宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 熱が冷める前にさっさと投稿…ぶっちゃけ最後のセリフが言わせたかっただけだった…そのせいで少し適当かもしれません…許してヒヤシンス、ぺろ。


そうか? そうだなぁ…! そーかもなぁぁぁ!!!!

 

 

 あの後のことを話そうと思う。

 

 あの後、俺がフレームレート云々を直毘人に言った後、俺はちょくちょく直毘人の部屋に遊びに行くようになった。

 

 具体的には、アニメを見たりゲームをしたり(主に桃鉄)時折術式を使って襲ってくる金髪を蹴り飛ばしたりしながら、毎日を過ごすようになった。

 

 当然鍛錬は欠かしていないし兄ちゃんとの時間も減らしていない…というか直毘人…面倒だから爺さんでいいや、爺さんの所に無理矢理付いてきてもらって一緒に桃鉄をするまであった。

 

 その度に金髪が兄ちゃんに擦り寄っていくので、その度に蹴りと拳を叩き込んだ…何発かは黒閃になったのは内緒である。

 

 まぁ、そうこうしている内に何年かは経ち、ある日唐突に兄ちゃんが家から出ることを聞かされた。

 

 いやぁ、何時ぶりだろうかあんなに大泣きしたの、昔の頃は全くと言っていい程泣かなかったから、久しぶりに泣けてちょっとすっきりしたまであった。

  

 というかアレよね、家を出るってことは嫁さんが出来たってことよね? 兄ちゃんが兄黒じゃなくてパパ黒になったってことよね?

 

 と、言った感じでハッタリかけてみたら、目ん玉ガン開きで冷や汗ダラダラな兄ちゃんの姿が見れた…隠すの下手かよ。

 

 家で別れる時には子供が産まれたら俺にも会わせてねぇ〜と間延びした声で手をぶんぶん振って兄ちゃんを見送った、最後に振り向いた時の兄ちゃんの優しげな笑顔が凄く印象に残った…脳内になんとしても保存せねば。

 

 

 あぁ、そうそう、その後すぐになんかドス黒いオーラを纏った金髪が奇声を上げながら殴りかかってきた。

 

 今まで通りに防いだら何か黒閃だったらしく、何時もよりもちょっと痛かった、痛かったから仕返しに股間を三回くらい蹴飛ばしておいた、白目向いて項垂れていたのでそこに回し蹴りもついでに叩き込んでおいた、無茶苦茶痛そうである(棒読み)。

 

 まぁ、そんなこんなで兄ちゃんは家から出ていってしまったのだ…まぁ、寂しくはない、まだ爺さんがいるから。

 

 

 

 

 というわけで、俺は今現在五条家にいます……なんで?……なんで??

 

 いや、分かっている、分かっているんだ認めたくないだけで、認めたくないだけで(迫真)。

 

 因みに、俺が五条家に来るまでの経由を説明するとだ。

 

 

 爺さん「五条家に行く」

 

 俺「行ってらー、気をつけてね」

 

 爺さん「お前も来るんだよ」

 

 俺「ファ…!?」

 

 

 

 と言った感じだ、最初は行きたくないと抵抗したんだが、両親に行けと言われたのと爺さんがお前がいないとキツイと割りかし本気で言っていたので、やむなく付いていくことにした。

 

 そして今現在、俺は五条家の縁側で黄昏れています、爺さん達は置いてきました。

 

 だって仕方がないじゃないか、あの人達の話って本当に長いし嫌味しかないんだもの。

 

 やれ家の息子は凄いんだぞ、相伝術式に加えて現当主譲りの天才肌の当主候補なんだぞとか、いやいやこっちは何百年ぶりかの六眼に加えて相伝術式の抱き合わせだぞ、お前達と違って候補じゃなくて次期当主なんだぞとかあーだのこーだのと跡継ぎと術式の自慢話に加えて遠回しにねちっこくジメジメと嫌味やら罵倒やら何やらをグチグチとぶつけ合い始めるし、面倒くさくなって途中から逃げてきちゃったよ。

 

