ガンダム狩りのスレッタ   作:灰鉄蝸

54 / 112
宇宙議会連合が謎の敵に襲撃を受けるだけの話

 

 

『戦闘アルゴリズム参照:パターンA〈エラン・ケレス〉、システムオールグリーン。パーメットリンク正常、アミュレット・システム起動――パーメットスコアの上昇を確認。スコア4、スコア5、スコア6、スコア7、スコア8のエミュレーター異常なし』

 

 パーメットAIによるモビルスーツの完全自律行動が可能となったパーメットスコア8への到達。

 〈エアリアル〉からもたらされたそのデータは、某所にあるパーメットAIサーバーに反映され、その機能をさらに発展させていた。

 今回、()が獲得した新たな能力であるモビルスーツの遠隔操作もまた、そうした機能の一つであった。

 ようやく自分の自由になる文字通りの手足を得た彼は、今、たった一隻の輸送船に六機のMSを積み込み、とある場所へと向かっていた。

 ラグランジュ1への長い旅路であった。

 無人で操船される輸送船からのデータを本拠地で受け取りながら、彼は自身の願いのための戦いを始めようとしていた。

 

『作戦記録――これよりGUND-ARMの無人遠隔操作運用を開始する。目標は宇宙議会連合軍の第七九番補給基地一番区画、コードネーム:トリプルシックスの奪取』

 

 これは彼にとってはガンダムの実戦運用という形での最終テストであり、その計画に必要な最後のピースを手に入れるためのやむを得ない行動であった。

 

『想定される敵戦力はモビルスーツ〈カラゴール〉が一個中隊規模』

 

 〈カラゴール〉は宇宙議会連合において最も広く普及している第三・五世代型MSである。

 ベネリット・グループのような企業勢力の影響力増大を嫌ったフロント自治区が、二〇年ほど前に共同開発したモビルスーツである。

 よく言えば質実剛健、悪くいえば陳腐な性能の旧型機であるが、その火力と装甲は侮れない。

 ましてやそれが一ダースともなればなおさらだ。

 

『こちらの保有戦力はガンダム〈ルブリス改〉――コードネーム〈シルフィード〉が一機、ガンビット〈ガンヴォルヴァ〉が五機。〈シルフィード〉を中継機としてガンビットの遠隔操作を行う』

 

 この無人MSは、アスティカシア事件において大量に手に入ったMS型ガンビット〈ガンヴォルヴァ〉の残骸を解析、修復したものである。

 既存技術の寄せ集めに過ぎない〈ガンヴォルヴァ〉は複製が容易であり、市場に流通している部品だけで修復ができるため、仮に破壊されたとしても残骸から足がつくことがない。

 つまりは今回の作戦における捨て駒であった。

 

 

『なお本作戦では、敵勢力の殲滅を前提条件とする』

 

 

 

――さて、()はどこまで戦えるだろうか。

 

 

 

 

 

 

「……嫌な地球(ほし)だ」

 

 角刈りの頭をパイロットスーツのヘルメットで包んだ巨漢――ジニン大尉は、はるか彼方の青い星を見て、そう呟いた。

 彼の駆るモビルスーツ〈カラゴール〉――機体の軽量化と推力強化が施された最新鋭のD型――は、僚機の〈カラゴール〉二機と共に第七九番補給基地の周囲を巡回していた。

 モビルスーツの航続距離は決して長くないが、拠点周辺の警戒など、さほどの距離を移動しない場合には小回りが利いて便利なのである。

 大尉の呟きに返答するものはいない。

 敬愛する部隊長の過去の傷に触れる話題を掘り返すような真似をするわけがなかった。

 

 アーシアン武装勢力の卑劣な自爆テロによって妻を失ったジニン大尉にとって、地球への搾取を強めてテロを誘発する企業もスペーシアンに仇なすアーシアンも、等しく地球圏のゴミクズである。

 ここ最近の世界情勢で気が立っている彼にとって、その混乱の源である地球は忌まわしい記憶を呼び起こすものでしかない。

 宇宙議会連合においてタカ派の派閥に属する彼が、ハト派の派閥が支配する第七九番補給基地――小惑星をくりぬいて作ったフロントに張り付いた構造体――に回されてきたのは、まさに今の緊迫する情勢を反映してのものだった。

