宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 宿儺の本気がまだ全然出てくれないのは本当にいい加減にしてほしいと単眼猫に思わずそう思ってしまう今日この頃、頼むから出さならさっさと出してスパッとしてほしい。

 具体的に言うと渋谷事変の時並にスパッとキレ良く行ってほしいと思ってしまう今日此の頃、渋谷事変のワクワク感は異常。


宴はまだ終わらない

 

 

 

 

───パァンっ! 

 

 

 始めようか…その言葉が夜闇に響くと同時に、事態は瞬く間に動き始めた。

 

 高く高く暗闇の中に響き渡った聞き慣れた呪力の混じった拍手の音、それが響くと共に禪院の姿は搔き消え、代わりに銀と青に染められた機械仕掛けの絡繰りが三途の真横に現れる。

 

 

 

───『砲呪強化形態(モード・アルバトロス)

 

 

 

 ガチャンと響く機械音、装甲が展開し隠されていた砲門が面を上げて傍目へとその姿を晒し出す。

 

 口から、両肩から、腹から、計四門の砲口が月に照らされ鈍く輝き、更に両腕の砲門…掌から迸るオレンジ色の…輝きが三途の瞳に映り込んだ。

 

 計六門…六つの砲口から放たれる呪力と破壊の奔流、そこから感じる明確な意思と殺意に三途は知らずの内に笑みを深め───

 

 

「おもしろ」

 

 

 途切れるような一言を溢した。

 

 

 

───『六重大祓砲(イクシードキャノン)』ッ!!

 

 

 瞬間、何もかもを消し飛ばしかねない程の大火力の呪力砲が、三途の身体へと放射された。

 

 オレンジ色の輝き、星が煌めいたような輝きと共に放たれたその一撃は物量、威力共に十二分のそれを持ち合わせたソレが、容易く三途の姿を夏油の視界から消していく。

 

 放たれたと同時に襲い来る爆風、大きな土煙を上げながらやってきたそれを、夏油は反射的に腕を掲げて防いだ、それほどまでの爆風。

 

 眩しく輝く熱線が途切れていく、徐々に徐々に勢いを失い次第に弱まる炎のように消えていった呪力砲の先には最早誰も居ない、あるのは黒く焼け焦げ今にも崩れ落ちそうな炭色のナニカだけ。

 

 普通ならばここで勝ったと思う、並大抵の者であればこれで終わったと感じる…しかし、夏油と絡繰りは…与幸吉はそう思わなかった。

 

 前者は今の今まで培ってきた経験から、後者は禪院廻という埒外の化物相手に扱き上げられてきた経験から、何方にせよアレで終わったと油断する愚か者は一人たりとも居なかった。

 

 

『チィッ…!!』

 

 電子音声…メカ丸に内蔵された通信端末から漏れ出た舌打ち、それと共に即座に上空へと向けられたその視線の先、満月を背後に背負った三途が、凄惨な笑みを浮かべて突撃を開始した。

 

 一体どうやって、何時の間に…そんなことを考えている暇も無ければやる余裕も無い、今の与に余裕という一言は存在しなかった。

 

 

───虹龍

 

 

 ただしそこには、個人ならばという但し書きが付く。

 

 突撃を開始した三途の真横から白い龍が激突する、牙を突き立て食い殺してやると言わんばかりの形相で突っ込んできた虹龍を三途は両手足で押し止め、そのまま背後のビルへと激突する。

 

 勢いを良くぶつかったせいだろうか、それとも先の怪獣大決戦に巻き込まれた建物だったのだろうか、虹龍がぶつかるのとほぼ同時に建物が音を立てて崩れ出していく。

 

 

───砲口五門 『追尾弾(ビジョン)五重奏(ヴィオラ)

 

 

 そこへと叩き込まれる、虹色の追尾弾。

 

 約五門の砲口から発射された色とりどりの呪力砲が一斉に崩れ落ちていくビルの最中へと容赦無く叩き込まれる。

 

 ただでさえ巨大な龍に突撃されて崩れ落ちていたビルへと降り注いだ縦横無尽に駆け巡る追尾弾、虹色に輝くそれらがまるで蜂か何かのようにビルの中を行ったり来たりと繰り返す。