 そうだった、昔はまだそれなりに纏まりがあったけど、今の五条と禪院は死ぬほど仲が悪かったんだった、なんで忘れてたんだよ俺…五条家の親友(六眼持ち)が居たからですね分かります。

 

 はぁとため息を一つ溢す、今の御三家…取り分け五条と禪院の溝の深さを見ていると、昔を否が応にでも思い出す。

 

 五条家にいた親友のこととか、無茶苦茶良いやつだった弟とか、気の良くて無茶苦茶強かった禪院の爺さん婆さん達とか、親友の親バカ両親のこととか…何がどうしてこうなったのやら。

 

 結束も、力も、志も、今とじゃ比べ物にならない。

 

 ドぐされであることには変わりなかったけど、それでも世を護るという一つの目標を前にしたあの人達はどれだけ啀み合っていても、憎み合っていても、妬み合っていても、必ず最後には一つに結束し、力を合わせることを躊躇わない人達だった。

 

 今みたいに、情報を弄くって任務に行かせる…なんてことは決してしなかった、情報の食い違いの元凶は何時も呪霊の成長が想像以上に早い時だけだった。

 

 

 ……悲しいなぁ、分かってはいたことだけど。

 

 縁側に寝そべって空を見上げる、空の上では雲がゆらりゆらりと気だるそうに、気持ちよさそうに風に揺られている。

 

「…みんな、あんな風になればいいのに」

 

 一つの()の下に集う揺れ雲(人間)達、普段は離れて好きにしているけど、事が起きた時には皆一致団結する…そんな簡単で単純なソレであったら良かったのにと、一人黄昏る。

 

 啀み合ってもいい、憎しみあってもいい…それでも、一つに意思の下に集い、その意思の下に戦う…そんな昔の良さを、今でも続けてくれていれば良かったのにと、そう思わざるを得なかった。

 

 

「あぁ〜、ダッリィ〜」

 

 仰向けに寝転がりながら手と足を伸ばして大きく欠伸をする。

 

 そうして当たり前のように迫りくる眠気に身を任せながら、俺は人様の家の縁側の上で、日向ぼっこしながら眠るのだった……。

 

 

 

 

 

「なぁ」

 

 

 …就寝はキャンセルだ、流石に人様の家で人に声をかけられたのを無視して寝るような図太さは俺には無い。

 

 重たい瞼を無理矢理こじ開け、重たい身体を揺すりと動かしながら、起き上がることすらせずに顔だけ動かして声の出処へと視線を向ける。

 

 視線の先にはこれまた人目で分かるほどに如何にも高そうな和服に身を包んだ白い髪に蒼い瞳が特徴的な将来絶対イケメンになりそうなショタがそこに……ん? 将来イケメンになりそうな白髪蒼眼のショタ?

 

 ガバリと身体を勢い良く起こして、声をかけてきただろう子供の姿をキチンと確認する……あっ、これアカンやつだ。

 

 白髪に蒼い瞳、何処か浮世離れした雰囲気を醸し出し、その瞳は俺へと視線を向けているようで向けていない、まるで人間が植物や虫へと向けるような瞳。

 

 もう一人の天上天下、唯一無二にして最凶と謳われた呪いの王が生涯忘れないと心の底から認めた今代の六眼保持者にして後の現代最強の呪術師。

 

 

「五条……悟」

 

 

 五条悟、後の最強の特級術師が、俺の目の前に立っていた。

 

 

 身体に緊張が走る、冷や汗が首筋を伝い、足が今にも逃げ出したいと疼いている。

 

 今はまだ最強ではない、五条悟が最強になるのは兄ちゃんに殺されかけた後だ、今じゃないしそもそも俺は兄ちゃんを五条悟と戦わせる気がないからその切っ掛けが起こるかどうかすら分からない。

 

 けど…それでも、やっぱり怖いものは怖いのだ。

 

 親友とは違った圧力、人を人とも思っていないその瞳がどうにも嫌に似合う、その瞳が何時か俺を殺すんじゃないかと思うと怖気が身体を伝う…こんなに怖いと思ったのは、宿儺以来だ。

 

 

「なぁ、お前…名前は?」

 

 

 …名前? 名前を聞かれたのか? あの五条悟に?

