宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 多分今までで一番長かっただろうし、多分割と無茶苦茶というか無理矢理というか、割と雑かもしれない…けど作者はこれがやりたかった。


王は起きる、無限は眠る

 

 

 途切れる、意識が深く…落ちていく。

 

 やられた…回復もままならない、今の一撃で呪力を削り切られてしまった、それほどまでに強力な技だった。

 

 刺し身か切り身か、それらか何かのように斬り裂かれた私の肉体が、地面に落ちる前に黒く霧散していく。

 

 領域が崩れ落ちる、未だ私の意識があるからなのだろう、まるでガラスが割れて落ちるように領域が壊れていく…そんな光景を見ながら、私は口惜しさに気が狂いそうだった。

 

 あともう少しだった…あともう少しだったのだ。

 

 虎杖悠仁に指を食わせて宿儺を覚醒させる…それだけだったのに、それを直前で邪魔された。

 

 伏黒恵と謎の男…この二人のせいで全てが台無しになった、漏瑚と真人の頑張りも禪院の計画も何もかも全てが台無しだ…花御に顔向けが出来ない。

 

 

 

『陀艮、無理に虎杖悠仁本人に食べさせる必要はないんだ』

 

 

 すまない漏瑚、すまない真人、すまない花御…私はやはり、何処までも行っても君達におんぶに抱っこでしかなかった、とてもではないが仲間とは胸を張れそうに無い。

 

 

 

『君に託すその一本は、私が十本の指を一つに纏めたものだ、それ一本食べるだけで虎杖悠仁は宿儺になる』

 

 

 禪院もまたすまない…お前のことは好きではないが、それでも計画を練り上げてくれたことには感謝している…真人や漏瑚の言うような呪いらしくは無いとは思うが…それでも礼くらいは言っておきたかった。

 

 

『虎杖が四本目の指を回収した瞬間を確認しておいた、あの時確かに宿儺は勝手に指を食べていた…だからね陀艮───』

 

 

 禪院…ありがと───

 

 

『最悪、虎杖悠仁の肌に指を触れさせられればそれで良いんだ、後は勝手に宿儺が指を食べてくれるだろうからね』

 

 

 

 

 

 

「まだだぁぁぁぁぁぁぉぁぁぁぁっっっ!!!!!!」

 

 

 瞬間、意識が覚醒し、私は諦め悪くまだだと叫んでいた。

 

 あぁそうともまだだ、まだ終わっていない、まだ私の役目は終わってなどいないのだ。

 

 禪院の言葉が頭の中を駆け巡る…虎杖の肌に『宿儺の指』を触れさせるだけでいい、その言葉だけが今の私を突き動かす。

 

 崩れ逝く肉体、ボロボロと黒く消えていく己の肉体を尻目に、私は最後の呪力を振り絞り、口の中から自身の式神を解き放つ。

 

 私の最後の呪力、その全てを吐き出してまで放出したその式神は見る見る内に虎杖との距離を潰し、遂には一気に虎杖の懐にまで飛び込んだ。

 

 あまりの速さ、あまりの不意、それらが虎杖悠仁という人間の反応を掻い潜ってその懐へと飛び込んでいく。

 

 やれる、役目を果たせる、私は皆の仲間として胸を張っていける…少なくとも、その時の私はそう考えていた。

 

 だからこそ───

 

 

「いいや、終わりだ」

 

 それを見せつけられた際の絶望は、深く深く私の心に突き刺さる。

 

 振りかぶられた灯火の刀、迫った首を下から上へと流れるように繰り出されたその太刀筋は、いとも容易く式神の命を屠りさり、次いでその刃は私へと振るわれた。

 

 深い絶望、結局何も出来ずに死んでいくことへの深く淀みのある絶望の最中に迫る滅びの炎…そんな中で、私の視界には最後の最後に映ったのは、感じたのは───

 

 

 

「───ケヒッ」

 

 そんな笑い声と、死に体の私に降りかかる絶対的なまでの力の本流だけだった。

 

 

 

 

 

 

───…花御…私はちゃんと出来ただろうか。

 

 

 

───えぇ、陀艮…貴方は確かに、成し遂げました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、偶然と呼ぶべきか必然と呼ぶべきか、どう言葉にするべきか…誰もが悩む光景がそこにはある。

 

 最後の最後で放たれた陀艮決死の一撃、それは確実に仕留めたと油断していた虎杖にはあまりにも致命的であり、それを躱す術など勿論無い。

 

 しかしそれも防がれる、他ならぬ禪院扇の手によって防がれた決死の一撃、それを防がれた陀艮は失意と共に扇の術式によって灰となって消えた。

 

