青(魔導具)のすみか   作:タンペペン

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色々独自設定とかあります。こんな小説独自設定と独自解釈だらけなのになんでタグ忘れたんだ?

追記:伊地知さんの年齢を勘違いしてました……まだ産まれてすらなかったです……お許し下さい


3ターン目

「……どう、すればいいのだ……」

 

夜蛾正道は悩んでいた。いや、それより戸惑っていたと言うべきが正しいだろうか。彼の呪骸を縫う針を持つ手もすっかり止まっており、彼が戸惑っている事の大きさを表していた。

彼が戸惑っているのは、『窓』からの伝達の内容についてである。

一回目。東京都郊外にある○○市◇☆小学校にて、未登録の特級呪霊の出現を、『窓』であるその小学校の職員が確認した。

それはまだ、いや恐ろしい緊急事態ではあるのだが、常識の範疇にある出来事なのでここまで戸惑う事は無かった。

 

二回目。その小学校で、領域の展開が確認された。領域は先程の特級呪霊を巻き込むように展開された。未だ術師が到着したという連絡はなく、恐らくは特級呪霊の領域である物と考えられる。気になる点として、領域の範囲は非常に狭く、学校生徒は誰一人巻き込まれなかった点が挙げられる。

 

……三回目。領域の消失を確認。続いて、中からおそらく我が校の生徒である黒染蒼真の出現が確認された。又、彼の側に件の特級呪霊の物と思しき残骸を発見。状況から察するにーー

 

『ーー先程の領域は一年二組、出席番号六番。黒染蒼真によるものだと推測される。』

 

「…………」

 

基本的に術式は三歳から六歳の間に発現する。そこから先の成長は実戦の経験と才能に大きく左右される。……とは言うものの、実際は才能が大半だ。そして、呪霊との戦いの中で生き残り、一級や準一級にまで上り詰めた才能の化け物達でさえ辿り着けぬ境地。それが、領域展開。それを……まだ小学校に入学したばかりの一般人が行ったという事実。

 

黒染蒼真の写真を見る。まだまだ無邪気で幼子らしい笑顔が、写真の彼から向けられる。彼のこれからの未来を思うと、反射的に目を逸らしてしまう。

 

ああ、私はどうすればいいのだ。彼から親を、友達を引き離し、呪術師としての道を歩ませるのが最良の道なのか……だが、選択肢などあって無いような物。もし高専でこの子を保護しなければこの子は愚か両親の命までも狙われかねない。最悪、呪詛師の集団や宗教団体に洗脳されて敵対する可能性もある。

 

だから、放っておく訳にはいかないのだ。

 

「……っ」

 

……天賦の才を持つこの子を逃したくない、そんな気持ちが無いと言えば……嘘になる。推定特級の呪霊を祓い、領域展開が可能な呪術師はほぼいない。この力で呪霊による被害から救われる人数は計り知れない。 

 

ーーだが。

 

「……この子は、まだ……六歳だぞ……!!!」

 

大人としての、人間としての葛藤。生徒を幾度となく死地に送り出していてもなお、まだ私には守るべき砦があったらしい。

 

……一つ、息をつく。頭を抱えていた手を下ろし、顔を上げる。まずは、彼に会うのが先だ。その後の事は、それから考えよう。

 

「……車を出す。ついてこい。」

 

「……はい。」

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

ーーーかつて、呪霊だったモノが、そこらじゅうに散らばっている。

 

領域を解除し、術式も解除する。あたりに散らばる呪霊だったモノを見る。そして、確信する。

 

ーーー勝った……!!特級に……!!!

 

確かな高揚が僕の身体中を駆け巡る。目の前にある呪霊の残骸が、何より僕が今生きているという事実が、僕の勝利を証明してくれる。

 

「あはっ!!あはははっ!!!やったぁ!!勝ったぁ!!」

 

強い!!僕の術式は強いんだ!!青魔導具は強い!!流石環境の覇者にして絶望を下し者!!これで多分当分は生き残れる!!

