青(魔導具)のすみか   作:タンペペン

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初の文化祭で疲れながら書いたので色々雑

許して


5ターン目

『ーーーさて。今日はお前らに大事なお知らせがある』

 

冬に凍った空気が陽射しに当てられて漸く融けきろうとしている五月の中旬。

木製のドア越しに薄く聞こえる先生の声を聴きながら、僕は廊下でソワソワしていた。

 

ーーーあれから十年の歳月が過ぎた。今日、ついに呪術高専に正式に入学する。両親には宗教系の高校と伝えてある。何かしらの反発はあるだろうなと思っていたら父と母のどちらも僕の意思を尊重してくれた。僕には勿体無い程の良い両親だ。……諸々の事情で一ヶ月弱遅れてしまったが、取り敢えずこれで今日から僕は呪術師になる。やったぜ。

 

『今日から新しく入学してくる生徒が一人居る。入っていいぞ。』

 

もう入って良いらしい。新しく友達を作るには第一印象が大事。

 

「ふぅ……」

 

軽く、一息をつく。

 

(うっし。入るか)

 

 

そして、勢い良くドアを開けーーー

 

 

 

 

 

「は?何コイツ?雑魚じゃん」

 

 

「悟!?転入生に何を言ってーー」

 

 

 

 

 

ーーー閉めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

……何で?僕五条と同期なん?嘘やろ?

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

あの後夜蛾先生に謝罪されながら教室に入った。

大変申し訳ない。まさか五条悟の同期になるとは思わなかったから……許して

 

……取り敢えず相手が誰であろうと自己紹介はしなければ。

 

 

「えー、僕の名前は黒染蒼真。術式は青魔導具。別にあだ名はなんでも宜しい。これからよろしく」

 

自己紹介をしつつ周りを見る。

五条悟に、夏油傑、家入硝子。

 

……どうやら僕はさしす組の同期になってしまったらしい。が、もはやどんな世代でもこの世界では簡単に死ぬのでむしろ生存率が上がったことを喜ぶべきだろう。

 

(というか僕入れるとさしすそ組になるのか……語呂悪いな……)

 

せめて僕の名前にせが入っていたらさしすせ組でそんなに語呂も悪く……いや悪いな……

 

そんな至極どうでも良いことを考えていると、そのさしす組の一人の夏油傑がこちらに話し掛けてきた。

 

「先程は悟がすまなかったね。私の名前は夏油傑。術式は呪霊操術という。名前の通り呪霊を取り込んで操ることができる術式だ。これから任務を一緒に受けることもあるだろうからその時はよろしく。」

 

さっきの悟と比べてなんてまともなんだ……!!温度差で風邪ひきそう

 

「そしてこちらが家入硝子。怪我の治癒が出来る反転術式を使える数少ない人間だ。何か怪我をした時はこの人に治して貰うと良い。」

 

そう言われて視線を向ける。改めて見てもとんでもない美少女だ……

 

「ん~、あんまり私の仕事を増やさないようにして欲しいんだけどな~。ま、よろしくね~。」

 

(ワッ、ワァ……!!)

 

朗らかな笑顔をニカッとこちらに向けてくる。思わず見蕩れてしまうその表情。アカン堕ちてしまう。しかし、次の言葉で浮いた気持ちが一気に鎮まる。

 

「言っておくけど俺、雑魚とつるむ気はねーからな。てか、何度見てもお前の術式雑魚過ぎwwクリーチャーを手札にって戻すってなんだよwwただ呪力を無駄に消費するだけじゃねぇかwwそれに呪力の量も縛り込みで中の上位だしww」

 

……嘲笑している五条を尻目に溜め息を吐きながら夏油が口を開いた。

 

「……コイツの名前は五条悟。こんな事は言ってるがそれに見合うだけの実力と才能を持っている。許してやって欲しい。」

 

……かなりイラつく。六眼で僕の術式を見たのだろう、まるで自分を踏みつけるように嘲笑う悟。ガキが……舐めてると潰すぞ……と言ってやりたい所だが、クリーチャーが何なのか、それをどう解釈できるのか等を知らない悟からすれば確かに僕の術式はクソ雑魚に見えるだろう。それに僕は精神で言えば彼より年上だ。しかも悟は箱入りで世間知らずだったと思うのでここは寛大な心で許してやってもーーー

 

 

 

 

 

 

 

「それにチビだしwww本当に高一?ww」

 

 

 

 

 

 

ーーーは?

 

 

 

 

 

 

……それは……駄目だよな……?

 

 

 

 

 

 

「……おい」

 

 

 

 

 

 

喉の底から、静かに、しかし激しく燃え滾る怒りと悔しさの感情が、声という形を成して空気を震わせる。

 

 

「身長が……!!!

 

 

145センチメートルでっ……!!