 しかし、扇が陀艮を完全に祓う僅か数秒前、扇によって首を斬り飛ばされていた式神の中身によって事態は性急に動き出す。

 

 式神の中身…僅か一本へと纏められた約十本の特級呪物『両面宿儺の指』…それがヒラヒラと、虎杖の前で舞った。

 

 あまりに無造作に自身の前に飛び出してきた自身にとって因縁のある代物、崩れ逝く式神の中から現れた僅か一本のソレに対して虎杖は…それを何気なくキャッチした。

 

 僅か一本、たかが一本、一本喰らった程度では宿儺に意識を乗っ取られることが無い虎杖は、それを躊躇いもなく警戒も無く手に取った。

 

 当たり前の無警戒、当然の無意識…それが結果として、その事態を引き起こす。

 

 虎杖が指をその手に取った瞬間、瞬く間に虎杖の手から現れた宿儺の口が、指を喰らう。

 

 たかが一本…されど、その指はただの一本ではない、宿儺の指十本を一つに纏めた指である。

 

 故に…これは偶然か必然か、それでもないならば禪院廻で言うところの修正力と言うものか…なんであれその発端は変わらず在る。

 

 虎杖悠仁の意識が反転する、表から裏へと墜ちて墜ちて、堕ちた先で立つのは何時か見た自身に宿る呪いの心の中。

 

 

「───ケヒッ」

 

 

 嗤う、あまりにも唐突に降って湧いたその好機にかの呪いの王はその邪悪を隠しもせず、獰猛な笑みをその顔に浮かべる。

 

 偶然だ、偶然だったのだ、これに関しては誰がなんと言おうが関係無い、何もかもが偶然によって引き起こされた事態だったのだ。

 

 しかしそんなことは後回し、全ての結果として呪いの王が今そこに在る…結局の所はそれが全てなのだから。

 

 

───呪いの王 降霊

 

 

 渋谷の地で、呪いが嗤う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!? 宿儺か…!?」

 

 

 地下五階、今尚範囲を狭めた戦闘を行い続ける五条の感覚に、それは映り込んだ。

 

 自分とは別種の圧倒的なソレ、邪悪を煮詰めたかのような重くザラザラとした気配が五条の感覚に突き刺さり…それが、五条の命運を分けた。

 

 ほんの一瞬、ほんの僅かであるが五条悟は明確に停止した…その瞬間を、彼等は目聡く見逃さない。

 

 

───獄門疆 開門

 

 開かれた獄門、あまりに唐突に目の前に現れた目玉のようなナニカ…それに対して五条悟は術式を利用しての離脱を図る…が───

 

 

「…やらせるものか…!!」

 

 それをさせじと、ようやくと言うように禪院は動き出す。

 

 人混みに紛れて姿を隠し、今か今かと好機を待ち続けた彼の右手に赤い糸が絡み付き、それが五条の右手へと伸びてこれまた絡み付くが、五条がそれに気付いた様子は無い。

 

 当然だろう、これには時間の概念も無ければ物質的な概念も無い、ただ有るのは自身と相手との間にある結ばれた縁だけ。

 

 かつて、何処ぞの山に存在した蜘蛛の神が使用した糸、何人もの子供を誘い首を吊らせ、それを子供のように無邪気に邪悪に楽しんだ呪いが、一人の少女と一柱の神によって祓われた死に際に残した物を練り上げた呪具。

 

 

───呪具解放 『山神(やまがみ)縁糸(えにし)

 

 

 『山神縁糸』…その能力は、自身と対象を一定時間その場に留める。

 

 

 

 足が動かない…その事実に五条が気付くのに一秒と掛からず、六眼がその原因を探り出すのにもまた、一秒と掛からない。

 

 向けられた視線の先、そこに白昼堂々と存在する黒髪の男…何処か自身の親友に似た面影のようなものがあるその男に、五条は躊躇無く術式反転を撃ち込もうとする。

 

 山神縁糸は対象の動きの一切を停止させる代わりに自身も同様に停止しなければならないという縛りが存在する、そしてその停止時間は対象と所有者の実力差によって決まる。

 

 禪院に与えられた五条悟の停止時間は約七秒、あまりにも足りず不甲斐無いその僅かな時間を前にして、禪院は自身に縛りを課すことでその七秒を爆発的に引き上げた。

 

 

 縛りの内容はたった二つ…一つは対象はその場から何があろうと動けない代わりに所有者への攻撃が可能となること。

 

 もう一つは、禪院はこの呪具を二度と使用出来なくなるということだ。

 

 普通ならば、並の相手であればこのような縛りを設けたところで何の意味も無い、ただ時間が少し伸びるだけである。

 

 しかし、五条悟相手にはそれをやるとなるとまた話が変わってくる、禪院が今やっているのは宛ら龍の前に丸裸で突っ立つようなものなのである。

 

