青(魔導具)のすみか   作:タンペペン

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シリアスとコメディのメリハリが難しい

いつか術式が墓地ソースだった世界線も書いてみたいです


6ターン目

「なぁ黒染~」

 

夕暮れの陽射しが朱色に染めた教室の中。イヤホンでお気に入りの楽曲を再生している時にも関わらず五条が話し掛けて来た。またかと思いつつ渋々曲の再生を止めて横を向く。

 

「またあのデッケエ鳥っぽい式神だせよ~」

 

入学から一週間が経過し、クラスにも馴染めた……といっても自分以外三人しか居ない訳だが、まぁとにかく仲は悪くないと思う。そんな僕の最近の悩みがこれ。五条がやたらバトルジャンキーになってしまった事である。

 

「何度目だよ……ダメに決まってるだろ。あんなのポンポン出して良いわけねぇから。」

 

辺り一帯が更地になっても構わないなら呼び出しても良いが、そんなことをするつもりは更々無い。

 

「はー?んだよ~もー、良いじゃん今日なら夜蛾センもいねぇしバレねえって」

 

「クズ過ぎんだろ……駄目だ駄目だ。ただでさえお前の対応で夜蛾先生は胃が痛そうなのにこれ以上負担掛けられるか」

 

「チッ、つまんねぇの。じゃあコンビニでナナチキ買ってこいよ、代金はお前持ちな」

 

「死ね」

 

ついストレートに罵倒してしまった。だが僕は謝らない。こんな奴の担当になってしまった夜蛾先生の苦労が伺い知れる。そういや学長室に胃薬あったな……

 

「おや、コンビニに行くのかい?蒼真」

 

夜蛾先生の心労を思っていると、背後から声がした。この声は夏油だ。やっ、と片手を振りながら廊下からこちらにやってくる。隣には家入さんが居る。何となくイヤな予感がして、もしやと思い横を振り向くと五条が口を三日月のように釣り上げてニヤリとしている。おいお前まさか……

 

「コイツにナナチキ買いに行かせるから傑も何か頼めよww代金はコイツ持ちだから」

 

ほらやっぱり!!ふざけんな!!ふざけんな!!誰も行くとは言ってないぞ!!

 

「行くわけねぇだろ!!夏油、さっきからコイツに絡まれてんだよ……お前もコイツを何とかしてくれよ……」

 

(同じパンピー出身なら助けてくれよ!!な!!)

 

縋るような思いで夏油に訴えかける。しかし、結末は裏切りであった。

 

「そうか……なら私はハーゲンダッツを頼むよ」

 

その瞬間、夏油の表情から愉悦を感じた。そういやお前もクズ言われてたな……なんで!!よりにもよって!!この季節に!!ハーゲンダッツ!!ハーゲンダッツは高いんだよ!!

 

「そんなもん頼まれたら余計行かねぇわ!!」

 

「じゃ、頼むよ」

 

「人の話しを聞けぇ!!」

 

ああもう!!何なんだよ!!こんなにコイツらがウザいとは思わなかったよ!!

 

「駄目だよー、コイツらに隙を見せたらあっという間につけこまれるからね」

 

「家入さん!!このクズ二人組を何とかしてくれ!!」

 

家入さんならまともなはず……!!

 

「うーん、いやーこうなると私にはどうにも出来ないし、」

 

そう言うと、ポッケから何か取り出したと思うと、机の上にジャラジャラと音を立てて置いた。……そこには、百円玉が三枚置かれていた。

 

「私も丁度糖分が欲しかったからさ、これで何か甘い物でも買ってきてよ」

 

「…………」

 

「ダメかな……」

 

「……ハイ」

 

「ラッキー!!じゃ、よろしくね~」

 

「…………一応僕、特級なんだけどな……」

 

なんだこの扱い……

 

「あー?何か言った?」

 

 

「何でもないよ……はぁ、わかったよもう!!行ってくるよ!!その代わり帰りの石段の掃除は代わりにやっといてくれよ!!それくらいはホントにお願い!!」

 

「気が向いたらな~!!」

 

(気が向いたらかよ……)

 

やるのかどうか分からない返答に呆れながら、ガラリとドアを開く。

 

 

 

 

「…………」

 

 

廊下に出た途端、騒がしい教室から切り離されたかのような静寂が身を包む。廊下という場所には似合わない程の静寂が、

 

(ホントに人少ないんだなぁ……)

 

としみじみ感じさせる。

 

「……さむ……」

 

冬に取り残された寒い空気が肌を触る。呪術高専は標高が高い場所に位置しているので五月に入ってもまだ寒さが残っている。

 

……耳を澄ますと、壁越しに五条と夏油と家入のくぐもった声が聞こえる。教室の壁は年季の入ったこの学校なら薄いのも当然だろう。

 

そして、何話してるのかな、と思い何気なく窓から彼らを見る。そこには、年相応の笑みを浮かべながら割とクズな話題で盛り上がっている三人が居た。

 

 

「…………」

 

……さっきと同じように三人は笑っていた。きっと、僕が居なくても、きっと彼らは笑ってバカをやっていたのだろう。

 

「…………っ」

 

一つの壁に隔てられた彼らと自分。その感覚が、何だか全身を切り刻まれる程に痛くて、泣き叫びたくなる程に苦しくて。僕という存在の奥から湧き出る掻き毟るような衝動が、この場で壁を直ぐに壊してしまおうと全身を駆け巡る。

 

僕は、世界の不純物だ。僕は、不必要な存在だ。例えるなら、青い春に紛れ込んだ一粒の黒。黒は、やがて青を藍に変えてしまう。きっと、元の青のような澄んだ美しさは消えてしまう。

 

もしかしたら、僕は消えた方がいいのかも知れない。

 

少しだけ、そう考えた。

 

「……はっ、僕って案外めんどくさいな……」

 

これじゃまるでメンヘラだな、と自分に呆れる。ヘラっている暇があるなら、早くパシリとしての役割を全うするのが先だ。

 

 

「っし、近場のセブンでも行くか」

 

 

ついでに五件の呪霊の祓いの依頼も片付けておくか。今回は一級が二件、二級が二件、三級が一件だから一級は多少時間は掛かれどどれも大した事はない。一件だけ割と遠いけどまぁ問題無いでしょう。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「あ、あ……あぁ……」

 

 

 

最悪だ。最悪だ。

 

 

 

何でこんな事になるんだよ

 

 

何でここに居るんだよ

 

 

何で……

 

 

 

「……マジでガキじゃねぇかよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

禪院甚爾が刃物突きつけてくるんだよ!!!

 

 

 

 

 

 

 




実際入学して直ぐに特級、しかも領域使える奴なんて絶対暗殺対象になるよね
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