なんか砂糖水が主食の断頭台のアウラが頭から離れないんやけど……(´・ω・`)
DCの要塞の最深部に到着したハガネ隊とカリ・ユガ。
流石はDCの要塞と言うべきか。ゲシュペンストやRー1は勿論、今のカリ・ユガやグルンガストでも尚広いと言わざるを得ない程の一室だ。恐らくはハガネでも同じ感覚を味わえるだろう。最大サイズのカリ・ユガはどうか分からないが。
「ここが要塞の中枢か……。シュウのやつは何処に……?」
サイバスターが他の機体よりも少し前に移動し、探し人を探すかのようにキョロキョロと周囲を見渡した。
元々、マサキはシュウを追ってラ・ギアスから地上世界へと来た者だ。ハガネ隊と同行しているのも、シュウを追う為の手段である。
DCにはシュウがいる。それは本人もそう言ってたし、スターバク島での戦いの最中もそれを匂わせるような行動をしていた。……にもかかわらず、ここにはヴァルシオンしか居ない。シュウもいるかと思っていたハガネ隊の面々は困惑の表情をしているようだ。
「……よくぞ来た。歓迎するぞ」
「ビアン・ゾルダーク……!!」
リュウセイは視線の先にいる赤い機体に向けて怒りの声を上げた。
DCなどという組織を結成し、世界に混乱を引き起こした元凶が今、目の前にいるのだから。
「我々は貴様に招かれーーー」
「ビアン!シュウの野郎は何処だ!!」
イングラムがビアンに疑問を投げかけようと来た時、マサキの怒号がそれを遮った。
サイバスターの剣が、ビアンのヴァルシオンに向けられるが、ビアン本人は感心したかのように笑みを浮かべるだけだ。
その様子にマサキは苛立ちを隠しきれない様子だ。ラ・ギアスでシュウが起こした事件もそうだが、DCが起こした混乱や、要塞内へ侵入する前にアードラーとかいう外道の所業を見聞きしているのだから。
「……ビアン・ゾルダーク。我々はーーー」
『皆さん。此方にとてつもなく強い負念が近づいています』
「この感じ、多分グランゾンだ……!!」
「何っ!?」
「…………」
イングラムが改めてビアンに聞こうとした時、今度はカリ・ユガとユウが遮った。
今回で3度目になる、同じ負念を感じ取った。その持ち主に2度敗北している。そんな相手の気配を感じ取ったのだから、落ち着いていられないのも無理はない。
1人と1柱の言葉にマサキは反応を示し、ハガネ隊は警戒を強める。その直後にヴァルシオンの隣にワームホールが出現する。
そこから現れたのは、重力の蒼い魔神の異名を持つグランゾンだ。
「待たせましたね。ビアン博士」
グランゾンがヴァルシオンの隣に着地する。それだけでこの場の空気が変わった。
「役者は揃ったようだな」
究極ロボと蒼い魔神。正しく〝最強と最凶〟が揃ったと言っても過言では無いだろう。その圧倒的な威圧感、存在感にはハガネ隊は気圧されている。カリ・ユガとユウも例外ではない。
「まさか、カリ・ユガがハガネと共に行動しているとは意外でした。マサキといい、カリ・ユガといい……何かと縁があるようですね」
「ハッ!テメェとの縁なんて願い下げだぜ!」
『縁……ですか……』
「シュウと縁なんて繋がった記憶が無いんだけどな……」
共通点があるとしたら、破壊の神の関係者というただ一点のみ。それ以外は皆無である。
戦闘回数はハガネ隊と同じ2回だ。今回で3回目になるが、そんなものは関係ないだろう。マサキ達魔装機神勢を除けばリュウセイの方が縁が強いのでは無いだろうか。
「シュウ!テメェもビアンと同じで、世界征服を企んでんのか!?」
「まさか。そんなものに興味はありませんよ。私はただ、地球圏における余計な異物を排除したいだけです」
マサキの疑問をシュウは淡々と否定する。この答えにはカリ・ユガを含め、ハガネ隊は意外そうな顔をした。DCの目的は世界征服だ。それに協力しているのだからそれが目的だと思っていた。
反対にユウは「本物のシュウならそんなものに微塵も興味が湧かないだろう」と確信していた。なんなら腕を組んでうんうんと頷いているようだ。
