 

「………ミギャァァァァァァァァァァァッッ!!!!??」

 

 突然頬を赤く上気させ、口をぱくぱくと開いて俺をほんの僅かに指差した後、奇声を上げて部屋を出ていった。

 

 乱雑に扉を開け、廊下をドタドタと走って何処かに向かっていく天内ちゃんの姿に、俺と恵くんは互いに顔を見合わせて、コテンっと小首を傾げたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『伏黒家来訪②』

 

 

 

 

 

 

 

「悪いな、恵と遊んでもらって」

 

「いいよ、恵くんかわいいし」

 

 そう言って、俺の膝の上で眠る恵くんの頭を撫でる、散々ゲームで遊んで疲れてしまったらしい。

 

 

「それに、礼を言わなきゃいけないのは俺の方だ…ありがとうね兄ちゃん、天内ちゃんのこと」

 

 

 後で何時もの三つ編みヘアーで部屋に戻ってきた天内ちゃん曰く、天内ちゃんと黒井さんはここに住まわせて貰っているらしい。

 

 天内ちゃんと一緒に旅行に行ったこと、色々とあって金銭的な余裕がとてもあったことが重なって、ウチに住んだらどうかと母黒さんに提案…もとい説得されたらしい。

 

 最初は迷惑だろうからと断ろうとしたが、その時天内ちゃんの側にいた菫がそうした方が良いと後押ししたこともあって、天内ちゃん達は伏黒家に居候をすることになったのだそうだ。

 

 それからどうこうして、天内ちゃんも今では立派な伏黒一家の一員となっているのだそうだ、当然黒井さんも一緒に。

 

 盤星教に関しての心配もあったが、そこは菫がどうにかしたらしい…あの時の笑顔はとても怖かったと天内ちゃんが言っていた…何をしたんだか。

 

 

「気にすんなよ、そこまで大変じゃなかったし、恵も姉ちゃんが出来たって喜んでたからな…どっこいどっこいだ」

 

 そう言って兄ちゃんはニヒルに笑う、その言葉には裏はなく本当にそう思っているのだと言うことが感じられた…馬鹿じゃねぇの格好良いかよ。

 

 そうして兄ちゃんの格好良さに震えている俺の耳に、それにと兄ちゃんの言葉が届く。

 

「弟が困ってんだ、助けるのが兄貴ってもんだろ?」

 

 そう言って先程のニヒルとした笑みとは違う優しげな笑みを、俺へと向ける。

 

 弟を助けるのが兄貴ってもんだろ…その言葉に、俺は一瞬思考を停止した後───

 

 

「───グハァァァッッ……!!!」

 

 吐血した。

 

 あまりに突然の吐血、意味分からんレベルの現象に兄ちゃんが驚き戸惑っている姿を目にし、それでも迸り溢れ続ける熱いパトスを胸に、俺の脳内にある一つの言葉が浮かんだ。

 

 

 即ち…ウチの兄ちゃん最高過ぎる、大好き。

 

 そんなしょうもない言葉を最後に、俺の意識は途切れた。

 

 

 

 なお、その三十分後くらいに俺は目を覚ましたんだが…起きて早々に心配かけさせんなと兄ちゃんにチョップを叩き落され、菫に身体鯖折りにされるんじゃないかってくらいに抱きしめられ、恵くんにはギャン泣きされた…いやごめんって。

 

 因みに、その後唐突に出てきた魔虚羅に延々とジトーっとした目で見られているような感じがした…いや、だから悪かったって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『玉……犬…?』

 

 

 

 

 玉犬が俺の目の前にいたあの日から、俺はちょくちょく他の式神を呼び出せないかと色々と試していた。

 

 鵺に大蛇に蝦蟇、満象やら脱兎やら円鹿やら、それに加えて貫牛に虎葬…どれか一つでも呼び出せたなら、使いやすさが抜群に上がると思った。

 

 正直な話をすると、魔虚羅は凄く強いし無茶苦茶強いし何だったら馬鹿みたいに強いという強さの三段論法的な奴があったら全部強いで埋め尽くせるようなやつなんだけど…それはそれとして使いづらいのだ。

 

 身体が大きいから狭い所で出せないし、爪とか拳の殺傷能力が高すぎて殺しちゃいけない相手とかも殺しかねんしでこう言っちゃ悪いけど多分強敵以外には役に立ちそうにないのである、こう言っちゃ悪いけど。

 

 というわけで、他の式神を俺は出したい、最低でも玉犬だけでも出しておきたい、じゃないと俺が困る。

 

 式神使いの癖に式神呼ばずに近接ばっかやってたせいで、術式『十種影法術』じゃなくて術式『ゴリラ』なんじゃないかって知り合いの禪院に言われるの嫌じゃ…嫌じゃ。

 

 …まぁ、そんなわけで───

 

「──玉犬」

 

 印を組んで唱えて呼ぶ、呼び出せないならこの時点で何も起きないが…変化が起きる。

 

 影が膨れ上がる、まるで何かに形を変えようとしているように蠢き、粘りと粘着質な何かに変化していく。

 

 影が弾ける、黒い煙を生み出し辺りを覆う…黒い煙の晴れた先では玉犬がぺたんと座って───

 

 

「……………」

 

 

 ……いやさ、確かに来るのはお前だと思ってたよ? そんな上手くいくわけないだろ馬鹿じゃねぇのとかは自分でも普通に思ってたんだよ確かに…けど流石にそれは予想外というかなんというか。

 

 白い羽毛に四足獣特有の四足歩行、ふさふさの尻尾をぶんぶんと振り回しながらこちらを見るその姿は確かに玉犬……って言いたいところなんだけどさ……おかしいなぁ、鹿の角みたいなのが見えるんですがそれは…。

 

 

「…何やってんの魔虚羅」

 

 そう、この際だからはっきり言おう…魔虚羅なのである、なんか身体は玉犬だけどなんか顔の部分だけが魔虚羅なのである。

 

 何がどうしてそうなったとか、何をやったとか、そんな考えすら湧いてこないほどの奇妙な光景を目にしたその時の俺は───

 

「…………まぁ…小さくなれるなら、お前でもいいか」

 

 

 特に何も考えず、思考を停止させた状況のまま、魔虚羅の頭を撫でるのだった。

 

 

 ……くっそ、こいつ普通に甘えてきやがる…可愛い。

 

 

 





『玉犬・魔虚羅』

 魔虚羅が玉犬みたいになった姿、何故そんな姿になったから不明だが、強いものは強いので特に変わらない。

 別に鼻は良くない。
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