 ましてや一度きりの大博打、ほんの少しのミスが文字通りの命取りになる一世一代の死に場。

 

 あまりの無謀さ、あまりの実力差…であるからこそ、元とは言え神の一部であったその呪具は、禪院の縛りを大いに認め嘲笑う。

 

 57秒…それが、禪院に与えられた五条悟停止時間であった。

 

 

 

 向けられた指の先、禪院はその顔に滝のような汗を流しながら凄惨な笑みを浮かべる。

 

 重い、苦しい、辛い…ただその場に留めるというだけでこの疲労だ、一体呪具を使っていなければどうなっていたことかと禪院は思考し、それら全てを無駄と切り捨てた。

 

 出来なければ死ぬ、ただそれだけのことである……しかし何故だろう、それを面白く感じてしまうのは。

 

 

「真人!! 漏瑚ぉ!!!」

 

 叫ぶ、協力者の名を…その内術式では取り込もうと考えている彼等の名を禪院は此れ見よがしに呼んでみせ…そして彼等呪霊は、それに一切のラグなく応えてみせた。

 

 

 

───領域展開『自閉円頓裹』…!!!

 

 

 僅かな時間で展開された領域にさしもの五条も目を剥くが、それも一瞬にも満たない僅かな時間、直ぐ様領域を展開しようと印を結ぼうとするが…違和感に気づく。

 

 

───なんだ? …術式が付与されていない?

 

 

 そのあまりに奇妙な事実、それを疑問に感じる隙間を縫うように大地の化身はその拳を最強へと振るう。

 

 

「こっちを見ろぉ五条悟ゥゥゥゥゥゥゥッッッ!!!!」

 

 裂帛の雄叫び、自身の全霊を懸けたその一撃に黒い火花は微笑んだ。

 

 

───黒閃ッ!!!!

 

 突き刺さる拳、飛び散る黒い火花と同時に崩れさる領域の最中で初めて経験した黒閃を前に大地の化身はその手を緩めない。

 

 僅かな二秒、一か八かの術式の付与無しの領域展開、ただ今この瞬間の為だけに莫大な消費を受け入れた真人はその顔にしてやったりと言ったような笑みを浮かべた。

 

 もう一撃と五条へと振るわれた拳は五条に当たる前に堰き止められ、それと同時に腕を掴まれ引き寄せられた漏瑚の鳩尾に五条の拳が叩きつけられる。

 

 痛みと衝撃、それに耐えながら漏瑚は自身の腕を切り捨て即座に間合いから離脱するのと同時に次は真人がその凶器を振るう。

 

 止められる、逃げる、止められる、逃げる…ただその繰り返しを行う中で刻々と時間だけが過ぎ去っていき…その時は遂に来た。

 

 57秒…五条悟停止時間の限界…一秒とあれば五条悟は一瞬にしてその場から消えてしまうことが分かっているが故に、させまいと呪霊二体は五条へと迫る。

 

 あと三秒、ほんの僅か三秒を稼げば我等の勝ち…その事実が分かっているからこそ、五条もまた直ぐ様その場から離脱しようと術式を発動させようとし…だからこそ、その一瞬を彼は逃さない。

 

 

 

───領域展開『胎蔵遍野』

 

 

 あまりに唐突に展開された領域、唐突に引き合いに出された新たな一手には、五条は選択を強いられた、即ち逃げるか領域を展開するか…その思考に、五条悟は二秒の時間を掛けた。

 

 次の瞬間、領域が解除される…引き合いに出された選択の内の一つが唐突に消えたことに驚愕したことにより更に一秒…その一秒により遂にその時は訪れた。

 

 身体を拘束するナニカ、肉体を動かす暇もなく最早呪力を練ることすら出来ない…詰みであると、五条は理解した。

 

 

───獄門疆 閉門

 

 最後、紡がれた言葉に反応して五条悟が視界に捉えたモノは、親友に似た面影を持つ、青目の男の姿であった。

 

 

 

 

───『五条悟』 渋谷駅地下五階にて、封印。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宿儺が目覚めた…もう行け、私の役目は終わった」

 

 

 

「……ごめん…頼むから、もう死なないでくれよ」

 

 

「今度は…耐えられそうに無いから」

 

 

 

 

 

 

 

───ガコンッ…!!

 

 

 法陣が、廻る。

 

 

 





呪いの王

 別に起きる気とか殆ど無かったけど、何か指食ったら表に出れたので好き勝手する気満々…なお、好き勝手の対象は一人に絞られるものとする。

 ケヒヒヒヒヒヒヒヒッ


五条

 封印された、多分女の方は封印されたという事実にウキウキしてる。





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