 

 崩れ落ちて巻き上がる大煙、その中を無数に輝く弾が飛び交うその光景は何も知らない一般人が見れば何かのアトラクションのようにも見えたことだろう。

 

 完全にビルが崩れ落ちる、莫大な破砕音を周囲に響かせて瓦礫の山と化したそこから、更に爆音を上げて三途が飛び出してくる。

 

 周囲の瓦礫を粉砕しながら、若干の負傷をそのままに走り飛び出して来た三途のすぐ後を、追尾弾が瓦礫を突き抜けながら追いかける。

 

 

「クハっ…!」

 

 溢れ落ちた笑声、今の今まで戦ってきた敵とはまるで違うタイプの獲物に三途の口元は大きく三日月のような形へと歪み、更にそこへと瓦礫の山に下敷きにされていた虹龍がやってくる。

 

 下敷きにしていた瓦礫を力技でぶち抜き、爆音に次ぐ更なる爆音を響かせながら獲物を食らってやると再び三途へと突っ込む。

 

 

「芸が無いなぁ!!」

 

 虹の龍が突っ込んでくる、その何度目かの光景に吐き捨てるように言葉を放つ…が、そうやって吐き捨てるように言葉を放つ割には、三途の顔はどうしようもない程の喜悦に歪んでいた。

 

 喚び出す…本来であれば後の計画の為に使用するはずであったその呪霊を、自重を捨て去ると共に引き出す。

 

 背後から蠢く影のような空間、そこから這い出るように空中へとその身を投げ出したのは、人型の異形。

 

 赤い光を放つ六つの瞳、その奥に更にバラけるように存在している幾千幾多の瞳が目覚めたてのその戸惑いを現すようにギョロリギョロリと蠢き動く。

 

 背部から生えた六本の鋭い足、太く鋭く先端へと行く程に細く鋭くなっていくその足の先から白いナニカが滴り落ちる。

 

 悍ましい呪力、幾千幾多の命を奪い続けてきた存在のみが発する邪悪な気配が、夏油と与の背筋へと奔った。

 

 

 

───特級呪霊 『土蜘蛛』

 

 

「さぁ土蜘蛛よ、目覚ましの準備運動と行こうじゃないか…!」

 

 

 平安時代に存在した蜘蛛の姿をした大妖怪、そのオリジナルが赤目を剥いて夏油達を捉え、三途の言葉に応えるように…その口を大きく歪ませ───

 

 

 

「…良き」

 

 

 言葉を、吐き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーあー、土蜘蛛まで喚び出して…君が居ないと計画成り立たないんだけどなぁ」

 

 

 呆れたように言葉を溢して上空へと視線をやり、仕方がないなぁと言いたげに禪院はため息を一つ吐いた。

 

 何せ千年ぶりの強敵相手の真っ当な殺し合いだ、目覚めて間もない三途には少し刺激が強すぎたかなと頭をポリポリと搔き…首を傾けて背後から迫った赤い弾丸を躱す。

 

 音速を突き抜けて迫った弾丸をいとも容易く、それも視線を向けることすらなく躱した、その事実にその弾丸を放った当の本人…加茂憲紀は小さく舌打ちを溢し、続け様に肩に背負っていた弓を構えて矢を番える。

 

 その一連の動作を視界に収めた禪院は退屈そうに瞳を細め、次の瞬間にはその動きを硬直させられた。

 

 人の手が触れる感覚…唐突に現れ唐突に自分に触れたその気配に禪院は反射的にその気配へと手を伸ばそうとし、当の肉体自身が動かないという現実に反応が一秒遅れる。

 

 否、正確に言うならば遅れるでは遅らされたという方が正しいのだろうが…何方にせよ結果は同じ、反応が一秒ほど遅れたという事実だけがそこにある。

 

 矢が放たれる、呪力によって強化された矢が真っ直ぐと禪院の命を狙って向かってくる。

 

 ほんの一秒の硬直、たったそれだけの時間が戦局を分けたなんてことは飽きる程にある、特に呪術師という常に死と隣り合わせの世界に居るのであればそれは当たり前のこと。

 

 放たれた矢は既に禪院の目前に在った、禪院の脳天に直撃するまで一秒と掛からない場所まで既に矢は突き進んでいた。

 

 殺れる…そう加茂が確信したその瞬間、恐ろしい速度と共に禪院の頭が横へとズレた。

 

 とてつもない速度、コンマ一秒と掛かっていないのではないかと思わせられる程の回避速度、直撃が必定のはずであったはずの弓矢が捉えたはずの獲物を失い、禪院の後方へと流れていく。

 

 

───パァンッ!!

