◇ ◇ 試練の場 ◇ ◇
試練の扉をくぐり抜けて試練の場所に入ってきた。
ここが試練の場所か。
「薄暗いけど結構見えるでご・・・・ざる?」
周りを見渡すとオボロとコクウさんが居た。
あれ?
「・・・・・・試練場所は別って話じゃ無かったっけ?」
「もしかしてダイアル殿が試練を間違えたとか・・・・・・」
そう思っていると空中に何か浮かび上がってきた。
レアミッションっと・・・・・・
あ、ひょっとしてこれのせいか?
「なるほどね。レアな試練を引き当ててしまって既存の試練とは別の物に変わったわけだ」
「なるほど。って事はダイアル殿から聞いていたことは・・・・・・」
「全部当てにならないだろうね」
全員武器を構えて背合わせで周囲を警戒する。
どこから来る?
全員強制的に同じ試練場に参加させるならそれ相応の難易度があるはずだ。
下手に奇襲を許したら洒落にならないことになるかも知れない。
「あ~完全に当てにならないわけじゃ無さそうだね」
「これは流石に・・・・・・」
「槍がこれなのにこの数相手にしろと!?」
コクウさんだけは普通に相手に出来るみたいなこと言ってるね。
私とオボロは流石にアレを相手に出来る自信が無い。
コクウさんも槍がまともじゃ無いからまともに相手に出来ないっぽいけどね。
「いや、でもシミュレーションで戦ったモンスターよりは弱い。それなりに数を相手に出来るはずだ」
「そ、そうでござるな。拙者も一応受けていたでござるから行動パターンは分かるでござる」
どうやらシミュレーションで作り出されたモンスターとほぼ同じ種類のモンスターが試練の相手らしい。
恐らくダイアルがその辺を考えて選んでくれたんだろう。
モンスターのスペックを二倍にしつつね。
だからまともに戦えそうだ。
私は剣を構えて攻撃に備える。
その瞬間無数のモンスター達が攻撃を仕掛けてきた。
「ピギー!」
「セェイ!」
兎型のモンスターを私は斬り裂く。
空中で飛び跳ねて回避して初撃はあたらないものだと思ってたけどあっさり命中した。
・・・・・・どうやらシミュレーションのモンスターは想像以上にスペックを引き上げられていたみたいだ。
二倍と言われたけど実際に感じる強さは二倍どころじゃ無かったんだろうね。
あれはあくまでステータスのスペックを二倍にしただけって話だろうし。
スピードは二倍って程ではないし恐らくその分攻撃能力の多彩さに割り振られていたんだろう。
そのスペックがね。ある意味詐欺だよ。
でもおかげで余裕ができて周囲を観察できる。
周囲のモンスターの動きを確認しながら動ける。
同時に対処するのは別の技術だけど、狸のモンスターが影のある分身を使ってきていたから全部を警戒しなきゃいけなかった経験から対応できる。
ちなみにこっちの狸も使ってくるけど影が無いしぱっと見れば分かる偽物だから無視して戦える。
純粋にスペックを二倍にされるよりもやっかいな形で強化されていたんだなというのを実感するよ。
「ブモォォォォ!」
見たことある奴ばかりだと思っていたら見たこと無い牛のモンスターが周辺のモンスターをなぎ払いながら突撃してきた。
これ、シミュレーションで見たこと無い。
レア限定のモンスターか!
攻撃パターンが分かってるから対処出来てたけど分からないモンスターが出てきたらこの乱戦をどうにかするのはかなり厳しくなる。
いや、そんなこと考えるよりも先にあの突進をどうにかすることを考えよう。
念のため作っておいた投げナイフを投擲する。
牛の眉間に突き刺さったけど止まらない。
「ホムラ側に牛が突進してきた。散開して! 突進だから軌道を逸れれば問題無いはずだ!」
コクウさんがそう言う。
割と余裕があったらしくこっちの方も確認して居たみたい。
私は自分の方向からやってくるモンスターにいっぱいいっぱいだったのに・・・・・・
「分かった」「了解したでござる」
ちゃんと返事して突進してくる牛を回避した。
あの牛、周辺のモンスターまでなぎ倒していくからちゃんと回避すれば脅威ではなくモンスターを処理してくれるから少し便利だ。
まあ、討伐テンポ崩してくるからプラマイゼロって所だけどね。
そもそもコクウさんが居ないとまともに対処出来たかも怪しい。
見た目は少女なのに戦闘経験豊富だよね。
見た目は私より年下って感じだけどね。
まあ実年齢は私より少し年上って感じだからそこまで見た目詐欺って訳じゃ無いんだけどね。
私がもうすぐ11歳だからコクウさんの13歳って所かな?
