◇ ◇ 試練の場 ◇ ◇
「にしても、何故木炭は駄目なんでござるか? ロギロス殿が使うとか何とかって何に使うつもりなんでござるか?」
「あぁ、オボロさんってロギロスに会った事無いんだっけ? まあ、無理も無いか・・・・・・」
基本ドッグにこもりっきりだもんね。
プレイヤー五人で集まるときには来るけど、それ以外は基本的にドッグにいるからね。
ドッグはプレイヤーと関係者以外立ち入り禁止になってるから会う機会なんてそうそうないよね。
関係者というのは恐らくロギロスの専属冒険者だろう。
一応私が料理を持っていったことがあるから会ったことはある。
ケナシとヴァッカスって人だ。
禿のおじさんとひげ面のドワーフでまさに鍛冶師コンビって感じだ。
クラフター適性の方が高い部類の冒険者らしいんだよね。
しかも町中のクラフト関係の試練を終えて既に100に到達している技能があるとか何とか・・・・・・
製作適性は100じゃないと話にならないところとかあるからね。
適性はレベルを示しているのでは無くあくまで制限解除だからね。
戦闘以上にどうしようもないことが大きいんだ。
最低でも適性が50ないと使い物にならないだろう。
最初が肝心なのにそれを学ぶことすら困難ともなるとね。
最初からその技術が使える冒険者なんて居ないからね。
「ロギロスは巨大ロボを作ることを目的にしてるんだよね」
「巨大・・・・・・・ロボ?」
「随分と壮大な目的だね。錬金術でも使わないと無理でしょ」
「良い素材素材手に入れたところで肝心の設計が作れないと意味ないから、片っ端から乗り物を作ってるのがドルフィスだからね」
自動車、機関車、飛行機、飛行船、海上船、潜水艇などなど色々と作っているんだよ。
時々外を走らせているらしいから燃料系統は余り減らさない方が良いんだよ。
必要になったら少しだけ持ち出すといった感じで限定素材は管理しているんだ。
だから、木炭でも持ち合わせは無いんだよ。
ちなみに制限は月始めにリセットされる。
とはいえ一度持ち出したのを街に持って帰ってまた持ち出そうとしたら、持ち出し制限にカウントされるから月初めに余りをストレージにってのは出来ない。
この辺は徹底的に対策されてるからね。
「素材云々の問題じゃ無くて構造を作り替えたりするには錬金術が必須でしょ。錬金術ってあらゆる生産の極意を詰め込んだ技術だからね」
「そう言う物なの!?」
「使ってる本人が知らないのか。この武器作るにしても鍛冶したでしょ? あらゆる生産能力を極めていく内にたどり着くのが錬金術なんだよ。逆に言えば全ての技術を会得しないと使えないのが錬金術と言えるけどね」
本気で知らなかった。
いや、全ての技術を錬金術で代用できるというのは知ってはいた。
でも、既存の技術の先にある技術が錬金術だということは知らなかった。
でも、納得は出来る。
錬金術は科学という技術を生み出したものだからね。
金を作る為に色々な技術を作り出し、その道具や知識が結集されて生まれたのが科学だからね。
ある意味錬金術は科学の母なんだ。
技術を極めれば大本にたどり着くと考えるとね。
錬金術と鍛冶は技術の複合使用だと思ってたけど、通常の鍛冶の一歩先を行く技術の一つだったりするんだろうね。
錬金術の枠組みの中の鍛冶の技術の一つってことなんだろう。
「なんで、そこまで錬金術に詳しいんでござるか?」
「母親のソラが錬金術師だから。今のボクは使えないけど知識はあるんだよ。そこまで得意じゃ無いけどね」
母親が錬金術師なの!?
そしてコクウさんも一応使えるんだ。
適性ゼロだったけど・・・・・・
「錬金術の適性は無かったのに使えたんでござるか?」
「その辺は色々あるんだよ。適性が変わったって感じかな?」
案の定はぐらかされた。
言う気は無いみたいだね。
最初は適性で縛られてなかったことに・・・・・・
私が気がついていることをコクウさんは気がついていないんだろう。
私はその辺の観察力だけは自信があるし黙ってても気付くよ。
ただ、何故最初は適性という概念が無かったのかが気になる。
この世界にそういうエリアでも存在するのかな?
