宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 最近、SIRENのプレイ動画を見ていたせいでSDKがいかにカッコいいかが改めて分かってしまった作者、あの状況であの言葉はイケメンにも程がある。


バトンタッチ

 

 

 何時か、あんな物を作れれば良いなと、幼心にそう思った。

 

 眼前にある呪具、禪院家の中で特に厳重に祀られていたその刀を見た時、触れた時、引き抜いた時…私は心の底から、自身の先祖に憧れた。

 

 黒く焼け焦げたかのような炭色の刀身、今にも崩れ落ちそうな程に黒く濁ったその刃は、しかしどうしようもない程の美しさを持っていた。

  

 呪力を流せば、内側から火種が燃え上がるようにパチリと蒼い炎が面を上げ、その身に渦巻く力の奔流の一端を見せつける…嗚呼、なんと美しいものかと憧れた。

 

 何時か、何時か自分もこんな刀を生み出してみたいと、心からそう思った。

 

 

 

「…フッ」

 

 眼前の呪霊を見据えて、思わずと言ったように吹き出す。

 

 人が人を恐れ呪ったが故に産まれた呪霊…その情報は、実のところ七海に伝えられるまでもなく既に知っていた。

 

 千年前、あの刀を生み出した術師が残した記録の中に似たような存在が記してあった。

 

 その呪霊は無為転変と呼ばれる術式を使い、自身と人の魂を弄くり好きな形、好きな姿に自在に変化させられたと言う。

 

 魂に届く攻撃か呪力が尽き果てるまで殺し続けなければ殺すことが出来ないと記されていた呪霊…そしてそれを殺したのもまた、それを記した私の先祖だった。

 

 …因果なものだろうと思う、千年前とまるで同じなのだ、千年前と同じ術式を持った私と人の呪霊がこうして相対する…なんと因果なものだろうか。

 

 

「───征くぞ」

 

 

 故に死ね。

 

 行く、征く…蒼炎が滲む刀を手に一気に呪霊の間合いへと踏み込む。

 

 触れれば死ぬ、しかしそれはあちらも同じこと。

 

 『宇理炎』は魂を焼き尽くすことに特化させた極ノ番、全四つの中で最も利便性が低い代わりにその一撃は掠るだけでも致命傷だ、特にお前のようなタイプの呪霊に対してはな。

 

 それが本能的に分かっているのだろう、冷や汗を滝のように流した呪霊が後方に大きく下がりながら何かを吐き出し、そのまま掌でそれを押し潰す。

 

 

───『幾魂異性体』

 

 

 生み出されたのは異形、人の形を取っただけの怪物が三体、私目掛けて放たれた。

 

 二足歩行、ズシンズシンと一直線に向かってくるそれら異形に私は視線を合わせ───

 

 

「邪魔だ」

 

 一言の後に、斬って捨てた。

 

 一匹は振るわれた拳ごと刀で斬り裂き、もう一匹は鞘で顔面を叩き潰し、もう一匹は下から掬い上げるように真っ二つにした。

 

 斬られる度に散る蒼い火花、斬られた改造人間達は傷口から燃え上がるように広がった蒼い炎に包まれ、数秒と経たず灰へと還っていく。

 

 それら横目で見ながら、私は呪霊へと視線を投げかける。

 

 

「───『多重魂』」

 

 

───『撥体』ッ!!

 

 

 向けられた視線の中には呪霊は映らず、代わりに映ったのは無数の巨大な口と牙、数えるのも馬鹿らしい程の改造人間が一斉に私は目掛けて突っ込んで来る。

 

 十や二十そこらではない、数えるのも馬鹿らしいという言葉に偽りは無い、文字通り数えるのも馬鹿らしくなってくるレベルの数を前に私は自身に問いかける…アレを捌き切れるか? と。

 

 

「無理だな」

 

 口から出たのは問いに対する答え、私自身がアレを捌き切れぬと結論を出していた…ならば、どうするか。

 

 

 

「『迦具土神・二式』」

 

 

───『()()()()

 

 

