宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 四つ巴をしようと思ったらこんなの書いてた…四つ巴なんて…無かったんや。

 ハッキリ言って、作者はもう宿儺戦のことくらいしかプロット考えてない、死滅はもう完全に気分で書いている。


街だったもの

 

 

 

───運が悪かった…簡潔に言ってしまえばそうなるのだろう。

 

 

 領域を展開した日車、日車の側に居た七海、日車の領域へと取り込まれた烏鷺…そして、唯一領域に取り込まれなかった鹿紫雲…それが、露骨に彼等の命運を分けた。

 

 それは唐突に訪れる、唐突に突発的に、まるで晴れた青空が突如として雷雨へと変化してしまった時のような…そんな天災宛らの気軽さで以って、ソレはやってきた。

 

 空に浮かぶ影、透き通るような青が広がるその青空の下で影は…女は、楽しげに笑う。

 

 白雪のような白と鮮やかな菫色、その両色を持つ長い髪を揺らしながら、何処までも楽しげに愉しげに笑みを浮かべて女は…菫は当たり前のようにソレを唄う…まるで、鈴の音を鳴らすかのように。

 

 

「───『位相』『逢魔』『禁忌の雫』」

 

 

 瞬間、膨れ上がる呪力…鈴の音を鳴らしたかのような声色とは裏腹に、そこから発せられる力の存在に菫の眼下に存在する全ての人間がその異常に気がついた。

 

 一番最初にソレに気がついたのは鹿紫雲だった…領域の外側に位置し、唯一周囲一帯を見渡すことが出来た鹿紫雲だけがそれに一早く気づくことが出来た。

 

 それ故に、他ならぬ鹿紫雲一という人間だけが、他よりも先んじて動くことを可能としていたのだ。

 

 

───術式開放『幻獣琥珀』

 

 

 鹿紫雲の判断は迅速だった、一度限りの命懸けの術式を己の生存のみの為に発動、その場から急速に離脱しこれより放たれるであろう天災の範囲外への脱出を図った。

 

 

 次いでソレに気づいたのは烏鷺だった、感じたことのある呪力反応に加えて覚えのある呪力の膨れ方、何時か見た厄災の気配に背筋と心臓が凍り付く。

 

 

「っんの馬鹿っ、此処ら一帯更地にする気っ!?」

 

 凍えつくような気配へと烏鷺は叫んだ、叫び散らした…その技の威力を知っているが故に、その厄災の恐ろしさを間近で視認してしまったことがあるが故に、烏鷺は半ば本能的に行動を開始していた。

 

 

───領域展開ッ!!

 

 

 

 領域を展開する、必中効果も押し合いも全て投げ捨て、外郭の強度のみを徹底的に強化した領域を日車の領域の外郭へと被せるように展開する。

 

 五条菫の行う厄災は『黎』と『灰』の二つ、そして目視で確認することこそ叶わなかったものの、呪力の起こりから発動されるのは『灰』であると烏鷺は予測した。

 

 『灰』は『黎』と違って物理的な防御を可能とする、威力や殺傷能力こそ非常に高いがそれでもその被害を抑えることは出来るのだ。

 

 それ故の領域展開、それ故の外郭強化、『灰』という極ノ番の特性を直接見て知り、更に雪姫からの情報があったが故の行動…ここに至るまで約二秒弱。

 

 

 ……厄災が、降る。

 

 

 

 

───極ノ番 『灰』

 

 

 圧縮された空間、まるで水の雫をそのまま手の平サイズにしたような黒い球体を、菫はそれこそ湖の中に一雫落とすかのような手軽さでポロリと落とす。

 

 音も無く、風も抵抗も何も無く、ただ重力のままに雫は落ちていく。

 

 小さく小さく纏まった綺麗な球体、墨色を塗りたくったようなドス黒い色をした雫…それが何気無いように、日車と烏鷺の領域の前へと降り立った。

 

 瞬間───

 

 

───バイバーイ。

 

 

 そんな気の抜けた声と同時に、雫の中へと詰まっていた灰色が一気に飛び出し弾け飛んだ。

 

 爆音…否、そんな言葉で言い表せないような埒外の音と振動、まるで空間そのものが揺れ動いていると錯覚してしまう程の音と衝撃に結界内の人間の大半の動きが停止する。

 

 そして、そこへとやってくる第二波、正真正銘本命の厄災、絵の具をぐちゃぐちゃに混ぜ込んだような灰色が結界内全域へと広がっていく。

 

 雪姫へと放った進路を定めたモノではない、文字通り何もかもを無差別に巻き込み呑み干す全域を対象とした『灰』…並大抵の術師ではまず防ぎようの無いソレが、結界内にて生き残っていた一般人ごと泳者を呑み込んでいく。

 

 悲鳴に怒号、生きたいと叫ぶ嘆きと狂乱の声、子供の泣き声に加えてその子供を必死に探す親の声…それら全てが、灰色へと飲み込まれていく。

 

 

 

 

 

 

 

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 聴覚へと届く命を奪った証、掃除機に吸い込まれたアリンコのような軽々しさで消えていく命だったもの、恐らくその大半が人としての形状など保っていないだろう。

 

 コガネの声は終わらない、夥しい程の数の命が無機質に無感情にその死を宣言されていく、当たり前のように命だったものが消えていく、最早悲鳴すら聞こえてこない。

 

 つい先程まで街だった物が眼下に広がる、文字通り厄災がやってきたのではないかと言わんばかりに破滅一歩手前にまで踏み込んだその街の光景は…まさしく地獄そのものであったとも言える。