 

 

 

何が悪いっ……!!」

 

 

 

……それは、一種の哀しみも含んでいたように思われる。

 

 

 

 

 

ーーそして、静寂が訪れた。五条悟は愚か、夜蛾先生まで驚いた表情をして硬直している。

そんな中、目を瞑って一つ息を吸う。そして、五条の方を見て、口を開く。

 

 

 

「グラウンドに行こうぜ……久々に……キレちまったよ……」

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

そんなこんなで、休み時間なグラウンドで五条と『模擬』戦をする事になった。

 

 

 

「一瞬で終わっちゃうけど……良い?最悪お前入院するかもw」

 

「……来いよ」

 

「……ほーん、言ったな?」

 

軽い挑発をいなしながら、今回の戦い方について決める。

 

(アレを使うか)

 

何年もの期間をかけて生み出す事が出来たーーアレを。

 

「双方、準備はいいかい」

 

 

 

 

そして、合図の銃声が響きーーー

 

 

 

 

「術式順転:蒼」

 

 

 

彼の手から放たれるのは、悉くを呑み込まんとする『死』そのもの。曇り一つ無い破滅的なまでに純粋な『蒼』。それは、全てを収束せんとする蒼色の球。暴力的なまでに視界を埋め尽くすそれは、もはや自分の運命は決したのだと告げてくる。

 

こんな物を開幕でブッパするとか本当にすぐに決着つけるつもりじゃねぇか……!!威力は少し控えめだが、しかし当たれば死の淵を彷徨うこと間違いなし。この野郎手加減しろ。

 

だがーーー僕は強いので。

 

迫り来る『それ』を前に地面を一歩踏みしめ、手汗が滲んだ右手を前に突き出す。そして、唱える。

 

「シールドトリガー。堕呪·カージグリ。」

 

 

ーーーそして、『それ』は一瞬の内に霧散した。

 

 

「……は?」

 

 

視界から蒼い死が消え、澄み渡る空の色とグラウンドの乾いた土、そして……五条が自身の常識を根本から覆されたような顔をしているのが良く見える。

 

 

ーーー今だ

 

 

虚構(手札)』から取り出したるは一つの呪骸。

 

それに、術式から情報としてのとあるクリーチャーを憑依させる。

 

ーーーそれは、無が行き着いた先に体を持った存在。

 

 

ーーーそれは、無が死の鳥の傀儡の魔と堕ちた存在。

 

 

「呪骸憑依:『堕∞魔·ヴォゲンム』」

 

けたましい咆哮を上げる事も無く。地に足を着けて轟音を轟かせる事も無く。ーーー唯悠然と、それはそこに存在した。

 

 

「なっーーー」

 

 

五条の表情から焦りの色が見えた。それはそうだ。こいつは一級呪霊と呼ばれる中でも上澄みと言えるような量の呪力を持つ。こいつだけで倒せれば万々歳なのだが。

 

 

「ハッ!!ハハハッ!!ハハハハハッッ!!!中々やるじゃねぇか!!!黒染ェ!!」

 

 

ーーーあっ駄目だコレ……

 

 

ウォゲンムの攻撃を悉く躱して呪力を込めた拳でヒット&アウェイを繰り返しながらジリジリダメージを蓄積していっている。そして少しよろけたら『蒼』を打ち込んで大ダメージを与えている。何なんだよアイツゥ!?悉く避けるとかフィジカル化け物かよ!!

 

「もっと!!もっとだ!!もっと魅せてみろよ!!」

 

(……しょうがない)

 

すこし躊躇はあるが、これは僕の誇りと尊厳を懸けた戦いであるので逃げは許されない。

 

 

「……ウォゲンム、やるぞ」

 

 

 

『山札の上から13枚を墓地に置く』

 

 

 

ーーー瞬間、焼き切れるような痛みが脳の中を支配した。

 

「……ッ……痛"っ"て"ぇ"ぇ"ぇ"……」

 

当たり前だ。山札とはつまり僕の術式の全てであり、術式は僕を形成する大きい要素の一つ。

それを半分近く棄てているのだ、無事で済む訳が無い。

 

(ーーだが、これで良い……ッ)

 

 

棄てられた堕呪が『二つの』門を形成していく。

 

 

 

「ッ!?おい黒染!!これは何だ!!」

 

 

ははっ、驚いてやがる……クソガキのこの顔を見れただけで術式の半分近くを棄てた甲斐がある

 

 

 

「ーーー開け」

 

 

 

 

 

『無月の門:絶』

 

 

 

 

魔法陣から、死を呼ぶ不死鳥が顕現する。

 

 

 

『卍月·ガリュザーク』

 

 

『無月の頂·ゼニスザーク』

 

紫と白の二対の双翼。片方の高貴なる紫に、片方の神聖なる白。

一方は黒縄すら悠に越える程に呪力を掻き乱し、一方は術式を『破壊』する。つまり、規格外の化け物達。

 

 

ーーー故に、どちらも特級。

 

 

 

「ハッ!!!ハハハッ!!!最ッ高ッ!!!!」

 

 

ハイになっている五条に向けて、手を伸ばす。

 

「……やれ」

 

ーーー言い欠けたその時、銃声が一発、空に響いた。思わず五条と共に振り返ると、そこには夏油が居た。

 

「双方、戦闘を止め!!」

 

その声にハッとし、呼び出したクリーチャー達を急いで術式に戻す。対戦ありがとうございました。

 

「全く、君たちはここの校舎ごと壊すつもりかい……?これはあくまで模擬戦なんだから……」

 

あっ……やべ……

 

かなり申し訳ない気持ちになり、チラリと横の五条の顔を見る。かなり不満らしい事が顔にはっきり分かるように表れている。

 

「はぁ~~!?この戦いに水差すとかマジであり得ねーし。なぁ黒染!!もう一回殺ろうぜ!!」

 

えぇ……

 

「いや、確かにこれ以上はちょっと……」

 

 

「は?」

 

 

「ほら黒染も乗り気じゃないみたいだから……諦めな、悟」

 

そう言うと五条は不満を垂れ流しながら校舎に戻っていった。正直続けたい気持ちは無くは無いが……いやお世話になった夜蛾先生にこれ以上迷惑をかけられないから駄目だ。

 

この後夜蛾先生に滅茶苦茶怒られた。ごめんなさい。

 

 




五条ってこんな煽りカスだっけ……
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