 アスティカシア高等専門学園を襲ったガンダムによるテロ事件は、巨大企業複合体ベネリット・グループと宇宙議会連合との間に摩擦をもたらしている。

 まったくふざけた話である。

 宇宙議会連合がテロ事件の黒幕だ、などと主張する程度の低いマスメディアも、そのような捏造で自らの罪から目をそらし続ける企業も、等しく罰されるべき存在だろう。

 悪質なデマが由来とはいえ、万が一があっては困る、ということで彼はこの辺境の補給基地に回されてきた。

 

 きな臭い任務だった。

 この辺鄙な基地に眠っている何かが、MS一個中隊規模の増員を決定させたのである。

 精々、MSが一個小隊もあれば上等な補給基地には似つかわしくない武力――MS一個中隊とは、ちょっとした武力衝突に備えている規模であろう。

 情報が降りてこないのは宇宙議会連合の秘密主義の悪いところだ、と彼は思う。

 

 複数の自治区が寄り集まった集団であるがゆえに、宇宙議会連合には派閥があり、企業勢力やアーシアンに対するスタンスもばらけてしまっている――だが、それこそ宇宙議会連合の民主主義が正しく機能している証だ、とジニン大尉は考えていた。

 確かに手ぬるく楽観的な穏健派には苛立ちもするが、それを理由に狭量な派閥対立で宇宙議会連合全体の利益を損ねるほど、彼は愚かではないつもりだった。

 出身フロントによって過激派と穏健派で軍部も二分されているとはいえ、それで敵――企業勢力に与するような愚か者はいない。

 ここ七九番補給基地は、ラグランジュ1にある宇宙議会連合の施設の中では比較的小規模な基地だったが、現在は増員され、モビルスーツ一個中隊――モビルスーツ約一三機が常駐していた。

 慣れない環境に部下たちもストレスが溜まっているようである。

 次の休暇のときは酒でもおごってやらねばなるまい、とジニンは考えた。

 

「定時報告……こちらウォーリア1、異常なし…………CIC、応答せよ」

『大尉、妙です。パーメット通信の調子が悪いようで……』

「……通信不良だと……? レーザー通信は生きているな」

『はい』

「各機、散開。索敵して敵に備えよ」

『『了解』』

 

 〈カラゴール〉部隊が散らばって光学センサーをフル活用している間、ジニン大尉はレーザー通信の中継機を通じて基地の戦闘指揮所(CIC)にコンタクトを取り、長距離レーダーの使用結果を訊いた。

 その結果は最悪のものであった。

 原因不明のパーメット通信障害――つまり超光速通信が潰されており、宇宙においては遅すぎる光速度未満の通信手段しかないため、外部との連絡は絶望的ということだ――に加えて、未確認の輸送船が一隻、第七九番補給基地への侵入コースを取っている。

 長距離レーザー通信による呼び掛けに応答はなし。パーメット識別コードも詳細不明のジャミングにより判定不能。

 基地の戦闘指揮所はこの状況を敵対勢力によるものと判断した。

 ひりつくような戦場の予感に、ジニン大尉は苦虫を噛み潰したような顔で命令を下した。

 

「敵襲だ、〈カラゴール〉を出せ! ウォーリア1から各機へ、敵を迎え撃つぞ!」

『『『『了解(コピー)』』』』

 

 全部で一三機の〈カラゴール〉部隊が一斉に出撃すると、第七九番補給基地へ近づいてくる輸送船の船影が見えてきた。

 これといって船体の左右にコンテナ状の船倉を備えた、よくあるタイプの輸送船である。

 ちょうどモビルスーツのような乗り物を何機も運ぶのにちょうどいい大きさをしているのを、よくあるの一言で済ませていいのであれば、だが。

 コンテナ状の船倉が大きく開かれ、中から六つの機影が飛び出してくる。

 推進装置の推進炎に照らされた機影は、ちょうど人型兵器の形をしていた。

 ジニン大尉は迷うことなく命令を発した。

 

「――攻撃開始!!」

 

 〈カラゴール〉部隊は一斉に手にしたビームライフルの銃口を六つの機影に向けた。

 こちらの数は一三機、相手の二倍である。

 ビームの撃ち合いならば二倍の火力で牽制できることになる。

 荷電粒子ビームの熱線が飛び交い、戦端は開かれた。

 互いの放ったビーム砲を回避運動で避け合う間、光学カメラが捉えた映像をMSに搭載されている機体識別AIが判定し、敵機の正体をパイロットに知らせる。

 

『……〈ガンヴォルヴァ〉!? アスティカシア事件の無人機か!?』

「敵はガンダムだ、スウォーム兵器に注意しろ!」

 

 灰色のモビルスーツはどうやら、アスティカシア高等専門学園――ラグランジュ4にあるベネリット・グループの学園――で民間人を狙ったテロで用いられた機種と同一のようだった。

