宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 書き終わって後で思ったこと…廻の領域説明すんの忘れてた。


何時かの続き スープ

 

 

 

 領域が衝突する、何処ぞの誰かが言った最強対最強、それら両名が持つ呪術の最奥が周りの被害そっちのけでぶつかり合う。

 

 宿儺の御廚子と廻の影、互いが互いを飲み込まんとするその光景は端から見てしまえば終末戦争一歩前のソレである。

 

 宿儺の領域『伏魔御廚子』は空間を閉じない正しく神業とも言うべき領域。

 

 半径200mにも渡る広範囲の領域、逃げ場を敢えて与えるという縛りを設けることで広げた範囲から繰り出される必殺必中の斬撃は、何人足りとも生かさず残さず細切れにする。

 

 更にその効果範囲故に大抵の術師の領域の外側に位置するソレは、内側に気を向けるが故に脆い外殻を何の躊躇も無く破壊する。

 

 最強無敵の領域殺し…宿儺の領域に渾名を付けるとするなら、こう呼ばれていても不思議ではないだろう。

 

 

 対して禪院廻の領域『廻輪奇劇』は、領域としては非常にオーソドックスな物に当たる。

 

 宿儺のように閉じない領域という訳ではない、何処かの熱を愛する術師のような特殊な領域という訳でもない、文字通り必中必殺が付与された一般的な領域。

 

 言ってしまえば伏黒恵の嵌合暗翳庭、その完成形…それこそが、禪院廻の領域こと『廻輪奇劇』だった。

 

 

 …ただし、そこには以前まではというただし書きが付いてくる。

 

 

 ぶつかり合い、飲み込み合う両者の領域、時間にして僅か数秒単位のそれの間に、両者の明暗は既に分かれようとしていた。

 

 

 

 

 影が、宿儺の領域を呑み込み掛ける。

 

 余裕綽々で領域の構えを取った宿儺と、その宿儺の反応から咄嗟に領域を展開した廻、両者の何方に優位性があったかと言われれば、それは宿儺であると誰もが答えたであろう。

 

 しかし、結果としては真逆…半ば不意打ち気味に展開された宿儺の領域は、結界に付与された術式を発動するよりも尚速く、廻の領域に呑み込まれかけていた。

 

 

「やってくれるな…!!」

 

 吐き出されたその言葉に込められているのは、何処までも何処までも喜色の混じった興奮と歓喜。

 

 度を越した展開速度と押し合いの強さ、不意打ち気味だろうが関係あるかと言わんばかりに領域を押し切られかけた宿儺は、その顔に張り裂けんばかりの狂気を滲ませながら決断する。

 

 最大半径200mにまで広げられていた効果範囲を半径20mにまで縮小、更にそこに加えて攻撃対象を禪院廻及び禪院廻の呪力へと絞り込み領域の威力を底上げする。

 

 絶え間無く降り注いだ斬撃の密度が更に上昇し、最早ノイズの音としか判別出来ない程の速度で万を超える斬撃が廻の領域を破壊しようと襲いかかった。

 

 

 一方領域内は、外に比べて非常に物静かなものだった。

 

 円形に設置された超大型の木製の舞台、その中心に聳え立つ御廚子の傍らに廻と宿儺は佇んでいた。

 

 互いに印を組み、領域の押し合いに神経を集中させているその光景は、何処か演劇の大舞台に立つ役者のようなソレを感じさせる。

 

 故にこそ───

 

 

 

 

「…ごめん、虎杖くん」

 

 

 最早互いに、加減は利かない。

 

 僅かながらに吐き出されたのは謝罪の言葉、領域を展開された以上はダラダラとしている余裕が無くなったが故の言葉。

 

 瞳から光が消える、何処までも純粋な殺意のみを乗せた瞳で宿儺を射抜く廻の姿を、宿儺は何処か嬉しげに見つめていた。

 

 

───ガコンッ…!!

 

 

 空間に重く音が鳴り響く、舞台を中心として鳴り響いた何時か聞いたその音に宿儺は自然と笑みを深め、廻は大きく息を吸い込み…呟いた。

 

 

「───さぁ…『開演』だ」

 

 

 瞬間、宿儺の本能が敏感に危機を察知する。

 

 咄嗟にその場から大きく飛び退く…それと同時に奔る黒と白の影がつい先程まで宿儺が居た場所を通過し、そこから更にジグザグと縦横無尽に宿儺の周囲を影が動き回る。

 

 それを反射的に追おうと視線を忙しなく動かす宿儺の背後を紫電が打ち、更にその横側から猛烈な速度で牛が突っ込み宿儺を吹き飛ばす。

 

 背部から走った痛みと衝撃、吹き飛ばされながらも決して思考を止めない宿儺は即座にその正体と犯人を看破し、それと同時に上空から降ってきた満象によって押し潰されかけた。

 