 

 そんな地獄もかくやと言わんばかりの光景を、正しく地獄と呼んでも差し支えの無いその光景を前に菫は───

 

 

「……チッ、相変わらず二人揃ってしぶといんだから」

 

 一欠片も興味が無いような瞳で、それこそまるで路上に転がったゴミ箱でも見るかのような瞳で見据え、次いで忌々しいようなモノを見つけたのように、舌打ちを零した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 血反吐と共に吐瀉物を吐き出す、濁流した胃の中身と赤色の塊をゲボッゲボッと外へと吐き出す。

 

 ビチャリビチャリと地面へと散乱する吐瀉物、オエッと嗚咽を漏らしながらもなんとか立ち上がろうとする烏鷺、その肉体の惨状はそれはもう酷いものだった。

 

 根本から吹き飛び、空いた穴からチラチラと肩骨が主張する左腕、穴の先に存在する罅割れ薄汚れた白色が嫌に痛々しい。

 

 一部が抉れ飛んだ腹部、今にも零れ落ちてきそうな傷ついた臓物を反転術式による治癒によって無理矢理押さえこんでこそいるが、それでも直ぐにとは行かない…ぴちゃりぴちゃりとか垂れてはいけない場所から赤いモノが少しずつ落ちてくる。

 

 明らかな重傷、普通ならば死ぬか激痛に苛まれるかの二択、反転術式を使えなければ既に死んでいてもおかしくない程の状態…それでも尚、烏鷺は運が良かったと安堵していた。

 

 領域が二つ存在したこと、日車が自身を真似して咄嗟に領域の外郭を無理矢理強化していたこと、更に加えて自身の術式が空間に作用するものであったことが幸いして、この程度の手傷で済んだ事実に烏鷺は心底から安堵し───

 

 

「───…暇人が」

 

 反射的に、残っていた右腕を振り抜いた。

 

 バチィッと弾けるような音が辺りに響く、空間と空間が小迫りぶつかり合ったかのような感覚、重く伸し掛かるその感覚に烏鷺は顔を顰め、その原因となった存在へと視線を向ける。

 

 振り抜かれた足、今尚も食い込んでくる白くキメ細やかな美脚と呼んで差し支えの無いその足の先でニヤニヤと馬鹿にするような笑みを浮かべた存在…五条菫の存在に烏鷺は頭に青筋を浮かべた。

 

「わざわざ仕返しに来るなんて、アンタ本当に暇なのね? 仕事でも探したら?」

 

「そうでもないよ? 本当はやらなきゃいけないことだってそれなりにあるけど…ほら、その前にゴミ掃除はちゃんとしとかなきゃだからね?」

 

 売り言葉に買い言葉、互いが互いに吐き出した煽り文句、青筋を浮かべた烏鷺と涼しい顔をしながらも殺意を垂れ流す菫…バチリッと火花が飛び散ったような錯覚が広がった。

 

 弾き飛ばす、食い込んだ足を腕ごと大きく振り払って蚊でも払うかのように菫の身体を払い飛ばす。

 

 ふわりとコートが靡く、弾き飛ばされた菫はふわりと宙に舞う羽か何かのようにゆらりとした動きで踊るように回転し、競技が競技ならば満点間違い無しの見事な着地を決め…そんな菫に対して、烏鷺はバキリッと青筋を増やした。

 

 

「ははっ、変なこと言うのね? ゴミにゴミ掃除が出来るわけないじゃない、頭腐ったの?」

 

「そういう君は耳が腐ったのかな? ゴミの言葉が分かるようになるなんて…可哀想にね」

 

 静かな罵倒、互いが互いに殺意を漲らせながらハハハッと笑みを零し合うその光景は傍から見てしまえば悍ましいことこの上ないことだろう。

 

 クスクス、アハハ…そんな、文字にしてしまえば笑い合っているだけのソレが、実態となってしまえば単なる殺意と悪意のぶつけ合いでしかないのだから、嫌なものである。

 

 両者の額に青筋が浮かぶ、笑みを浮かべたままに浮かび上がったソレがバキリバキリッと音を立て、眉間に皺が浮かび上がる。

 

 

「…フッ、フフフフフフフフフッ…」

 

「…ハハッ、アハハハハハハハッ…」

 

 笑み、笑み、笑み、笑み…浮かび上がった笑みと笑い声、大半が崩れて壊れた静かな街だった物の中で響き渡る笑い声、大きな土煙が未だに舞い続けるそんな場所で両者は場所も憚らずに可笑しくて可笑しくて仕方がないとでも言うように笑声を吐き出し───

 

 

 

 

───死ねッ…!!!

 

 

 

 あまりに唐突に、両者は同時にその殺意を爆発させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───ガゴンッ…!!

 

 

 

 何処かで、そんな音が鳴り響いた気がした。

 

 

 

 

 





烏鷺さん

 絶対に殺す。




 実はただの通りがかり、なんかやってる中で烏鷺が居るのを見つけたので、あぁそうだ殺しとこう的な軽い感じで殺しに来た人、烏鷺さんから性根をゴミ扱いされてる。

 因みに、灰の詠唱は菫が適当に考えたもの、意味とか無い。



七海&日車さん

 生きてる、多分今頃何処かの瓦礫の中、それはそれとして重傷。

 ぶっちゃけ四つ巴を諦めた大半の理由は日車さん。



鹿紫雲

 菫の存在を廻から聞かされてた、というか宿儺を含めた強者の一人だったが本能的に性格がアレ過ぎることを察知して速攻で候補から外した。

 普通に生きてる。


 
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