この世界は相当広いらしいしそういうところが会っても不思議では無いからね。
「あ、そうだ。木炭以外は揃ってるんだっけ?」
「そうだよ。硝石と硫黄はあるからね」
「木材は持ってる?」
木炭の材料?
それなら・・・・・・
「持ってはいるけどどうする気? 今から木炭を作れと?」
「そうだよ。木材があるなら割と簡単に作れるからね」
簡単に作れる物なのかな?
そう思っていたけどコクウに作り方聞いてみたら割と簡単に作れた。
低酸素状態で木材を加熱するだけらしい。
すっごくかんたんに作れるね。
アルミホイルとか使えば普通の家でも簡単に作れそうだ。
持っていた石で作った容器に、木材を入れて殆ど密閉させた状態で火で加熱し始める。
加熱装置ならいくらでもあるからね。
ちなみに可燃性ガスとかは何故か制限されてない。
取り扱いが少し難しいからだろうか?
ガソリン系は容器に入れれば簡単に持って行けるしね。
そんなことを考えていたら煙が止んだ。
私は出来上がった木炭を取り出す。
うん、ちゃんと出来ている。
冷めるまで他のトラップを作って待ってから黒色火薬作りに挑戦する。
意外と調合は大変何だよね。
水分調整とか必要になるみたいだからね。
少々時間を掛けて黒色火薬が完成した。
「おお、火薬が出来たでござる。でもこれだけじゃ・・・・・・」
「まあ、少量でも何とかなるよ」
少量でも何とかなるんだ。
でも別に少量とか制限する必要ないよね?
「木炭を追加生産すればもう少し黒色火薬作れるしね」
「いやいや、それだと他のトラップが作れないでしょ」
コクウさんが呆れる。
あの工程だと時間かかるよね。
でも・・・・・・・
「忘れたの? 言ったよね。一度作った物なら合成術で作れるって。火薬は今作ったでしょ?」
だから材料さえあれば作れる。
もう完全なイメージが頭の中にあるしね。
合成術は何度も挑戦しているから手慣れてるからさっきの黒色火薬作りよりも手早く作れるはずだ。
と思ったら割と一瞬で出来た。
さりげなく、新しい錬金技術まで習得したよ。
イメージが強すぎたから勢い余ったんだろうね。
切断術と同系統だからイメージさえあれば勢い余って使えることがあるんだろうね。
とりあえず粉砕術を使えるようになったよ。
「うわ、さらっと合成術で作ったね。確かにそんなに難しい手順じゃ無いとはいえ、あっさり合成術で作れるようになるとはね」
難易度低い黒色火薬だしね。
作られづらいのは確か硝石が貴重だったからだしね。
ただ、火薬にはまだまだ種類がある。
試練終わったらそういう爆薬系統も作れるよう調べておいた方が良いかもしれない。
トラップ作りがここ以外でも必要になることがあるかも知れないしね。
いや、それだけじゃ無い。
投擲物を爆発させるなんて事も出来るかも知れない。
爆発する投擲ナイフとか作れたりするだろうし覚えておいて損は無いかもね。
一から作る手順をちゃんと知っておこう。
無限資材があるとしてもね。
無限資材に頼れないことが出てくるかも知れないし。
「とりあえず、この火薬でトラップを作って行くよ」
「巻き込まれには注意してよ。クラスターとか榴弾とか作らないようにね。この程度の火薬じゃ意味ないから」
クラスターって条約で禁止されてる爆弾マトリョーシカだよね。
爆弾の中には大量の子爆弾が入ってるアレでしょ?
どうやって子爆弾を爆発させずに爆発させるか知らないから作らないよ。
とりあえず、巻き込まれたら危険なトラップなんかは作らずに比較的扱いやすいトラップを設置した。
上手く行ってくれることを祈ろう。
コクウ「さらっと錬成出来るって凄いね。さっき始めて黒色火薬作ったはずなのにね」
オボロ「罠の設置くらいは手伝ったほうがいいでござるな。コクウ殿はやることあるけど拙者だけ何も無いでござるから」
作者「ホムラは勘違いしているけど、クラスター爆弾は大量の子爆弾を包み込んだ代物だから厳密には違ったりする。それと一応言っておくが火薬を実際に扱うなら自己責任でお願いするね。責任は取れんよ」