 宣言の瞬間、刀の出力が一気に上昇する。

 

 揺れるように纏われていた蒼い炎が一気に吹き出し、爆炎と呼ぶべき大きさへと増大し、私はそれを改造人間達へと振り抜いた。

 

 揺れる空間、響く炎の音、振るわれた刀に追従するように僅かに遅れて炎が改造人間全てを余すこと無く包み込む。

 

 迦具土神・二式『倶利伽羅』…何と言うことはない、範囲攻撃を是とした形態、威力は『宇理炎』に比べて大きく下がるがその攻撃範囲は迦具土神の中で最も広い。

 

 地下という封鎖された空間全体に蒼が充満する、近くにいるだけで肌を焦がしかねない熱気が私の元へと届き、骨から溶け出す改造人間達の姿が視界に映り込んだ。

 

 呪霊の姿は見えない、倶利伽羅を前方全域に放ったのだからそれはもう当たり前のことではあるのだが…そう眼前を見据えながら、背後上空から迫る攻撃を刀で受け止める。

 

 ガキンっと鉄の鳴る音が耳元から響く、視線を向ければそこに居たのは腕を刃へと変形させた呪霊の姿、汗を滝のように流し身体半分が焼け焦げた状態の呪霊は、舌打ちを一つ溢していた。

 

 

「クソジジイがぁ!!」

 

「喧しいぞ小僧」

 

 

 互いに罵声を一つ、同時に私は倶利伽羅の出力を一気に引き上げ、鍔迫り合いの状態から炎を大出力で放出する。

 

 宇理炎と違って倶利伽羅は魂への攻撃に特化している訳では無い、あくまで高出力広範囲を両立させただけの炎だ…しかし、それでも術式の性質的にこの炎は貴様の魂にまで届く。

 

 爆音、肉体が吹き飛び血が私の頬へと付着する。

 

 刃へと変形させていた方の腕が文字通り吹き飛び、苦悶の声と悲鳴を上げて呪霊が火達磨になって転げ回る。

 

 痛いだろう、苦しいだろう、当たり前だ、魂を直接焼いているのだから…しかしそれは、お前が今の今まで平然とやってきていたことだ。

 

 魂ごと傷を付けられたら、反転術式でさえ治すのに苦労する…事実、甚爾の呪具に似たような物があった。

 

 魂の輪郭を知覚さえ出来れば何であろうと一刀両断する特級相当の呪具、今ここに主と共に在ったなら貴様を細切れにしていたであろう呪具。

 

 火が消え、オエッと何かしらを吐き出す呪霊を冷たく見下ろしながら、迦具土神を倶利伽羅から宇理炎へと戻し、大上段から呪霊首筋目掛けて刀を振り下ろす。

 

 咄嗟だったのだろう、吐き出した何かを手に取り刀へと振り抜く…が、忘れたのか、私の術式は魂を燃やす。

 

 振り抜かれた恐らく改造人間だったであろう鋭い片刃の剣、それごと呪霊の片腕をスルリと斬り飛ばす。

 

 抵抗は無い、刺身を切るようにスルリと通った刃に容易く腕を斬り飛ばされた呪霊の傷口から蒼い炎が燃え上り、呪霊は先と同じように肩口から燃え上がった傷を切り離し、そこに私は無造作に蹴りを叩き込んだ。

 

 ゴロゴロ転がっていく呪霊を見ながらやはりと考える、感じた手応えが刀の比では無い程に軽い、やはり魂に届くか届かないかで随分と違うらしいと何気無しに考えてみる。

 

 視界に映るのはオエッと吐き出す呪霊の姿、改造人間を吐き出しているわけでも何かを作り出そうとしているわけでもない、恐らく魂を焼かれたことによる拒絶反応でも出ているのではないかと推察するが…正解かどうかは甚だ疑問である。

 

 

「…痛いか、苦しいか、助けてほしいか」

 

 足を踏み出し、呪霊へと歩を進める中で私は自然と口を開いていた。

 

 速く殺すべきだ、こんな無駄なこと等言わずに素早く近づきその首を刎ねるべきだと理性が囁く。

 

