宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 最近思うこと…過去編でも何でも良いから宿儺戦が書きたい…なんで本誌の方、宿儺戦やってくれないの?


まだ覚えている内に

 

 

 …撃つ。

 

 撃つ、撃つ、撃つ、撃つ、撃つ。

 

 全部で六発の弾丸を全て吐き出し、銃口から煙が上がる。

 

 シリンダーから空薬莢を取り出し、リローダーを入れて装填し、再び銃口を構える。

 

   

「『動くな』」

 

 

 

 まぁ、そう上手く行くとも思ってないけど。

 

 

 

 

 その言葉を認識した直後、身体の自由が利かなくなる。

 

 動かそうと思っても指先一つとして動かない、まるで金縛りにでもあったかのような気分になる。

 

 受けて納得する、これが呪言かと、道理で加茂先輩が口を酸っぱくして警戒しろと言うはずだと。

 

 そして、そんな棒立ちの私を、果たして周りは見逃してくれるだろうか? …当然、否だ。

 

 赤と黄色のおもちゃのようなハンマーが視界に映る、ピコピコと音を鳴らしながら振り抜かれようとしている所謂ピコピコハンマー、その持ち主に視線を合わせる。

 

 知っている顔だ、この前会った東京校の一年生、伏黒くんの横に居た茶髪の女の子…確か名前は釘崎。

 

 少し話してみて、性格こそ真逆に近かったが仲良くなれそうだと何処となく思った。

 

 そんな彼女が、今では鋭い眼光で私を睨みつけ、その手に持つ可愛らしいピコハンを振り抜こうとしている。

 

 それに対して私は、小さく笑った。

 

 

 

 

「がっ…!?」

 

 

 横合いから箒が釘崎の横っ腹へ全速力で突っ込んでくる。

 

 重く響く衝突音、横っ腹に突き刺さるように抉りこんだ箒は、そのまま釘崎を私から突き放すように吹き飛ばす。

 

 

「大丈夫真依ちゃん!?」

 

 慌てたような声が背後から聞こえてくる、高くて可愛らしい声…桃か。

 

 

「大丈夫、モーマンタイ!!」

 

 振り返ることはしない、桃の声に返事だけして構えた銃口を釘崎へと向け、残弾六発全てを撃ち放つ。

 

 鉄と火薬の弾ける音を鳴らして銃弾が真っ直ぐと釘崎へと向かい、何もなければそのまま直撃するであろう自分でも思うくらいには完璧な軌跡。

 

 しかしその直線上に、唐突に巨大な何かが割り込んだ。

 

 いや、間違えた何かじゃない、白と黒の毛並みが特徴的な二足歩行する大きな生物、人はソレをパンダと呼ぶ……いや呼ばないけど。

 

 銃弾と釘崎の間に割り込んだパンダが銃弾をその身体で受け止める、当然と言うべきか銃弾がパンダの肉体を貫くことはなかった。

 

 当たり前だろう、拳銃で熊に挑む人間がいるだろうか? 無論居ないし居たところでそいつは呆気なく挽き肉にされることだろう。

 

 それと同じだ、呪力を使うパンダは実質野生の熊と同じようなものなのだから拳銃の玉など効く訳がない。

 

 ましてやゴム弾だ、端からパンダに対しての有効打は期待していない。

 

 だから桃と二人で釘崎と狗巻を相手取っていたのだが…。

 

 

「すまん、抑えきれなかった」

 

 そんな謝罪の言葉と共に幸吉…メカ丸が飛んでくる。

 

 キャノンを利用した高速移動、特徴的な轟音が鳴らして現れたメカ丸の機械の身体はそれはもうボロボロの状態だった。

 

 機体全体はヒビ割れだらけ、右腕は無事なように見えるけど左腕の方は見るからに駄目そうだった。

 

 ガタガタミシミシと軋むような音が聞こえる、大方パンダの攻撃を左腕で防いだ際にこうなったんだろうけど…少し面倒だ、だってメカ丸の装甲を砕くような一撃があるってことなんだから。

