宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 ランキングが変動しない……だと……!?

 なんなのだこれは…一体どうすればよいのだ!?

 今回は…ちょっとパパ黒っぽくないかなぁと思います、嫌いな人は嫌いかもしれない。


パパ黒、パパになる

 

 

 暫く経って、十四歳くらいになった…のかな?

 

 五条悟…じゃなかった、悟に黒閃キックをぶちかまして以来、悟は毎日のように俺の部屋に来ては遊べ遊べとダル絡みしてきた。

 

 ある時は桃鉄、ある時は徒手空拳の鍛錬、ある時は双六やらトランプやらみたいな娯楽用品、またある時は爺さんのお気に入りのアニメ視聴会……あれ、おかしいな普通に楽しく遊んでるんだが。

 

 まぁ、そういうこともあって色々やんややんやとやっていたんだが、ある時唐突にパパ黒から連絡が入った、どうにも子供が産まれたらしい、名前は恵なんだそうだ。

 

 

 ……………………。

 

 ………………………………。

 

 ………………………………………………。

 

 

 ……………………伏黒産まれたの!?

 

 その時の俺は、正直パニクってたと思う、いやだっていきなり主人公クラスの人間が産まれたって言われるとは思いませんやん、あれからちょくちょく連絡は取り合ってたけど妊娠したって話も聞かなかったしで産まれるなんて思いませんやん、なんでそんな大事なこと教えてくれへんの兄ちゃん!?

 

 まぁ、そういうわけで俺は居ても経っても居られずに悟の呼び掛けもガン無視して無茶苦茶急いで兄ちゃんの所に向かった、呪力を使用することも辞さず向かったせいでなんか妙な気配がした女の人を吹き飛ばしちゃったけど、呪力を纏ってるのが見えたからなんとなくで無視した、あんなの平安にはゴロゴロ居たし。

 

 今考えてみても頭おかしい、この時代で妙な気配纏ってて呪力使えるって時点でおかしいしそもそも人を…ましてや女の人を蹴り飛ばすとか言語道断なのだが、その時の俺にはそんなことを考えている余裕など無かったのだ。

 

 兄ちゃん曰く病院にいるという話だったから、とにかく急いで指定の病院に向かって、手続き済ませて、出来る限り静かに急いで病室に向かった。

 

 そうこうして病室に辿り着いた俺は扉をバンっと音が立つレベルで開け放つ……ことはせず、音が立たないように普通にそっと扉を開けた…いやだって赤ちゃん居るのに大きな音を立てるわけにはいかないやん。

 

 そうして開け放った扉の先では…兄ちゃんが父親の顔して微笑んでて、その視線の先には黒髪の女性が母親の顔しながら笑ってた。

 

 …………うん…なんで俺カメラ持ってこなかったんだろう…みんなが見たかった光景がここにある(迫真)、人目も気にせずに泣き出したい気分だ、それだけの光景がここにある。

 

 色んな感情が込み上げて今にも泣き出してしまいそうな俺を尻目に、手元の赤ん坊へ愛情を込めた笑みを浮かべた女の人とそんな女の人と赤ん坊を優しく見つめていた兄ちゃんは、ふとした拍子にこちらへと顔を向けて、次いで驚愕の表情を浮かべた。

 

 女の人は如何にもびっくりしたみたいな表情で、兄ちゃんは何処か呆れを含んだような笑顔で、それぞれがそれぞれの表情を浮かべて俺を見つめている。

 

 …うん、こういう時にやることは大体決まってる、初対面の人にすることなんて一つしかねぇのだ。

 

 

「はじめまして、兄ちゃんの弟の禪院廻です!」

 

 俺はとびきりの笑顔で、女の人にそう挨拶した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「早すぎ…いや速すぎんだよお前、連絡してから五分と経ってねぇぞ?」

 

 病室から出た俺に、開口一番にかけられた言葉がこれだった。

 

 兄ちゃんは女の人…もうこの呼び方は失礼だからママ黒さんと呼ばせてもらおう…に一言言って、俺を連れて部屋を出た後に、呆れとちょっとの喜びを孕んだ微笑みを浮かべてそう口にした。

 

 綺麗な笑顔だ、家に居た時は見られなかった笑顔、俺じゃ引き出せなかった笑顔だ、少しママ黒さんが羨ましい。

 

 というか…なんだ…やっぱりなんていうか───

 

「お父さんって感じになったね、兄ちゃん」

 

「あ?」

 

 そう、なんというかこう、父性ってやつなのかな? それがこうムワァって感じで兄ちゃんからモワモワと出てきてるっていうか、なんというか…うん、弟が父親になった時の雰囲気に凄く似てる。

 

 こう今が凄く幸せ〜って感じのオーラが凄い出てるし、今が幸せなんだなぁって染み染みと感じるっていうか、安心したっていうか…嬉しいけど、ちょっと寂しいっていうか……言葉に出来ないや。

 

 俺は結局、昔に子供も奥さんと作らなかったからそういった感情がどういうものなのか全然分からないんだよな、だからこうして言葉に詰まる。

 

「うん、凄くお父さんって感じがする、パパになったね兄ちゃん」

 

 だからこういうことしか言えない、いや何回同じこと言うねん俺、もうちょい気の利いた言葉を吐けんのかよ俺。

 

 ポリポリと何処か照れくさそうに頬を掻く兄ちゃんの姿を永久保存することに決めつつ、何気無しにママ黒さんの病室を見つめる。

 

