作者の本音
早く渋谷事変書きたい、書きたくて仕方がない、だから書いた全部飛ばして書いた反省も後悔もあるけどそれはそれとして書きたかったから書いた。
交流会は終わった…宿儺と入れ替わった虎杖くんを元に戻した後に起こったのはどっかのルーティーンが嫌いな誰かさんがやらかしたクジの入れ替え…個人戦を行うはずだった二日目の種目は野球という非常に平和な球技へと様変わりした。
それから行われたのは青い青い少年少女達の青春劇…東堂と虎杖くんが勝負してたり、三輪と与くんが妙にイチャイチャしていたり、それと分かっていたことではあるが歌姫先輩が肝心の生徒達よりも熱くなっていたりと……まぁ、色々あった。
あれから一ヶ月…いや、もしかしたら数週間かもしれない。
京都校に戻った俺と生徒達は何時も通りの生活に戻った…生徒達は任務を受けて、俺も偶に派遣される…そんな日々を繰り返す毎日。
八十八橋で宿儺の指を回収し、それを虎杖くんが取り込んだという報告を受けたのがついこの間のことだ。
気になって詳細を聞いてみた結果として分かったのは、そこで虎杖くんと恵、釘崎さんの三名が少年院と同タイプの特級呪霊
血を操る呪詛師及び呪霊の存在は確認されておらず、寧ろ何でそんなことを聞くのかと疑問に思われてしまったのは記憶に新しい。
与くんの様子や調子にも特に妙な点は見当たらず、何時も通り三輪ちゃんと仲良く夫婦漫才をしていた…因みに当の本人達に夫婦漫才とか言ったりすると両名共に顔を赤らめてモジモジしだすのだが…まぁそこはいいだろう。
結論として言ってしまえば、絞りカスレベルにしか残されていない俺の記憶は、最早全く役に立たないのだという事実を改めて認識したと言ったところだろう。
九相図の兄弟は虎杖くん達と戦うどころか接触すらしておらず、与くんは呪霊達に協力するどころか毎日毎日楽しそうに日の下に存在している。
足は未だに存在せず、片腕は義手で車椅子での移動を強いられてこそいるが、それは与くんの術式で容易く解決出来ているし、ついこの前は三輪ちゃんに車椅子を押してもらっている光景さえ目にした。
彼等に問題は無い…その事実に酷く安心した自分が居た。
ならばと思考を纏める…後は、俺が気を引き締めるだけだと。
閉じていた、瞳を開ける。
部屋から見える光景、夕日が沈み世界が暗く染まっていく光景、世間一般的に言うところの逢魔ヶ時とでも言うべき時間帯…あっているかどうかは知らないけど。
時刻はもうそろそろ午後の六時、今日で10月は終わり明日からは11月が始まる、何も無ければただ冬が始まるなぁというポヤポヤとしたこと考えてただけで終わったその光景を、俺をただゆったりと見つめていた。
何度でも言う、俺にはもう記憶が無い、さっきの絞りカスが正真正銘最後に残っていた記憶だったのだ、もう備蓄は無い。
視界の先で夕日が完全に沈み、辺りが暗くなって月が視界にハッキリと映り込み始める。
夜が来る、呪い達の時間がやってくる……何処か漠然としたような気持ちの中で、俺はそう思った。
───午後19時丁度…東急百貨店・東横店を中心として半径400m程の帳が降ろされる。
───更に帳が降ろされる約十分前、偶然その場に訪れていた
───午後19時30分…五条悟、夏油傑の両名が渋谷に現着、両名及び既に現着していた術師達による掃討戦が決行される。
───後に渋谷事変と呼ばれた事件…その幕開けであった。
「……来たね」
隣から聞こえてくる嫌な声、その如何にも楽しくて楽しくて仕方がないとでも言いたげな弾んだ声が、私はとにかく嫌いだ。
「それじゃあ、作戦通りに行こうか…漏瑚、陀艮、真人、三途…頼んだよ」
その言葉を受けて、其々が其々の反応を返しながらも動き出す。
真人は楽しげに、漏瑚は何処か不機嫌そうにふんっと鼻を鳴らしながら、三途は指の骨を鳴らしながら無表情で。
陀艮は…なんかぷもぷも言いながらゆっさゆっさと動いている、なんで呪霊の癖してこんな愛嬌のある見た目してるんだこいつ。
「それと雪姫、君は…分かってるね?」
ゆっさゆっさと移動する陀艮へと視線を向けていた私に、クソ脳味噌が胡散臭い笑みを浮かべながら声を掛けてくる。
