宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 作者的に死滅回游の面倒なところ


1:導入が面倒臭い

2:天元が面倒臭い

3:九十九さんが面倒臭い


 そんなわけで、それらをスパッと切ることにしました、反省はします、けど今回ばかりはガヂで後悔だけはしません(断固たる意思)

 それはそれとして、今回の話は個人的にキツかった、主に最初の部分が(面倒的な意味で)




寒空時々雷

 

 

 

 吐息を吐き出す、白く曇った二酸化炭素が宙を泳ぎ、それが次第に薄らぼけて消えていく…そんな光景を廻は何処かボケっとしたような表情で見つめていた。

 

 ゆらりゆらりと揺れては消えていく吐息の跡、それの先に存在する黒く佇む結界へと、廻はゆらりとその視線を向けた。

 

 

「…始まっちゃった……か」

 

 誰に言うでもなしに呟く、群衆に紛れる中で呟かれたその言葉は人の波へと消えていき、その人の波の中へと廻は足を踏み出した。

 

 大量の人間、大量の非術師、ザワザワとざわめきごった煮返す彼等は全員が全員、結界の構築に巻き込まれた一般人であり、他ならぬその元凶によって外へと連れ出された存在。

 

 歩く、歩く、歩く…人混みの隙間を通り抜けながらただ歩く、耳元へと届くのは男に連れ出される夢を見たという誰かの言葉と化物を見たと言う誰かの声。

 

 コツリコツリと靴音が響く中で考えるのは再び頭の中に蘇った何時かの記録、自身が読み込み愛読した物語の一部始終…そこに映る、自分の居ない物語。

 

 

「…ハッ」

 

 笑い飛ばす、知ったことじゃないとでも言わんばかりに禪院廻はその事実を鼻で笑う。

 

 今更何だと言うのか、在りし日の記憶が戻ったから何だと言うのか、何が変わるというのだろうか。

 

 何も変わらない、あっても無くても何も変わらない、己のやることもやりたいことも決して変わることはない。

 

 何故ならそれが、自分という人間だから。

 

 

「───よぉ、俺はコガネ!!」

 

 結界の側に立つのと同時に響くのは聞き慣れない声、陽気で明るそうな声色でギャイギャイとはしゃぐ様に話すその存在に周囲の人間が注目する中、コガネと名乗った存在は言葉を続ける。

 

 

「───この結界の中では死滅回游って殺し合いのゲームが開催中だ!!」

 

「───一度足を踏み入れればオマエも泳者(プレイヤー)!!」

 

「───それでもオマエは」

 

 

 

───結界(なか)に入るのかい!?

 

 

 けたましく、捲し立てるように、心底の警告を告げるようにそう言葉を放つコガネ、小さくデフォルメされたような見た目からは想像出来ないような、重く深い契約を交わす悪魔のように発せられたその言葉に、廻は───

 

 

「───あぁ、大丈夫」

 

 

───入れてくれ。

 

 

 何の躊躇も無く、頷いた。

 

 

「───禪院廻が死滅回游へ参加しました、総則(ルール)を──」

 

「いらない」

 

 

 踏み出し、沈む…まるで深い沼へと落ちていくようにぬるりと結界の中へと足を踏み入れる…その次の瞬間、空が廻の視界に入り込んだ。

 

 

 宙に浮いた自身の肉体、浮遊感と共にやってくる重力による落下の感覚、薄く光る青色が嫌に美しく見えるその光景を前に、廻は何処か冷めたような表情で虚空を見つめ───

 

 

「───まず一人」

 

 

 唐突に、足を振り抜いた。

 

 振り抜かれた鋭い蹴り、叩きつけるように振るわれたソレが急速に突っ込んできていたであろう何かへと直撃し、そのままその存在を叩き落とす。

 

 グチャリという生々しい音が足先から伝わってくる、命を砕いた感触が身体の中へと染み渡るように響いてくる。

 

 

『───5(ポイント)が追加されました』

 

 

 無慈悲に告げられる命を奪ったという証明、命の対価として与えられた点数が無感情に自身へと付与される…その事実に廻が何かを感じるということはなかった。

 

 近場の建物へと着地する、自身が蹴り潰した何かへと視線を向けることすら無く、何気無く周囲へと視線を巡らせ…ふと、指を鳴らした。

 

 

「オドレェェぇぇぇぇ───」

 

 

 瞬間、怒りの咆哮を吐き出しながらやってきた誰かの頭を、玉犬が跳ね飛ばした。

 

