少し遅れ気味? に投稿…それはそれとしてこれアンケートどうやって取ればええんやろ?
「───領域展開!!!」
───『嵌合暗翳庭』!!!
咄嗟…呪霊の領域、その必中効果が発動し自身の肉が抉られたのと同時に、伏黒恵は領域を展開した。
晴天が仰ぐ海原の元に黒い黒い影が溢れ出し、そこから這い出すように十種の式神達が殺意と共にその面を上げ、一斉に呪霊…陀艮へと襲いかかっていく。
───術式解放『死累累湧軍』
それに対して陀艮は同じく術式を発動、無制限に溢れ出る式神達を一斉に召喚し、それを向かい来る式神達に充てがった。
影の化身と海の化身、其々と其々の式神が前へ前へと標的目掛けて突き進み、激突した。
雷が打ち、爪が裂き、牙が喰らい、足が潰す。
無数の式神に無数の式神、種類や能力の幅に於いては伏黒に、数に於いては陀艮に優勢が存在し、今か今かと伏黒の元に迫ろうとする陀艮の式神を十種の式神が食い千切る。
数と質、それらが一歩たりとも引かずぶつかり合い互いが互いが削り喰らい殺してやろうと牙を剥き、激突する度に数を減らしてはまた増えて、数を減らしてはまた無制限に増えていく。
そんな激戦真っ只中の中に、魑魅魍魎が集うその場に、虎杖悠仁は何の躊躇も無く踏み込んだ。
まるで散歩道を走るような気軽さと身軽さでその場に踏み込み、同時に襲い来る『死累累湧軍』と呼ばれた式神達を捌いていく。
時に拳で、時に足で、時には頭で。
近づいてきた敵を片端から潰し破裂させ、この世から消し去りながら前へ前へ、死地へ死地へと容易く目標目掛けてその身を投げ出していく。
十種の式神達の援護こそあるが、それを考慮して尚あまりにも速すぎる進行速度に陀艮はその表情を顰める。
やりづらい…言葉にすればそうなるだろう。
陀艮の目的は虎杖悠仁…より正確に言えばその虎杖悠仁に指を食わせて宿儺を目覚めさせることだ。
それ故に虎杖悠仁を殺すことは出来ず、多少の傷こそ仕方が無い部分はあるがそれでも死なないように手加減しなければならないのだが…その当の虎杖悠仁の実力が陀艮の想定を大いに超えていたことで、その難易度が著しく上昇してしまっていた。
せめて領域の必中効果が残っていればまだ話は違ったのだろうが、それももう一人の術師…伏黒が領域を展開したことで不可能となった。
領域の押し合いに自信が無いわけではない、自身の仲間達…取り分け漏瑚に領域の押し合い訓練を行っていた陀艮からしてみれば、伏黒の領域のなんと押し出しやすいことか。
このまま領域を押し込んで必中効果を取り戻すということも出来る、宿儺の器を無視して伏黒だけを狙い撃ちにするということも出来る…出来るが───
『あぁそうだ、虎杖悠仁は当然として伏黒恵と言う名の術師も殺してはいけないよ?』
しかし、脳内に過るその言葉が陀艮にそれをさせない、今一歩の所でそれを踏み留まらせる。
戦闘経験が浅いが故の判断、死なない程度のギリギリのラインを攻めることが出来ない陀艮は、両名を半死半生の状態に持っていくのではなく、あくまで気絶させることに執心していた。
陀艮達に協力しているあの男…
それ故に───
「来るか、宿儺の器!」
死累累湧軍の大群を踏み越えてきた宿儺の器に対して、陀艮は真っ向勝負の体勢を取った。
その大きな拳を握りしめ、踏みしめる巨足が海にさざなみを立て、その瞳は真っ直ぐと虎杖悠仁という一人の人間を見据えている。
振り抜かれた拳と拳がぶつかる、衝撃を掻き鳴らし海へとその音を響かせながら、人と呪いがぶつかり合う。
腕から響く重い感触に陀艮は思わずと言ったように内心驚愕の声を上げる。
込められた呪力量に反して威力があまりにも高いその一撃に、陀艮は距離を離そうと超至近距離から死累累湧軍を発動、手加減込みでその不意打ちを虎杖へと放つ。
普通ならば避けられない、間違いなく死ぬことも無ければ気絶することも無い、あくまで距離を放つことを前提としたその程度の威力の死累累湧軍…だかしかし───
「うるァァっ!!」
虎杖悠仁は、いとも容易くそれを踏み越える。
放たれた一匹二匹の式神、間近に迫るその脅威を前にして虎杖は一瞬にしてその魚に触れ、その勢いのままにまるで大道芸か何かの何かのようにくるりと前方に向けて回転しながら躱し、更にその勢いを乗せて陀艮へと踵落としを叩きつけた。
ドゴンっと重苦しい音が響くのと同時に足場の水が弾ける、腕を翳して防がれたその踵落としは直撃を貰えば確かに自身の一部を削ったと、そう陀艮に確信させるだけのものがあった。
弾き飛ばす、ギシギシとめり込む足を振り払うようにその身体ごと陀艮は虎杖を弾き飛ばし…認識を改めた。