 

 おかしい、設定上…じゃないな、話的に五条悟の幼少期の性格は高専時代の五条よりもずっと酷かったって話だったはずなんだが…少なくとも術式の無い俺に対して名前を聞いてくるなんてことしないはずなんだけど…。

 

 

「えっと…廻…禪院廻だ」

 

「…そ」

 

 一応聞かれたからには答えようと言うことで、若干吃りながらも名前を教えた俺に対して、五条悟は一言…というより一文字だけの簡素すぎる返事で答えた。

 

 そして、五条悟は何をするでもなく縁側へと座り込む俺から視線を外すことなく、徐ろに口を開いた。

 

 

「お前…強いだろ?」

 

「……はい?」

 

 

 唐突に投げかけられた意味不明な言葉に、キョトンとした返事を返した俺には対して五条悟は惚けんなよと若干ムッとした表情で言葉を捲し立てていく。

 

 

「分かんぞ、お前だけ他の奴等と全然違う、呪力の巡りも質も他の奴等と比べ物にならない」

 

「それだけじゃない、足の動かし方もうちのジジイ共よりもよっぽど上手い、呪力操作に至ってはそっちの当主よりも上手いだろお前」

 

「もう一度言うぞ、強いだろお前? 強いよなお前?」

 

 

───ちょっと遊んでけよ。

 

 

 捲し立てられた言葉の羅列、次から次へと俺への疑問を投げかけられ、それにアワアワとしていた俺へと向けて唐突に放たれた、無邪気な殺意。

 

 それを認識した瞬間、五条悟へ感じていた恐怖が吹き飛び、それと同時に身体が直感的に動いた。

 

 跳ねるように、バッタのようにその場から飛び跳ねた、そこに襲い来る不可視の蒼、全てを飲み込み握り潰す無下限の収束。

 

 それが、つい先程まで俺が居た縁側を、容赦なくゴミを丸めるようにして粉々に……ちょっと待って? ねぇ待って?

 

 殺しかけたよね? 殺されかけたよね? ……えっ? 何やってんの? ねぇ何やってんの五条さん?

 

 

「ハハッ、避けた避けた! やっぱり強いじゃねぇかお前!」

 

 空中で身体を捻って着地し、下手人へと視線を向けてみれば、何が面白いやら楽しそうにこちらを見て笑っている…いや何笑ってんのお前(真顔)。

 

 何度も見てるから分かるぞ、今の蒼だろ? 絶対に蒼だったろ? だって俺が居た場所まんまブラックホールの被害地みたいなことになってたもん!!

 

「おまっ、ふざけんなお前! 殺す気かボケェ!?」

 

「殺す気だったんだよバァーカ!!」

 

 俺の言葉に悪びれもしない、それどころか白昼堂々と俺を殺す気だったと笑顔で宣うクソガキ…いや違う、最早悪魔だこいつは。

 

「よし分かった、ぶっ飛ばぁぁすっ!!」

 

 キレた、幾らなんでもこれにはキレた。

 

 ふざけるんじゃねぇ、幾ら対宿儺の唯一の希望なんだとしても、こいつに情報を残すためだけに宿儺に挑んでボロ負けしたんだとしても、こいつは今ここでぶん殴っとかなきゃ駄目だと、俺の心が叫んでいた。

 

 地面を踏みしめる、拳を握り込んで憎きあんちくしょうをぶん殴ってやると言わんばかりに、俺は自身の激情を隠しもせずに五条悟へと突っ込んでいく。

 

 そして、その当の五条悟本人は無茶苦茶余裕そうな笑みを浮かべたまま、何の構えも見せずにただ突っ立っていた、その笑みにはそこはかとなく意地の悪さを感じる。

 

 あぁ分かるよ、というか知ってるよ、無下限呪術は俺の親友も使ってたんだから知らないわけがない。

 

 無限を発生させて、自身への干渉を防ぐ術式、それを利用した不可侵の無限、知ってるよ知ってるさ知ってるともさ。

 

 あぁ良く知ってる…それの破り方もなぁぁ!!