 プロペラを頭から生やしたような見た目、ぎゅるんギュルンと男の怒りに呼応するように高速回転していたプロペラが、跳ね飛ばされた頭と一緒に空高く飛んでいく。

 

 何が起きたのか分からない、何故ワシは奴に近づけない…そんな脳内を疑問で埋め尽くされたかのような表情のまま、男の頭部は遥か上空へと消えていった。

 

 

 

『───5点が追加されました』

 

 

 無慈悲に無感動に追加される点数、人を殺した証が着実に積み重なっていく、慣れた感覚が手足を通って廻へとその実感を与えていく。

 

 

「ありがとな、白」

 

 小さく甘えるように鳴き声を上げた玉犬の頭をワシャワシャと撫でる、身体を揺すらせ擦り寄せながら甘えてくる玉犬・白の身体を廻は思い切りワシワシと撫で回す。

 

 関係無い、殺しなぞ前にしても今にしてもとっくに慣れきっている、今更何人殺した所でその心が揺らぐことはない。

 

 廻自身が覚えている限り、死滅回游の総則は大凡八つ。

 

 

 

 

 

1 泳者は術式覚醒後、十九日以内に任意の結界にて死滅回游への参加を宣誓しなければならない。

 

2 前項に違反した泳者からは術式を剥奪する。

 

3 非泳者は結界に侵入した時点で泳者となり、死滅回游への参加を宣誓したものと見做す。

 

4 泳者は他泳者の生命を絶つことで点を得る。

 

5 点とは管理者(ゲームマスター)によって泳者の生命に懸けられた価値を指し、原則術師5点、非術師1点とする。

 

6 泳者は自身に懸けられた点を除いた100得点を消費することで管理者と交渉し、死滅回游に総則を1つ追加できる。

 

7 管理者は死滅回游の永続に著しく障る場合を除き、前項によるルール追加を認めなければならない。

 

8 参加または点取得後、十九日以内に得点の変動が見られない場合、その泳者からは術式を剥奪する。

 

 

 

 

 

 

 

 廻が狙うのは六番目、100点を利用した総則の追加、記憶の中にある通りのポイントの譲渡を可能にすること。

 

 総則は未だに八つ、つまりそれは未だ誰も点数を消費していないということ、誰かが点数を消費する前に総則を追加し、近場の高点持ちを狩るのが現在の廻の目的…その為には───

 

 

「あと、18人」

 

 

 5点持ちの術師を、最低でも残り18人単位で殺害する必要がある。

 

 小さく呟く、噛みしめるように戒めるように小さく小さくその言葉を呟き、何をするでもなく廻は歩き出した。

 

 確信があった…その内、自分以外の高専所属の術師がここに来るという確信、虎杖や伏黒と言った子供がここへ来るという確信…廻はそれをトコトンなまでに嫌がる。

 

 こんな所に来てほしくない、術師として命の取り合いをすることは最早既定路線ではある、相手が人間相手だろうが呪霊相手だろうがそれは変わらない…しかしそれはそれとして彼等には来てほしくない、何故ならまだ子供だから。

 

 呪詛師が相手であればまだ良い、割り切りも効くのだろう…しかし、もしも相手が単に儀式に巻き込まれただけの相手で、よしんばそれを殺してしまった場合…果たして彼等はそれを割り切れるだろうか?

 

 割り切れる人間は割り切れるだろう、しかし割り切れない人間はとことんなまでに割り切れないものなのだ…そして、それを禪院廻という人間は良く知っている。

 

 故に、せめて生徒達が来る前に総則を追加しておく必要があるのだ、点数の譲渡という必要外の殺しを避ける為の総則を、生徒達がこの殺し合いに参加するその前に。

 

 

 コツリコツリと靴音が鳴る、静かな街中へとただ靴音だけがコツリコツリと響き渡る…己はここにいるぞ、身も何も隠さずここにいるぞと、まるで自身の存在を提示するかのように。

 

 呪力は隠していない、気配を消すこともしていない、ただただ何処までも自然体に不自由無くただただ歩き続ける…そんな時だっただろう。

 

 

 

 

「…あ」

 

「あっ」

 

 

 なんてことない曲がり角、特に傷もなく道端でよく見るようなそんなありきたりな曲がり角の向こう側から男が一人、自然体のまま歩いてきた。

 

 青緑色に髪に電子回路のような奇妙な髪型、手に持った棍を肩に担ぎ、白い中華風の道着服を着た男…それが、曲がり角の奥からひょっこりと現れた。

 

 目と目が合う、互いに何処か間の抜けたような声を上げ、道端を歩く互いを認識する…その時点で男は…鹿紫雲(かしも)(はじめ)は動き出していた。

 