このままでは時間が掛かる、漏瑚も真人も未だに五条悟相手に決死の時間稼ぎをしているのだ、こんなところで時間を食っている暇等無いのだと…それ故に、陀艮は選択する。
虎杖悠仁と伏黒恵、この両名の実力を信用し、自身の全力をぶつけることを。
陀艮が印を組む…それと同時に、互角程度に保たれていた領域の押し合いが、一気に陀艮側へと傾いた。
「ぐっ…!?」
呻き声、あまりにも突然キツくなった領域の押し合いに思わずと言ったように声が漏れ、しかしそんな暇等無いと伏黒はなんとか領域を保たせることに意識を集中させる。
式神を玉犬・渾と鵺の二体を除いて全て影の中へと戻し、少しでも領域の押し合いに意識を割き、眼前の光景へと視線を向けようとする。
ほんの少しでも気を抜けば持っていかれるような感覚に脂汗が滝のように流れては地面へと落ちていく。
視線の先では虎杖が呪霊を相手に肉弾戦を繰り広げていた…が、唐突に現れた先程までの宛ら倍以上の数の式神達が、一斉に虎杖へと襲いかかる。
あまりにも唐突に目の前に現れた圧倒的なまでの数の暴力、十や二十ではまずあり得ない程の数が一気に溢れ出す。
殴り蹴り、一発一発を無数に複数多数に繰り出して咄嗟の反応と言うにはあまりに速すぎる速度で式神を捌き続ける虎杖だが…しかし如何せん数が多い。
一匹噛みつけばまた一匹が、そのまた一匹が噛みつけばまた一匹、それが何度も何度も繰り返され、次第に手数が間に合わなくなった虎杖はそのまま式神達に飲み込まれるようにしてその姿を消していく。
伏黒はそんな虎杖の姿に咄嗟に玉犬・渾を差し向けようとするが、しかしそれを許すほど海の化身は甘くはない。
駆ける渾…その頭上から一気に落ちるようにやってきた陀艮に玉犬・渾は容易く踏み潰され、そこから更に渾を足場にして伏黒目掛けて加速し蹴りを叩き込む。
あまりの速さ、あまりの加速…それらに反応は出来ても肉体がそれに追いつかなかった伏黒は陀艮の蹴りをその身にモロに受け、その勢いのまま何処へなりとも吹き飛ばされていく。
メキリと身体から鳴った骨にヒビが入るかのような感触が伏黒を苛み、次の瞬間に襲ってくる背面からの痛みと全身を駆け巡る激痛が伏黒を苦しめる。
ガハッと喉に詰まった血反吐を吐き出し、ぜぇぜぇっと荒い息を繰り返し、伏黒は何とかその場から立ち上がろう足に力を入れ…それがガクリと膝を折る。
「一撃…たった一撃でこれか…!?」
あまりに重すぎる一撃、少なくとも指三本の宿儺であってもこれ程ではなかったと伏黒は未だ震える膝を叩いて無理矢理立たせる。
倒れるな、まだ終わっていない、今俺が倒れたらそれこそ虎杖が危ないと自身に喝を入れて無理矢理にでも立ち上がった伏黒の視線の先に…眼前に迫る式神の顔が映り込んだ。
剥き出しの綺麗に揃った鋭い歯が大口開けて伏黒へと迫る…その光景がスロモーションのように流れる光景を前に、伏黒はその脳内を忙しなく回していた。
動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け…そう身体に全力で指示を出すが、しかし伏黒の身体はうんともすんとも言わずただゆったりと今か今かと迫る式神への行動を起こそうとしていた。
しかし間に合わない、確実に向こうの方が速いという確信が伏黒にはあった。
死…その一文字が伏黒の脳内を駆け巡る、このまま時が過ぎれば間違いなくここで自分は死ぬと、伏黒はそう確信した。
息を呑む、眼前に迫る死を前にして何も出来ない、ただ自分が死ぬのを待つことしか出来ない……そんな時だった。
───よく持ちこたえた、若人よ。
そんな一言と共に、目の前を炎が通り過ぎた。
烈日…そう呼んでも差し支えが無いだろうその輝きが過ぎ去るのと同時に、眼前に迫っていた式神が唐突に細切れにされた。
あまりに唐突に引き起こされた出来事、熱を持った断面が淡く光るその光景を前にして、伏黒の視線は一転に集約されていた。
細心…というより痩身壮年の男、その手に持つ刀と灯る炎…それらを軽く振るい、いとも容易く迫った式神を灰燼に帰す。
「少し休むがいい若人よ、ここからは私が引き受けよう」
そう一言、男は伏黒へと労いにも近い言葉を放ち、その刀を眼前に迫りくる式神へと構えた。
───禪院家所属 特別一級術師『禪院扇』 現着
炎が、舞う。
陀艮
この二人だけは絶対に殺すなと言われて頑張って殺さないようにして良い子、でも思いの外強かったから殺す気で行かなきゃってなっちゃった子…当初の案ではフィジギフ真希にぶち殺される予定だったけど可愛そうだから止めた。