タオルを絞る時、絞りきった状態でまた絞ろうとするとあんまり出ないと分かっていながら無理にやろうとするとろくなことにならないということが分かりました。
コレからはできるだけ多くの水分をしっかりと染み込ませてからやるように心がけたいと思います。まだリカバリーは効くはず……!!
「クソがっ!!なんだってんだい!あの女は!!」
宇宙空間を進んでいる緑色の巨大な空母。その格納庫でアギーハは壁を殴りつける。
インスペクター。正式名を〝ウォルガ〟といい、ゾヴォークと呼ばれる星間連合という宇宙を隔てた連合組織に所属している。地球で言う連邦を宇宙規模まで拡大した組織といった感じだ。
事の始まりは南極事件にて、グランゾンがゲスト……正式名、〝ゾガル〟の戦艦及び偵察部隊を攻撃したところまで遡る。
EOTと呼ばれている超技術を使い、次から次に新しい兵器を開発しているという辺境の惑星の情報を入手したゾガルは、地球にある南極の基地で極秘裏に会談を行ったのだ。
その理由は、地球の超技術の入手。あわよくば独占しようとしていたのである。
その頃の地球も、エアロゲイターと呼称している異星人に恐れをなして無条件降伏を行うように動いていたということだ。運命はゾガルに幸運を与えてくれたのだと確信。政府の高官を多数引き連れ、そのリーダーであるゼゼーナンという男は南極へと赴いた。
そこで起こった南極事件の惨劇。グランゾンによる敵、味方問わずの無差別な攻撃は両陣営に多大な被害をもたらした。
南極にいたゾガルの人間は大勢死亡し、生き残ったのは僅か数名。リーダーであるゼゼーナンも重症を負った。
それだけならいざ知らず、南極で突如として魔法陣が出現。その中から8本の腕を持つ巨大な女が現れた。前回、アギーハ達が戦っていた相手であるカリ・ユガである。
登場して間もなく、不意打ちの如くグランゾンの額から放たれたビームを白蛇達のビームで相殺し、ワープ移動したグランゾンの剣による攻撃を防いだ。
そして、カリ・ユガの槍から放たれたビームとサイバスターのコスモノヴァによる合体攻撃が放たれ、同時にグランゾンがブラックホールクラスターを放とうとする所で映像が途切れたのだ。
「あのグランゾンと渡り合える存在がいる」と、ゾガル、ウォルガ両陣営共に衝撃を与えた者。それがカリ・ユガだ。
その事態を重く見たウォルガのリーダー格、ウェンドロは地球の警戒度を上げてデータをより多く取れるように無人偵察機を送っていった。南極事件により勢いを失ったゾガルに差をつける為……という思惑もあるのだが、脅威をそのまま放置してはおけないというのは両陣営が共通している考えだ。
特にカリ・ユガとグランゾン。2つの脅威は念入りに調査していたのである。
とはいえ、グランゾンの方はまともなデータは取れず、カリ・ユガの方も戦っている相手が圧倒的格下ばかりだった為に全然参考にはならなかったのだが。
一応、地球上にてグランゾンとカリ・ユガが戦った時もデータ収集をしていた。
「コレは最高のデータが取れるチャンス!」と思っていたのも束の間、1回目はグランゾンが不思議な光に包まれてから機材が耐えきれずに爆発。2回目はグランゾンとカリ・ユガの戦闘に耐えきれずに爆発して終わってしまった。
「ふん。もう2度とあの手は食わなければいいだけだ。次はこうは行かぬ」
壁によりかかって腕を組んでいる白目のスキンヘッドの男、ヴィガジがそう意気込むが、苛立ちを隠せていないのは同僚の3人にはバレバレだ。
カリ・ユガ、またはグランゾンのデータを取るために、生半可な機体で戦わせてもなんの意味も無い。無駄な出費が嵩張るだけだ。それは何度も破壊されているガロイカが物語っている。
そう判断したウェンドロは直ぐに直属の部下である四天王に指令を送り、予定よりも早く地球へと向かわせた。
丁度その時期にはエアロゲイターが本格的な侵攻を開始していたが、四天王はそれを好機と捉えた。
何せ、カリ・ユガが現れている先は決まってエアロゲイターが侵攻している所ばかり。つまり、闇雲に探すという事をしなくて済んだという事だ。
