書いてて思ったこと…どうしてこうなった。
なんでも良いから強い老人が書きたかった、あれもこれも一心様が悪いんだ。
「引くよ二人共、全部とはいかないけど…目的は果たした」
もうここに、渋谷には用は無い…そう言って、禪院は獄門疆を懐へと仕舞い込んだ。
それに目を見張ったのは呪霊組二人である、まるで訳が分からないものを見たと言ったような目で禪院を見つめた二体に、禪院は心底面白いものを見たと言った風に口を開く。
「禪院廻の動きが想定よりもずっと速い、このままだと何も出来ずにゲームオーバーだ…それは、君達も分かっているだろう?」
流し目と共に向けられたその問いに、真人は納得せざるを得なかった、魂をその目で認識出来る真人だからこその納得であるとも言える。
一目…そう、たったの一目だ…宿儺という特大の災害が目覚め、その災害の全てをぶつけると豪語された人間がどんな存在なのか…それが真人には気になって仕方がなかった。
だから見た、五条悟封印後に居なくなった脹相捜索ついでに禪院廻がどういう存在なのか、どういう魂なのかを一目見てやろうと邪悪な笑みを浮かべていた真人は……瞳に映った圧倒的なそれに押しつぶされかけた。
様々な魂を見てきた、弱いのも強いのも幾つも見てきた、見てきたが…あれは根本的に違うと本能から理解させられた。
研ぎ澄まされた至極の一刀、無駄を削ぎ落とし機能に拘り、しかし遊び心を忘れること無く尚も研ぎに研ぎ、鍛えては鍛えてを繰り返した刃のような…そんな何処か美しさすら感じさせる魂をしていた。
圧倒的、五条悟や宿儺ですらこんなことになることはなかった、一体全体何をどうすればこうなるのかと真人の脳内を様々な憶測が流れては消えを繰り返し…その直後に降り注いだ死の雨嵐に直ぐ様その身を引っ込めた。
故に真人は納得していた、ここで引くのもやむ無しと納得していた、五条悟と同格の人間相手に勝てると豪語出来るほど真人も驕っていなかったが故に。
そもそもの話、禪院廻に宿儺をぶつけると言っていた禪院がこう言い出した以上、恐らく宿儺は禪院廻に負けたのだろうことを真人は確信していた。
何せ指14本だ、それで勝てるほど最強は甘くはないだろうことは誰もが分かっている。
そしてそれは漏瑚も同じだったのだろう、何処か言いたげな気配こそ出してはいるが、特段文句を言うでもなく禪院に付いていこうとしている姿を真人は捉えた。
なんてことはない、ただ仲間が歩き出そうとしているだけ、その動きには何の特徴も呪力の機敏もありはしない…しかし、真人の目は何故かそこへと釘付けとなった。
何故とは考えない、ただ妙にそこに目が行ったというだけの話だ…しかし真人は、そこから感じる嫌な予感をどうしても無視出来なかった。
───パンッ…!
真人の判断は、正しかった。
偶然…と呼ぶにはあまりにも確信的なソレ、ただ視線を向けるだけのその行為は、確かに真人の命を繋いだ。
地下に鳴り響いた小気味の良い音、それと同時に真人の視界に映る仲間の姿がブレ、次の瞬間には見覚えの無い老人の姿へと置き換わっていた。
刀を手に携え、今にも自分に斬りかかろうとしている老人の姿、その刀に灯る炎が自分へ迫っているという事実に、真人は心底から震えた。
本能、魂を操り弄くる『人間』の呪霊としての本能が叫ぶ、あの炎に近づくなと真人に宿る全てが悲鳴を上げた。
躱す、反撃なんて一切考えていない無我夢中の回避、後方へと大きく跳ねることで老人の斬撃を紙一重のタイミングで真人は躱し…次の瞬間、唐突に伸びた炎の刃が真人の足指一本を跳ね飛ばした。
溶ける断面に飛び散る指の破片、視界に映るそれらにだからどうしたと普段の真人ならば言ったであろう、魂を弄くれる真人にしてみれば魂に響かない一撃なぞ幾ら直撃させられたところで痛くも痒くもないのだから。
しかし、それは普段ならば…の話である。
「ッッ…!?」
後方へと着地した真人が感じたのは違和感、それが何かと判明する間もなく、真人の肉体に激痛が奔る。
足の指先、斬り飛ばされた部位から痛みが走る、ただ斬り飛ばされただけの痛みではない、深く鮮烈な燃えるような痛みが真人を襲う。
更に、それに加えて───
「ッ!? 再生が───」
遅い、あまりに遅い、普段の状態とは比べるまでも無く遅いその再生速度、明らかな異常事態。
気づけばすぐそこにいたはずの禪院も既に居らず、居るのは眼前で刀を構える老人と己の二人のみ。
分断された…その言葉が真人の脳内で構成されるのに然程時間は掛からなかった。