どこぞの変態では無いが、世界征服をしても内政処理がめんどくさくてやってられるかという話だ。これでは自由どころか、自分が縛られるだけの顛末になってしまい、本末転倒である。
「余計な異物ってのは、異星人の事か?」
「まあ、そう思っていただいて構いませんよ」
『ならば、DCに協力せずに異星人を迎撃すればいいのではないでしょうか?あなたとグランゾンならばカップラーメンを作るくらい簡単な事でしょう?』
カリ・ユガと同等のスペックを誇るグランゾンならば、異星人どころか宇宙を破壊する事も可能だろう。
ワームホールを利用したワープやほぼ必中と言っていい精度のオールレンジ攻撃。カリ・ユガをカチ上げて鎧を砕く大剣とパワー。マイクロブラックホールを生み出すことも出来る。
さらに、ネオ形態ならば〝超新星爆発〟を起こす事も可能だそうだ。カリ・ユガと同様、その気になれば宇宙を滅ぼせる存在が、何故DCに協力しているのだろうか?それがどうしても気になった。
「貴女達は全てが終わった後に転移して来たのですから、知らないのも無理はありませんね。私が南極で何をしたのか」
「この世界に来たばかりの俺達に問答無用で攻撃を仕掛けてきた」
『あの時は死ぬかと思いました……あんなの避けれられる気がしませんよ……』
「……それもありますが、私は南極で連邦軍の会談相手、〝ゲスト〟……異星人に攻撃を仕掛けた事で、間接的に地球を救ったのですよ」
「連邦軍の部隊やシロガネを沈めておいてどの口が言ってやがる!」
ユウとカリ・ユガに説明するシュウの言葉に反応し、怒鳴ったのはリュウセイだ。同じチームのアヤ・コバヤシとライディース・F・ブランシュタインも同じ気持ちなのか、険しい表情でシュウを睨んでいる。
「一つ言っておきますが、私があの場で行動を起こさなければ、今頃地球は異星人の手に渡っていたかもしれません」
「ハガネ隊……特にSRXチーム諸君。そなたらは〝アルバート・グレイ〟という男を覚えているか?」
「南極の会談の時の厳ついオッサンだろ?それがなんだってんだ?」
ビアンの質問に、リュウセイは疑問を持ちながらも答える。
あの時のリュウセイはまだゲーム感覚が抜けていなかったのか、「特撮とかに出てきそうな上層部の嫌なオッサンみたいだな」と思っていた。ぶっちゃけ、今もそう思っているが、何故そのオッサンが出てくるのか分からない。
「奴は異星人との和平交渉をする為の大使だったのだ。奴が異星人を〝ゲスト〟と呼び、友好的な姿勢を見せたのはその為だ」
その言葉を聞いたハガネ隊に緊張が走る。南極でそんな事が起きているとはこの場にいる誰もが知らなかった事なのだから。
ライとアヤはなぜ自分達が警護につけられたのか。それは、式典の警備ではなく、異常事態に備えるため。その目的を察することが出来たのだから尚更だ。
「……だが、地球よりも高度な文明と技術力を持っている異星人相手に、対等な和平交渉など不可能だ」
「……なるほど。そこで、テンペスト少佐が言っていた〝売星奴〟に繋がるのね」
「……つまり、連邦や政府は地球を売り飛ばそうとしてたってのか!?」
「そうだ。彼らの持つ兵器や技術と引き換えにな」
これが意味することは、事実上の無条件降伏だ。それを理解してしまったリュウセイはショックのあまり、呆然としてしまう。
これまで、地球を守る為にDCと戦ってきた。母親を……幼なじみを。DCに脅かされている人々を守る為に戦ってきたが、肝心の上層部の意向を知ってしまった。
それを知ったリュウセイは思わず壁を殴ってしまった。〝俺たちは今までなんのために戦ってきたのだ!?〟と。
「軍は地球を守る正義の味方じゃ無かったってことかよ……!!クソ!!」
「そうだ。だからこそ私はDCを設立し、異星人の脅威から地球を守ろうと決意した」
「なるほー」
『あの宣戦布告は連邦軍だけではなく、異星人にも行っていたという訳ですか』
南極事件をきっかけに、連邦軍や政府……いや、地球人類はその手に剣を持たざるを得なくなった。
地球を売り渡そうとする連邦に変わり、DCが新たな秩序を打ち立てる。文面だけを見れば綺麗に見えるだろうが、実際は地球全土を戦いに巻き込んだだけに過ぎない。