 アーシアンテロリストのモビルスーツが宇宙議会連合に牙を剥いたとでも言うのだろうか。

 愚かな地球の野蛮人どもめ、と怒りつつ、ジニン大尉は敵のリーダー機を探した。

 いる。

 目の覚めるようなブルーで塗装されたガンダムタイプ、一機だけ明らかに機影が異なるモビルスーツが混じっている。

 機体識別AIの判定によれば七〇%の確率でガンダム〈ルブリス〉と特徴が一致する。

 

「指揮官機がいるな……羽根つきから落とすぞ!」

『『『『了解』』』』

 

 四人の小隊長からの返答を聞きながら、ジニン大尉は敵部隊の動きを見ていた。

 一体一体の射撃や回避運動の動きはいいが、相互の連携が取れていない。

 それはつまり部隊単位での経験を積んだことがない敵ということであり――ジニン大尉と彼の部下たちの敵ではないということだ。

 

「戦闘に慣れていない……素人が……!」

 

 早速、一体の〈ガンヴォルヴァ〉が周囲を〈カラゴール〉に囲まれ、四方八方からの集中砲火を浴びて爆発した。

 反応炉に誘爆したのか、原形を留めないほどの大爆発を起こして白いプラズマの火球と化すMS。

 その業火に照らされながら、ジニン大尉は気炎を吐いた。

 

 

「ガンダムなど二一年前の機体、近代化改修された〈カラゴール〉の敵ではない!」

 

 

 〈カラゴール〉のロールアウトも二〇年前であり、現行の第四世代機に比べれば旧式の部類ではあるのだが――最新型である〈カラゴール〉D型ともなれば、初期のA型とは比べものにならない性能を獲得しているのも事実である。

 あるいは彼らが戦っているのが、オックスアースの亡霊であったならば、この戦いの勝敗はすでに決していただろう。

 すでに寡兵の側が一機を失って、戦力は一三対五。

 あとは一方的に多数の側が少数の側を殲滅する――それがMS同士の集団戦の真理であり、ジニン大尉が知るMS戦の常識であった。

 だが、彼らが戦っている敵の本質はそのようなセオリーで捉えられるものではなかった。

 翼のようなバインダーを広げた青い〈ルブリス〉から、突如として六つの熱源反応が飛び立った。

 

『スウォーム兵器、来ます!』

「対ドローン兵器陣形!」

 

 背中合わせになるようにして球体状に寄り集まり、MS同士で死角をカバーし合う――MSという兵器が登場してから、集団戦においてよく使われるのが対ドローン陣形である。

 小型のすばしこいドローン兵器を相手にするとき、特に有効であるそれをジニン大尉は指示した。

 だが、その判断は遅すぎた。

 真っ先に犠牲になったのは、〈ガンヴォルヴァ〉の編隊を相手するのに夢中で、やや突出していた若手の乗る〈カラゴール〉だった。

 そんな彼を狙って、スウォーム兵器――ビーム・ガンビット〈スティレット〉が荷電粒子ビームの洗礼をする。

 上下左右から飛んできたビームの火線に驚き、回避運動を取ったことで、中隊の仲間からさらに離れてしまった〈カラゴール〉に、〈ガンヴォルヴァ〉部隊は無慈悲な追い打ちをかけた。

 ビームカービンから吐き出されたビーム砲が〈カラゴール〉の手足をもぎ取っていく。

 

『こ、こいつら……戦闘中に成長してやがる!?』

『ジーン、下がれ!!』

 

 古参兵デニムからの叱咤も空しく、ついにビームの光が〈カラゴール〉の胴体を捉えた。

 

『ジニン大尉、助け……!!』

 

 悲鳴のような懇願を最後に、〈カラゴール〉が一機ロストした。

 ジニン大尉は部下を死なせた自責の念も漏らさず、ただ指示を飛ばすことに徹する。

 

「陣形を崩すな、敵は寡兵だ……我々の方が優位だ!!」

 

 対ドローン陣形を取ろうと集まった一二機の〈カラゴール〉が、青い羽根つきの〈ルブリス〉に向けて一斉にミサイルを斉射する。

 シールドに内蔵されたミサイルランチャーは、ビームサーベルなどの近接兵装の代わりに装備された、〈カラゴール〉の強力な武器の一つだった。

 だが、その弾頭がガンダムを捉えることはない。

 敵の運動性が違うのである。

 まるで推進装置の一つ一つまでを知覚して精密に制御しているような機動――如何に最新式のフィン型スラスターユニットとはいえ、ここまでの機動力があると誰に想像できたろうか。

