青(魔導具)のすみか   作:タンペペン

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取り敢えず懐玉·玉折に入りたい……
ので展開が速いです。


4ターン目

「……知らない天井だ。」

 

目が覚めたら天井の色が変わっていた。

 

 

……いや、天井どころではない。布団の感触も、枕の位置も、鼻に入ってくる空気も何もかもが違う。何故自分はこんな場所で寝ているのだろうか。

 

 

「……ふわぁ~わ……」

 

 

大きな欠伸を一つ。どうやらこんな状況でも生理現象は止められないらしい。酸素が脳に染み渡り、眠っていた脳が働き始めた。取り敢えず、辺りを見回してみる。

 

 

 

部屋の中には自分が寝ていたベッドの他に、冷蔵庫や机、椅子にトイレ、洗面台、シャワー室が確認できた。

……というか、それだけだ。

 

「随分殺風景というか、何というか……まるで新居みたいだな……」

 

僕は確か意識を失う前には……夜蛾先生に合格を貰って……呪術高専に行くと言われていて……

 

「あっ……てことはここは呪術高専か」

 

 

あー、と一人で納得する。

 

 

と、その時。コンコンとノックの音がした。

 

「どうぞ~」

 

ドアノブがガチャリと音を立てて回り、ギィィと乾いた木の音が部屋の静寂に響き渡る。

 

「……よく眠れたか」

 

夜蛾先生が部屋に入ってきた。……若い頃でも十分な迫力を感じさせるその顔に、少し背筋を強張る。

 

「はい、それはもうグッスリでした……もしかして僕高専に到着する前に意識失ってました……?」

 

昨日の合格の後からの記憶がスッポリ抜け落ちている。いやこれ絶対領域を展開した反動来てるだろ……

 

「ああ、相当疲れていたのが目に見えていた。小学生の身体で領域展開して相当負担が掛かっていたようだ。当分は休んでおくといい。」

 

「……そうでしたか……車からここまで運んで下さってありがとうございました。心配をお掛けして申し訳ないです。」

 

「……礼は要らない。」

 

やっぱりか……弱ったな……今の状態の青魔導具は新世壊を広げる事が大前提の術式なのに……これじゃもし特級との連戦とかあったら足手まといになってしまう……早くウォゲンムとゼニスザーク辺りを使えるようにしておかないと駄目だ。

でも思ったより反動は小さかった。あんなに堕呪を唱えたら三日間は動けない筈。新世壊を展開したから『3ターン目』になったのかも知れない。

 

そんな事を考えている時、夜蛾先生が半ば覚悟を決めたように口を開いた。

 

「……君には、これからの事を話しておかなければなるまい。」

 

そういえばそうだった。僕はこれからどうなるのだろうか。もしかしたら死刑に……いや、無いな。別に僕は特級呪霊を殺しただけだし。爆弾抱えてるかも知れないのは確かだけどそれを知る筈が無いし。

 

「……取り敢えず事件のほとぼりが冷めるまで、ここで生活して貰う。勿論食事代と電気代諸々はこちらで負担する。……君の両親には警察を通して反社会的勢力からの保護という名目で了承を貰っている。」

 

 

まぁ普通の人は呪いとか呪術とか信じられないだろうし、カルトに僕が捕まった感じにもなっちゃうので妥当だな。……でも、やはり少し罪悪感を感じているのだろう、微かに目が揺れている。この人はどこまで善い人なのか。

 

「大丈夫ですよ、僕は中身はもう成人してる位なので。心配しないで下さい。」

 

「……ありがとう。」

 

なるべく気にしないでもらいたい……ましてや僕なんかの為に。

 

 

「そして、ほとぼりが冷めたら君を家に帰す。これは本来認められないが、私が君を不用意に呪力を行使しない信頼に足る人物だと判断した上での特例だ。その代わりに高校生になったら呪術高専に入学が決まっている。」

 

……成る程、まぁ特級を祓えるやベー小学生なんて普通力の扱い方を間違えるとしか考えられないからな……夜蛾先生に頭が上がらない……

 

「……ん?」

 

そう考えている時に、何やら香ばしい匂いがドアから鼻に吸い込まれた。しかも肉ーー恐らくベーコンーーが焼かれる音もする……これはもしや……

 

「さて、そろそろ寮母が朝食を作っている頃だろう、蒼真君は食べーー」

 

 

 

 

ーーー瞬間、僕の胃袋がグウゥゥと低い唸り声を轟かせた。

 

 

 

 

 

(……そういえば、昨日の朝から何も食べてない……)

 

 

「……」

 

 

「……」

 

 

 

 

「……おかわりは自由だぞ」

 

 

全部喰らい尽くしてやる……!!!!

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

ーーーそして、2週間が経った。

 

色々と夜蛾先生に呪力の扱い方等を教えて貰い、術式に頼らなくてもある程度自衛は出来るようになった。といっても二級の呪霊相手に苦戦するレベルだ。薄々分かってはいたが僕にフィジカルの才能は無かったようだ。

 

あと、夜蛾先生に呪骸の作り方の理論を教えて貰った。僕の術式ではドルスザク以外のクリーチャーを現時点では呼べない。何度か試したが術式の中に情報があるだけで召喚は出来なかった。なので、依り代になるものが必要なのではないかというところで呪骸である。クリーチャーは創られたモノという意味なので呪骸と解釈を同期させることでウォゲンムを召喚できるのではないかと思ったからだ。

 

……まぁ、作り方を聞いた時に

 

「……まさかとは思うが、呪骸を創ったりしないだろうな……?」

 

って怪しまれたりはしたが。

 

僕が作るのは呪骸じゃなくてクリーチャーなのでヨシ!!

 

 

 

 

 

 

 

……取り敢えず事件のほとぼりは収まったということで、家に帰る。

 

「……では、お世話になりました。」

 

 

一礼。数え切れない程色々して貰ったからかなり深く礼をした。

 

目の前に送迎用の車が停まっている。これで家まで直接送ってくれるそうだ。有難い。

 

家では母さんと父さんが待っている事だろう。とても心配を掛けてしまった。はやく安心させなくては。先生のお見舞いにも行かなくてはいけない。

 

 

 

「…………」

 

 

 

……やっぱり少し寂しくなってしまう。本当に良くしてもらったからだろうか。中身成人……一歩手前なのに。

 

 

「……ああ、黒染蒼真。おまえの入学を待っている。」

 

 

……ああそうだ。この人とは中学を卒業してここに入学してからまた会える。

 

 

なのにーーー

 

 

 

「っ……はいっ」

 

 

 

ーーー目の前が滲んで見えるのは、あんまり良くないな。

 

 




4ターン目なのでゼニスザーク出そうかと思いましたがそれだと色々不自然なので止めました。
手札事故です。
次から懐玉·玉折の予定です。
あとドッカンデイヤーとか神の試練ループとか出していいんですかね……
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