バーが全部埋まって真っ赤になったと思ったら、日間ランキング一位になっていた…嬉しいけど後の反動が怖い。
今回は少し難産でした…ショタ五条の喋り方とか分からん、ショタ五条が何を言うのかとも全然分からん。
あの後、俺は五条悟にひたすら追いかけ回された。
そーかもなぁぁぁの件の辺りで回れ右して全力で逃走を図った俺を、五条悟は何の躊躇も無しに追いかけてきた、キョトンとすらせずにイッちゃってる笑顔で追いかけてきた。
いや、追いかけてきただけなら良かった、ただ走って逃げるだけならそれでも良かった…だけどアイツ、術式使ってくるんだよ。
誰が思う? こんな人がいっぱい居て問題起こしたらまずまともな目に遭わないだろうデカイ敷地内の中で何の加減も無しに順転ぶっ放してくるとか誰が思う? ……誰も思いませんね、けどあいつはやりますよね五条悟だから分かってるよこんちくしょうがぁ!!
結果として、俺は騒ぎを聞きつけてやってきた爺さんと五条家の当主さんが来るまでの間、ずっと五条悟から逃げ回ってた…アイツ場所関係無く蒼ぶっ放してくるから逃げ場所選ぶのが無茶苦茶疲れた。
因みに、爺さん達が来ても五条悟のやつは止めるどころかうるせぇと言わんばかりに当主と爺さんに向けて術式撃とうとしてたから、何とか展延駆使して後ろから羽交い締めにして仕切り直そう、今度誰にも邪魔されない場所で続きはやろうと説得を試みた。
そしたらアイツ、子供みたいに…いやまぁ子供なんだけどさ、ヤダヤダ今じゃないとヤダ(意訳)と術式を最大出力でフル稼働させようとしていたからあら大変…いや本当に何考えてねん。
仕方なかったから、そのまま羽交い締めにした状態から…えっと、なんだっけ……あぁ思い出したドラゴンスープレックスだ、それで五条悟の意識を刈り取ろうとしたらなんかますます笑顔になっちゃったから素直に絞め落とした。
そうしてドサリと崩れ落ちた五条悟を現五条家当主に押し付けた俺は、ぺこりと頭を下げた後に謝罪の言葉を口にして、さっさと爺さんと帰った。
帰る途中で良くやったと満面の笑みで爺さんに褒められたのがなんとなく嬉しかった…いや待って褒めんの? 怒らへんの?
そんな疑問が浮かび上がってくるも、五条悟との鬼ごっこが想像以上に負担を強いていたのか、俺はその疑問を口に出すこと無く瞼を閉じて眠りについた。
眠る背中に狼の遠吠えを聞いた気がした。
「よっ」
「よっ…じゃねぇんだよなんで居んだよ悪魔」
目が覚めたら、俺の目の前には悪魔が居た。
禪院家の一室、というか俺の部屋なんだが、そこで俺は布団の上ですやすやと眠っていた、多分爺さんが寝かせてくれたんだろうと思う、素直にありがたいので後で最近手に入れた黒い縄の束みたいな呪具をあげようと思う。
いや、そんなことはどうでもいい、問題はそこじゃない。
問題なのは、すやすやと眠って元気満点気分爽快な寝起きの俺の目の前に…どれだけ経ったのかは知らんけどそれでも絶対それなりに経った後であろう俺の目の前に、俺が馬鹿みたいに眠る原因になってくれやがったあんちくしょうが居ることだ……いや、マジでなんでいるんですかあーた?