 ガンダムに群がったミサイルはすべて、六基のガンビットによって迎撃され、宇宙に焔の花を咲かせていた。

 そしてお返しとばかりに対ドローン陣形に濃密なビームの集中砲火が撃ち込まれた。

 

『て、てめえなんざ怖か……ぁあああ!!!!』

「ベネット!?」

 

 次に犠牲になったのはベテランのMSパイロットだった。

 爆発――胴体をビームにぶち抜かれた〈カラゴール〉が残骸を周囲にまきちらし、爆ぜた。

 その爆発の衝撃と残骸に吹き飛ばされ、対ドローン陣形が崩れる。

 球体状にMSが寄り集まる対ドローン陣形のメリットは、背中合わせに集まったMSが団子になることで全包囲をカバーできることだ。

 機動性や運動性で勝るドローン兵器、カミカゼドローンなどを相手取るときにはこれが最も被害を減らせるのが戦訓でわかっている。

 多少の被弾は覚悟の上で、シールドと〈カラゴール〉の重装甲で耐えて、確実に敵を仕留める。

 それがジニン大尉の判断であった。

 だが、これが裏目に出た。

 モビルスーツのビームライフルと遜色ない威力のビーム砲を搭載した新型ガンビットの性能は、ジニン大尉の知るガンダムの常識を越えていたのである。

 ベネット機の爆発で陣形から押し出された〈カラゴール〉が、〈ガンヴォルヴァ〉に囲まれて集中砲火を受ける。

 爆発。

 

「マッシュ!?」

 

 ジニン大尉にもようやく、敵の悪魔のような狡猾さがわかってきた。

 こちらに防御寄りの対ドローン陣形を取らせることで、敵味方の数の差を活かしづらくし、新型ガンビットの圧倒的な火力で防御陣形ごと屠る。

 こちらはまんまと敵の狙い通りに動いてしまったのである。

 

「――散開して羽根つきを落とす!!」

 

 そう決断したときには、すでに五機の〈カラゴール〉が撃墜されていた。

 そこからの戦いはひどいものだった。

 変幻自在に飛び回る六基のビーム・ガンビット〈スティレット〉に射貫かれ、次々とジニン大尉の仲間は死んでいった。

 

『大尉……』

『うわあああ!?』

『てった……い……を……』

「デニム……スレンダー……アラッガ……くっ!!」

 

 これで八機の〈カラゴール〉が撃墜された。

 悪い夢を見ているようだった。

 一三機のMSからなるウォーリア中隊の過半数が落とされるまで、戦闘開始から五分と経っていない。

 そしてジニン大尉の悪い夢は終わらなかった。

 

 〈ガンヴォルヴァ〉に追い詰められ、ビームサーベルで機体ごと真っ二つにされる部下がいた。

 六基のビーム・ガンビットに追い立てられ、手足をもぎ取られて機体が爆ぜる部下がいた。

 錯乱しながら青いガンダムに突っ込み、そのビームライフルで撃ち落とされる部下がいた。

 ガンビットの攻撃を回避し続けたものの、〈ガンヴォルヴァ〉に串刺しにされた部下がいた。

 ジニン大尉を庇ってその身代わりになって目の前で火球に変わった部下がいた。

 

「うおおおおおおおぉおおお!!!!」

 

 ジニン大尉は絶叫しながら戦い続けた。〈ガンヴォルヴァ〉の編隊にミサイルランチャーを撃ち込み、散り散りになって逃げた敵を追い詰め、二機目の〈ガンヴォルヴァ〉をビームライフルで撃破する。

 無我夢中で戦い続けたあと、生き残っているのは自分だけだと気づき、愕然としながら、彼は自分を奮い立たせるように吠えた。

 残る三機の〈ガンヴォルヴァ〉は第七九番補給基地の方へ向かっていった。

 もうジニン大尉にはそれを止める術がない。

 彼の〈カラゴール〉自体、被弾して右脚を失っており万全の状態とは言いがたい。

 だが、見据えるのはたった一機のモビルスーツだ。

 青いガンダム〈ルブリス〉。

 

「多くの仲間が貴様に倒された……その仇、取らせてもらう!」

 

 推進器を全開にしてジニン大尉の〈カラゴール〉が突っ込む。

 その突撃をあざ笑うように、六基のガンビットが飛び立ち、ビーム砲の全方位(オールレンジ)攻撃で迎撃してくる。

 鈍重な〈カラゴール〉の手足が、ガンビット〈スティレット〉から放たれる荷電粒子ビームで打ち砕かれていく。

 

