クラフティング・オンライン   作:スタック000

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第二十五話 うっかりホムンクルス錬成

 ◇ ◇ 拠点 錬金工房 ◇ ◇

 

 試練の次の日、私達は拠点のアトリエにいた。

 オボロは錬金術の本を見て考え事をしているみたいだ。

 コクウさんもフィルの錬金術の様子を眺めつつ考え事をしている。

 

「・・・・・・なんかみられながらやと集中出来んな」

 

「そのうち大会とかにも出る予定なんだし慣れておこうよ」

 

 フィルはコクウさんに見られているのが気になるのか錬金術に集中できないみたいだ。

 でも、今後人に見られながら調合する予定があるので我慢して貰っている。

 その練習として納得はして貰ってはいるけどね。

 

「コクウさん、なんで・・・・・・・」

 

「さん付けはいらない。オボロと同じように呼び捨てで良い」

 

 何かさん付けするなと言われた。

 何か内心に変化があったんだろうか?

 

「コクウ、なんでフィルの錬金術を見てるの?」

 

「・・・・・・超越能力の習得方法に思うところがあってね。ボクでは絶対に手に入れられない、そう思っていた」

 

 超越能力を手に入れられない?

 

「どういうこと?」

 

「・・・・・・ボクの体質みたいなものだよ。感情の発露、それが超越能力を持つ者に欠かせないものなんだ。ボクはそれが極めて薄い。盛り上げてるだけでね」

 

 感情の発露が超越能力を持つ者に欠かせないか・・・・・・

 若干ごまかしているけど、薄いどころか全くと言って良い程感情を持てないコクウにとっては致命的だろうね。

 だから手に入れられないと言ったんだ。

 

「でも、ダイアルはボクでも手に入れられると言った。あれだけの力を持っているなら、ボクがそう言う体質だということにも気がついているはずなのに・・・・・・」

 

 なるほどね。

 手に入れられない力を手に入れられると言われたような物なんだね。

 だとすると考えてしまうのも無理は無いか。

 

「超越能力の手に入れ方って知ってるの?」

 

「・・・・・・知ってはいる。でも偶発的な代物で意図的に引き起こすのは無理。知ってるとそれはそれで邪魔になるだろうし、知らない方がいい」

 

 コクウを見る感じ、偶発的以外にも何かある感じだね。

 多分あまりよろしくないことが起こるんだろうね。

 知ってると覚醒の可能性がなくなるというのも本当みたいだしね。

 感情の発露が関係しているらしいし、知ってるとそれはそれで罠になり得るということなんだろう。

 

「でも、超越能力ってどんなのがあるのか知ってるの?」

 

「ボクが知っている超越能力だと・・・・・・力の手綱(エネルギーリンス)我が世界は進出する(イジェクトワールド)創造こそ我が力(クラフトアルケミー)とかかな」

 

 力の手綱(エネルギーリンス)は膨大なエネルギーを制御するとのこと。

 それこそ星のエネルギー全てを制御してしまうほどの力を持つらしい。

 我が世界は進出する(イジェクトワールド)は本来は不可侵である内なる世界に出入りできるとか。

 内なる世界が人によって変わってくるし具体的なことをコクウは知らないらしい。

 最後のに至っては名前しか知らないとのこと。

 名称的に創造系の超越能力だと分かるけどね。

 

「名前知らないのだと分体形成って呼ばれてる略称のものだね。無数に自分の体を作り出せるとか何とか」

 

「それ、かなりぶっ壊れてない?」

 

 あ、いや・・・・・・・そうでも無いのか。

 自分同士で喧嘩するって可能性もある。

 それに、分体が得た知識が戻ってこないと会得できなかったりするし案外デメリットも多いのかも。

 

「ちなみに明確な繋がりがあって記憶や知識の共有がリアルタイムで行われてるらしいよ。思考能力も増やした数だけ増えるらしいし」

 

「思いついたデメリット全部つぶすメリットが出てきたよ!」

 

 もう最強の能力じゃん。

 まあ、増やすのに制約があるんだろうけどね。

 ・・・・・・体がいくつも欲しいと思ったことあるし欲しいよね。

 

 待てよ? この力って現実でも使えるんだよね?

 確か全て現実で扱える技術がこのゲームに収まってるって話だしね。

 もし分体形成を会得できれば、怪我する前の私の体を作り出して現実に復帰できるんじゃ・・・・・・

 

「ホムラ殿!? 何か、大釜から変な煙が出てるでござるよ!?」

 

「え? あれ? 調合ミスって無いはず・・・・・・あ、変なイメージ流れたせい!?」

 

 しまった!?