「オマエに会いに来た」
「帰れ」
有無を言わせない即答、自分でも驚くくらい冷めた声で割りかし酷いことをいとも容易く口に出していた。
でもしょうがないじゃない、相手は五条悟なのだもの、平気な顔してさも当然のように順転ぶっ放してくるヤバイ奴なんだもの、帰ってもらわないと家が吹き飛びかねん。
そんな俺の返答に、あからさまにムスッとした顔をした五条悟は、不満気に口を漏らした。
「なんだよ、仕切り直そうって言ったのそっちじゃんか」
言ったことにはキチンと責任持てよと、五条悟は唇を尖らせて抗議の言葉を口にした。
………………………………。
…………………いや……まぁ……………うん…言ったよ、確かに…確かに言ったよ仕切り直そうって、でもお前嫌だ嫌だって言って俺の話聞かなかったやん、なんなら術式自分の親にブチ込もうとしてましたやん。
えっ…何? 逆になんでお前そんなやばそうなことやりかけておいてそんな偉そうに威張れるの? 五条悟だからですね分かってた。
「…まぁ別にいいけどさ、それはそれとして側に誰もいないらしいけど…もしかして一人で来たのか?」
五条悟の周囲に視線を向けてみれば、そこには誰もいない。
五条悟は五条家の次期当主だ、しかも六眼持ちで相伝術式も継いでる性能が突き抜けてる類の人間だ、だから狙われる。
確か、この時期だと賞金首とかで賞金かけられてたはずだ、幾らかは知らないけど高額であるのは間違いない。
だから、高専の時ならまだしも今の時期なら誰かしらが付いてきているはずなのだが……あっれ〜? おっかしいなぁ部屋の外からも気配が感じられないのですがそれは。
そんな俺の困惑とした様子を感じ取ったのか、五条悟は頭をポリポリと掻き、面倒くさげに口を開いた。
「親父と来たんだよ、流石に一人じゃ来られなかったからな」
そう言ってだら〜と寝転がる五条悟を見ながら、俺は頭に手を置いて大きくため息をついた、なんとなくではあるが五条家の当主が何をしにきたのかをある程度察したからだ、多分だけど。
どうせ俺が五条悟を殴ったこととか絞め落としたことに対してネチネチグチグチと文句を言いに来たか、壊れた屋敷の用具を弁償しろ〜とか言いに来たんだろうなぁ、仲悪いもんなぁ五条と禪院。
「めんどくせ〜」
言いながら布団へと倒れ込む、五条悟が目の前にいるがそんなことは最早関係無い、何もかもが面倒な現代の御三家が悪い、俺は悪くねぇ…と誰に言うでもなく愚痴を言ってみたりする。
……何気なく、五条悟へと視線を向ける、人様の家だと言うのに相も変わらず偉そうにだら〜と寝そべっている、暇人かお前は。
五条家に現れた、何百年ぶりかの六眼の保有者、サーモグラフィーのように術式と呪力を鮮明に認識可能な呪術界におけるチートにして五条悟の強さの根幹に位置する物…俺の親友も持ってた蒼い空のような瞳。
こいつを見ていると、また昔を思い出す…最近昔を思い出してばっかりだ、こいつ何時も昔思い出してんなとか言われそうで怖い。
会ったのは何時だったか…ガキンチョの頃か、少し大人になった辺りだったか、そこまで鮮明に覚えてはいないけど、強いて言うなら出会って早々に蒼をぶっ放してくるようなやつではなかったっていうのは確かだった。
というか思ったんだけど、六眼の所有者ってみんな詰まらなそうな表情してんのがデフォルトなの? なんか性格は似ても似つかないのに五条悟と親友の顔が重なって見える。
違うって分かってるのに、そんな顔してないって分かってるのに、妙に寂しそうに見えるその表情が親友とダブって仕方がない。
「なぁなぁ廻〜、仕切り直そうぜぇ〜」
遂に人様の部屋で寝転がり始めた五条悟は、こちらへ視線を向けてまるで甘えるような声色で俺へと声をかける。
ついこの前殺しにきたとは思えないほどに気安く俺の名前を呼びかけ、暗に遊ぼう遊ぼうと親に強請る子供のような態度で俺を見つめる五条悟に、俺は頭が痛くなるような思いだった。
何がこいつにここまでさせるんだと、未来のこいつを知っている身としてはもうなんとも言えないところまで来てしまっていると言うかなんというか。
何が酷いって、こういう態度で来られると俺としては邪険にし辛いって点だ、こいつ分かった上でやってたりしてないだろうな?