「……何の正義があってこんな真似を……!」

『この残酷な世界から悲劇の連鎖を断ち切ること、それは正義と言っていいだろう?』

 

 敵からの返答。

 まるで少年のように若々しい男の声。

 〈カラゴール〉が手も足も出ないモビルスーツを開発しうる敵対勢力の名を思い浮かべ、ジニン大尉は叫んだ。

 ありったけの怒りと憎しみを込めた呪詛。

 

「企業め……貴様らの時代は終わっている……!!」

『終わりが来るとすれば――』

 

 手足の打ち砕かれた〈カラゴール〉と青いガンダムが交錯して。

 抜き放たれたビームサーベルが〈カラゴール〉の胴体を焼き切り、数万度の熱量によってジニン大尉の肉体が蒸発する。

 最後に彼がした人間らしい思考は、今は亡き妻と語り合った温かな家庭の夢だった。

 実に人間らしい感傷を最後に彼の肉体は原子レベルで分解され、その魂諸共、跡形もなく消し飛んだ。

 

 

『――()()()()()()()()()()()()

 

 

 ()()()()()()()()()は強い決意を込めて、そう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 フロントが燃えている。

 〈ガンヴォルヴァ〉がもたらした破壊によって、今や第七九番補給基地は業火に包まれていた。

 ビーム兵器の高熱が貯蔵されていた化学物質に引火しての爆発が連鎖し、白い炎が基地全体に広がっていく。

 原因不明のパーメット機器の異常によりダメージコントロールが働かなかったのも災いした。

 基地の内側に入り込んだ〈ガンヴォルヴァ〉による破壊活動は、小さな補給基地を燃やし尽くすのに十分な災厄であった。

 辺境の基地が陥落し、酸素が尽きるまで燃え落ちるのに時間は要らないだろう。

 この基地の倉庫の奥深くに眠っていた目標――コードネーム:トリプルシックスは確保し終えた。

 輸送船にそれを牽引して積み終えたルイ・ファシネータは、遠隔操縦する青いガンダム〈シルフィード〉の視界越しに、その白い骸骨のような機体を見つめた。

 災いを呼ぶ獣。

 彼の計画を完成させる最後のひとかけら。

 

 

『――〈()()()()()()〉はいただいていく』

 

 

 白骨じみたガンダムを輸送船に積み込み、ルイ・ファシネータは呟いた。

 

 

『デリング・レンブランの悲願が成就するか、私の理想が叶えられるか――いずれにせよ、スレッタとエリィを人柱になどさせないさ』

 

 

 





・〈カラゴール〉※独自設定です
宇宙議会連合の第三世代MS。
度重なるバージョンアップによって第四世代準拠の第三・五世代相当の性能を獲得している。
ベネリット・グループとは無関係に、宇宙議会連合に参加するフロント自治区によって共同開発されたMS。
今となっては設計思想の古い重量級MSで、宇宙議会連合軍に大量配備されている。
重装甲で射撃戦重視の設計だが運動性が低く、近接戦が重視される現代のMS戦においてはやや能力が不足してきている。
機体の軽量化や推力上昇を図ったD型が最新のアップデートモデルだが、改修前のA型も相当数、存在している。

・武装
ビームライフル×1
シールド内蔵ミサイルランチャー×1
シールド×1


・〈シルフィード〉/〈ルブリス改〉
シン・セー開発公社が開発したアミュレット・システム搭載型の新型ガンダム。
機体各部の推進装置を〈エアリアル〉と同型のフィン型スラスターに置換し、超伝導モーターも現在の規格のものに入れ替えた〈ルブリス量産試作モデル〉の再設計機である。
原型機に装備されていたコンテナ型のガンビット・ランチャーは除去され、代わりに一対二枚のウイングバインダーを装備。
ウイングバインダーには、〈エアリアル〉のそれを元にした簡易AI搭載の射撃型ビーム・ガンビット〈スティレット〉を装着し、エネルギーの充填が可能となっている他、推進装置として利用可能。
フレームとしては第四世代相当機、カラーリングはブルー。

・固定武装
ビームバルカン×2
ビームサーベル×2
ビーム・ガンビット〈スティレット〉×6。
大型ビームライフル×1
シールド×1

見た目はハイニューガンダムのフィンファンネルっぽい羽が生えたルブリス。



謎の敵(バレバレ)。
次回はたぶんギャグ回です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。