 美人さんだと思った、お似合いだと思った、きっと傍目から見ても幸せなお似合い夫婦なんだと思う、美人夫婦って言われるんじゃなかろうかとも思う。

 

 ……だけど……死んじゃうんだよなぁ、ママ黒さん。

 

 理由は分からない、原作で描かれてなかったし多分ファンブックの方にも書かれてなかった、何より俺自身に覚えている自信が無かったのもある。

 

「…兄ちゃん…なんかあったら、すぐに連絡してね」

 

 

───絶対助けに行くから。

 

 兄ちゃんに向けてそう言っておく、これしか出来ることが無いとも言うが、きっとやらないよりかはマシなのだ。

 

 折角手に入れた愛を、幸せを、こんなことで失ってほしくないのだ、叶うことなら兄ちゃん達にはずっと幸せでいてほしい…これは俺が昔よりも前から思ってたことだ。

 

 もうそこまで覚えてないけど、それだけは言える…それだけしか言えないとも言うけど。

 

 

 ポンッと、頭に手を置かれ、そのままゆらゆらと揺すられる。

 

 大きな手だ、ごつごつとしていて、所々でこぼこで、それでいて暖かくて…優しさを感じる。

 

 

「あぁ、困ったら頼るさ…兄弟だからな」

 

 優しい声付きで、兄弟だからと、兄ちゃんは俺に言った。

 

 嬉しい、嬉しい、そう言ってもらえることが本当に嬉しい、そう思われていることが本当に嬉しい。

 

 幸せであってくれ兄ちゃん、兄ちゃん達には近づく呪い(不幸)はみんなみんな───

 

 

 俺が殺し尽くしてみせるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあねぇ兄ちゃん! また今度〜!!」

 

 そう言って去っていくアイツに、軽く手を振る…この動作も、懐かしいもののはずなのに、久しぶりのはずなのに、つい最近までやっていたことのように感じる。

 

 アイツが曲がり角を完全に曲がり切ったのを確認して、病室へと戻る、病室では今でもあいつが恵のことをあやしていた。

 

「あっ、甚爾くん、廻くんは?」

 

「帰ったよ、また今度来るとさ」

 

 そっかぁ、残念…と、俺の嫁さんは一言名残惜しそうに声を漏らした。

 

「良い子だったね、甚爾くんが自慢したくなるのも分かっちゃうよ」

 

「…あぁ、良いやつだよ、あいつは」

 

 

 アイツと初めて会ったのは、何時だったか。

 

 そう、アイツとは確か家の縁側で会った。

 

 家の廊下、あのクソみたいな場所の道を歩いている時、偶然目に入ったガキンチョ。

 

 縁側で一人ぼ〜としていたアイツを見かけた時から、俺達の関係は始まった。

 

 最初は単なる興味だった、この家でガキが一人で何をしているのかと柄にもなく興味を持った…それがまさか出会って一目で兄ちゃん兄ちゃんと懐かれるとはこの時の俺は思いもしなかった。

 

 最初は肩車させてとか腕にぶら下がらせてとか一緒に遊ぼうとか、そんなのばっかだった…ある日から唐突に鍛錬しようと言われた時は死ぬほどビビったが。

 

 普段ならめんどくせぇの一言で全部済ませた…だけど、彼処まで真っ直ぐに好意をぶつけられるって経験が少なかったせいなのか、俺はアイツをそこまで強く否定出来なかった。

 

 そういう感じで、ズルズルと関係は続いていった、それをダルいとは思わなかったし、嫌だとも思わなかった、悪い感じがしなかったのが全部の原因とも言える。

 

 そうこうしながら鍛錬して遊んで鍛錬して遊んでの日々を繰り返す中で、ある日から変化が起きた。

 

 廻が、禪院の跡取りを含めた計数十人の術師を素手のみで叩きのめすという事件が起きた。

 

 アレには正直笑った、俺を馬鹿にしていた連中がよりにもよって術式もクソもない純粋な体術でボコボコにされたと聞いた時は人目も気にせず大笑いしてしまった。

 

 それだけでは終わらない、そこから暫くしてアイツが五条家に連れて行かれた時、アイツは五条家の次期当主、しかも六眼と無下限術式の抱き合わせを正当防衛で締め倒したという、更にそこからそこまで日も経たない内に詳細は不明だが五条家の次期当主を蹴り飛ばして昏倒させたという。

 

 胸がすくような気持ちだった、今まで溜め込んだ感情全てが一気に消化されたような気持ちになった、ずっと認められたかったものに認められた気がした。

 

 アイツに会ってから、何かもが変わった気がした。

 

 

「寂しい?」

 

「…まぁ、少しだけ」

 

 アイツへの感謝を、俺は口に出したことはない。

 

 正直な話、さっきアイツが病室に来た時、俺は嬉しかった。

 

 俺の幸せを祝福してくれる人間がいる…それが何よりも嬉しかった、それがお前であることもまた同じだ。

 

 きっと、この言葉を、俺がオマエに言う日は来ないんだろう、自分でも分かる程度には捻くれてる俺だ、素直に本音も言えやしない。

 

 だからせめて、お前がいない場でだけは言わせてくれ、例え誰が何と言おうとも、お前は俺の───

 

 

「なんせ、俺の弟だからな」

 

 

 自慢の弟であると。

 

 

 

 

 





 パパ黒が幸せな光景を見たいと思って何が悪いと思って書いた、反省はしていない。
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