日常回っす
また難産でした
こりゃもうスランプかも分からんね……
「何やってんだお前ぇぇぇぇ!!!!」
「いだだいだだギブギブギブギブぅぅぅぅっ!!!!」
あれから数日。現在僕は教室で復帰したての五条に袈裟固めをとんでもねー力で掛けられています。誰か助けて(切実)
「んー、当たり前だよね~、っていうか五条ってこんなにキレるんだ。私初めて見たよこんなにキレてる五条」
「まぁ六眼は悟の強さの根幹だからね。悟から聞いたんだけど、六眼と無下限呪術は二つ揃って完成されるらしいから、どちらが欠けても駄目らしい。その六眼が一時使用不可になるまで傷付けられたんだから当然だ。プライドの問題もあるしね。……まぁ、単純に助けに向かったのにいきなり気絶させられたとなったらそりゃ怒るよね。」
「成る程ね~正直バカ五条が痛い目に遭うのは大歓迎なんだけど私の仕事を増やしたからアウトだね」
まるで罪状を読み上げたような会話の内容と、家入と夏油の冷ややかな目線が最早この場に僕の味方が居ない事を悟らせる。救いは無いんですか~……?
「た、助けt」
「もっと強くしてもいいよ~悟~」
死刑宣告かな?
「家入!!反転の準備しておけ!!」
「え?」
「は?」
は?何で?
「今からお前を殴る。」
オイオイオイオイィィィィィ!?嘘でしょ!?それはマズイって!!!しかも呪力纏ってるし!!!
「五条?それは私聞いてないよ?」
家入さんが脳の処理が追い付かないような表情で五条を見る。しかし五条は止まる気配はない。もう駄目だ、おしまいだぁ……っ!!!
「待って!!グーパンな上に呪力籠めちゃうと本当に洒落にn」
「問答無用!!!オラァァァァァ!!」
「ギャァァァァッッッ!!」
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「酷い目に遭った」
チカチカ光る保健室の天井の蛍光灯を見ながら、思う。
五条のパンチ痛すぎるんだけど。
吐き気が三時間以上止まらなかった。骨折とまではいかなかったけど骨十本位はヒビが入った。呪力ガードしてこれだから、もろに食らったらと考えると恐ろしい。多分死ぬ。
家入さんが反転術式してくれなけりゃ保健室ではなくまた病院にシュートされてた。ありがとう家入さん。……最早諦めたのか死んだ目をしながら僕に反転術式をかけていた家入さんの事を思うと胸が痛くなる。ごめんなさい家入さん。
「……次からはなるべく無茶はしないように気を付けるか」
家入さんに前世の社畜の姿を重ねながらそう独り言を呟くと、ノックの音がした。コンコン、と丁寧な音だったので恐らく夏油だろう。五条だったら足で蹴り開ける。なんなんだアイツ。
『入っていいかい』
「ドウゾー」
ガチャリと音を立てながら夏油が入ってきた。それと同時に部屋に揚げ物の香ばしい匂いが満ちる。
見ると、手には特徴的な黄色いMの字がデカデカと印刷された茶色い袋が。
「体調は大丈夫かい、蒼真。流石に悟のグーパンはやり過ぎだったと思うからお詫びも兼ねて買ってきたよ。二人で食べようじゃないか。」
本当に五条と同じ生物なのか疑いたくなるほど良い奴だ。……いや、比較対象がクズ過ぎるが。それにしたって良い奴だ。まぁクソ高いハーゲンダッツを買いに行かせた恨みはまだ忘れて無いけど。
「アリガトウ…アリガトウ…」
そうして差し出された袋を開けて、中身を取り出す。ビッグなバーガー二つと、Mサイズなポテト二つ。コーラ一つとマスカットジュース一つ。成る程好みは同じようだな。
「頂きま~す」
早速ポテトを一本、口の中に放り込む。
サクッ
サクッ
ホクッ
歯で噛む度にポテトの形は崩れ、じゃがいものホクホクとした感触と、絶妙に強めの塩の味が広がる。
うん、美味しい。
最初の一本の時点で塩味をちゃんと感じるので、多分このポテトは塩が底の方に溜まっているということも無いだろう。
馴染みのある舌触りとじゃがいもの味に少しセンチな気持ちになっていると、既に自分の手にはビッグなバーガーが握られていた。
「ってかこれピクルス入ってる?」
「うん、そうだけど。苦手だったかい?」
「……いや、大丈夫」
「おやおや、君にもまだまだ好き嫌いがあるとは、意外だったね」
ニヤニヤしながらそう言ってくる夏油に少しムッとしながらも、ビッグなバーガーにかぶりつく。
フワッ
パリッ
ジュワッ
幾層にも重なっているバンズ、レタス、ハンバーグ、チーズ、ピクルス。均等に積み上げられたそれらを、まるで動物のように野性的に、或いは冒涜的にかぶり付く時の爽快感と、そしてほんのちょっぴりの背徳感がビッグなバーガーの醍醐味だと僕は思う。