DCの起こした戦争によって、命を落とした一般市民は少なくない。地球全土を巻き込む必要があるのか!とガーネットとアヤが非難するのは当然と言えた。
もしも連邦に協力していれば、DCによる犠牲者はいなかったのだから。
そんな2人の非難に対し、ビアンは冷静に口を開く。
「私は以前から連邦に協力してきたぞ」
「どういう事よ!?」
「そうか、トロニウムエンジンやテスラドライブには、EOTが使われている!!」
『ユウ?〝イテマエ〟とは?』
「〝EOT〟ね。異星人が持つ超技術の事。現段階では解析や再現が不可能な技術も含まれるっぽいけど、ビアン・ゾルダークが粗方解析したから地球の技術力は大幅に上がってる。EOTを解析、研究する場所のテスラ・ライヒ研究所やEOTI機関もビアン・ゾルダークが作り上げたものだ」
機械いじりや設計が趣味であり、元DC兵でもあるリョウトの言葉。そして、ユウの解説によってアヤとガーネットは言葉を失った。
ビアンの言うことが正しければ、連邦はビアンを裏切った事になる。それがきっかけでこんな事が起きている。
「つまり、最初から協力していたってわけか!」
「ええ。カリ・ユガの巫女が持つ知識の出処が気になりますが……その通りです」
「だが、連邦軍の上層部や政府の高官は異星人の存在を知るや否や、屈するだけで立ち向かおうとしなかった……!!」
「そう。EOTを提供したにも関わらず、彼らは異星人と戦う事に臆し……あろう事か地球を明け渡そうとしたのです……!!自らの保身の為だけに……!!」
「そんな事のために私はEOTを解析し、これらの機体を作った訳では無い!!」
「……」
『つまり、全ては貴方達なりに地球を守る為に取ってきた行動……という訳ですか』
ビアンとシュウの静かで確かな怒り。全ては異星人の魔の手から地球を守る為に取った行動だ。にも関わらず、連邦は真逆の事……無条件降伏を行おうとしているのだから無理はない。それが保身の為ならば尚更だ。
異星人の侵略を受け入れてしまえば、地球に未来は無い。一部のバカ共のせいで地球の……市民の未来が奪われる。そんな事が許されてたまるものか。
そんなビアンの言葉に、ユウは思わず手を強く握りしめてしまう。カリ・ユガもつられたのか、浄化の槍を震えるほど強く握りしめているようだ。
「そんな臆した連邦にこのグランゾンやヴァルシオン。DC……。そして、私やビアン博士を利用する事は不可能だと知らしめるのも目的の1つでした」
「ふざけやがって!そんな理由で南極の部隊を殲滅したってのかよ!!」
「それもありますが、1番の目的はビアン博士の意志を軍や政府、EOT特別審議会。そして、世界に伝える事。その為に彼らには尊い犠牲となってもらったのです……!!」
「今、この地球には異星人による大きな脅威が迫っている。それに対抗する為、世界はDCによって統一されねばならん。私の真意を理解し、我が軍門に降れ。そして地球の平和を共に守るのだ!」
「うるせえ!戦争って方法でしか世界を纏められないような奴が、地球を危機から救えるわけねぇだろうが!」
「ならば我らを倒し、この星をお前達の手で守り抜いて見せろ!!」
交渉は決裂した……否、初めからそんな余地は無かったということか。
ヴァルシオンはゆっくりと剣を抜き、ハガネ隊に切っ先を向けた。
究極ロボと世界を滅ぼせる機体。最強と最凶が、いま自分達の目の前にいるのだ。
勝てるのか……?そう思う者もいる中、マサキとリュウセイは力を入れて言い放つ。
「やってやるぜ!!俺達はDCを……倒す!!」
「そして、異星人からもこの星を守ってみせる!!」
サイバスターがディスカッターの切っ先を。R-1が拳をヴァルシオンに向けて突き出した。その行動を見たビアンの口角が僅かに上がる。
カリ・ユガもまた、グランゾンに向けて槍の切っ先を突き出している。
DCとの真の最終決戦が、今ここに始まろうとしていた。
イングラム「俺にも喋らせてくれ……(´・ω・`)」