 

 

 渾身の一撃の不発…しかしそんなことは分かっていたとでも言うように、拍手の音が鳴り響く。

 

 裸体…上半身裸の男がその引き絞り鍛え抜かれた肉体を惜しげも無く晒して、禪院の視界の中に突如として現れる。

 

 あまりに唐突に出現した新手、それに対して禪院は特段動揺することもなく、あくまで冷静に眼前に現れた新手へと向けて躊躇無く刀を振るい───

 

 

───パァンッ…!

 

 

 スカ振った、再び響いた拍手の音と共に禪院の視界は移り変わる、目の前には既に誰も居ない。

 

 気配と呪力の反応は背後から、刀を振り抜いた態勢から更にその遠心力を殺すことなく勢いのままに背後の男へと刀を振り抜き…またもや拍手の音が鳴り響く、当然視線の先には誰も居ない。

 

 

「…なるほど、君がそうか」

 

 まるで入れ替わるように道路の真ん中に立っていた自分、そして唐突に現れた半裸の男に自分に触れた誰か…それらの状況から、禪院は容易くそれら人間の正体を看破する。

 

 

 

「豪華なものだね、一級術師三人掛かりとは」

 

 

 感じ取った三人分の気配、視界の先にいる三人の男達。

 

 一人は弓矢を番えて自身に狙いを定め、一人は半裸の状態で何やら首飾りにキスのようなものをし、一人は電灯の上で此方を油断無く見据えていた。

 

 

 

───呪術高専京都校及び加茂家所属 『一級術師』加茂憲紀

 

───呪術高専京都校所属 『一級術師』東堂葵

 

───御三家 禪院家当主 『特別一級術師』禪院直毘人

 

 

 

 三人の内、何れもが一級の中でも上澄みの位に入る実力者、その内の一人…東堂葵に至ってはあの雪姫に厄介とすら言われた男だ、実力者中の実力者と言っても過言ではない。

 

 そんな三人組を前にして尚、禪院は余裕の表情を崩しもせず、吹き出すように笑みを溢して気だるげに刀を構えた。

 

 まるで、慣らしには丁度良いと、そう言うように。

 

 

「…少し、違うな」

 

 そんな禪院へと向けて、徐ろに直毘人が口を開いた。

 

 刀を構える禪院へと、普段の軽薄な態度から一変して険しく鋭い表情を携えた直毘人は、子供のような笑みを浮かべ、悪戯っぽく口を開いた。

 

 

()()()()()()

 

 

 言うな否や、禪院の横際に存在した建物壁が吹き飛び、そこから飛び出すように二つの人影が挟み込むようにして禪院へと突っ込み、其々の持つ方法で禪院へと一撃を叩き込む。

 

 一人は拳を、一人は鉈を…赤に近い桃髪と七三に分けられた金髪が禪院の視界に映り込み、向かい来た一撃を一つは避けてもう一つは刀で受け止める。

 

 刀で受け止められた鉈を更に押し込むようにギリギリと身体ごと迫ってくる妙なゴーグルを付けた男と拳を交わされた覚えしか無い()()()()()の姿に、禪院は尚も笑みを深めた。

 

 

───『一級術師』 七海建人

 

 

───『宿儺の器』 虎杖悠仁

 

 

 

 

 

 

 渋谷の宴が、幕を降ろすまで…残り───

 

 

 

 

 

 

 

 





 おかしい…この話でさっさと無為転変するはずだったのに、なんで俺はこんなガッツリとした戦闘導入を書いているんだ。

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