その結果、程なくして見つけることができた四天王は、邪魔なエアロゲイターの無人偵察機をサンダークラッシュで一掃。そのまま威力偵察を行う筈だった。
「……」
「ああ。あたいもびっくりしているよ」
無言でアギーハに視線を合わせているシカログは少し困惑しているようだ。そう伝えたいのだと理解したアギーハはシカログを肯定する。
カリ・ユガと対峙した瞬間、巫女を名乗る小娘から最初に出た言葉が〝グレイターキン〟……即ち、メキボス機体名だったのだ。
そこから巫女は一息置き、まるで説明するようにグレイターキンの特徴や武装、此方の事情を軽く解説した上で、磁気嵐の元がシルベルヴィントという事を看破した。
此方の情報は何一つ無い状態の筈だ。南極で会談を行ったゾガルの面々だって1枚も手札を切っていない。
なのに何故、初対面であるはずの巫女は知っている?四天王の考えは一致した。
情報とは、戦いにおいて最も重要な要素と断言してもいい。相手の戦力を知らずに突入することと、戦力を知った上で突入する事は天と地ほどの差があるのだから。
分かりやすく例えるならば、RPGのボスとの戦闘だ。
例えば、麻痺技や休み技を多用するボスと戦う時、その対策をしているかどうかで難易度が劇的に変わってくる。
対策をしていれば楽に倒せるし、対策をしていなければやられる可能性が高くなる。下手をすれば何も出来ずにやられてしまう事もあるだろう。
何故その対策が出来るのか。何故楽に倒せるのか。それはそのボスの情報を持っている事に他ならない。
初見では全滅しても、2回目はボスがどういった傾向なのかが見え始める。そこから麻痺技や休み技を軽減、無効にする防具を装備して再度戦うことも出来るだろう。そうすれば楽にクリア出来る。RTA走者や縛りプレイの達人のプレイ画面を見れば「アレ?ここの敵こんな弱かったっけ?俺めっちゃ苦戦したんやけど……」という感想が出る筈だ。
そんな戦局を左右しうる重要な代物を「私持ってます!」と堂々と宣言すれば「あ、コイツ滅ぼさなきゃダメだわ」となるのは当然である。最も、肝心の本人はカリ・ユガに聞かれたから説明しているだけで宣言している自覚はないのだが。
この事から、四天王はカリ・ユガの威力偵察から完全殲滅へと舵を切った。幸い、相手は手負いだ。どうとでもなる……と思いきや、グレイターキンとシルベルヴィントの2機を相手取って尚互角だった。
2人は単なる兵士では無い。司令であるウェンドロの直属の部下という幹部級の人間だ。実力は相当高い。機体の方もただの量産型とは訳が違う。
「どうするんだ?あの巨大女があたいらの情報を相当な量持ってる事は確実なんだろ?今後動く時不利にならないかい?」
「いや、そうとも限らねぇ」
「……」
「何故そんなことが言える?」
メキボスの言葉に反応したのはヴィガジだ。瞳のない白目で睨みつけるようにメキボスを見据えている。言葉にしていないが、シカログの視線はアギーハからメキボスへと移動している。分かりにくいが、シカログの方もメキボスの言葉が気になっているようだ。
「まず確実に言えるのは、あの巫女は〝俺達の事を100パーセント理解している訳じゃねえ〟って事だ」
「だから、何故そう断言出来るのかを聞いているんだ」
沸点の低いヴィガジは「さっさとしろ」と言わんばかりに声のトーンが低い。
メキボスはそんなヴィガジに若干呆れながらも、それを表に出すこと無く話を進める。
「まず1つ目は、俺達の名前と機体の名称は答えられたのに、シカログ関連はてんで言えなかった所だな」
此方の情報をどれだけ知っているか。それを聞き出すため、メキボスが最初に質問した問いの事を指摘する。
メキボスとグレイターキン。アギーハとシルベルヴィント。ヴィガジとガルガウ。ここまでは良かった。本当にここまでは100点と言っていいだろうが、シカログの所に関しては〝思い出せないけどとりあえず解答用紙に答えを書いておこう〟といった風にメキボスは感じた。搭乗機体の〝ドルーキン〟をドリーセンと言い間違えたのも、確実にうろ覚えが原因だろう。
