宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 宿儺を書こうとするとテンションが上がってネタ切れが吹き飛んだ件について…それはそれとしてサカモトデイズおもしろ…全部買おうかなとか悩んでみたり。


お前を殺す

 

 

 

 ほんの一言…本当にほんの一言だった。

 

 虎杖くんの頬に張り付いた口…宿儺が喋ったそのほんの一言で、事態は大きく動き出そうとしていた。

 

 影が蠢く、ゆらゆらと蠢き勢いよく影を撒き散らすように、影の中から魔虚羅が飛び出してくる。

 

 

───ガコンッ…!!

 

 法陣が一度廻り、俺と虎杖くんの間にあるほんの僅かな距離を、影から飛び出した魔虚羅は一瞬すら生温いような速さで潰し、そしてその爪を躊躇なく虎杖くんへと───

 

 

「やめろ、魔虚羅」

 

 

 爪が止まる、虎杖くんの首を刈り取らんと振るわれた魔虚羅の爪が、虎杖くんの首スレスレでその動きを止める。

 

 咄嗟だった…あと数瞬、俺が止めるのが遅れていたら、きっと虎杖くんの首は俺の足元に転がっていたに違いない。

 

 魔虚羅が肩越しに俺へと視線を投げかけてくる、その目はなんで止めるの? とでも言っているようだった。

 

 因みにその当の虎杖くんは呆然としたような様子で魔虚羅の爪を凝視している、今起きた事柄に理解が追いついていないと言った様子だ…まぁ、誰だってそうなるだろう、俺だってそうなる。

 

 

「まだ虎杖くんだ、宿儺じゃない」

 

 俺自身にも言い聞かせるように、暗にまだ殺すなと魔虚羅に言葉を投げかける。

 

 俺だって、本当に宿儺が降霊した状態だったら止めてなかった、何だったら意気揚々とGOサイン出してた自信がある、宿儺があの程度で死ぬわけがないからだ、寧ろ今ので死ぬなら俺がとっくに殺してる。

 

 だけど違うのだ、今の虎杖くんは明確に虎杖くんだ、宿儺と入れ代わってるってわけじゃない、殺したら死ぬのは虎杖くんだ。

 

 それは嫌だ、虎杖くんには生きてほしい、よぼよぼのおじいちゃんになるまで生きて生きて生き抜いて、後腐れ無く皆に囲まれた状態で死んでほしい、どうせ死ぬなら宿儺だけに死んでほしい。

 

 

「ごめん、大丈夫だった虎杖くん?」

 

 謝罪の言葉を掛けながら、虎杖くんの側に小走りで寄っていく。

 

 俺の言葉に虎杖くんは何処か心此処に在らずと言ったような様子でうすっと小さく返事をした、その様子からは何時もの虎杖くんらしさを感じられない。

 

 妙にも思うが、流石に死にかけてすぐはこんなもんかと思い直し、一応は念の為に反転術式を虎杖くんの中に流し込んでおく───

 

 

「…相変わらずだな、お前は」

 

 耳に届く聞き慣れたくない声、目と鼻の先から聞こえた声に俺はつらりと視線を向ける。

 

 虎杖くんの頬、そこに貼り付けられたみたいに存在している一つ目と歯の生えた口、それがニタニタと意地の悪そうな笑みを浮かべながら俺へと語りかけてくる。

 

 

「相変わらず、気にする必要のないことを気にする、それで俺に負けたことをもう忘れたのか?」

 

「否定はしないけど、それが俺のやりたいことだったから良いんだよ、少なくとも俺は納得してる」

 

 

 昔と変わらないニタニタとした意地の悪い笑み、それと共に吐き出された言葉に俺は何気なく言葉を返した。

 

 痛かったし、あんな感覚二度と味わいたくないとも思った…それでも俺は後悔していない、彼等を助けたことを一度たりとも悔いたことは無い。

 

 

「俺はやりたいことをやる為に強くなったんだ、やりたいことやって死ねたなら俺はそれで良いんだよ」

 

 

 生きるのも守るのも副産物みたいなもんだけど、俺は別にそれでも構いやしない。

 

 俺が俺として生きて死ぬこと…それが俺のやりたいことなわけだからな。

 

 

 おしまいっと声を出してぽんっと虎杖くんの肩を叩き、悪かったなと一声掛けて虎杖くんから離れていく。

 

 なんだか虎杖くんの俺を見る目が若干おかしなことになってたような気がするが…まぁ、虎杖くんは東堂みたく頭がアレなわけでもなければ性格がアレってわけでもないからな、別に心配はいらんだろう……と思いたい。

 

 背後からケヒヒと聞こえてくる奇妙な笑い声を聞き流しながら、俺は悟達の所へと───

 

 

 

 

───契闊

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 虎杖悠仁と両面宿儺は、ある縛りを交わしている。

 

 

 一つ…宿儺が契闊と唱えた際、虎杖悠仁は()()()の間、宿儺に身体を明け渡すこと。

 

 二つ…虎杖悠仁はこの縛りの一部を除いて、その内容を忘れること。

 

 そして三つ…その三分間の間、両面宿儺は()()()を除いた全ての人間を傷つけないこと。

 

 

 

 当然ながら、当初の縛りの内容はこんなものではなく、本来通りの内容であった。

 