 私には分かる、私の術式ならば首を刎ねた時点で奴は死ぬ、首を刎ねずともある程度の攻撃を急所に叩き込むなりすれば奴は死ぬ。

 

 しかし私はそれをしない、ゆらりと歩を進め言葉を紡ぐ。

 

 

「それが貴様の与えてきたモノだ、貴様の与えてきた絶望だ…良かったではないか、貴様は私の知る中で何よりも呪いだった」

 

 呪霊が浮かべたのは絶望の表情、今まで幾多も見てきたその表情を見据えながら吐き捨てるように言葉を紡ぎ、皮肉げに笑みを浮かべる。

 

 呪いだったよ貴様は、私の知る限りは貴様を上回る存在は早々居ない程には呪いを体現した存在だった、本能のままに何もかもを貪り喰らい殺したどうしようもない呪いだった。

 

 故に───

 

 

「死ね、もう二度と産まれてくるな、悍ましき呪いよ」

 

 

 その言葉に何も含ませず、ただ二度と産まれてくるなという感情だけを込めて、私は刀を振るった。

 

 …否、正確には振るおうとした…だろうか。

 

 眼の前には死に体の呪霊、殺すも嬲るも簡単に出来るだろう呪霊の姿、それに対して私は一切の油断も持たずに刀を振るおうとしていた。

 

 何度も言おう、油断は無かった、眼の前の一挙一動から呪力の流れまで何一つとして見逃していなかった。

 

 しかし、それでも…上から唐突にやってきたそれに、私は気がつけなかったのだ。

 

 熱、頭上から感じた呪力と熱気、咄嗟に顔を上に上げたその時には、既にそれはそこへと来ていた。

 

 膨れ上がる天井、赤色へと変色した次の瞬間にはオレンジ色へと変化した天井から突き抜けてくる熱線、まるでマグマのような色をしたソレが容赦無く私へと降り注ぐ。

 

 咄嗟、倶利伽羅を発動し膜のように配置、降り注ぐ熱線への盾代わりとして使用する。

 

 盾と言っても真正面から防ぐわけではない、私自身に傷が付かなければ良いのだから膜を最小限とし形状を傘のように展開、降りしきる雨を流すように熱線を受け流す。

 

 出力は違えども同じ炎だ、流し方は良く分かっている。

 

 蒼い傘が熱線を流す、私の周辺だけを防ぎ他へと熱線を受け流し、流された熱線が流した先を遠慮無く溶かし燃やしていく。

 

 熱線が止む、攻撃が止まる、膜が崩れる…上を見据えると同時に私はその場から大きく飛び退いた。

 

 瞬間、隕石のような速度で降ってくる…呪霊。

 

 地面に亀裂を入れて着地したその存在、頭が火山のような形状をした一つ目の呪霊が私のことを油断無く見据えていた。

 

 直感する、私は呪霊を見た瞬間に直感してしまった…あぁ、この呪霊は先の呪霊よりも遥かに格上の存在であると、私は確信してしまっていた。

 

 だからこそ───

 

 

 

「───『迦具土神・三式』」

 

 

 

───『焔薙』

 

 

 

 三つ目の封を切ることに、私は一欠片の躊躇も見せなかったのだ。

 

 





『宇理炎』
 
 魂を斬り裂き燃やすことに特化した形態、真人みたいなのが斬られると死ぬほど痛い上に死ぬ程ダメージを受ける、対処法はぶっちゃけ真人じゃないこと。


『倶利伽羅』

 範囲攻撃と極振りした形態、攻撃能力は通常とそう変わらない代わりに範囲が馬鹿みたいに広い、因みに攻撃能力が通常と変わらない=魂にまで届く一撃なので何をやっても真人は大ダメージ確定の形態でもある。

 なお、形状変えて防御とかも出来る、ただしそこまで利便性は無いし防御に振った途端に出力が下がる弱点がある。



火山おじさん

 他のを全力で振り切ってこっち来た、メロンパンに情報だけ教えてもらってた、めっちゃ急いで来た。





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