 

 

「良いわよ、まだ調整中なんでしょ?」

 

 一言そう返しておく。

 

 今の幸吉のメカ丸は少し前に作り出した調整中の機体だ、なんでそれで来たのかは知らないけど…まぁ、交流会ってことでデータを集めようとしたんでしょう…多分だけど。

 

 

「奴は形態変化が出来る、それに左腕をやられた、気をつけろ」

 

 近接は俺がやる…その言葉と共にメカ丸はジャコンと右腕を刺々しく変化させた、まぁこの中で近接出来そうなのメカ丸くらいしか居ないから妥当と言えば妥当ではあるけど。

 

 

「そう言う貴方もね」

 

 左脇から拳銃をもう一丁取り出し、構える。

 

 リボルバーの二丁拳銃…実際にやってみると凄くやりづらいことこの上ない方法だけど、慣れれば何故だが楽しくなってくる変わりモノ。

 

 リロードはやりづらいし反動は制御しにくいしで大変…でもそれはそれとして使いたいからと使っていたら何時の間にか使えるようになっていた不思議産物1号。

 

 

 笑みが溢れる、テンションが上がる、理由は相も変わらず分からないままだけど、別にいいやと理屈をそこら辺に投げ捨てる。

 

 そしてそんな気分に浮かされるままに、私は拳銃の引き金を───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───逃げて!!」

 

 

 

 そんな切羽詰まったような声が、耳に届いた。

 

 瞬間、その方向から、大きな大きな影が私達を覆った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 ボウっというありきたりな音と共に、壁に貼り付けられていた全ての札が、一斉に赤く燃えた。

 

 歌姫先輩の疑問の声と札の燃える音だけが部屋に響く、交流会の様子を映し出していた画面は真っ黒に染まっており、最早何も映していない。

 

 

 

「…僕の生徒達が祓った……って言いたいところだけど、流石に違うか」

 

 

 未登録でも赤いもんね…そんな悟の言葉に周囲の人間全ての気配がピリついていく。

 

 侵入者…その単語が、俺達の脳内に入り込んだ。

 

 

「俺は天元様の所へ、悟は楽巌寺学長と生徒の保護を、冥はエリア内の学生の位置を特定し悟達に逐一報告してくれ…賞与は期待しておいてくれ」

 

「承知…言葉通り、期待してますよ」

 

 

 トントン拍子で話は進んでいく、流石にベテランの集まりなだけにそこら辺に対する対応の遅れは基本的に無い。

 

 

 

「先に行ってます」

 

 席から立ち上がり、学長と歌姫先輩達に視線を向け、そう一言告げると同時に走り出した。

 

 部屋を飛び出し、学舎を飛び出してエリアへと駆け出していく。

 

 

 

 

 …始まったと、そう思った。

 

 正直な話、実はもう物語の内容はあまり覚えていない。

 

 詳細な内容どころの話じゃない、大まかな流れや重要な話の部分もどんどん底に穴でも空いたみたいに消えていく。

 

 それでも、それでもまだこれは覚えていた…ここから、戦いがどんどん激化していく…そのことはまだ覚えていたのだ。

 

 まだある記憶の通りのことが起きてるなら、今日ここに来ているのは変態ハンガーラック男と金髪虹夏(汚)、それと森への畏れから生まれた特級呪霊の花御。

 

 ハンガーラックと虹夏(汚)はまだ良いけど、花御の方は絶対に祓っておかないといけない、あれはまだ皆が勝てるようなレベルの相手じゃない。

 

 虎杖くんと東堂が戦えていたのは当の本人達の相性が非常に良かったのもあるが、それ以上に花御が殺意にブレーキをかけていたことに加えて領域を使用していなかったからだ。

 

 花御の領域は報告にあったツギハギの呪霊と違って魂に直接触れることはない、つまり宿儺が表に出てこない以上はやろうと思えば普通に殺せるのだ。

 