 流れるように、空中へと置くようにして棍を手放し一気に廻へと肉薄、肉弾戦を廻へと仕掛ける。

 

 拳による一突き、腹部を狙って放たれたそれを廻は腕を交差させて防ぐ…それと同時に身体全体に走る電流。

 

 僅かに肉体が痺れて動きが鈍る、その隙を逃さず鹿紫雲は即時に手放した棍をこれまた流れような動きで回収し、そのまま廻へと叩き付けるように振り下ろした。

 

 迫る棍、そのまま逃せば頭部へ直撃するだろうその重く素早い一撃、それに対して廻は回避を選択した。

 

 僅かに痺れた身体、それ故に僅かに動きの鈍った自身の速度…それがどうした、そんなものにはとっくに慣れているとでも言わんばかりに、廻はいとも容易く振り下ろされた棍を掴み取り、その勢いのままに引き寄せ肘打ちを胸元へと叩き込む。

 

 想定外の反撃、しかしそれに対して笑みを浮かべた鹿紫雲は容易く肘打ちを防ぎ、更にそこから舞うかのように回転し、その勢いのままに廻の横腹へと蹴りを放つ。

 

 鋭い蹴り、稲妻か何かと呼んでも差し支えのないその一撃を身体を大きく屈めることで躱す…そこへと更におまけと言わんばかりに棍が振り下ろされる。

 

 下がる、後方へと飛び退いた廻を追うかのように棍を回転させながら何度も何度も廻へと向けて打撃を叩きつけようとする。

 

 バゴンッ、ドゴンッと地面の砕ける音が連続且つ高速で響き渡る、罅割れ砕ける地面から逃げるように後方へと下がる廻を更に追い回すように鹿紫雲は高速回転させた棍を振るい続けた。

 

 逃げる、追う、逃げる、追う、逃げる、追う…その繰り返しにいい加減嫌になったのかそれとも飽きたのか…恐らく前者であろう廻は、唐突に後方ではなく前へと行き先を変えた。

 

 あまりに唐突な方向転換、それに対して鹿紫雲は特段動作を変えることもなく、何の躊躇いも無く廻へと棍を振り下ろす。

 

 高速で迫る棍、先と同様のその光景に廻は薄っすらと目を細め、迫る棍をその手に掴み取った。

 

 手に響く重い衝撃と痺れ、常人ならばまず手を放し痛みに悶えるであろう程の重い一撃と電流に、しかし廻は慣れたと言わんばかりのケロリとした表情を浮かべてみせ、それと同時に強く強く棍を握り込んだ。

 

 ギシリと軋み上げる棍、それから手を離し即座に格闘戦に移ろうとする鹿紫雲…それよりも尚速く、廻は力任せに棍ごと鹿紫雲を地面へと背負い投げた。

 

 大振り、一本釣り…少なくともそう呼んでも差し支え無いだろう程の見事なまでの投げ…棍ごと身体を持ち上げられ、瞬く間に地面へと叩きつけられようとしている鹿紫雲からすれば、そう言う他無い程の見事なソレ。

 

 

「───ッッ!!」

 

 

 着地する、地面に背を向けた状態で足だけを先に着地させて自身を支える…そこへと放たれた鋭い刃のような蹴りを棍を軸に自身を回転させて躱した。

 

 棍は手放した、拘るようなものでもないからだ…手元にある棍をくるりくるりと遊ぶように回しながら品定めをするように見渡した廻は、何気無いように鹿紫雲へとそれを突きつける。

 

 たまにはこういうのも良いかと、そう言うように。

 

 

「───…良いんじゃない?」

 

 その姿に鹿紫雲は、満面の笑みで以ってそう言葉を放った…待ち望んだ相手を見つけたと、そう言うように。

 

 

 

 

 

 

 

 ここに、『雷神』と影は邂逅した。

 

 

 





主人公

 実は沖縄のミゲル戦並みに殺意満々、今回は止まる理由が基本的に無いので何人かは犠牲になる…これも全部メロンパンって奴の仕業なんだ。


鹿紫雲

 本当はもっと後に出す予定だったけど、今回の話が作者的にがガチでキツくて苛ついていたからストレス発散的な意味合いで早々にお出しされた人、書いてて凄く楽しかった。

 因みに、メロンパンに宿儺と片割れは(多分)東京にいるよと言われて結界構築前に走ってやって来た人、ワクワクしてる。


虎杖組

 多分、サマーオイル経由で会いに来た九十九さんと合流して天元様に会ってる、来るのは多分もうちょい先…因みに乙骨くんは普通にいる。








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