「コケコッコー!」
「ニワトリ・・・・・・! ホムラ、さっきのナイフまだあるならあのニワトリを仕留めて!」
「ニワトリがどうか・・・・・・そういうこと!?」
なんでって思ってたけどモンスターの全体のスペックが徐々に上がっているのを感じてすぐに分かった。
あのニワトリが原因なんだね。
ニワトリの存在知らされてなかったら何が原因か気がつけなかった。
私はすぐにナイフを投擲する。
あ、軌道にオボロが飛ばしたモンスターが・・・・・・
「済まないでござる。次は邪魔しないように気を付けるでござる」
「大丈夫だよ。ナイフはまだまだあるから」
と言っても数次第では少々心許ない数なんだけどね。
残り278本・・・・・・品質もバラバラだし下手に品質がいいのから使うと後が大変になりそうだ。
昔作ってストレージに入れっぱなしの物と、一応遠距離攻撃に使えると思って作ったちゃんとした投擲用に作った物の二種類があるからね。
品質が低い方は投擲用に作ってない物の方が多い。
まともに使える物はもっと少ないと考えた方が良いだろう。
そう考えると心許ない。
ちゃんとした投擲用のナイフは慎重に扱わないといけない。
「行くよ!」
今度は合図して投擲する。
今度こそナイフは、ニワトリに突き刺さった。
しかも眉間に・・・・・・
なんか私の投擲能力って凄い?
投擲用に調整したナイフとは言え邪魔されたのを除けば全部急所に必中してるよ。
「投擲ナイフで一撃!? ナイフの投擲の練習とかその投擲ナイフにホーミングでも付けてるの?」
「練習はしたことは無いし、ナイフにはホーミング機能はないよ」
そもそも今の私の技術力じゃホーミングさせる付与文字を刻むことが出来ない。
アイオライトとか目標に向かって正しい方向に前進っていう明らかにホーミングに向いた石言葉があるけど上手く解釈できないんだよね。
目標設定をどうやって設定するのかとか問題がある。
それに仮に作れても量産型には出来ないから希少な投擲ナイフになる。
こんなポンポン投げれないよ。
準備不足なだけであのレベルの投擲ナイフは一分あれば十本は作れるからね。
同じ形の物体を作るだけなら同時に製造出来るからであって、一本作るのに十分の一の時間しかかからないわけでは無いというのを念のため言っておく。
「コケコッコー!」
「うわ! ニワトリが増えたでござる!」
ニワトリを仕留めたと思ったらまた出てきた。
これじゃあ切りが無い気がする。
「ニワトリを倒すとその個体が施した強化はその瞬間消えるみたいだ。ホムラは投擲でニワトリを積極的に攻撃して。オボロはボクと二人でホムラが抜けた分のカバーを!」
「分かったでござる!」
オボロが私が攻撃しなくなった分のカバーに回るから投擲させやすくなった。
一応投擲用じゃないナイフでの投擲精度を確認しておこう。
攻撃しなくなったから余裕も出来たしね。
「コケェ!?」
「凄い投擲精度・・・・・・・さすがだね」
三本連続で投擲して全部のニワトリの眉間にナイフが突き刺さった。
投擲用じゃ無いナイフなのにもかかわらず。
そして投げて気がついた。
自分で作ったナイフならどういう風に投げれば何処に飛んでいくのかがはっきり分かることに。
自分の思い通りに体が動く状態なら、これは外しようも無いかもね。
さて、ニワトリが出るまでは私も攻撃に加わってニワトリが出たら投擲してと繰り返して行こう。
ニワトリ「コケー(時間経過による無限バフは脅威だ。それに気がついて焦らせて討伐失敗をコケェ!?)」
ウサギ(うわーなんでほとんど眉間に命中させてるの? ニワトリそんな大量に出てこないからパワーアップ出来ないじゃん)