 少なくとも、宿儺関連の話さえ無ければ花御はきっと彼処に居た全員を殺していたはずだ。

 

 物語通りならきっと問題は無いのだろう…だけど俺という不純物が既に紛れ込んでいて、そしてその影響で菫という本来あり得ない存在がこの世に現れてしまっている…当てには出来ない。

 

 それに、天内ちゃんに黒井さんだって生き残っている。

 

 天内ちゃんだけじゃない…傑くんも呪詛師になってないし兄ちゃんだって生きてる…変わってることがこんなにいっぱいあるのに相手の方だけは変わっていないだなんて、俺には思えない。

 

 

 責任がある…変えてしまった以上は、何が何でも変わってしまったナニカから皆を生かさなきゃならないっていう責任が俺にはある。

 

 

 エリアが見えてきた、まだ帳は発生していない。

 

 

 今ならまだ、帳が降りる前にエリア内に入り込める───

 

 

 

 

「悪いな、通行止めだ」

 

 

 そんな声と共に、そいつは俺の目の前に降り立った。

 

 赤く長い髪に鬼の様な面、まるで空想の鬼そのもののような巨大な身体。

 

 左右に大きな鉤爪のような物を携え、その身に赤い鎧のようなものを纏っている。

 

 そんな姿のそいつが、俺の行く道を塞ぐようにして、地面に亀裂を入れて、俺の元へと降り立った…まるで、ここから先へは通さないとでも言うように。

 

 

 表情は見えない、何せ面で隠されているせいで見えない。

 

 

 …だけど、何処か可笑しそうに笑っていると、なんとなくではあるが、そう思った…そう感じた。

 

 そして俺は、そんな赤鬼のような姿のそいつが、どうしようもなく…ムカついた。

 

 

 

「退けよ…!」

 

 

───『鵺』『虎葬』『貫牛』

 

 

 素早く手早く印を組む。

 

 呼び慣れやり慣れ使い慣れ…正直使うって部分は嫌いだが、それでも何度も呼び出して戦ってきた俺の式神達、その結合体。

 

 『白叡』と並ぶ俺のオリジナル、そのもう一体。

 

 

「潰せ───」

 

 

 

───『獅子王』

 

 

 

 呼び出すな否や、そいつは影から這い出すようにしてその姿を現した。

 

 大きな腕に鋭い爪、低く唸るその面には無数に輝く瞳に鈍く輝く凶悪そうな牙、更にその左右から生えた大きな牛のような角。

 

 鵺とは違う暗い茶色の体毛に虎のような痣、貫牛も混ぜ込んでいるのに貫牛要素は何処だと言いたくなるくらいその要素は見当たらない…強いて言うなら尻尾が牛っぽい程度であろうか?

 

 影から這い出し、その巨大な肉体をこの世に現したそいつは…獅子王は眼前の鬼面へ視線を向けるや否や、ゆったりと俺の方へと振り向いた。

 

 獅子王の視線が俺を射抜く、その瞳は暗にこう言っているような気がした…『アイツは殺してもいいのか?』…と。

 

 実際にそう問いかけられたわけじゃない、ただ俺のことを見つめただけ…でも、俺自身がそう思い、感じてしまった以上は、放つ言葉はただ一つだけ。

 

 出来る限り笑顔で、何時も通りに、俺は告げた

 

 

「良いぞ、行ってこい!」

 

 

 

 そんな俺の言葉に、獅子王はその顔を、大きく喜悦に歪ませた。

 

 

 まるで、心の底から嬉しいと、そう言うように。

 

 

 

 

 そして、視線を鬼面へと戻した獅子王は、大きく息を吸って───

 

 

 

「───ッッッ!!!!!!」

 

 

 

 大きく、まるで天でも突くように、咆哮した。

 

 

 

 

 

 






『獅子王』

 最初は某喰らう霊でイメージしてたけど、牛の角が生えたのならそれは何方かと言えば金獅子の方なのでは? ボブは訝しんだ。

 
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