 

勝利の喜び。術式の強さへの安心。自分が特級レベルに強い事への興奮。

 

その全てに酔いしれんとする時ーーー

 

 

「……蒼真、君……?」

 

 

ーーー振り向くと、そこには哀しみとも怒りとも絶望ともつかないような表情の国語の先生が居た。もしかして、『視えて』いたのだろうか。

 

「……えっと……吉田先生?今のはーーー」

 

その時、気付いた。もしかしたら、先生の目には僕が化け物に映ったかも知れない。一見普通の子供が、あの大きな呪霊をバラバラにしてしまったのだから、無理もない。

 

その考えに辿り着いた時、体の奥底から急速に全身が冷えていくような感覚が身体中を覆った。

 

「せ、せんせっ、ち、違うんです!!こ、これはっ……えっと……僕は……」

 

化け物じゃないーーなんて、言えなかった。だって事実だから。でも、何とか……何とか言おうとしてーー

 

 

 

 

「ーーごめんなさいーー」

 

 

 

 

 

ーー全身を、抱き上げられた。

 

「貴方が、守ってくれたんでしょ?」

 

……無言で、頷く。

 

「見えてた、の……?」

 

先生は少し哀しげな目をしながら、頷いた。

 

「……先生はね、『窓』って言ってね……ああいう化け物の事を呪霊っていうんだけど、それを見つけて倒せる人に報せるお仕事があるの。」

 

『窓』……!!こんなに身近に居るとは……

 

「……何で、さっき謝ったの……?」

 

「……先生として、先生として、子供を守らなければいけないのに、ただ見ている事しかできなかった。」

 

「私は、何も、出来なかった……大人なのにね……」

 

違う。先生には呪力は平均的な一般人位しかない。それじゃアイツには勝てない。だから僕しか居ないんだ。

 

「でも、先生には術式はーー」

 

「違うのッ!!!」

 

その叫びは、先生の心の底からの本音。

 

「子供は!!……『命懸けの戦い』なんてしちゃ駄目なの……戦うのは、本来大人の役目なの……術式だとか呪力だとか関係無いの……!!」

 

ああ、この人は善人だ。僕の事を化け物扱いしないで、むしろ僕の命を案じてくれている。

 

「……もうすぐあの人が来るから……こんな事言える立場じゃないのはわかってるけど……でも、言わせてくれる?」

 

ゆっくり地面に下ろされながら、コクリと頷く。

 

「……学校を、生徒達を、先生達を守ってくれて、『ありがとう。』」

 

少し、照れ臭い。

 

 

 

「無事でいてくれて……良かっーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーぐちゃり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鮮烈な赤が宙に舞う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……へ?」

 

 

 

 

 

どさり。と、先生は無造作に置かれたバッグのように地に倒れ伏した。

 

 

 

 

 

 

 

見れば、先生の脇腹がーーー抉られて、消えていた。

 

 

 

 

 

ーーーそう言えば、不思議だった。何故、呪霊の残骸が消えなかったのか。

 

 

 

 

 

 

『イ"い"ィ"い"き"て"ぇェい"て"ぇ"ぇ"ェ"よ"が"っ"た"ぁ"ア"の"ぉ"ォ"?』

 

 

 

 

 

 

 

まだ、しんでなかったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

ーーー『シールドトリガー発動。』

 

 

 

 

 

 

 

 

いっぱいいる。きもちわるい。しね。

 

 

 

 

 

 

 

 

『卍 · 獄 · 殺』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーー昔、丁度あのあの学校が建っている場所には酷い産婦人科が建っていたらしい。そこでは何十人もの胎児が堕胎されたそうだ。いつしか、その産婦人科は廃業し、その土地には誰も近寄らなくなった。だが、ニュータウン計画の一環で、その土地には君の通っていた小学校が建設される事になった。公的な計画の前にオカルトだの怨念だのは意味を成さなかった。」