ガヤットーバと答えたことに関しても、〝テスト範囲に出ていた〟と考えれば一応の辻褄は合う。……確実に間違っているのは向こうとしても100も承知だろうが。
最も、その後アギーハがヒントを出したおかげでろくでもない思い出し方をされたのだが……。その事を思い出したのか、アギーハは物凄い形相で再び壁を殴りつけ、ヴィガジは内心優越感に浸り、シカログは睨みつけるように鋭い目でヴィガジを凝視していた。
「だが、アイツはあたいらウォルガを含めた関連情報を言ってたんだ。それなのに、100パーセント理解しているわけじゃないってのはどういう事だい?」
「それが2つ目だ」
「何!?」
インスペクター。監査官というコードネームを四天王達に伝えた直後、間を置かずに此方の陣営の名称をブツブツと呟くように言っていた。
星間連合・ゾヴォーク。そこに所属しているゾガルとウォルガ。兵器商人のゴライクンル。何れも此方の事に関する重要な物だ。
それらをの単語をスラスラと言えたのだから、此方の素性については知っているだろうと3人は考えていたが、どうやらメキボスの考えは違うようだ。
「アギーハの言う通り、アイツは俺たちの情報を多く持っている事には違いない。事実、俺達の名前や機体名を答えられたからな」
メキボスの言う通り、シカログ関連以外の質問については答えられたし、母星に残してあるガヤットーバについても知っていそうな様子だった。
その後に〝インスペクター〟……監査官という意味のコードネームを付けようとしていた事からも此方の素性については知っているだろう。
問題はその後の独り言にも似たような言動だ。その言葉がただ単語を羅列しただけなのか、情報を整理する為に口に出していたのかは分からない。
メキボスにはそんな巫女が、まるで初めて機体を操縦する兵士志願者が動作確認を口に出すような行動に見えた。しかもスピーカーをつけっぱなしなことを忘れた状態でだ。あの時は冷静さを欠いていたが、帰還してふと思い返すとそういった光景と一致したのだ。
事実、巫女には考えを纏めることに手一杯だったのか、此方の攻撃に気づいている様子は無かった。あの巨大女が対処してから漸く反応を示した。
もし、此方について詳しく知っているのであれば〝インスペクター〟等のコードネームは言わず、直球で〝ウォルガ〟と断定すればあの独り言はせずに此方の攻撃にも巫女は対処出来たはずだ。
単語は知っているものの、意味は知らない。若しくは軽くしか知らないといった所だろう。
ゾガルとウォルガで例えるならば、単語そのものしか知らない。若しくは派閥の違いというのは理解しているが、メキボス達がどっちなのか判断が付かない。そういう感じなのだろう。
「……」
「つまりなんだい?アンタは〝あの巫女が持っている情報に偏りがある〟って言いたいのかい?」
「ああ。とはいえ、奴が俺のグレイターキンについて詳しかった以上、俺達の機体全て……なんだったら司令の機体についても知っている可能性はある。俺の予想が当たってるにしろ、外れてるにしろ、警戒してもしすぎるということはねぇだろうぜ」
メキボスはそう締めくくり、他の3人も納得するように頷いた。
手負いの状態であの性能だ。もし万全の状態ならば、四天王全員が本気でかかってもあっさりとやられるかもしれない。それだけのポテンシャルを秘めている。
もし、次に戦えば今度はどうなるか……。柄にもなく弱気になってしまった。それ程に相手が強かったのだ。
そう考えている内に緑の空母が転移を終え、母星への帰還に成功する。
そして4人は司令官……ウェンドロの元へと向かっていった。
一方その頃、何とか離脱に成功したユウとカリ・ユガはというと……
「ここがカリ・ユガの拠点なのですね」
「『!?』」
大きすぎるダメージによって融合が強制解除された所をリリーに目撃されていたのだった。
威力偵察→HP2万2000〜3万前後。
本気モード→HP18万〜25万前後をイメージしています。