俺は頭が痛くなるのを我慢しながら、俺はなんとかこうとかして五条悟の要求を躱し続けた、はっきり言ってもうあんな状態の五条悟とは戦いたくないのだ。
しかも何が怖いって、こいつが俺との仕切り直しの途中で何らかの拍子に反転術式を会得した場合、その肩慣らしの矛先が十中八九俺になるってことだ。
嫌だぞ俺は、赫も茈も食らったことはあるしなんなら直撃したこともあるけど、嫌なものは嫌だ、五条悟の撃ってくる赫と茈だけは死ぬほど喰らいたくない。
親友の時でさえヤバかったのに、こいつの食らった日にゃ肉片一つ残る気がしない。
「なぁなぁやろうぜ〜、続きやろうぜ〜」
「いやだから嫌なんだって…!」
媚びた態度では駄目だと判断したのか、それともただの気まぐれなのか、五条悟は唐突に起き上がってこれまた唐突に俺に対してのダル絡みを始めた、こいつは本当にもう…鬱陶しいなこいつぅ。
「だから嫌なんだって、お前どうせ順転だけじゃなくて反転も虚式も使えるんだろ? んなもん喰らったら死ぬわこちとら」
あまりにも鬱陶しかったから、少し語気を強めて絡んできていた五条悟を乱雑に引き剥がす。
引き剥がされた五条悟は、何処かポカンとした表情で俺を見てきている……やっべ、もしや強く言い過ぎたか? でも五条悟がこの程度で一々落ち込むわけが無いし…あぁでもまだ子供の時期だからもしかしたらこの程度でも一応は傷付く可能性が───
「なぁ、虚式って…なんだ?」
全く見ない五条悟の珍しい姿にあーでもないこーでもないと若干混乱していた俺の耳に、五条悟の声が響く…その声は、純粋な疑問を孕んだ声色をしていた。
「えっ?」
「だから、虚式ってなんだ? 聞いたことないぞそんなの」
俺はまた混乱の淵に叩き落された…えっ? 虚式を知らない? なんで?
いや、使えないのは知ってる、今の時期ではまだ反転術式を習得してないから前提条件の赫すら使えていないんだから虚式なんて使えるわけがない…けど存在を知らないってのはなんでだ?
五条悟は次期当主だ、しかも六眼と無下限の抱き合わせ、それならもうその存在を知らされていてもおかしくないはずだ、事実親友は7歳くらいの頃にはもう虚式のことを知っていて…………あ…そういやあの時って、呪霊がただでさえ強かったからさっさと伝えられること全部伝えとけ的な感じで育成が早かったような気が……しかも虚式って確か五条家の奥の手中の奥の手的な扱いだった気が…………あれ、これひょっとしなくてもやばいのでは?
視線を何気なく五条悟へ向ける……あっ、やべぇ…目がギンギンに輝いてらっしゃる、子猫(ライオン)が面白い玩具見つけた時みたいな目をしていらっしゃる。
「………虚式? なんのことですかな? そんなことは一言も申しておりませんが? そもそもそんな奥の手中の奥の手みたいな必殺技染みた名前を私めのようなモブ禪院が知っているなどと…ソノヨウナコトガアロウハズガゴザイマセン」
苦しい…自分でも思わず思ってしまうほどに苦しい言い逃れ…というにはあまりにも怪しすぎる俺の言い訳を、五条悟は何処かキラキラとした瞳のまま聞き納め───
「…そっか」
ニタァと擬音が付きそうなほど、とてつもなく良い笑顔を浮かべた。
「ちょっと親父に虚式ってやつについて聞いてくるな!!」
「待てやお前ぇぇ!! 人の心とかないんかぁぁぁぁ!!?」
この後、約十分に届くであろう盛大な鬼ごっこの果てに、俺は五条悟…もとい悟(呼ばなきゃ聞くと脅された)を捕まえることに成功した…因みに決め手は飛び蹴りの際に発生した黒閃。
無茶苦茶疲れたので、その日は爺さんと一緒にアニメを見た…爺さんの慰めが妙に優しかった。
爺さんの視点
五条家の当主が文句を言いに来る、ついでにあの時の(悟を絞め落としたこと)はただのマグレなんだからあまり調子に乗ってんじゃねぇぞと煽られる、青筋バキバキ。
その約数分後、鬼ごっこのドタバタを聞きつけて(五条家の当主ドヤ顔)行ってみたら五条悟が壁に減り込んでて主人公は肩で息してる。
爺さん満面の愉悦笑顔、五条家当主茫然自失。
因みに、このことを電話で伝えられたパパ黒は大爆笑していたという。