宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 これ上手く書けてるのか不安になってくる、敵側だと鹿紫雲に並んで漏瑚が二位くらいだから格好よく書けてるか不安になってくる…漏瑚の株だけは下げたくないぃ(作者渾身の本音)


大地と鬼 ①

 

 

 蒼い炎が躍動し、ふわりと揺らめきゾワリと空間を焦がす。

 

 迦具土神・三式『焔薙』…空間を焼くことに特化した形態、宇理炎のような魂一点を狙った物でも、倶利伽羅のように特別範囲が優れているというわけでもない。

 

 ただし防げない、相手がどれだけ防御に優れていようがなんだろうが関係無い、何もかもを関係無く空間ごと灼き尽くす為の形態…それこそが焔薙。

 

 そして、そんな必殺同然のソレがこの場にて解放された、ただ一体の呪霊へと向けて。

 

 

 

 

 それを見て、向けられた呪霊は…漏瑚は、何処か納得したように一言、なるほどと呟いた…道理で真人が怯えるはずだと。

 

 

 後方へと顔を向け、自身の仲間へと視線をやる…普段は飄々とマイペースな態度を崩さない真人が、眼前の男の炎へと怯えの表情を隠しもしない。

 

 ならばと漏瑚は考える…眼の前の術師、その術式の効果や如何なる代物であろうかと思考し…何気無しに魂関連のものであろうと当たりを付けた。

 

 ただ火力が高いというだけならばあの真人がこうも怯えることは無い、火力が高いだけならば躱すなりゴリ押しするなり幾らでも手立てがあるのだ、二度になるが真人がこうも怯えることは無い。

 

 ならばと行き着くのは魂への直接的な打撃、もしも眼の前の男が禪院の言っていた術式の所持者であったとするならば真人の怯えようにも納得が行くと思考に区切りを付けた。

 

 相手の術式を決めつけるのはいけないことだ、決めつければ決めつけただけ手痛いしっぺ返しがやってくることを漏瑚は良く知っている…知っているが、それは確定された情報が無かった場合に限る。

 

 目の前に存在する蒼い炎に怯えた様子の真人、更に推測でしかないが魂に届くであろう攻撃手段の確立…これらの要素から漏瑚は相手の術師の術式を禪院から伝えられた術式『焦眉之赳』であると判断した。

 

 

 ならばどうするか…その答えは既に、漏瑚の中で出来ていた。

 

 

 

「真人…行け、禪院と合流し渋谷から出ろ、儂は───」

 

 

───此奴を殺してから、そちらに向かう。

 

 

 

 

 酷く落ち着き払った声色で指示を出す、有無等言わせないと言わんばかりの断定した口調と共に呪力を練り上げ、体外へと押し出す。

 

 ここで殺さねばならないと思った、ここで殺さねば後々の障害となると、漏瑚は眼前の術師へそう判断を下した。

 

 そして…それは禪院扇もまた、同様であった。

 

 ここでコイツを祓わなければならない、ここで祓えなければ夥しい程の被害が生まれてしまうと、扇は本能的に確信していた。

 

 

 沸騰するように煙を上げる漏瑚の肉体に釣られるように、周囲の温度が膨れ上がり熱気が扇の肉体をチリチリっと僅かに焦がす。

 

 刀を構える、正眼へと構えて切っ先を眼前の呪霊一体へと向け、同時に意識を完全に漏瑚のみへと集中させる。

 

 互いに感じた感覚は同じもの、ほんの少しでも目を離せば自身が死ぬ…そう互いに確信しているが故に、最早両者の視界に真人の姿は入らない。

 

 不気味なまでの静けさ、ただパチリパチリと炎の弾ける音だけが周囲へと響き渡り、炎の先にある鋭い二つ目と一つ目が今か今かと一撃の隙を探り狙う。

 

 緊迫した空間、その中で逃げろと言われた真人はその場から動くことが出来ないでいた。

 

 動けば斬られるのではないか…そう感じ取らせる程の殺気を前にして、真人の肉体は逃げるという行動を取ることなく、ただ生唾を飲み込んで目の前の対峙へと視線を向ける。

 

 一秒か、十秒か、それとも一分か…時間の感覚など宛にならず、ただ長いか短いかも分からぬままに、ただ時間だけが過ぎていく…そんな中で、事態はあまりに唐突に動き出す。

 

 

 

「ッッさっさと行かんかぁっ!! 真人ォォォッッ!!!!」

 

 

 怒号、吐き出される怒気が明確な矛先を持って放たれ、それと同時に扇が一足先へと踏み込んだ。

 

 怒号を放ったが故に生じた僅かな隙、そこを狙って踏み込んだ扇はその勢いのままに漏瑚の首筋目掛けてその刀を振るう。

 

 空間を断つ一撃、当然その絡繰りを漏瑚は知らない、漏瑚が知っているのはあくまで焦眉之赳は極めて高い拡張性を持つ術式であり、それを利用して魂に届く一撃を生み出せるということだけ。

 

 しかしそれでも、熟練と呼んで差し支えない漏瑚の経験から弾き出された直感が防げば負けると囁きかけた。

 