 沈み込む両足、両手で満象を受け止めた弊害として上部から上乗せされた途方も無い重量が何の躊躇も無しに宿儺を押し潰しにかかるが…それでやられる宿儺ではない、直ぐ様斬撃にて満象を破壊しようとするが…それよりも尚速く足元に現れた脱兎によって足首を食い千切られた。

 

 咄嗟に反転術式を使用し即時に足首を治癒、更にそこからほんの一瞬大きく力を込めて満象を浮かしそこへと蹴りを打ち込む。

 

 大きく浮き上がる満象、そこへと解を打ち込もうと手を伸ばし構えた直後、させぬと言わんばかりに横合いから全速力で駆けて来た玉犬・白が宿儺の腕を食い千切る。

 

 縦横無尽の怒涛の攻勢、次から次へと降っては湧いて降っては湧く式神達の姿に宿儺は笑みを浮かべたまま舌打ちし、横合いから飛んで来た刃物を素手で掴み取った。

 

 小型のナイフ、誰が投げたかなど当に明白であるが故に視線を向けることすらせず、その方向へ向けて反射的に斬撃を放つ。

 

 ノールックで放たれた不可視の斬撃、それを軽く飛び越えるようにして躱した廻はその勢いのままに宿儺へ向けて全力疾走で真正面から突っ込んだ。

 

 バキリバキリと一歩踏み出す度に罅割れる舞台の音を連続で鳴らしながら宿儺へと突っ込んだ廻はそのまま宿儺へ拳を放つ…フリをして宿儺の背後へと瞬時に回り込み、その足を払う。

 

 足を払われバランスを僅かに崩した宿儺…その下から舞台を突き破って現れた大蛇が宿儺へと噛みつき、そのまま舞台の天井へと激突する。

 

 パラリと天井から落ちてくる木片と煙、もぞりもぞりと動く大蛇の身体を見つめながら、廻は深くため息をついた。

 

 

「お盛んだな、お前」

 

 呟かれた言葉に込められたのは特大の呆れ、何時まで経っても何一つとして変わらない呪いの王へのある意味での尊敬の言葉を、廻は何処か白けたような目をしながら吐き出した。

 

 瞬間、大蛇の巨大な肉体が轟音と共に吹き飛ばされる。

 

 宙に浮いた大蛇の巨体が廻の真横へと落下し、それを横目で見る間も無く狂気的な笑顔を浮かべた宿儺が廻へと肉薄しその爪を眼球目掛けて振るってくる。

 

 振るわれた爪を指の隙間に通すように受け止め、そこから捻り回すように指の骨を圧し折り、更にそのまま腕へと爪を立てて手の肉を抉りながら此方側へと引き寄せ膝蹴りを腹部へと叩き込む。

 

 

 

───黒閃

 

 

 黒い火花が舞台上を黒く照らし、大きく仰け反る宿儺の身体へと今度は拳を叩き込む。

 

 

 

───黒閃

 

 

 再び散った黒い火花に照らされた廻の瞳に光は無く、何処までも純粋な殺意だけがその黄金の瞳を妖しく揺らす。

 

 血を吐き出した宿儺へ向けて更に再び拳を顔面へと叩き込もうとした所で突如として宿儺の腕が切断され、そこへ捻り込むような蹴りが廻の腹部へと突き刺さり、廻の身体を後方へと吹き飛ばす。

 

 

 地面を削る程の勢いで蹴飛ばされ、それを足を踏みしめることで減速させた廻へと向けてお返しと言わんばかりに急接近した宿儺が足を踏みつけ拳を腹部へと叩き込み、更にそこから畳み掛けるように急所へと的確に拳を打ち込んでいく。

 

 腹から頭、頭から鳩尾へと的確に確実に急所へと拳と蹴りを叩き込み、服を掴んで引き寄せ頭突きを喰らわせ、そうしてよろめいたところへ───

 

 

 

───『捌』…!!

 

 

 駄目押しの捌を抉り込む。

 

 対象の呪力量、強度に応じて適切な一太刀を叩き込む斬撃を複数回廻の肉体へと流し込み、目の前で裂ける肉へと宿儺は邪悪な笑みを浮かべてみせ───

 

 

 

───黒閃

 

 

 その直後に、与えられた傷をガン無視した廻によって側頭部へと全開の拳を叩き込まれた。

 

 一瞬の間すら無い、裂けた腹部への配慮や反転なんて一切無い、ただただやられた瞬間に殴り返しただけの事実がそこにはある。

 

 ペッと血を吐き出すと同時に反転で傷を癒やし、ツカツカと靴音を立てて淀み無く宿儺目掛けて歩いていくその姿は、さながら不死身のモンスターだろう。

 

 その姿に、その出で立ちに、宿儺は───

 

 

「ケヒッ…それでこそだ…」

 

 

 涎を垂らしながら、狂気と邪悪が混じり合ったような笑みを浮かべた。

 

 




『廻輪奇劇』について

 実は必中必殺が存在しない、詳細は次の話のあとがきか前書きで…眠い。
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