 しかし、禪院廻を認識した宿儺は虎杖に対して縛りの変更を要求、それに伴ってある程度の譲歩をすることとなった。

 

 そして…その縛りが今、宿儺の合図と共に開放される。

 

 

 

 瞬間、宿儺と虎杖の意識が逆転する。

 

 宿儺は表へ、虎杖は裏へと…呪いの王が、殺意と悪意を持って現世へと顕現する。

 

 ニタリと笑みを浮かべ、ケヒッという奇妙な笑声を上げながら、宿儺は───

 

 

「───まぁ、するよなお前なら」

 

 

 その両腕を、容易く斬り飛ばされた。

 

 一言何気なく呟かれた言葉、それが宿儺の耳に届くと同時に呪いの王の腕は意図も容易く宙を舞う。

 

 呪いの王の視線が禪院廻と克ち合う…何時の間にやら近づいて、その手に持つ短刀を振るっていたその男のみに、呪いの王の視線は釘付けにされた。

 

 宙を舞う自身の両の手、あまりにも呆気なく唐突に引き起こされたその事態に、しかし宿儺はその笑みを崩すことは無く、寧ろより一層笑みを深めて禪院廻へと迫る。

 

 虎杖悠仁が食った宿儺の指は大凡三本、それだけで並の特級呪霊程度ならば、宿儺はそれを遊ぶように祓えてしまう。

 

 そんな宿儺の動きもまた、当然と言うべきか並大抵のモノではなく、準一級術師…或いは並の一級術師にさえ捉えられるかどうかすら怪しい。

 

 宿儺の腕が再生を始め、それが終わる間も待たずにその腕が眼下の命を刈り取らんと振るわれる。

 

 反転術式による再生、何をどうやってもセンスのみが問われるソレをまるで呼吸でもするかのように行使する…そんな宿儺の元へと一歩踏み出した廻は、その胸へと自身の短刀を突き刺した。

 

 振るわれた腕が自身へと届く前に…いや、いっそ何もさせるものかと宿儺がほんの一歩も踏み込む間すら与えず、禪院廻は宿儺の懐へと潜り込み、自身の短刀を宿儺の胸へと突き立て抉り、引き抜いた。

 

 飛び散る鮮血、宿儺の途絶えぬ笑みだけが彩りを与えたその場に於いて、廻はただただ無表情に無感情に再び短刀を宿儺の胸へと突き刺す。

 

 刺す、刺す、刺す、刺す、刺す、刺す、刺す、刺す…獅子王と同じく連続で繰り返したそれは、しかし獅子王のモノとは違い、明確な技術により成し得られた物であると、見る者が見れば理解出来てしまう…そんな技量の産物を、廻は何度も何度も宿儺へと高速で突き立てる。

 

 琥珀…或いは黄金の瞳が冷たく宿儺を映し出す。

 

 まるで光を映さないその瞳が静かに呪いの王を捉え、しかしだから何だと短刀を突き立てる。

 

 ドチャリドチャリと血溜まりだけが地面へと満ち、そこへまるで押し倒されるような形で宿儺が倒れ込み、その上から廻は膝を膝蹴りでもするかのように叩きつける。

 

 ほんの僅かに廊下にヒビが奔り、そこから遅れるように宿儺の口から血が漏れ出る…それでも宿儺の顔からは笑みが消えることは無かった。

 

 楽しげに、愉快げに、何が嬉しいのかと廻はうんざりとしたような表情を宿儺へと向け、そんな廻の様子に宿儺の笑みはより一層深みを増し、ニタニタニタニタと意地の悪い笑みをさも当然のように浮かべてみせた。

 

 

「覚えておけ禪院廻、俺は必ず───」

 

 

───お前を殺すぞ

 

 

 呪いの王は宣言する、必ずお前は殺すと。

 

 その言葉に嘘偽りは無い…ただ殺したいから殺す、やることなす事何もかもが自身の快・不快のみである呪いの王だからこその言葉。

    

 しかし、だからこそ───

 

 

「それは俺の台詞だろ───」

 

 

───今度は、俺が勝つぞ

 

 

 禪院廻は、最早決して譲らない。

 

 最早この世は平安ではない、現代日本であり呪術廻戦と呼ばれた物語の舞台、終わりのある世界なのだ。

 

 結末は知らない、何が起こるかも最早覚えていない。

 

 しかしだから何だと言うのだろうか、そんなものは平安の世の時点で当たり前だったのだ、一体今更何が変わるものなのか。

 

 情報は可能な限り引き出した、きっとあの親友ならば宿儺にも勝てるだろう、そんな確信が廻の中にはある。

 

 しかし、それはそれとして廻の中には負けたままで終わりたくないと叫ぶ何かが、確かに存在しているのだ。

 

 故に───

 

 

()を愉しみにしているぞ、禪院廻」

 

「そうか、出来るならずっとそのまま引き籠もっててくれ」

 

 

 宿儺の笑みに、廻もまた笑みで返し…そして、その握りしめられた拳を大きく振りかぶり、宿儺へと叩きつけた。

 

 

 

 黒い火花が散る…まるで呪いの王との再会を、目一杯祝福するかのように。

 

 

 

 





禪院廻

 指三本の状態の宿儺にパパ黒がタコにやったみたいな感じの連刺し(短刀)叩き込んだ。


宿儺

 ケヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ


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