 

 

「……一回、殺した筈なんですよ……」

 

 

「……元来、学校というものは負の感情がたまりやすい。特に最近は。ーー確信はできないが、もしかしたらその学校由来の呪霊と堕胎由来の呪霊が混ぜ合わさって1つの個体を形成していたのかも知れない。君が殺したのは……堕胎由来の方で、もう一方は離脱していて、領域から出た後を狙っていた……という所だろう。」

 

 

流れる景色を取り留めもなく眺めながら、夜蛾さんの話を聞く。窓の外はまだ昼間だと言うのに薄暗く、街中のネオンが急な雨降りで濡れた僕の頬をじんわり照らす。どんよりとした雲から絶え間無く打ち付けてくる雨音が更に自分の気分を憂鬱にさせる。

 

 

……あの後、先生は救急車で病院に運ばれていった。どうやら、命に別状は無いらしい。その後、やって来た夜蛾さんに保護され、今は呪術高専に向かっている所だ。

 

 

 

 

 

 

「……なぁ、蒼真少年。」

 

「……何でしょうか、夜蛾さん」

 

 

 

 

 

「……本当に、呪術師になりたいのか」

 

 

「……はい。」

 

 

 

「……呪術師にはーーー」

 

 

「ーー悔いの無い死は無い、でしたよね」

 

 

「……そうだ。それでもなお、呪術師を志すと言うならーー相応の理由を聞かせて貰おう。」

 

 

「…………分かりました」

 

 

一つ。息を吸ってーー吐く。

 

 

 

「……僕には、『前世の記憶』という物があります。所謂、『転生者』という奴です。」

 

 

「…………」

 

 

「……気狂い、病気、嘘っぱち。何でも結構。何と言われようとも、僕の中では揺るぎ無い真実ですから。」

 

 

「……そうか」

 

 

「その『前世』の僕には、両親がいました。金持ちという程豊かでもなく、かといって貧乏という程貧しくもない。世間一般でいう中流家庭という奴です。そんな家庭で、僕は確かに愛されて育っていました。」

 

 

「…………」

 

 

「……そして、前世で小さい頃に言われたのです。『どうか、幸せな人生を歩んで欲しい』と。ありきたりながら、確かに両親の本音だったと思っています。」

 

「……呪い、だな。」

 

「ええそうです。親の子の幸せを願う気持ちなんて呪いみてーなもんです。無償の愛なんてものは存在しません。本音を言うと今もその『呪い』に縛り付けられてます。」

 

 

「……言った筈だ。呪術師に悔いの無い死などない、と。幸せを願い、願われているならば呪術師などーー」

 

 

「ーー違います。」

 

 

「ーー何?」

 

 

「僕は、この『前世の記憶』があるお陰で、この世界という物語には本来居てはいけない存在なのだと常日頃から感じちゃってるんです。僕が勝手に思い込んでいるだけかも知れないけど、僕がそう思っている以上僕の中ではそうなんです。そしてそれは間違いなく僕の幸せではない。」

 

 

「……ほう、つまり?」

 

 

「ーー僕は、僕がこの世界で生きていく事を世界に認めさせる……要は、でっかい爪痕を残すんですよ。例え美しい青を自分という黒で汚すようなことになっても。僕が、前世では果たせなかった『幸せになる』という約束を、今世では果たせるように。」

 

 

 

「……随分あやふやで、自己満足な理由だな。」

 

 

「ええ、自分でもそう思ってます。でも、それが『黒染蒼真』ですから」

 

 

「……成る程、転生者に、前世の記憶……正直眉唾物だと思っていたが、これでは六歳を名乗る方が無理があるな。」

 

 

「どういう意味ですかそれ」

 

 

「……まぁいい、天才だからと調子に乗っているガキだったらどうしようかと思っていたがーー」

 

 

「ーー合格だ。」

 




デュエマ要素は卍獄殺だけだけどゆるして
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