 振り抜かれた刃に対して回避を選択、大きく上体を反らして刀を躱し、扇の真横に存在する壁際にニョキリと穴を設置し、熱線を放つ。

 

 呪力を介し生み出されたトラップのような代物、意識外からの一撃に扇は咄嗟に刀を振り抜く…が、今までとは訳が違う。

 

 魂を介さない純粋な呪力と術式による火力、扇同様に炎を扱うというシンプルなそれは空間を灼き尽くす焔薙とは致命的に噛み合わない。

 

 炎が炎を灼き尽くせるだろうか? 答えは否、飲み込むことは有り得ても炎が炎を灼き尽くすことは到底あり得ない。

 

 空間を断つであればまだ防げただろう、或いは熱線を斬るだけの技量が扇にあれば断つことも出来ただろう…しかし、その両方を扇は持ち得ない。

 

 故に直撃する、蒼い炎を突き抜けた太い熱線が扇の上半身を飲み込み、その向こう側に存在する壁すら貫通して何処へなりとも消えていく。

 

 端から見れば間違いなく死んだと確信するような光景、特にその威力の程を良く知っていた真人は目の前の天敵が死んだのだと…そう認識していた。

 

 

「早う行けと言うとろうが真人ぉ!! 耳が無くなったかぁッ!?」

 

 

 しかし、その技を放った当の本人から、再び怒号が飛んだ。

 

 追撃、上半身が吹き飛んだであろう存在へと向けて漏瑚は掌底を放とうとしていた。

 

 全力の炎を纏った一撃、並み居る者を灰燼と化してきたその一撃が未だ煙を上げる死に体の老人の肉体へと迫り…横合いから伸びた腕にガシリと掴まれる。

 

 

 炎の中から、鬼の面が浮かび上がる。

 

 

 ヒッと悲鳴を上げたのは誰だったか、炎の中から浮かび上がるようにして出てきた鬼は…禪院扇は引っ掴んだ腕をそのままに掴んでいない方の腕を大きく振りかぶって漏瑚へと叩きつけた。

 

 炎も空間も術式もクソも無い、その手に持っていた刀は一体どこへやら、ただただ何処までも純粋な呪力による強化打撃が漏瑚の顔面へと突き刺さる。

 

 ドクチャァッと重く重く、肉を潰したような音と共に叩きつけられた拳が紫色の液体を撒き散らし、そこへまだ足りぬと言わんばかりに再び拳が突き刺さる。

 

 重く生々しい音、肉と肉がぶつかり砕け裂ける音、拳にべっとりと付着した紫色の血がより一層扇の恐ろしさを助長した。

 

 その姿からはつい先程までの剣士としてのあり様は想像出来ず、あるのはただただ恐ろしい形相と気配を放った鬼の姿だけ。

 

 それを見た瞬間、認識した瞬間、真人は既に走り出していた。

 

 何処か遠くへと、仲間に言われた合流の二文字すら忘れて真人は駆け出す、無様に情けなく弱者か何かのように形振り構わず。

 

 怖い、怖い、怖い、怖い…そんな恐怖の二文字に支配された思考状態で、何処へ続くとも分からぬ道をただひたすらに、裸足のままペタペタと音を立てながら。

 

 

 そんな真人の姿にようやく行ったかと漏瑚はため息を吐きかけ、眼前に迫る拳を既での所で躱し、扇の腹部へ蹴りを叩きつけて無理矢理距離を取って術式を発動する。

 

 

 

───『火礫蟲』

 

 

 数にして四体、羽の生えた小型の呪霊を生み出し扇へと放つ。

 

 触れれば大音量を金切り出して対象を怯ませ、そこへ浴びせ掛けるように爆発する、その威力は当然生半可なものではない、言ってしまえば殺意しか無い。

 

 そしてそれに対して、扇は躊躇無く前へ前へと走り出した。

 

 道端に落ちていた刀を拾い上げ『焔薙』を発動、飛んでくる火礫蟲を一匹一匹、音を吐き出す間も爆発させる間も与えず一撃で斬り落とし、駆け抜けるようにその場から前へ前へと飛び退く。

 

 後方で広がる爆音、斬ったから爆発したのかそれともそんなこと関係無しに爆発する設計だったのか、しかしそんなことは知らぬと扇は接近していた呪霊へと迷い無く斬りかかる…フリをして唐突に刀から手を離す。

 

 まるでその場に置くように、そこに立て掛けるかのように刀を手放した扇は、更に一歩漏瑚の懐へと踏み込み、捻り上げるように掌底を打ち放つ。

 

 さながらミキサー、グルリと半回転しながら放たれた扇の掌底が刀による斬撃を警戒していた漏瑚の鳩尾へと突き刺さり、そのまま背後にあった壁ごと漏瑚の肉体を吹き飛ばす。

 

 あまりに重く鋭い一撃に漏瑚は血反吐を吐き出し、次いで背中から走った衝撃に、漏瑚の沸点は限界を迎えた。

 

 

 

 

「舐めるなよ術師がぁぁっ!!」

 

 

 

 大地の呪霊の意地と誇りが、咆哮する。

 

 

 





 作者の本音 真人は正直書きたくない、だって簡単そうに見えてクソほど難しいから、出来ればもう二度と書きたくない。
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