 調合中にもし分体形成を手に入れたらとか想像するんじゃ無かった。

 

「ホムラ、何を調合してたんだ?」

 

「・・・・・・錬金術でパワーアップさせた火薬」

 

 錬金術でパワーアップさせたらどうなるのかなって思ってやってたんだよね。

 

 

「全員錬金工房の外に逃げろ! 爆発するぞ!」

 

「私は抑えるから全員出て!」

 

 とりあえず、失敗は止められないから適当に追加して爆発を抑える。

 ストレージから片っ端から取り出して投入する。

 そして強引にかき混ぜて収めようとするけどそのまま失敗して大爆発した。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

「ホムラ殿、しっかりするでござる」

 

 ん?

 目を覚ますとオボロの顔がそこにあった。

 周囲を見る限り、どうやら爆発でアトリエが壊れることは無かったみたいだ。

 

「予想よりも爆発は控えめだったね。適当に入れた素材で緩和されたか?」

 

「ホムラ・・・危険物を錬成するときは気を付けて・・・・・・」

 

 フィルに注意された。

 そうだよね。

 火薬は危険物なんだから調合するときは細心の注意をはらないと駄目だったね。

 

「・・・・・・? でも、何か視界がおかしいな」

 

「おかしいって、何か後遺症でもあったか?」

 

「一度診察室で検査してみる?」

 

 後遺症か。

 いや、何かね・・・・・・

 

「私の中に視界が二つある感じなんだよね。一つは今私の顔が向いている方向に移っている風景で、もう一つがアトリエの天井の風景というかなんというか・・・・・・」

 

 というか、体の感覚も変だね。

 私の体がまるで金属の何かの上に転がっているかのような感覚がある。

 感覚がダブってる?

 いや、視界に見覚えのある縁が見えた。

 

「まさか!?」

 

 私は失敗して爆発した大釜をのぞき込む。

 そこには小さい私がそこにいた。

 赤い髪、緑色の眼のデフォルメされたかのような私がそこにいた。

 

 鍋に顔をのぞき込んだら、普段から見ている普通の私の顔も見えた。

 素っ裸だったので、不可思議な布を変形術でそれっぽく服を作り出して纏わせてから取り出す。

 

「ほ、ホムラ殿? それは・・・・・・」

 

「私の視界がダブってる原因だね。分体形成みたいなこと出来ちゃったよ」

 

 まさかこんな事になるとは・・・・・・

 ダイアルに貰った錬金釜ではないけど、それ見て錬成陣を刻んだ大釜だからこういうことが起きたのかな?

 まさかの事態すぎるよ。

 

「なるほどね。でも、大丈夫なの? 視界がダブってるって事は感覚もダブってるんでしょ? 体とか上手く動かせるの?」

 

「それは問題無いみたい。同時には無理だけど片方ずつ動かすのは支障ないよ」

 

 手の中にある小さな私が動く。

 私の思い通りに・・・・・・

 

「うっかりホムンクルスを作りあげたって事で良いんでござるか?」

 

「それがホムンクルスなのか疑問に思うところではあるけどね。どう見ても何か違う気がするし・・・・・・」

 

 だよね。

 どちらかというと私のもう一つの体みたいなところがあるしね。

 ちなみにストレージも普通に使える。

 でも別人って判定になっているらしく中身は別々だ。

 それとストレージのサイズ制限も付いている。

 クラフターは容量無限のストレージのはずなのにね。

 

 あ、これ違う。

 ストレージだ。

 ってことはもしかして・・・・・・

 

==========

武器

刀剣 100

 

全戦闘系技能 10

==========

 

「ホムンクルスの方は冒険者判定みたいだね」

 

 全製作系技能100が無い。

 ただ、戦闘系技能に関しては本体と共有らしい。

 冒険者判定だから所持してない製作適性全てが0になったってことなんだろうね。

 

「折角体増えたのに手伝わせること出来ないか。まあ小さい体だしどうしようもないんだけどね」

 

 使えたとしても錬金技術を行使するくらいしか出来ないだろう。

 それも本体に圧倒的に劣るレベルのね。

 

「それなら丁度良かったんじゃ無いか? 私やオボロはクラフターの試練受けられるけどホムラは受ける必要無かっただろ?」

 

「あ、そうか。これさえあれば製作の方の潜在能力解放試練受けられるって事ね」

 

 小さい体で適性不足だから役に立ちそうに無いけども・・・・・・

 根本的な数を増やせばどうにかなるかな?

 私も準備していこう。




ホムラ「まさか、分体形成みたいなことが出来てしまうなんてね」
小ホムラ「考えもしてなかったよ」
オボロ「小さい方も喋るんでござるな」
コクウ「小さいこと以外は殆ど何も変わらないしな。多分、今の小ホムラの動きは全て本体の頭で動かしているから、小ホムラの方の頭を動かせれば同時に動かせるようになるんじゃ無いか??」
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