青(魔導具)のすみか   作:タンペペン

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青魔導具を術式に落とし込むの大変過ぎる


2ターン目

 

 

『術式の発現から一週間が経過した。どうやら、現時点では一部を除いて全ての堕呪を発動出来るらしい。ただし、安全に発動出来るのはゾメンザン、バレッドゥ、ポックドゥ、ブラッドゥ、バケドゥ、キャプドゥ、ゴンパドゥだ。それ以降の堕呪も発動は出来るが、良くて1日、悪いと3日位再起不能になる。カージグリを発動した際に気絶したのはそういう訳だったようだ。しかし、この世界でのシールドトリガーの解釈によっては、条件は限られるがカージグリやエアヴォも発動出来るかも知れない。余談だが、自分はもしかしたら既に領域展開も出来るかも知れない。【新世壊】の展開が領域展開に当たるのかは不明だが、一度試してみる価値はありそうだ。』

 

『特筆すべき事実として、この青魔導具という術式は解釈によって大きく強さが変わってくる点が挙げられる。例えば、カージグリの

【相手のクリーチャーを一体手札に戻す】

【シールドトリガー(この呪文をシールドから手札に加えた時、コストを支払わずにすぐ唱えても良い)】

当然だが、この世界にクリーチャーは存在しないし、シールドも無い。手札も勿論存在しない。このままでは呪力を無駄に消費してしまう。先程の2つの能力をどう解釈するかによってカージグリを発動した時の発生する事象が大きく変わってくる。』

 

『最後に、無月の門の発動。まだ不明。呪霊との交戦状態時に機会があれば発動が可能か確認する。』

 

 

「……ふぅ、こんなもんか」

 

現在、僕は今まで確認できた『青魔導具』という術式についての特徴やこの術式についての考察をまとめている。前世で大学の必修科目の課題のレポートを汗水垂らしながら徹夜で纏めたのを思い出すな……

 

「【新世壊】……間違いなく領域なんだよなぁ……」

 

カードの種類は『無月フィールド』。フィールドは領域という意味なので『無月領域』ということになる。何それカッケェ!!

だが、青魔導具という『デッキ』において、新世壊は到達点ではなく、むしろ始まりだ。新世壊の影響下で四回堕呪を唱え、【無月の門九十九】からの【月下卍解ガリュミーズ】、効果で【無月の頂ゼニスザーク】やら【卍月ガリュザーク】やらのドルスザクを大量に召喚する。

 

「……ここまでいくと、世界を壊せる力を持つ事になる。」

 

僕はしっかりアニメでの青魔導具も見ていたので、分かる。あの力は世界を壊す為に作られた。【月下卍解ガリュミーズ】は、時を止める能力を持ち、停止した時間の中で4体のドルスザクを呼び出すという設定だ。

 

ドルスザクが4体居れば、あの超獣世界でさえ滅ぼせるらしいので、一握りしか呪力を持つ人間が居ないこの世界なんて割とあっさり滅ぼせてしまうのではないか。

 

「ま、五条悟がいるからそれはないか……」

 

そもそも、この青魔導具という術式自体の解釈もある。デッキタイプとしての青魔導具なのか、水文明を滅ぼした汚染された水としての青魔導具なのか。現時点では前者を選んでいる。

 

自分如きに後者のような大層な力を扱えるとは思えない。

扱い方を間違えたら、一つの文明さえ滅ぼせる。

 

「……はぁ……」

 

……色々考えると、疲れる。

 

もうすぐ、登校の時間だ。今はまだそこまで考える時期じゃない。

 

正直精神年齢と肉体年齢が乖離しているので未だに友達は出来ていないけど、まぁしょうがない。

 

「……行くか」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

『それ』は、校門を潜った時には見えていた。いつもの学校の中では感じる事の無い、いやあってはいけないと確信できる程の負の感情を放つナニカ。美人な国語の先生に会えると少し鼻の下を延ばしていた僕の明るい気持ちは、一瞬にして吹き飛ばされた。

 

心の底を搔きむしられるような不安に襲われ、急いで階段を駆け登り、校門を潜って負の感情を放つナニカが居る校庭へと向かう。

 

そこで目に入ったのはーー

 

 

 

 

 

 

『うわばぎどぉこぉぉォぉ??』

 

『廊下は"ぁぁ走っち"ゃいげ"ぇぇまぁぁぜ"ぇぇぇん』

 

『"あ"づ"い"ぃ'ぃ"ぃ"ぃ"よ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ'』

 

『"マ"マ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"』

 

 

 

 

 

ーー異形の存在。どす黒い血色の丸い体には、表面にヒトのすすり泣いて見える顔ーー或いはヒトだったのかも知れないーーが時折浮かんでいる。

正面には大きな口が一つ。歯は生えておらず、喉奥には無窮の暗闇が見えるのみ。

短い手足を使って這いずるように動いている。

 

それを目に入れた瞬間に理解した。こいつは呪霊であると。そしてーーー確信した。

 

ーーー間違いなく、特級……!!!!