「…主だな? 七海の小僧が言っていたのは?」
静かに、されど内に秘めた熱量を隠しもせずに、老人…禪院扇は言葉を紡いだ。
「魂を弄り翫ぶ『人』の呪霊だったか……臭いな、貴様…ここに来るまで一体どれだけの魂を玩んだ?」
吐き出されたの唾棄の言葉、何処までも静かで何処までも冷徹、しかしそこに秘められた感情からは烈火の如きソレを感じさせられた。
「ん? …あー……数えてないかな?」
対する人の呪霊は何処までもおちゃらけたように言葉を返した、見た目や態度程の余裕は無いが吐き出されたその言葉には一切の偽りが無い。
楽しんで殺し、愉しんで弄ぶ、何人殺したかなぞ一々数えもしなければ考えもしない、ただ呪いの本能の赴くままにそこに在るだけ…それ以外の何者でもない。
だからこそ───
「そうか…ならば何も言うまい」
圧力が増す、剣気が膨れ上がる。
呪力が火花のように飛び散り、肌を刺すような殺意が空間を満たす、ほんの少しでも動けば即座に斬られると確信させられる。
眼前の存在が鬼と化す、視界に映る老人の姿が角を生やし怒気の表情を携えた鬼人の姿と化していく。
ただの錯覚だと言うことは分かっている、分かっているが…それでも、最早真人には眼の前の存在を鬼としか思えなくなっていた、それほどまでの殺気と剣気。
言葉なぞ無意味、端から両者の間に言葉なぞ意味が無かった、何せ虎杖悠仁の様に互いに何かしらの因縁があるというわけでもないのだから。
故に交える言葉は一方通行、語る言葉の大半は単なる独り言、相手に聞かせる気なぞ微塵も存在しない勝手な言葉の羅列。
だからこそ───
「ただ逝ねぃ、『人』の呪霊よ」
「玩具にしてやんよ、術師…!」
両者は共に、そこにありったけの殺意を込めた。
死ね、死ね、ただ死ねと鬼は一切合切を斬り捨て灰燼と化してやると刀を構え、『人』はその魂を何度も何度でも殺してやろうと鬼を玩具にすることを本能のままに取り決めた。
痛みには慣れた、魂を捏ねくり回して形も整えた、何時でも殺れる万全の体勢を整えたが故の余裕を真人は持っていた。
警戒すべきはあの炎、原理こそ不明ではあるがアレに触れればただでは済まないことを真人はつい先刻に身を以て知った。
あの炎は、あの鬼の一撃は自身の魂にまで届く…ならばどうするか。
「───無為転変『多重魂』」
───『
拒絶反応の高い魂同士を無理矢理融合させ、その拒絶反応を利用して改造人間の質量を一気に高めて、鬼へと解き放つ。
向かいせめぎ合う悍ましいナニカ、歯を剥き出しにし大口を開けて向かい来るソレへと視線を向けた扇は、特段焦るでもなく───
「…哀れよな…今───」
───楽にしてやる。
何処か憐れむような口調で、手に持った刀を一振した。
瞬間、湧き上がるように放たれた炎が改造人間を一瞬の内に焼き尽くした。
抵抗のての字もない、あまりにも呆気なく消し飛ばされた改造人間の姿に真人は思わずと言ったように舌打ちし、それと同時にやはりと言ったように舌舐めずりをした。
魂を捉える真人は、その瞬間を確かにその目で捉えた、あの炎が一体何を消し去ったのかを。
禪院扇の術式『焦眉之赳』は炎を操る術式、それ以上でもそれ以下でも無いが故に、その能力は持ち主の技量に依存する。
可でも無ければ不可でも無い、一から十までの全てが術師次第のこの術式は、その特性故に禪院家の相伝術式となることは無かった。
だからこそ誰もが見向きしない、誰もがそこに存在する唯一の特異性に目を向けることは無かった。
『焦眉之赳』の最も優れている点は炎による火力では無い、術師次第とも言われたその可能性でもない、『焦眉之赳』と呼ばれた術式の最も特筆すべき点は───
「燃やしやがったなっ…! 『魂』をっ!!」
その圧倒的なまでの、術式対象の『拡張性』である。
その事実に気がついたのは千年前、禪院廻の弟でもあった禪院薫…兄が死んだ後にふと思い出した何気ない言葉を手掛かりとし、遂に辿り着いた術式の極み、その拡張対象は魂から空間にまで及ぶ。
即ち───
「安らかに眠るが良い、魂達よ…根源は、此方が受け持とう」
禪院扇は、真人にとって最低最悪の天敵である。
真人&おじいちゃん
このまま行くとマジで出番が無いから結構無理矢理ぶち込んだ、とりあえずここにナナミンをぶち込んでだな───
メロンパン
呪霊操術が使えないなんて一言も言ってない男、満面の笑みである。
お兄ちゃん
雪姫の所にダッシュで行った、多分痴女さんと合流してる。