 

 

 拳に呪力を流し込む…いや、()()する。

 

 水を流し込むように、纏うように、纏わせるように、膜を身体を全体に纏うように、俺自身の身体を水槽にするように。

 

 五条悟の表情が変わる、余裕の笑みから警戒を映し出した顔へと変化する…けどもう遅い。

 

 そうだよな、知らないよな、未だ領域どころか反転術式の域にも達していないお前はこれを知らない、お前の敵足り得るこの技術の名も効果も知らない。

 

 だから今ここで知っていけ、何れ知ることになるだろうこの領域を今の内に知っておけ、それがお前の何時かの力になるだろうから…それはそれとして痛い目に遭え。

 

 拳を五条悟へと突き出す、当然拳は無下限の無限に阻まれ、五条悟へは届かない、あぁそうとも今は届かない。

 

 だから…ここから届かせる。

 

 

「領域───」

 

 

───展延。

 

 

 バチリと空間が弾ける、拮抗は一瞬だった。

 

 無限の壁を突き抜けて、俺の拳は五条悟の優れたイケメンな顔面へと容赦なく突き刺さった。

 

 うめき声すら上げない、それすら出来ずに五条悟は、その勢いのままあらん限りの力の下に思い切り殴り飛ばされた五条悟は、地面を二転三転と転がって自身の家の所有物であろう池に、轟音と共に突っ込んだ。

 

 

「…はぁ〜、スッとした〜」

 

 はぁ〜っと残心と共に鬱憤を晴らしてスッキリとした息を吐いた俺は、服についた砂埃をぱっぱと払って構えを解いた。

 

 

 ……………………。

 

 

 

 ……………………………………。

 

 

 

 

 

 

 ……………やっべぇ……………どうしよう。

 

 

 しまった、いきなり順転ぶっ放されて、それにキレた辺りからあまり何考えてたか覚えてない、割りと本気でキレてたから何を考えた上であんなことしたのか覚えてない……どうしようぉぉ〜…。

 

 

 ………とりあえず、こういう時は逃げるに限───

 

 

「クッ…クククククッ…初めてだ、殴られたのは」

 

 

 逃げようとしていた足がピシリと固まる、逃げようとしていた身体が恐怖で止まる。

 

 そのままぎこちなく、ギギギっとブリキ人形のように身体を後ろへと振り返させる……そこには悪魔が居た。

 

 爛々と輝く蒼い瞳、白く光に照らされる純白の髪は幽鬼のようにゆらりと揺れ、その口元を大きく弧を描いて歪んでいた。

 

 

「おいおい、逃げんなよ…勝負はここからだろ?」

 

 逃げるなと、逃がすかと、鬼は、悪魔は、ニタリと笑ってこちらへと視線を向ける…その瞳は爛々と、ギラギラと、獲物を前にした肉食の獣のように輝いている。

 

 獰猛に、無邪気に、嬉しげに楽しげに、五条悟(悪魔)は嗤っていた。

 

 ………アカン…入っちゃいけないスイッチが入ってしまっとる。

 

 

「…いや、別にあれ勝負でもなんでもない気がするのですがそれは…」

 

 

 せめてもの抵抗と言うべきなのか、俺はなんとなしに言葉を紡いだ…内心で無駄と分かっていながら、俺は言葉を紡いだ、だってあの人怖いのだもの。

 

 しかし、そんなの知ったことかと、そんなの知るかと、悪魔は止まることをせずに、ゆらりゆらりとこちらへと歩み寄ってくる。

 

 …あれ? もしかして、これそもそも話聞いてないのでは?

 

 

「アァ? そうか? そうだなぁ…! そーかもなぁぁぁ!!!!」

 

 

 それ兄ちゃんの時の台詞ぅぅぅぅ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 この後、爺さんが来るまで、俺は五条悟という名の悪魔に追いかけ回された…もう二度と会いたくない。

 

 

 

 

 

 





 この後、爺さんに慰められながらアニメを一緒に見た…五条恐るべし。
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