「……あ、くれぐれも五条には内緒で頼むよ。アイツが見たら『俺にも買ってこいよ』とか言い出しかねないからね。」
お前も被害に遭った事があるのかと若干同情しつつオッケーオッケーと、口にバーガーを詰めながら頷く。
「そういえば」
ポテトの残りも半分位になった頃。夏油が何か思い出したかのように声を上げた。
「どしたん」
何か依頼でも忘れていたのか、という考えが頭に過る。いやいや今日は夏油には依頼は無かった筈……
「蒼真はさ、何の為に術師をやってるんだい?」
「へ?」
いつになくシリアスな問いに思わず声を出す。
「……どうしたん、いきなり」
「いやね、ふと気になったのさ」
なんだよそれ……と思わず文句を心の中で呟く。口に出さなかったのは、夏油の顔の表情が真剣そのものだったから。
「……僕は、小さい頃に夜蛾先生に滅茶苦茶お世話になった。その恩返し……つっても納得しなさそうだな。」
夏油の明らかに『ちがう、そうじゃない』と言わんばかりの不満げな顔がこちらの瞳を覗いている。
「よく分かったね。その恩返しとやらも確かに理由の一つとしては成り立っているけど、蒼真からはもっと別の、執念みたいなモノを感じるんだ。」
「…………」
コイツ……っ!!!勘が鋭すぎやしないか……っ!?いや僕の執念が馬鹿みたいに見え見えだったのか……?
「……私に話せない事なのかい?」
「……わかった、話す。話すからその目をやめてくれ」
取り敢えず転生者とか原作とかそんな下らない事は除いて話そう。そんな事は言っても今じゃ信じて貰えないのは分かってるけど。
「……まぁ何だ、一言で言えば『幸せになるため』かな」
「幸せ……?」
夏油のポテトを運ぼうとした手の動きが止まる。先程の表情から一転、目を瞬かせながら驚いたようにこちらを見つめている。
「僕はね、呪力や術式を使って呪いを祓っている時とか人を助けている時に自分がこの世界に生きてる事実を確認しているんだ。所謂、『生の実感』って奴かな?それが僕にとっての『幸せ』なんだ。」
言い終わった後に夏油の方を見ると凄い表情をしていた。それはもうまるで変態を見るような目でこちらを見ていた。割とまともな筈なのになんでそんな表情するの……?
「……何だろう、ちょっと見ちゃいけない一面を覗いてしまったような気がする……」
小声で言っても聞こえてるんだよなぁ……酷い……
「そーゆーお前はどうなん?何の為に呪術師やってるん?」
「私?私は非術師を呪いから遠ざけて守る為に呪術師の道を選んだよ。キミと比べてマトモ過ぎる自分自身に思わず涙が出てきちゃうね。」
軽く冗談を言っているように見せているが、曇りなきその目を見るとその理由は本心からであるように思えた。
それならば確かに夏油は僕よりマトモと認めざるを得ない。綺麗事を本心から言う事はもう僕には出来ないから。だが、それ故に夏油は呪術師にはあまりに向いていない。
呪いを産み出すのは、何時の時代も非術師だから。
夏油はその事を分かっているが、分かっていない。
「……あー、夏油?」
だから。僕が、彼の事を間違えてるって言わなければ駄目なんだ。それが彼の為だから。
「ん?なんだい?」
「もっと、自分の為に生き───
その瞬間、僕は声が出せなくなった。
───やっぱ、なんでもない」
「……?大丈夫かい?」
「悪い、本当に何でもない」
「そうかい?ならいいんだけど……ってマズイ!!蒼真すまない、これから少し用事があるんだ。残りは食べてていいからくれぐれも五条には見つからないようにしておいてくれ。」
焦ったようにそう言って、夏油は部屋から出ていった。
「…………」
急激に訪れた静寂に、耳がキーンとする。
「僕は、何を、」
──否定しようと、したのか?彼の、理想を……?
『夏油に自分の為に生きてて欲しいから』
──他人の生き方に口出しできる立場じゃないだろ?
『夏油に闇堕ちして欲しくないから』
──闇堕ち?そんなのお前の主観の押し付けだろ?
『夏油が可哀想だから』
──夏油の何を分かった気になっている?
『違う、僕は彼に救いを』
──救い?何様だよ?
「……っオ"エ"エ"ッッ」
ようやく懐玉入れそう(な気がする)
恋愛要素っている?
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いらない
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いる