 

何より、見える呪力の量がそれを裏付けていた。

 

(あ……ああ……ああぁぁぁぁ……!!)

 

膝が、震える。

心臓が非常事態を報せるように早鐘を打ち、それに呼応するように呼吸は荒くなる。

目の中が潤んで止まない。

緊張で舌から水分が抜けていく。

 

恐怖、絶望。困惑。

 

本能がこの存在には勝てないと告げてくる。

 

遺伝子が食物連鎖を思い出し、恐怖する。

 

理性が逃げろ逃げろと焦るように命じてくる。

 

所詮、力があっても精神は一般人。何が一つの文明を滅ぼせる、だ。死を前に、人は無力だ。ならば、逃げて仕舞えばいい。何人死のうが、誰も自分を責める事は出来ない。だからーー

 

 

 

 

 

「ーー黙ってろ理性!!!死んどけ本能!!ビビんな遺伝子!!僕がーーーいや!!『俺』が!!」

 

 

『今!!ここで!!誰も死なせない為に!!立ち向かわなければいけないんだッ!!!』

 

 

 

 

ーーーだって、知っているから。死ぬ事の恐怖を。虚しさを。寂しさを。だからーーー

 

 

 

 

 

「ーーーー領域展開ッ!!!」

 

 

 

新世壊(グランドゼーロ)ッ!!!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーそこには、一面の海と、星空が在った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーそして、空にある紫色の魔法陣と、その直下。水が唯一存在しない足場に、俺と奴は立っていた

 

 

『"あ"あ"ァ"ぁ"ァ"な"ァ"ァ"に"ぃ"ィ"こ"レ"ぇ"ェ"ェ"』

 

 

奴が、周囲の異常に気付いた。体から血を使って数百本はあろう刃物を植物の如く生やしたかと思うと、それらを一直線に延ばし、俺の胸にーーー

 

「シールドトリガー発動。堕呪カージグリ唱えます、それを手札に戻して下さい」

 

 

ーーー届く事は無かった。

 

それどころか、最初から攻撃は無かったかのような状況に、奴は困惑している。

 

カージグリの解釈は、『返還』。

 

呪力による攻撃を、それがあるべき場所。つまり相手に還す。呪力による攻撃を『クリーチャー』と解釈し、それを相手に還す事を『手札に戻す』と解釈した。

 

そして、相手はその攻撃方法が一定期間使用出来なくなる。こちらもカージグリはしばらく使用出来ない。

 

 

ーーー『壱』

 

魔法陣にカージグリが吸い込まれていく。

 

「……一気に行きます」

 

相手が攻撃してこない、いや、できない。領域の特性により、俺が術式を発動している最中は相手は攻撃が不可能。これは『新世壊』の『自分の魔導具呪文またはドルスザク呪文を唱えられなくする能力を無視する』に由来する。唱えられなくなる状態には、当然相手の攻撃によるダメージで動けなかったり死に至ったりした状態も入るよな?

という訳で、堕呪を打ちまくる。

 

「『堕呪ゾメンザン』『堕呪ゴンパドゥ』『堕呪バレッドゥ』を唱えます。」

 

 

『カードを山札から引く』……この世界においてはほとんど意味の無い文章。しかし、俺の術式においては意味がある。『堕呪』は基本的に使い捨て。それを再使用できるようにしたり、呪力を増やす為に行った縛りによって使用出来ない状態だったガリュミーズを使用できる状態にするのに必要。

 

ーーー『弍』

 

ーーー『参』

 

ーーー『肆』

 

 

「……では、条件が整ったので、『無月の門九十九』発動します。」

 

 

 

ーー今、新世壊の門が、開かれる

 

 

 

 

 

 

 

 

「効果で『月下卍解ガリュミーズ』唱えます。」

 

 

 

 

 

 

 

時が、止まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付けば、呪霊は終わっていた。

 

 

最期に聞いたのは、

 

 

ーーーガルラガンザークとギルーギリンとガリュザークとデスザークでダイレクトアタックです、対戦ありがとうございましたーー

 

 

であった。

 

 




カードゲームのデッキタイプを漫画の能力みたいにするとハンターハンターみたいになる
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