ねっとりとした粘着質な声が耳に絡みつく、気持ちの悪さと今すぐにでも殺してやりたいという衝動、しかしそれに待った掛けるなけなしの理性が頭の中でせめぎ合う中で、私は分かってると冷たく言葉を返す。
縛りを結んでいるのだ、守らなければ被害を負うのは私だ…そういう意味を込めての言葉でもあったのだが…何故かクソ脳味噌は死ぬほど殺してやりたくなる程のうざい笑顔をニタリと浮かべた。
「良いんだ、分かっているなら…楽しみにしときなよ?」
───何せ、千年ぶりの再会だろうからね。
そう言って、クソ脳味噌は歩き出した。
るんるんと、まるでスキップでもしそうなほどに軽やかに楽しげに、その今にも突き刺してやりたい背中を私に晒して。
後ろから術式で氷漬けにしてやろうかと手が動く、丸焦げにしてやろうかと歯を噛みしめる…全て駄目だ、縛りを結んでしまっているからには、私はそれを守らなければならない。
「大丈夫か?」
そう言って、隣に居た脹相が声を掛けてくる、その顔は何処か心配そうにしていた。
『呪胎九相図』…その長男である脹相、基本的に自身の弟達以外に興味を向けないこの男が、何故だか私を心配していた。
何故かと疑問に覚えてみるが、しかしそんなことは後回しと殺意に濡れた思考を冷やし、視界の中からクソ脳味噌の存在を消して大丈夫だと言葉を返す。
「あまり溜め込むなよ、壊相と血塗が気にする」
そう言って去っていく脹相の背中を見つめながら、結局弟関連のことだったなとため息を吐いて、壁に背中を預けた。
背中から感じる冷たい感触、10月最後の夜というだけあって肌寒さは今月一番とすら感じる今この時を感じながら、ふとした時に考える…私はアイツと戦えるだろうかと。
実力的、相性的な問題も確かにあるだろう…だがそれ以上に、私はアイツに刃を向けられるのだろうかと考えもするのだ。
アイツのことは嫌いだ…しかし、アイツが生きていると知った時に感じたソレ以上の感情に戸惑いを感じているのもまた事実。
ならばどうするかと考えてみても、縛りがあるからと結局は奴の言いなりになるしかないのが現状の私だ、だったらやることは変わらないだろうと、背中を壁から離して歩き出す。
心の奥底で、何かを叫び続ける自分の心を、冷たく無視して。
「さてさて、またまた大事になってるんだけど…今回はどうしたものか」
ビルの上にふわりと座り込みながら眼下の光景を一望する。
廻は居らず、視界に映るのは何時か見た変な前髪と相変わらずのクソガキ感を垂れ流すクソガキ、今も廻の側をうろちょろとしているのだろうかと考えて、即座に投げ捨て忘れる。
地面の下、地下の箇所から感じる懐かしい気配、氷のように冷たいかと思えば業火のように熱さを孕んだ何時か愛でた花の気配と、人と海と大地の気配…面白いカードが出揃ったとコーヒー片手に喜んでみる。
「さてさて、今度はどうなるかな?」
視界の先には宿儺の器に廻の下位互換、それと近接向きでも何でも無いのに何故か前に出たがる馬鹿と今生に於いての廻の祖父らしき人間、あとついでに金髪。
別の場所に目をやれば、居るのは黒髪の双子の片割れに変なゴーグル掛けた変な奴、後は覆面被りとその他大勢。
役者としては充分かと立ち上がり、眼下の光景に愉悦を浮かべる。
どうなるか、死ぬか生きるかはたまた相打ちか、まぁ流石にクソガキと前髪のやつは死なないだろうがとコーヒーを飲み込む。
どれだけ死ぬか…もしかしたらあの二人以外は全滅かもなとこれから起こる戦いに愉悦を浮かべ、もしもの時はどうしようかと考えて、なったらなったで別に良いやと放り捨てる。
「精々楽しませてくれよ?」
そう言って、ボクはコップに入ったコーヒーをビルの上から垂らすようにして落とす。
どうか退屈させないでくれと…そんな趣味の悪いことを考えながら。
五条菫
実は元々ラスボス用のキャラとして作った存在、端からヒロインのつもりで書いてない。
雪姫
壊相に蒸れない服を作ったり血塗と遊んだりしたせいで懐かれたことに気がついていない、何だったら脹相からも一定の信頼を手に入れていることに気づいていない。
メロンパンを殺したくて仕方がない。